植松氏
経団連は7月8日、東京・大手町の経団連会館で経済財政委員会統計部会(松村圭一部会長)を開催した。総務省の植松良和政策統括官(統計制度担当)付統計企画管理官から、公的統計制度を巡る現状と今後の方向性について説明を聴き、意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 課題と改善策
政府は2016年から統計改革を進めており、GDP統計を軸とした経済統計の精度向上などに注力してきた。他方、18年には毎月勤労統計、21年には建設工事受注動態統計を巡る不適切処理が明らかになった。
こうした状況を踏まえ、現行の公的統計基本計画(23~27年度)では「総合的な品質の高い公的統計」を掲げている。
具体策として、重要度が増すサービス産業の動向を継続的かつ的確に把握すべく、既存のサービス産業関連の統計調査を統合し、回答義務のある基幹統計とした。統計調査のオンライン化も推進し、報告者負担の軽減に加え、不適切処理の背景にあるガバナンスや品質管理上の問題の解決を図った。
報告者負担の軽減に向け、企業や事業所の基礎データを格納する省庁共通のデータベースの整備や、統計回答負担が集中しがちな大企業を対象とする専門員による企業調査支援事業の実施など、漸進的ながら改善を進めている。
■ 今後の改善の方向性
今後、公的統計では、行政データや民間ビッグデータを積極的に活用することが特に重要だ。
行政データは一般に、網羅性、正確性、継続性が高く、利用に対価が不要であり、統計作成に活用できれば、質と効率性の両面の改善が期待できる。重複回答を削減すれば報告者負担の軽減にもつながる。
しかし、現状では行政データの活用は名簿整備が中心で、調査項目の代替は少なく、府省を超えた利活用も進んでいない。
POS(販売時点情報管理)データなどの民間ビッグデータは、速報性が高く、大規模だ。ただし、公的統計に活用する場合、データ提供の法的根拠や、仕様の継続性などに課題がある。
現在、総務省が設置した有識者研究会で、官民データの活用を後押しする法制度整備を検討している。
人口減少やデジタル化を受け、公的統計は新たな転換点を迎えている。研究会では、AIの存在を念頭に、統計データの機械可読化を進めるとともに、一定の慎重さを保ちながら統計作成プロセスなどにもAIを活用していく方針だ。
今後も企業との対話を重ねつつ、公的統計制度の発展に努めたい。
【経済政策本部】
