股野氏
経団連は7月14日、東京・大手町の経団連会館で幹事会を開催した。外務省の股野元貞経済局長が「わが国の経済外交およびAPECに向けた取り組み」と題して講演した。概要は次のとおり。
■ 経済外交
貿易・投資の自由化が、世界経済の成長に不可欠な基盤であることに変わりはないが、国際社会は深刻な分断傾向にあり、従来の国際秩序は全体的に厳しい挑戦にさらされている。日本の潜在成長率は停滞しており、官民投資などを通じ、日本企業による海外市場への展開やイノベーション力の向上を図る必要がある。
こうしたなか、成長戦略や産業政策と一体で、中期的に、日本経済の成長を戦略的に後押しする経済外交を推進することが重要だ。
経済外交の推進に当たっては、「新規市場・イノベーションの創出」「ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序の維持・強化」「経済安全保障」の3本柱を重視している。首脳や外相によるハイレベル外交などを通じ、この3本柱に関する日本の考えを積極的に発信していく。
■ 地域情勢
米国とは、2025年10月のトランプ大統領訪日や、26年3月の高市早苗内閣総理大臣訪米などを通じて関係を強化している。「戦略的投資イニシアティブ」を含めた日米間の合意も着実に実施している。米国は、重要鉱物の確保に向けたサプライチェーン強靭化に高い関心を示しており、日本としても積極的に関与していく。
中国は26年、日本向け軍民両用(デュアルユース)品目の輸出規制措置を発表した。この措置は国際的な慣行と大きく異なり、決して許容できないものだ。措置の撤回を引き続き求めていく。
中東情勢は目まぐるしく変動しており、見通しが立ちにくい状況だ。日本は事態の沈静化や中東地域の平和と安定に向け、イランをはじめとする関係国と緊密に意思疎通を重ねてきた。今後も国際社会と連携し、外交努力を継続する。
日本は石油危機以降の経験を生かし、備蓄などを行ってきた。各国からは、こうした対応を学びたいという希望が出ており、国際的に共有していきたい。
■ 多国間の取り組み
世界貿易機関(WTO)は、企業に予見可能性および透明性が高い活動空間を提供している。日本にとって自由貿易は成長の源泉であり、成長は経済安保にも不可欠だ。
他方、166の加盟国・地域のコンセンサスによる意思決定が困難である点や、非市場的な政策や慣行などへの対応が不十分である点など、課題もある。このため、現在、WTO改革に向けた検討が進められている。日本も議論をリードしていく。
G7エビアン・サミットでは、九つの分野で個別の首脳声明が発出されるなど、G7の結束力が発揮された。首脳声明には、日本が立ち上げた「アジア・エネルギー・資源供給力強靭化パートナーシップ」(パワー・アジア)との協力が盛り込まれるなど、日本にとって大きな成果となった。
アジア太平洋経済協力(APEC)の26年の議長エコノミーは中国が務め、「共に繁栄するアジア太平洋コミュニティの構築」をテーマに会合が重ねられている。
31年には、21年ぶりに日本が議長エコノミーとなることが決定している。国を挙げて取り組んでいきたい。
APEC域内を頻繁に渡航するビジネス関係者の移動円滑化を目的に、APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)の交付を行っている。ぜひ活用してほしい。
【総務本部】
ABTC広報キャラクター
「エビちゃん」(左)と「プロモくん」(右)が誕生しました!
APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)は、APECビジネス諮問委員会(ABAC)の提言を受け、APEC域内を渡航するビジネス関係者の移動の円滑化を目的に導入されたカードです。
ABTC所持者がAPEC域内を短期商用目的で渡航する場合、カナダ、ロシア、米国を除き、査証なしで入国審査を受けることができます。入国審査の際にはABTC優先レーンを利用できるため、一般レーンで見られる長蛇の列に並ぶ必要がなく、ビジネス関係者にとって大変便利なカードです。有効期限は原則5年で、新規交付申請手数料は1万3000円です。有効期間中は何度でも利用できます。
2024年4月以降は、従来のプラスチックカードに代わり、バーチャルABTCが交付されています。バーチャルABTCは、スマートフォンやタブレットなどのデバイスのアプリ上に表示されます。
この機会に、ぜひ申請をご検討ください。詳しくは、外務省ウェブサイト「APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)」をご確認ください。
- ◆ 問い合わせ先
- 外務省経済局APEC室
e-mail: abtc@mofa.go.jp - APEC・ビジネス・トラベル・カード~外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/apec/vabtc_index.html
世界経済の分断が憂慮される昨今の国際情勢下、貴重な経済協力の枠組みとしてその存在感を高めるアジア太平洋経済協力(APEC)には、首脳・閣僚らにビジネス界からの提言を行うAPECビジネス諮問委員会(ABAC)が存在しています。
ABAC日本支援協議会は、現在約60の企業と四つの経済団体が参加しており、内閣総理大臣から指名されたABAC日本委員の活動を支援し、日本のビジネス界の声を提言に反映することに努めています。
会員の皆さまには年2回の活動報告会や各種情報発信を通じてABACの活動をご案内しています。
- ◆ 入会・問い合わせ先
- ABAC日本支援協議会事務局
e-mail: secretariat@abac.gr.jp
URL: https://www.keidanren.or.jp/abac/
