経団連と経団連事業サービス(筒井義信会長)は、経営法曹会議の協賛を得て7月9、10の両日、「第128回経団連労働法フォーラム」を開催した。
今号では、1日目のテーマ1「ハラスメントのない職場を目指す企業の対応」について西頭英明弁護士から、テーマ2「育児介護を抱える労働者の適切な人事マネジメント」について中井崇弁護士から、それぞれの報告の概要を紹介する。
■ 西頭氏
ハラスメントのない職場を目指す企業の対応は、まさに人を大切にする経営をしているかを示す鏡だ。ハラスメント対応が適切に行われない場合、労働者の安全管理ができず、人権に問題のある企業とステークホルダーから見なされ、事業継続の根本に関わる問題に発展する可能性がある。
法律は企業に対し、ハラスメント対応に関する措置を義務付けており、その対象は、セクハラやパワハラから、カスタマーハラスメント(カスハラ)などへと拡大していっている。
一方で法令は、ハラスメント対応の枠組みを定めるにとどまり、実際にどのように対応するかは、各企業の創意工夫に委ねられている。
ハラスメントのない職場を実現するためには、企業による事前・事後の対応が重要だ。事前対応では、関連する社内規定の整備、教育研修を通じた従業員の啓発、相談窓口を適切に機能させるための体制整備や周知などが求められる。
事後対応では、問題が起きても小さなうちに解決することが重要だ。相談、調査、事実認定、対応、再発防止という流れを理解し、職場環境の改善・回復と被害者の保護を図ることが求められる。
■ 中井氏
近年の育児・介護休業法の改正では、会社と対象となる従業員とのコミュニケーションの活性化の促進や、育児休業の取得状況の対外公表などが盛り込まれている。
この背景には、育児・介護の状況は従業員によって異なるなか、従業員個別の事情に応じた柔軟な制度の利用を促すことや、制度の利用をちゅうちょさせる雰囲気を払拭する狙いがあると考えられる。
育児・介護と仕事を両立できる環境は、企業が求職者や投資家から選ばれるうえでも重要性を増している。
育児・介護休業法に基づく制度の利用を促進するためには、その妨げとなる要因を特定し、解消する施策を検討する必要がある。
例えば、制度利用者の休業中の経済的不安、復職後の処遇への不安、周囲に迷惑をかけることへの気兼ねなどが要因として挙げられる。
これらを解消するためには、他の従業員との公平性に留意したうえで、企業独自の取り組みを充実させることや、職場全体の理解促進などに取り組むことが考えられる。
休業から復職する際の処遇などを巡るトラブルも生じやすい。企業は従業員と十分なコミュニケーションを取り、復職後の処遇を慎重に検討する必要がある。
【労働法制本部】
