ウォン首相表敬
ABSの模様
経団連(筒井義信会長)は7月30日、シンガポールで、第15回アジア・ビジネス・サミット(ABS)をシンガポール経団連と共催した。
ABSは、経団連の提唱により2010年に発足した対話の枠組みだ。アジアの主要国・地域の経済界代表が共通課題を議論し、その成果を共同声明として取りまとめている。
今回は、アジアの11の国・地域から11の経済団体が参加した。経団連からは、筒井会長、佐藤恒治副会長、原典之審議員会副議長、久保田政一副会長が出席した。概要は次のとおり。
■ シンガポール首相表敬
ABSに先立ち、各経済団体の代表者はローレンス・ウォン首相を表敬訪問した。
ウォン首相は、アジアの持続的成長には、地域経済統合の推進、AIなどデジタル技術の活用、炭素排出量の削減が不可欠との認識を示した。
参加者を代表して筒井会長は、ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序を支えるため、世界貿易機関(WTO)改革の推進、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定などの自由貿易協定(FTA)ネットワークの拡大と深化が必要だと述べた。
エネルギーや関連製品のサプライチェーン強靭化に向け、アジア・エネルギー・資源供給力強靭化パートナーシップ(パワー・アジア)やアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)を通じた域内連携の意義も強調した。
■ 各セッションの議論
開会に当たり筒井会長は、国際情勢の不確実性が高まるなかでアジアの持続的な成長を実現するには、(1)国際経済秩序の維持・強化に向けた経済界自らの行動(2)デジタル技術の急速な進展がもたらす課題に対するアジアの連携(3)エネルギー安全保障、経済成長、脱炭素化の同時実現――が重要だと訴えた。
第1セッションでは、各国・地域の経済情勢やアジア経済の今後の見通しについて報告があった。アジアの競争力向上には、地域の連結性強化、人材育成や人材交流の活発化、デジタル経済の促進、AIの活用が不可欠との見解が示された。
第2セッションでは、貿易投資をテーマに議論した。経済連携協定(EPA)やFTAの推進に加え、連結性を高めるための具体策として、サプライチェーンの強靭化、インフラ投資、次世代リーダー育成の促進などが挙げられた。
第3セッションでは、AIを中心とするデジタル技術の利活用とガバナンスについて討議した。アジアの生産性の向上と新たな価値創造に向け、AIエコシステムの構築、越境データ流通の円滑化、サイバーセキュリティの確保を巡り、活発な意見交換が行われた。
第4セッションでは、グリーン成長やエネルギー転換について議論した。アジア各国・地域の事情を踏まえた多様な道筋によるグリーントランジションを進めるうえで、技術・政策両面での協力が重要との認識を共有した。
資源確保の観点から、サーキュラーエコノミー(CE)の実現を支える制度整備の必要性も指摘された。
一連の議論を踏まえ、アジアの経済界は、(1)サプライチェーンの強靭化・安定化(2)国際経済秩序の維持・強化(3)AIの活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じたイノベーションの創出(4)グリーントランスフォーメーション(GX)推進における協力の一層の深化――を進めることで一致し、共同声明を採択した。
次回ABSはマレーシアで開催される予定。
【国際協力本部】
