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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年9月3日 No.3742 医療崩壊の経済学 -現代日本医療制度の再検討/社会保障委員会医療・介護改革部会

高久氏

経団連は7月30日、東京・大手町の経団連会館で、社会保障委員会医療・介護改革部会(横本美津子部会長)を開催した。一橋大学経済学研究科の高久玲音教授が「医療崩壊の経済学~現代日本医療制度の再検討」と題して講演し、意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ 医療提供体制

日本の医療提供体制には、医療資源の分散配置、無秩序な救急医療体制といった特徴があり、2000年代以降繰り返し危機に陥ってきた。

00年代半ばには、救急車での患者のたらい回しが問題となり、「医療崩壊」という言葉が使われるようになった。その後、コロナ禍では、診療所や病院のあり方が課題となった。

こうした状況を踏まえると、次のような改革が必要になる。

日本の急性期病院は分散しており、1病院当たりの症例数が少ない傾向にある。一方で諸外国では、症例数が多いほど医療の質が上がることが示されている。

病院の経営難や人口減少の観点だけでなく、医療の質向上の観点からも、これまでタブー視されてきた集約化を進めていくべきだ。

急性期入院で導入されている1日当たりの包括払い(DPC)も見直すべきだ。DPCは、入院日数に応じて報酬が支払われる方式のため、病院が入院日数を短縮するインセンティブがない。その影響もあり、日本の急性期の平均在院日数は、他のOECD諸国の約2倍になっている。

対応策として、少なくとも「急性期拠点機能」を担う病院について1入院当たりの包括払い(DRG)を導入すべきだ。DRGの導入は、平均在院日数を短縮し、患者数を増やすインセンティブとなるため、症例数が増加し、医療の質向上にもつながる。

救急医療も見直しの余地が大きい。救急搬送の応需率(搬送先が一度で決まる割合)には、大きな地域差がある。救急医療が集約化されている地域では、年間7千~8千件の救急車を断らずに受け入れている病院があり、応需率が高くなっている。

集約化されている地域は、そうでない地域と比べて救急搬送時間が短く、コロナ禍でその差はさらに広がった。そうした地域では、コロナ禍でも救急搬送困難事例がほぼゼロで、医療崩壊が起きなかった。DRG導入など診療報酬制度を改革し、救急医療の集約化を進めていく必要がある。

プライマリ・ケアでは、開業の形態を見直すことも必要だ。日本の診療所は、医師1人の開業が多い。しかし、診療の機能強化のためには、医師間の知識共有などもしやすいグループ診療を進めていくべきだ。

■ 医療保険制度

保険者が分立している医療保険制度の見直しも必要だ。大企業が多い組合健保の平均的な保険料率は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の料率より1%ほど低い。

負担を均てん化する観点からは、協会けんぽの水準に合わせるべきだ。それにより1兆円程度の保険料収入が確保できる。最終的には、都道府県単位での保険者の再編も検討すべきだ。

【経済政策本部】

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