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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年9月17日 No.3744 香港の現状について聴く -国家安全維持法施行から6年/日本・香港経済委員会

野嶋氏

経団連は7月29日、東京・大手町の経団連会館で日本・香港経済委員会(橋本剛委員長)を開催した。大東文化大学社会学部の野嶋剛教授から、香港情勢について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 中国本土との連動性

2020年の国家安全維持法施行から6年が経過した香港を巡っては、国際金融都市としての機能回復を評価する見方がある一方、政治・言論面での統制強化を指摘する見方が併存している。

香港経済は、厳しい状況にあった22年から持ち直し、経済成長率は3%前後で推移している。観光客数も、大規模デモや国家安全維持法の施行、コロナ禍によって大きく減少した後、回復傾向にある。

一方、不動産市場では、住宅の供給過多を背景に、住宅価格が下落しているほか、オフィスの空室率も高止まりしており、厳しい状況が続いている。

一時はホワイトカラー人材の流出が問題となったが、政府の人材誘致策などにより中国本土から移住した「新香港人」が増加し、人口は回復した。これに伴い、従来の英国統治の影響を受けたコスモポリタン的な国際性を特徴としてきた香港社会の性格も徐々に変化している。

国家安全維持法の導入以降、政治やメディアでは「香港の中国化」が指摘される一方、経済面では一定の自律性が維持されている。それでも着実に対中依存度は高まっており、中国経済の変動が直接波及する「中国連動型都市経済」へと移行しつつある。

国家安全維持法は、国家分裂、国家政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託を犯罪と規定し、民主派勢力の取り締まりに適用されてきた。

近年は、民主派勢力の弱体化に伴い、適用例が減少傾向にある。施行から6年を経て、同法の適用範囲や運用の傾向も次第に明確になっている。企業としては、こうした動向を正しく把握することで、リスク管理につなげることが肝要だ。

■ 二制度のマダラ模様

香港では、国家安全に関わる事案を中心に、法が権力に優先する「法の支配」から、法によって統治を正当化する「法による支配」への部分的な転換がみられる。

他方、民商事・一般司法分野では、依然として高い信頼性と予見可能性が維持されており、香港は仲裁・紛争解決の重要な拠点であり続けている。

メディア・言論への統制が強まる一方、インターネットへのアクセスや自由な経済活動は維持されている。

このように、中国型の統制が及ぶ領域と従来の香港型の制度が維持される領域が併存する現在の香港は、「二制度のマダラ模様」が形成されている状態だと捉えることができる。

こうしたなかで香港は、その国際金融機能と中国本土の巨大な経済規模を背景に、中国市場への窓口としての役割を強めている。一方、中国経済の減速や政策変更、米中関係の緊張などの影響を受けやすくなっている。

いずれにせよ、通常のビジネス活動に対する国家安全上のリスクは現時点では限定的とみられるが、地政学的な事案などを契機に、企業が予期せぬ問題に直面する可能性には留意が必要だ。企業には、こうしたリスクと機会の双方を見極めながら、香港と向き合うことが求められる。

【国際協力本部】

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