皆川氏
経団連のむつ小川原開発推進委員会(泉澤清次委員長)は8月5日、東京・大手町の経団連会館で2026年度総会を開催した。むつ小川原開発地区(青森県六ケ所村)の開発の最新の状況と、同委員会の25年度活動報告・収支決算および26年度活動計画・収支予算が報告された。
報告に先立ち、資源エネルギー庁電力・ガス事業部の皆川重治原子力立地・核燃料サイクル産業課長から、核燃料サイクル政策について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ エネルギーを巡る現状
日本はエネルギー自給率が低く、火力発電への依存度も依然として高い。中東情勢の緊迫化などによりエネルギー安全保障上のリスクが高まるなか、AIの普及などを背景として電力需要は増加に転じる見通しだ。脱炭素化と安定供給の両立が一層重要な課題となっている。
こうした状況を踏まえ、25年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、エネルギー安全保障と脱炭素化の観点から、再生可能エネルギーと原子力の双方を最大限活用する方針が打ち出された。
原子力発電所の再稼働は着実に進展しており、26年4月には東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機が営業運転を開始した。
同年7月の原子力関係閣僚会議では、40年代までに2~5基、50年代までに11~14基の原子炉の建て替えが必要との見通しが示された。こうした見通しに基づき、サプライチェーンや人材など産業基盤の維持・強化が求められる。
■ バックエンド対策
原子力の持続的な利用には、再稼働や建て替えといったフロントエンドの取り組みだけでなく、核燃料サイクルや高レベル放射性廃棄物の最終処分といったバックエンドプロセスも不可欠だ。
核燃料サイクルとは、原子力発電の使用済み燃料のなかから、燃料として再利用可能なウランやプルトニウムを取り出し、混合酸化物(MOX)燃料に加工して、もう一度発電に利用する取り組みだ。
核燃料サイクルは、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減と資源の有効利用に資する。資源に乏しく、ウランも全量を輸入に依存する日本にとって、核燃料サイクルはエネルギー安全保障の観点からも重要な政策だ。
その中核を担うのが、青森県六ケ所村の再処理工場とMOX燃料工場だ。
再処理工場は1993年の着工以来、技術的課題への対処や福島第一原子力発電所事故後の新規制基準への対応により、長期間にわたり建設中の状態が続いていた。2026年6月には技術的な審査説明を終了した。
今後は、設備が基準に適合しているかを検査する。現場の設備を動かして、信頼性を高める取り組みとして確認運転を行い、万全を期して竣工させたい。
高レベル放射性廃棄物の最終処分も、核燃料サイクルと並ぶ重要課題だ。現在、文献調査が進められているのは、北海道寿都町および神恵内村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村(南鳥島)の4地点だ(注)。
原子力発電の立地地域からは、電力消費地にもバックエンド問題の重要性への理解を求める声が上がっている。これを踏まえ、26年1月には経済産業大臣が全国の都道府県知事に対し、理解と協力を呼びかける文書を発出した。
(注)会合後の8月31日、国は茨城県常陸大宮市に文献調査の実施を申し入れた
【環境エネルギー本部】
