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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年10月15日 No.3747 経済政策の方向性 -ニッセイ基礎研から聴く/経済財政委員会企画部会

斎藤氏

経団連は9月10日、東京・大手町の経団連会館で経済財政委員会企画部会(安地和之部会長)を開催した。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済研究部経済調査部長から「現状のマクロ経済環境と成長率引き上げに向けた付加価値分配のあり方」と題する説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 日本経済の現状と展望

2025年度は関税率の引き上げ、26年度は中東情勢の緊迫化といった懸念材料があったが、現時点では当初の想定ほど景気への悪影響は大きくない。

企業部門では経常利益が4四半期連続で過去最高水準を更新しており、非常に好調だ。設備投資も、AI関連投資や人手不足対応の省力化投資などの案件が豊富であり、堅調だ。

実質GDP成長率は26年度0.8%増、27年度は食料品の消費税率引き下げを背景とした押し上げを含め1.3%増程度と見込んでいる。

■ 長期低迷の要因の誤解

日本経済は長きにわたって低成長が続いており、人口減少がその主因としてよく挙げられる。もちろん実質GDP成長率低下の一因であることは否定できないが、その寄与度は年率0.5%ポイント減程度と限定的であり、むしろ1人当たり実質GDP成長率の伸び悩みが背景にある。

この1人当たり実質GDP成長率の低迷について、「潜在成長率の低さが主因」との見解にも懐疑的だ。

潜在成長率は、概念的には景気循環に左右されないはずだが、推計方法に技術的な限界があり、現実の経済成長率の変動の影響を強く受けている。実際、日本銀行の潜在成長率の推計値は、現実のGDP成長率が上(下)振れると、過去にさかのぼって上方(下方)に改定される傾向が見られる。

一般的には潜在成長率は現実の成長率の限界とされるが、実際には現実の成長率の低迷が潜在成長率を押し下げている面もある。したがって、逆に現実の成長率を高めることで、潜在成長率も高まると考えている。

■ 家計への分配の重要性

成長力の向上には、家計消費の拡大が最も有効だろう。昨今、政府の成長戦略において、官民連携による設備投資の目標が打ち出されているが、そもそも企業は売り上げ・収益の拡大のために設備投資を行うものだ。家計が消費してこそ、その目的が達成されるという点に着目すべきと考えている。

しかし、日本の家計消費は、設備投資と比べてほとんど伸びていない。この背景には、実質可処分所得が伸び悩んでいることが挙げられる。

特にインフレが進む昨今では、ブラケットクリープ現象(注)による政府への過度な所得移転が深刻な問題となっている。

持続的な成長を実現するためには、家計への分配を厚くし、実質可処分所得を恒常的に増やしていくことが重要だ。所得の増加が消費を押し上げ、国内需要の拡大につながれば、企業にとって国内投資の魅力が高まり、設備投資も促される。この好循環を形成することが、日本経済の成長率引き上げのカギとなる。

(注)累進課税のもとで、名目所得が増加することにより、より高い所得税率が適用され、実質可処分所得が目減りする現象

【経済政策本部】

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