鈴木氏
経団連の企業行動・SDGs委員会企画部会(岸田博子部会長)とダイバーシティ推進委員会企画部会(鍋嶋美佳部会長)は9月15日、東京・大手町の経団連会館で「ビヨンドSDGsを見据えた日本企業のウェルビーイングに関する検討合同部会」の第2回会合を開催した。
ウェルビーイング学会の鈴木寛副代表理事が「ウェルビーイング社会の実現に向けた企業の役割」をテーマに講演した。ウェルビーイングに関する国際的な議論の動向、その意義や特徴、日本の強みを世界に発信する必要性などを聴いた後、意見交換した。講演の概要は次のとおり。
■ 豊かさを測る
国内総生産(GDP)は経済の状況を示す重要な指標だが、人々が実感する豊かさの全てを捉えることはできない。この観点から、主観的なウェルビーイングを示す国内総充実(GDW)の継続的な計測も行われている。
地域別のデータからは、経済指標とウェルビーイングが必ずしも一致しないことも見えてくる。豊かさを考えるには、経済資本に加え、人的資本、自然資本、社会関係資本を含む四つの資本を総合的に捉える視点が重要だ。
■ 日本に見る特徴
世界では、人生の自由度、社会的な支え、1人当たりGDP、寛容さ、健康寿命などとウェルビーイングとの間に強い相関があるとされる。一方、日本では、とりわけ人生の自由度、健康、家計満足度との相関が強い。
なかでも重要なのが人生の自由度だ。自らの意思で生き方や働き方を選び、必要に応じて学び直し、新たな道に進める。こうした「人生を選択できる」状態を広げることが、ウェルビーイングの向上につながる。
■ 選べる力を育む
ファイナンシャル・ウェルビーイングは、所得や資産の多寡だけでは決まらない。同じ所得でも、金融リテラシーによって生活満足度に差が生じる。金融経済を学び、家計を把握し、将来を設計するためのリテラシーとマネジメント力が重要となる。
こうしたリテラシーやマネジメント力を身に付けることは、自らが望む人生を選択する「ケイパビリティ」の発揮につながる。
人生の自由度を実質的に高めるには、経済的安心、健康、社会的支援という三つの要因が重要だ。
■ 日本の強みを世界へ
ビヨンドGDPでは、経済だけでなく、人や社会、自然を含めて豊かさを捉える視点が重要となる。包括的富指標(IWI)は、経済資本、人的資本、自然資本などから国の豊かさを捉えるもので、日本は各資本のバランスに強みを持つ。
2027年からビヨンドSDGsを巡る国際的な議論が本格化し、28年には経済協力開発機構(OECD)のウェルビーイング世界フォーラムが日本で開催される。日本がG7議長国となる30年を視野に、こうした機会を捉え、日本の強みや企業の実践を世界へ発信していくことが期待される。
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講演後、人生の選択の自由度と教育の関係や、社会的なつながりがウェルビーイングに果たす役割などについて、活発な意見交換が行われた。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】
