高宮氏
経団連は2026年5月に提言「Society5.0時代のヘルスケアⅤ」を公表した。医療等データを包括的に利活用し、国民に価値を還元する仕組み「ヘルスケア・データスペース」の構築と、そのための法制度の整備を求め、その実現を働きかけてきた。
こうしたなか、内閣府の「医療等情報の利活用の推進に関する検討会」は、9月11日に「とりまとめ(案)」を示した。
これを踏まえ経団連は9月16日、東京・大手町の経団連会館でイノベーション委員会ヘルステック戦略検討会を開催した。内閣府健康・医療戦略推進事務局の高宮裕介参事官から、検討状況と今後の見通しについて、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 目的・基本理念
とりまとめ(案)は、患者の権利と利益を守りつつ、診療等のためのデータ活用(1次利用)と、そのデータを研究開発や医療政策等に生かす活用(2次利用)を一体的に進め、成果を国民・患者に還元することを目指す。2次利用では、目的に照らして必要最小限の情報を用いる。
■ 対象情報・収集方法
研究開発や政策に役立つデータを幅広く対象とし、所得や就労など健康に影響を及ぼす情報も含める。個人を特定できる可能性があるため、これまで加工が必要だったゲノム情報や画像情報も、安全な環境での利用に限り、加工せずに利用できるようにする。
データの収集に当たっては、研究開発を担う大規模病院に対し、国の認定を受けた事業者(認定事業者)へのデータ提供を義務付ける。一方、国による支援や適切な利用料の確保など、提供側へのインセンティブも設ける。
■ 患者の識別子
異なるデータベースに分散する同一人物の情報を結び付けるには、個人ごとの共通番号となる共通の「識別子」が必要となる。
検討会ではマイナンバーの活用も議論されたが、まずは医療保険の加入者ごとに割り振られた「被保険者番号」を識別子として用いる。連結に支障が生じた場合には、あらためてそのあり方を検討する。
■ 本人の関与
データ収集時に本人同意を求める「入口規制」から、利活用時に適切性を審査する「出口規制」へと重点を移す。
国・公的機関へのデータ提供は、現行どおり本人の同意を不要とする。認定事業者への提供には、本人の申し出により提供を停止できる「オプトアウト」方式を採用する。オプトアウトに関する事前の個別通知は不要とし、停止の申し出は国・公的機関が一元的に管理する。
■ 利用手続き・安全管理
利用申請の受け付けや審査を一元化し、データは安全な解析環境で利用する。利用者には個人の特定を禁じ、差別的な利用や広告目的の利用も認めない。分析によって本人の健康に関わる重大な知見が得られた場合は、医療機関を通じて本人に伝えられるようにする。
■ 国民・患者の理解
患者団体や医療従事者、産業界、研究者などで構成する会議体を設けるとともに、データの利活用実績や成果を公表し、透明性を高める。
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今後は9月中の取りまとめを経て、27年の通常国会への法案提出に向けて、関係方面との調整を進める。
【産業技術本部】
