林氏
経団連は9月29日、東京・大手町の経団連会館で、金融・資本市場委員会資本市場部会インパクト投融資ワーキンググループ(宮田千夏子座長)を開催した。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がニッセイアセットマネジメントに委託した「インパクト投資に関する調査研究」の報告書が6月に公表された。
報告書を執筆したニッセイアセットマネジメントの林寿和サステナブル投資推進部担当部長を招き、報告書のポイントなどについて説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 投資家の意図
投資家がインパクト創出に取り組む意図には、社会・環境へのインパクト創出自体を目標とする「目的的」なものと、投資リターンを得るための手段としてインパクト創出を目指す「手段的」なものがある。
後者には、巨大な資産を幅広い市場に投資するユニバーサルオーナーが、その資産の価値を維持し、高めるために、システミックリスクの要因となる気候変動などの課題を解決しようとする考え方も含まれる。
■ インパクトファンド
調査の対象とした海外のインパクトファンドは、いずれも投資リターンとインパクトの双方を追求していた。
ポジティブなインパクト創出に関して、ファンド全体としての定量的な目標の設定は確認できなかったが、個々の投資先ごとに定量的な目標を設定している事例は確認された。目指すインパクトが多岐にわたるファンドでは、ファンド全体のインパクトを共通の指標で測定することが難しいためと考えられる。
■ 年金基金
調査の対象とした海外の年金基金は、(1)インパクト投資を明確に掲げる基金(2)運用資産全体にインパクトの考慮を組み入れる基金(3)インパクト投資を明確には掲げず「ソリューションへの投資」として推進する基金――に大別できる。
これらの基金は、気候変動のほか、自然・生物多様性や地域への貢献も投資対象領域としている。投資に取り組む理由も、新たな収益機会の獲得から、受益者が住みよい地域の整備まで幅広い。ただし、概ね共通するのは、インパクトを追求するうえで投資のリスク・リターンを妥協しない姿勢だ。
英国では、2026年4~6月の地方公務員年金制度改革で「地域に根差したインパクト投資」という概念が導入され、86の地域別年金基金に地域投資が義務付けられた。各基金は、対象地域や目指すインパクトを投資戦略方針に明記し、その効果を毎年報告することが求められている。
日本でも地域政策の観点からインパクト投資の推進は重要だ。英国での実践例が参考になるだろう。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】
