経団連と経団連自然保護協議会(西澤敬二会長)は、経団連企業会員を対象に実施した「企業の生物多様性への取り組みに関するアンケート(2025年度調査)」の結果を取りまとめ、10月13日に公表した。
生物多様性条約の愛知目標が10年に採択されて以降、毎年度アンケートを実施(20年度、21年度は未実施)している。
23年度からは、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)や自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)などの国際動向などにも照らして実施し、わが国経済界の取り組み状況や課題などの分析に役立てている。
25年度の調査は26年の3~5月に実施し、332社から回答を得た。調査結果の要点は次のとおり。
■ 推進体制と情報開示
生物多様性の社内推進体制では、社内専門委員会などで報告・決定を行う企業が68%、担当役員を配置している企業が63%と過半数になっている。取締役会での報告・決定を行う企業は41%と、19年度の11%から着実な増加傾向にある。
生物多様性に関する情報開示を行う企業は83%で、その多くはウェブサイト、統合報告書、サステナビリティ報告書などの任意の媒体によるものだ。有価証券報告書等の法定の報告書に記載している企業は24%にとどまるが、22年度の6%から着実に増加している。情報開示に際して参照・対応している枠組みはTNFDが75%となり、CDPの73%を超えて初めて最多となった。
■ GBFへの貢献拡大
GBFの少なくとも一つのターゲットに関連する取り組みを行う企業は88%となり、過去4年間で増加した。
取り組みが多い分野は、気候変動対策、ビジネスの影響評価・開示、自然の恵みの回復・維持・増大、30by30の保護地域および保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)など。産業部門によって重点に違いが見られた。
■ TNFDへの対応状況
TNFDでは、企業が自然関連財務情報の開示を進めるためのステップが、LEAPアプローチ(自然関連のリスクと機会を評価するためのプロセス)として示されている(図表参照)。
(図表のクリックで拡大表示)
現在、初期段階の「Locate」(自然への影響・依存が大きい場所などの特定)を実施する企業が60%で最多だったが、その次の段階の「Evaluate」(依存・影響の評価)が59%と肩を並べつつある。「Assess」(リスク・機会の評価)、「Prepare」(準備・対応)の段階まで進んでいるのは約半数だが、いずれの段階の取り組みも22年度調査の結果と比べ、着実かつ大きな伸びを示している。
■ 課題解決へ対応が深化
生物多様性に関する取り組みの理由としては「国際・国内の規範や社会的関心への対応」が79%で最多となり、「リスク削減」61%、「経営理念上または経営層が重視」57%と続いた。一方、課題としては「指標、目標の設定や計測」が56%、「サプライチェーンが複雑」が48%、「知識、人員、時間や予算の不足」が46%との結果となった。
気候変動と生物多様性を関連付けて取り組んでいるかを問う設問では、「気候変動に比べ生物多様性への対応が進んでいない、優先順位が低い」とする企業が39%に上った。
一方、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)とTNFDの関連付けに取り組んでいる企業は33%、シナジーのある取り組みを実践している企業は28%だった。
【教育・自然保護本部】
