後藤氏
経団連の資源・エネルギー対策委員会企画部会(外野雅彦部会長)は9月25日、東京・大手町の経団連会館で、関連の委員会・部会と共に「エネルギー需給構造強靭化に関する合同会合」を開催した。
資源エネルギー庁の後藤靖博戦略企画室長から、政府が8月26日に取りまとめた「エネルギー需給構造の強靭化総合パッケージ(パワーGX)」の概要や、年末に取りまとめる予定の「パワーGX戦略」策定の方向性などを聴いた。概要は次のとおり。
■ パワーGXの基本方針
これまでのグリーントランスフォーメーション(GX)は、供給面では脱炭素電源や代替燃料の導入などが中心だった。他方、今回のホルムズ危機により、化石燃料の調達多角化を含め、供給リスクを低減することの必要性があらためて浮き彫りとなった。
アジア地域全体で、GXを進めるとともに化石燃料の供給リスク低減を図ることが重要だ。
足元では、AIの活用拡大などを背景に、電力需要が増加している。わが国が投資先として選ばれ、産業競争力を強化していくためには、安定的な電力供給が欠かせない。
世界的にも脱炭素分野への投資は形を変えながら継続しており、日本もGXの取り組みを着実に進めていく必要がある。
こうした状況下でまとめたパワーGXは、(1)化石燃料の供給リスク低減(2)GXの加速(3)アジア・グローバルの協力――を一体的に推進するものだ。GXをパワーアップし、エネルギー需給構造の強靭化を図る。
■ 供給リスク低減へ
化石燃料の調達多角化に向け、中東以外の地域から調達する際の輸送コスト差を平準化する仕組み、船舶輸送に必要な保険の確保、ホルムズ海峡を迂回する代替パイプラインへの支援などを検討している。
危機時のリスクを分散し、平時も含めて費用を広く平準化する仕組みが必要だ。
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によるリスクマネー供給の対象を、権益を保有しない関連設備にも拡大する制度改正も検討している。
国家石油備蓄のなかにナフサ分を確保する仕組みや、ナフサ分解設備などへの設備投資支援も検討している。最終製品まで国内で供給できる能力を維持することが重要だ。
■ GXの加速に向けて
原子力については、既設炉の再稼働に加え、リプレース・新設を進める必要がある。次世代革新炉への投資、サプライチェーンの強化や人材の育成、バックエンド対策を推進する。規制についても、安全確保を大前提としつつ、合理性や実効性の観点から運用を検証していく。
再生可能エネルギーについては、次世代太陽電池、次世代地熱発電、洋上風力発電の導入拡大に向け、国内サプライチェーンの構築や技術の社会実装を支援する。
必要な火力発電の供給力確保、水素・アンモニアの大規模サプライチェーン構築、フュージョンエネルギー(核融合)などの成長分野への投資も進める。
■ パワーアジアの推進
アジア各国のエネルギー供給体制を支え、アジア全体のサプライチェーンを維持する「パワーアジア」を進める。長年にわたり日本のエネルギー供給を支えてきた中東との関係を基礎として、アジアにおける共同備蓄や関連設備への投資、産油国の産業構造転換支援など、新たな協力へと発展させていく。
◇◇◇
これらの施策について、政府は2026年末までに、必要な予算措置や制度改正を含めて「パワーGX戦略」として取りまとめる方針だ。
【環境エネルギー本部】
