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Policy(提言・報告書) エネルギーを考える

エネルギーは「国民生活」と「事業活動」の基盤となる重要なインフラです。私たちの生活を支えている照明や空調、自動車や家電製品の動力として利用されるのはもちろん、こうした製品のサプライチェーン(調達、輸送、製造、販売)のあらゆる場面でもエネルギーが利用されています。

経団連は企業の立場から、国民生活の向上、企業の国際競争力の維持・強化を図っていくため、エネルギー政策のあるべき姿について考え、提言等を行い、その実現に向けて様々な働きかけを行っています。

経団連の基本的考え方

1.S+3Eの重要性

福島第一原子力発電所の事故を経験した日本においては、安全性(Safety)の確保が大前提になります。その上で、3E、すなわち安定供給(Energy security)、経済効率性(Economic efficiency)、環境性(Environment)をバランスさせていくことが、日本のエネルギー政策の基本です。3Eが1つでもおろそかにされると国民生活・事業活動に大きな影響が出ます。

(1)安定供給(Energy security)

日本はエネルギー資源に乏しく、そのほとんどを海外からの輸入に依存しています。そのため、必要なエネルギー資源を継続的に確保することは国家的な課題です。国際情勢の変化等により十分なエネルギー資源を確保できなくなれば、国民生活・事業活動が大混乱に陥る上、医療機器の停止等により人命に関わる場合もあります。

エネルギーの安定供給は資源外交や事業者による流通設備の維持、需給調整等、幾多の努力によって成り立っています。例えば、電力はその性質上発電量と消費量を常に一致させなければならないため、事業者は必要な発電量の確保はもちろん、時宜に応じた発電量の絞り込みといった難題に日々取り組んでいます(詳しくはこちら→「24時間休むことなく“電気の品質”を維持するために―電力の安定供給とは」)。毎日、不自由なくエネルギーが提供されることは決して当たり前のことではありません

■ 主要各国のエネルギー自給率(2017年度)

(資源エネルギー庁ウェブサイトより抜粋)

  • ※ 日本のエネルギー自給率は2010年度時点でも20.3%にとどまっていましたが、東日本大震災後の原子力発電所停止の影響で9.6%まで低下しています。
(2)経済効率性(Economic efficiency)

安価にエネルギーを使えなければ、国民の生活水準や企業の国際競争力の低下につながりかねません。特に、国際市場で価格が決定する原油などと異なり、電力等の二次エネルギー(注1)は政策によって大きな影響を受けます。日本の電気料金は家庭用・産業用ともに諸外国に比して高く、コスト低減に向けた取り組みが不可欠です。

■ 電気料金の国際比較(2018年度)

※ 価格は税額込み。 (エネルギー白書2020より作成)

日本の電気料金が割高な理由の1つとして再生可能エネルギーの導入を目的とした固定価格買取(FIT)制度(注2)の存在が挙げられます。この制度によって太陽光発電設備などの導入は大幅に進みましたが、その補助金分の上乗せ(賦課金)の影響で電気料金が上昇し家計・企業の負担となっています。再生可能エネルギーの導入促進はCO2排出を抑制する観点から非常に重要であるものの、国民負担の抑制と両立する形で進めていく必要があります。

■ 賦課金額の推移

  • ※ 電気料金単価に占める賦課金の割合は産業用で15%、家庭用で11%に達する(2018年度)。

注1)エネルギーには一次エネルギーと二次エネルギーがあります。一次エネルギーとは自然界に存在するそのままの形のエネルギーのことで化石燃料や再生可能エネルギーなどが挙げられます。二次エネルギーとは一次エネルギーを変換・加工したもので、電気や都市ガスなどが挙げられます。

注2)固定価格買取(FIT)制度=「再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用の一部を電気をご利用の皆様から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えていきます。この制度により、発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなり、より普及が進みます。」
 資源エネルギー庁ウェブサイトより
 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html

(3)環境性(Environment)

世界が持続可能な発展を遂げていく上で温暖化対策が重要であることは言うまでもありません。特に2015年にパリ協定が採択されて以降その重要性はより一層増しており、地球規模の温暖化対策に主体的に貢献していくことが求められています。

日本のCO2排出の大部分はエネルギー起源であり、エネルギー政策と温暖化対策は表裏一体の関係にあります。したがって、省エネの徹底や電源構成に占める非化石電源(再エネ・原子力)比率を上げていくなど、CO2の排出抑制に資するエネルギー政策を推進する必要があります。

■ 日本の温室効果ガス排出量の内訳 (2018年度)

(総合エネルギー統計、環境省「2018年度の温室効果ガス排出量について」より作成)

⇒温暖化問題に対する経団連の考え方はこちら

2.ベストミックスの追求

S+3Eを単独で満たすことのできるエネルギー源は現時点で存在しません。したがって、特定のエネルギー源に依存することなく、多様なエネルギー源をバランスよく組み合わせ、各々の特性を生かしていく必要があります。

■ 現状と2030年度エネルギーミックス

(長期需給見通し、総合エネルギー統計より作成)

■ 各電源の特性

石炭 天然ガス 石油 原子力 再エネ
  • ※ 建設費、燃料価格は2014年モデルプラント試算(発電コスト検証WG資料より)
  • ※ CO2排出量は、電力中央研究所(2016)「日本における発電技術のライフサイクルCO2排出量総合評価」より

トピックス「求められる電力システムについて」

現在、日本の電力は4つの危機に直面しています。国際的に地球温暖化問題への関心が高まる中、東日本大震災以降、(1)火力発電依存度は8割を超え、その打開策としての(2)再生可能エネルギーの拡大も、(3)安全性が確認された原子力発電所の再稼働も難しい状況です。電力自由化は、電気料金の抑制を目的の1つに掲げているものの(4)国際的にそん色ない電気料金水準の実現には至っていません。一方で、電気事業者は、投資回収の見通しを立てにくくなり、電力インフラへの投資を抑制しています。

また、世界の電力システムが3D、すなわち脱炭素化(Decarbonization)、分散化(Decentralization)、デジタル化(Digitalization)へと向かう中、日本としても、Society 5.0の実現を見据え、電力需給に関わる広範な分野における技術の開発・高度化・実装のための電力投資を確実に促進していくことが求められています。

『Society 5.0実現に向けたエネルギー・温暖化対策』

「月刊経団連」2019年8月号 特集)

「月刊経団連」連載記事(2017~2018年)

(全てPDF形式)

  1. わが国のエネルギー事情
  2. 電気料金はどう変わったか
  3. 24時間休むことなく“電気の品質”を維持するために
    ―電力の安定供給とは
  4. 発電方式の特徴と役割
  5. 原子力の安全確保のために
  6. 原子力発電所で使い終わった燃料はどうなるのか?
  7. 今後の電気事業について
    ―エネルギー政策を考えるうえでの視点

経団連の提言等

経団連の主な活動

(「経団連タイムス」掲載記事)