1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2018年9月27日 No.3378
  5. Circular Economy(CE)とデジタル変革がもたらす新しい欧州型ビジネスモデル

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年9月27日 No.3378 Circular Economy(CE)とデジタル変革がもたらす新しい欧州型ビジネスモデル -21世紀政策研究所 解説シリーズ/21世紀政策研究所研究委員(電力中央研究所上席マーケティング担当部長) 廣瀬弥生

廣瀬研究委員

■ デジタルプラットフォーム戦略

近年グローバル企業では、デジタル技術を活用したビジネスモデルを構築する動きが盛んである。その主役は、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)に代表されるIT企業だけではない。これまでITを使う立場であった産業機器や自動車メーカーから、金融機関等のサービス部門、インフラ部門に至るあらゆる分野において、IoT等で収集したさまざまなデータを中心に構成されるクラウドプラットフォームを構築し、そのうえでAIやアナリティクス等を活用したさまざまなソリューションサービスを展開するビジネスモデル構築をねらっている。各企業は、自社の強みを活かしてプラットフォーム戦略の主導権獲得をねらっている。

米国企業は戦略展開が非常に速く、スピード勝負といわれているデジタルビジネスにおいては優位性が高い。米国を中心に展開しているIndustrial Internet Consortiumは、スピード重視の「デファクト戦略」によるプラットフォームの代表例である。その動きに対抗して形成されたのが欧州中心のプラットフォームであるIndustrie 4.0であり、「デジュリ戦略」に基づく国際標準化を目指している。両陣営はどちらもデジタルプラットフォーム戦略における主導権獲得をねらっているが、最近は中国でも動きが活発であり、日本企業は国際的なプラットフォーム競争にどのように取り組み、ビジネスモデルを構築していくかが生き残りのカギを握っている。

■ デジタル戦略とCircular Economyの融合

CEとデジタル融合による欧州型ビジネスモデル

昨今欧州では、デジタルプラットフォーム戦略にCE政策を絡ませる動きがみられる。この動きはスピードで勝る米国型デファクト戦略とは異なる差別化要因となり得るため、注意が必要である。CE政策とデジタルプラットフォーム戦略の融合がもたらす新たな競争優位性の可能性として以下の3つが挙げられる(図表参照)。

1つ目は、CEへの取り組みを国際標準化と位置づけISO認定をリードし、認証ビジネスにおいて主導権を獲得する可能性である。今年6月にフランス規格協会(AFNOR)は、ISOにCEに関する新たな専門委員会設置を求める提案書を提出している。AFNORやいくつかの欧州企業は、数年前からEUやCEN―CENELEC(欧州標準化委員会)においてCE標準化によるビジネスの可能性について議論を続けており、今後もCEに関する国際的な議論をリードしていくものと思われる。

2つ目は、デジタルプラットフォーム上で展開される設備保守IoTビジネスおよびリペアビジネスにおいて、優位性を獲得する可能性である。昨今、各業界では、従来みられたハードウエア売り切り型では収益が上がりにくくなってきている。欧米企業の多くは設備保守IoTサービスをデジタルプラットフォーム戦略におけるキラーアプリケーションととらえ、新たな収益源として育てるべく強化している。CE政策は設備の長寿命化推進につながるため、政策が浸透するとリペアビジネス拡大のみならず、欧州の設備保守IoTサービス市場が米国より先に拡大する可能性がある。欧州中心に活動する企業にとっては、市場拡大は米国企業よりも先に多くの顧客を開拓することにつながり、さらに設備関連データも蓄積できると、設備保守IoTソリューションにおいて国際標準としての優位性確立が期待できる。

3つ目は、レトロフィット、リファービッシュビジネスにおける優位性である。設備関連データの蓄積は、両ビジネスのマーケティング等に活用することができるなど、競争優位性の確立につながる。欧州のいくつかのグローバル企業は、これらのサービスをトータルに展開しており、CEとデジタルを融合して社会をリードする明確な戦略ビジョンがあぶり出されている。

■ 日本企業は後追いでよいのか?

スピードの米国、CE政策と絡めた欧州は、おのおのの強みを活かして自らのビジネスの重要性をグローバルに発信しており、社会に新たな変化を起こすリーダーとしてのビジネスモデル確立をねらっている。これに対し近年日本企業は、優位性の高いプラットフォームに「参画する」動きにとどまっており後追い感がぬぐえない。単なる参画だけでは、ビジネスの主導権は獲得できず、高収益は期待できない。日本発プラットフォーム戦略の発信が待たれる。

【21世紀政策研究所】

「21世紀政策研究所 解説シリーズ」はこちら

「2018年9月27日 No.3378」一覧はこちら

「週刊 経団連タイムス」一覧はこちら