Society 5.0の実現と異種の知の融合
人生100年時代を迎えるなか、個人のライフデザインを支えるヘルスケアのあり方も変わる。Society 5.0が目指す社会は、人々がさまざまなニーズに合った質の高いサービスを受けられ、活き活きと快適に暮らすことができる「人中心の社会」である。
人生100年時代を迎えるなか、個人のライフデザインを支えるヘルスケアのあり方も変わる。Society 5.0が目指す社会は、人々がさまざまなニーズに合った質の高いサービスを受けられ、活き活きと快適に暮らすことができる「人中心の社会」である。
日本は、世界に先駆けて超高齢社会を迎え、医療介護費の増加、労働力不足など、さまざまな課題に直面している。その解決には、保健医療システムの改革に加え、ITやバイオテクノロジーといった先端技術を活用した、これまでの延長線上にない医療、ヘルスケアサービスを展開することが不可欠である。経団連では今般、そうした問題意識のもと、提言「Society 5.0時代のヘルスケア」を取りまとめた。
畑中好彦(経団連審議員会副議長、未来産業・技術委員長/アステラス製薬会長)
経団連の提言「Society 5.0時代のヘルスケア」では、AIやIoT、バイオテクノロジーなどの新しい技術を活用することで、健康寿命の延伸、医療費の適正化など、新しい価値を生み出すことができるとしている。これは、日本が自国の課題を解決することにとどまらず、国際社会が直面する社会的課題を解決し、国連のSDGs達成に貢献するものである。治癒から未病ケア・予防へとシフトするなか、製薬産業においても、従来にない視点でものごとをとらえ、新しい技術を活用して価値を生み出すべく、最近では、企業や業界の垣根を越えた協働を進めている。
高橋祥子(ジーンクエスト代表取締役/ユーグレナ執行役員)
当社は、個人向けに遺伝子情報を解析し、将来の遺伝的な疾患の発症リスクに関する情報を提供している。ユーザーは、この情報を基によりしっかりと予防を行うことができる一方、匿名化したデータを活用して、研究を加速することができる。ゲノムデータ解析のコストは、今後、無料に近いレベルにまで下がるだろう。それを前提とした議論を始めなければならない。課題山積といわれるが、私は未来への好奇心の方が強く、現状をポジティブにとらえている。ビジネスと研究のシナジーを生み出しながら、日本のヘルスケアのアップデートに貢献していきたい。
岡野原大輔(Preferred Networks副社長)
当社は、ヘルスケア、ライフサイエンス分野を1つの柱とし、AIとIoTの技術を活用して新しい価値を創出することを目指している。AIは技術的に未熟な部分があり、医師を代替することは考えられないが、強みと弱みを理解したうえで活用していけば大きな武器になる。他国と比較して、製品やサービス、医療行為が認可されるまで時間とコストがかかりすぎることが弱みとなっている。医療特区でAIを使った医療行為などが認められれば、データやノウハウの蓄積は加速する。日本ほどAIの受容にポジティブな国はなく、大きなチャンスと認識している。
宮田裕章(慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授/東京大学大学院医学系研究科医療品質評価学講座特任教授)
人口減少、高齢化、少子化、低成長と、日本が直面している課題は他の国が直面したことのないものであり、現状の延長のみで未来を見いだすことは困難である。課題の克服に向けては、新技術の活用を行うだけでなく、システムや社会そのものを変革する必要があり、そのビジョンを政府は「Society 5.0」として掲げている。医療・ヘルスケア分野においても、データポータビリティ、アクセス権など、グローバルスタンダードとなっている概念を取り込みながら、日本ならではのデータ活用とvalue sharingの基盤を整備していくことが重要だ。ピンチはチャンスである。Society 5.0へと社会が再構築されるなかで、新時代における社会保障やヘルスケアのあり方を提示し、世界をリードする可能性がある。それは日本の価値を高め、世界の安定と繁栄に貢献することにつながる。
根本勝則(司会:経団連専務理事)
【対談】
医療は「患者さんのより良い暮らし」のためにある
―神戸アイセンターと医療・ヘルスケアの未来
(PDF形式にて全文公開中)
髙橋政代(理化学研究所生命機能科学研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー)
小野寺 正(経団連未来産業・技術委員長/KDDI相談役)
昨年12月に開設された「神戸アイセンター」は、眼病に関する研究・治療から、リハビリ・社会復帰支援までトータルに対応する、いわば「目のワンストップセンター」である。設立に尽力されたのは、理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダーの髙橋政代氏。世界で初めてiPS細胞を使った臨床研究を行った、網膜の再生医療における第一人者だ。髙橋氏に同センターの施設を案内していただいた後、設立の経緯や目的、Society 5.0時代の医療のあり方、目指すべき社会について、お話を伺った。
厚生労働省のデータヘルス改革の全体像
鈴木康裕(厚生労働省医務技監)
AMEDのミッション:グローバルデータシェアリング
末松 誠(日本医療研究開発機構(AMED)理事長)
持続可能な医療に向けてAIが果たす役割と課題
後野和弘(オリンパスイノベーション推進室イノベーションマネージャー)
総合生活産業としての医療が社会変革をもたらす
―「八王子モデル」の挑戦
北原茂実(KNI理事長)
ヘルスケアアプリが拓く未来
秋田正倫(エムティーアイ執行役員ヘルスケア事業本部副事業本部長)
「がんゲノム情報+AI=プレシジョン医療」ががん医療を変える!
中村祐輔(がん研究会がんプレシジョン医療研究センター所長)
第21回日本ブラジル経済合同委員会を開催
~「経団連・ブラジル全国工業連盟共同報告書」を採択
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/062.html
飯島彰己(経団連副会長、日本ブラジル経済委員長/三井物産会長)
日越経済関係のさらなる拡大・深化に向けて、ベトナムミッションを派遣
―官民要人との懇談および「日越共同イニシアティブ」第7フェーズキックオフ会合を開催
中村邦晴(経団連審議員会副議長、日本ベトナム経済委員長/住友商事会長)
市川秀夫(経団連日本ベトナム経済委員長/昭和電工会長)
SDGビジネスフォーラムで「Society 5.0 for SDGs」を説明
―SDGsの推進に向け企業行動・CSR委員会訪米ミッションを派遣
二宮雅也(経団連企業行動・CSR委員長/損害保険ジャパン日本興亜会長)
持続可能な社会の実現に向けた企業の取り組み
―企業行動憲章に関するアンケート調査結果、イノベーション事例集、SDGs特設サイトを公表
三宅占二(経団連企業行動・CSR委員長/キリンホールディングス名誉相談役)
二宮雅也(経団連企業行動・CSR委員長/損害保険ジャパン日本興亜会長)
津賀一宏(経団連企業行動・CSR委員長/パナソニック社長)
2050年を見据えた第5次エネルギー基本計画
髙橋泰三(資源エネルギー庁長官)
経営者のひととき
普通であること
井上直美(常磐興産社長)
Essay「時の調べ」
描き続ける理由
光嶋裕介(建築家)