経団連は、G20大阪サミット(6月28~29日)に先立ち、B20東京サミット(3月14~15日)を開催し、G20議長である安倍晋三総理大臣に共同提言を建議した(3月21日号・28日号既報)。その後も、閣僚会合やOECD等との合同会議(6月13日号既報)等を通じて精力的に働きかけたところ、B20の要望が首脳宣言や閣僚声明等に概ね反映される結果となった。
こうしたなか、経団連のOECD諮問委員会(稲垣精二委員長)は7月30日、東京・大手町の経団連会館で2019年度総会を開催した。
2018年度事業報告・決算および19年度事業計画・予算に関する報告に先立ち、外務省の塚田玉樹経済局審議官ならびに経済産業省の渡辺哲也大臣官房審議官(通商政策局担当)から、G20大阪サミットの結果概要等について説明を聞くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。
■ 説明要旨
(1) 外務省・塚田審議官
G20大阪サミットでは安倍総理のリーダーシップのもと、各国間の相違点ではなく共通点を粘り強く探求、調整した結果、米国や中国等にも受け入れ可能な「大阪首脳宣言」を取りまとめることができた。
とりわけ世界経済および貿易・投資分野では、自由、公正、無差別、開かれた市場、公平な競争条件といった国際的な自由貿易体制を支える諸原則を確認するとともに、WTO(世界貿易機関)改革に政治的後押しを行うことができた。
このほか、地球規模課題については、途上国も含め、海洋プラスチックごみ問題に関する「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」に合意できたことは大きな成果である。
さらにデジタル経済について、信頼性を高めることで自由なデータ流通を実現するというData Free Flow with Trust(DFFT)の考え方を共有するとともに、サミットの機会にWTOでの電子商取引をはじめとするデジタル時代のルールづくりを進めるための「大阪トラック」の立ち上げを宣言した。今後同トラックをどう具体化していくかが重要だ。
(2) 経済産業省・渡辺審議官
目下、最大の課題である米中貿易摩擦の背景には、鉄鋼の過剰供給や市場歪曲的な産業補助金等の構造的な問題がある。また、急速に拡大するデジタル経済においては、機微に触れる個人情報や営業秘密の保護と利活用をいかに両立していくかが大きな課題となっている。加えて、越境データフロー制限、データ・ローカライゼーション要求、個人情報保護の規制等が各国で統一されていない状況にも対応していく必要がある。
既存のWTO等の多国間ルールがグローバル経済の現状に対応できていない実態を踏まえ、国際貿易ルールを強化するための取り組みが進んでいる。この点、例えばデジタル分野の新たなルールを議論する際など、OECDによる分析や比較研究が寄与する余地は大きいものと期待される。
■ 意見交換
経団連側参加者から、「大阪トラックでは、民間も参加できるマルチステークホルダー会議の実施を」との要望が寄せられた。これに対し、政府側からは、「デジタル分野ではとりわけ民間の経験・知見が不可欠。アジェンダ設定のための意見集約等を実施したい」旨回答があった。
【国際経済本部】