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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年7月29日 No.3509 経団連DXウェビナー~DX簡易組織診断からみる企業DX

経団連は7月13日、DX(デジタルトランスフォーメーション)をテーマにウェビナーを開催した。田辺雄史経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課長と佐藤優介慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特任助教の講演に続き、浦川伸一経団連DXタスクフォース座長、河野英太郎アイデミー取締役執行役員COO、平野未来シナモン社長CEOと佐藤氏がディスカッションを行った。概要は次のとおり。

■ DXを支えるデジタル人材の育成・確保(田辺氏)

新型コロナウイルスの感染拡大により社会が変容するなか、多様な分野でデジタル化への課題が浮き彫りとなった。DXの実現にはデジタル技術を駆使して新たな価値を生み出せる人材の育成・確保が重要であり、骨太方針2021においても「デジタル人材の育成」が成長を生み出す4つの原動力の1つに位置付けられている。そこで、デジタル人材の不足に対応するとともに、特に地域の企業・産業のDXを加速させ得るデジタル人材の育成・確保に取り組んでいる。具体的には、デジタルに関するさまざまな講座や実践の場を一覧できるようにし、企業や大学と人材のマッチングを行う「デジタル人材育成プラットフォーム」の構築を目指している。

■ 日本の大企業の実態~DX診断の分析結果より(佐藤氏)

アイデミーと慶應義塾大学は、経団連会員198社のアンケート回答結果をもとに、産業技術総合研究所(産総研)の人工知能技術を活用し、DX簡易組織診断を設計した(5月20日号既報)。その結果、「DX推進度」の高い企業は、「DXを推進する目的を社内で周知・共有している」「経営者のDX推進に対するコミットメントがある」「DX人材として活躍が期待できる社内人材を対象とした配置転換を行っている」という3つの特徴を持つことが判明した。DX簡易組織診断を行うことで自社の弱みがわかり、DX推進の取り組みに反映することができる。

<パネルディスカッション>

パネルディスカッションにおける各パネリストの発言のポイントは次のとおり。

浦川座長
すべての企業がDXリーディングカンパニーになるのは難しいので、まずは最低限DXフォローアーカンパニーを目指し、そこからステップアップすることが必要である。その要は人材であり、企業内の既存人材をDXフォローアーに変えていくことが肝要である。権限移譲を徹底するなど、カルチャーを改革しながらデジタル技術適用を進めなければトランスフォーメーションは進まない。
河野氏
先端技術があるにもかかわらず、経営者の理解不足で実装されないことが長年問題になっている。DX診断を行い、客観的なデータを示すことが必要である。経営者は日々課題に直面しているが、DXの基本的な考え方を理解することでさまざまな発想が生まれ、課題解決につながる。
平野氏
DXに必要なのはパーパスであり、企業が存在する理由を顧客視点に変えられるかがポイントとなる。いまあるデータを起点に考えるのではなく、パーパスを実現するために必要なアプローチを考え、そのための機能構築に必要なデータを獲得する、という流れで考える必要がある。「守りのDX(コスト削減や業務効率化など)」を進めデジタル筋力をつけることで「攻めのDX(成長戦略)」を実現できる。
佐藤氏
DX認定はブランディングや組織内部のコミットメントにつながる。認定取得のプロセスにも意義があり、認定という小さなハードルを超えていくことでステップアップできる。
危機意識の違いによりDXに対するコミットメントの差が生じる。未来から逆算し、現状とのギャップの大きさを認識することで危機意識が生まれ、DXの重要性を実感できる。未来志向でいることが必要である。

【産業技術本部】

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