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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年7月29日 No.3509 第121回経団連労働法フォーラム〈2〉 -報告Ⅰ「今後進展する働き方の変化に関するテレワーク、副業・兼業の法的留意点」/弁護士 山口毅氏(石嵜・山中総合法律事務所)

山口氏

経団連および経団連事業サービスは7月6、7の両日、経営法曹会議の協賛により「第121回経団連労働法フォーラム」をオンラインで開催した(7月22日号既報)。第2回の今号では、1日目のテーマ「今後進展する働き方の変化に関するテレワーク、副業・兼業の法的留意点」に関して、経営法曹会議所属の弁護士からの報告および参加者との討議等の模様を紹介する。

■ 副業・兼業の法的留意点

副業・兼業による就労が労働基準法上の労働者と評価されると、当該労働者が副業・兼業した時間は、本業の労働時間と通算管理しなければならない。他方、労働安全衛生法でも必要とされる労働時間把握に関しては、労基法のように副業・兼業先における労働時間の通算は求められていない。しかしながら、法令の適用にかかわらず、使用者が労働者から労務提供を受けても問題ない健康状態かを把握する観点から、通算することが望ましい。

また、厚生労働省のモデル就業規則は「許可制」から「届出制」に変更されたが、許可制自体を無効とする法令や裁判例はないため、許可制を維持することも可能である。ただし、届出制とした方が労働者に副業・兼業を推進している印象を与えることができると考えられる。

■ テレワーク規程作成の留意点

自宅で働くことを前提としていない労働契約において、使用者が長期間にわたり在宅勤務での就労を命じるためには、就業規則(テレワーク規程)等に基づく労働契約上の根拠が必要となる。労働者の個別同意までは必要ないが、労働条件を有効なかたちで変更することが求められる。

厚労省のモデル就業規則に「業務上の必要があるときは出社を命じることができる」との規定はない。しかし、出張の考え方と同様、在宅勤務日に会社の事業場あるいはその他業務遂行に必要な場所で業務をすることを会社は命じることができる。こうした命令権があることを自社の規程に記述しておくことがトラブル回避の観点で望ましい。

<質疑応答・討議>

質疑応答・討議では、参加者からの質問に各弁護士が回答した。

「在宅勤務に事業場外みなし労働時間制を適用してよいか」という論点に対して、複数の弁護士が、「情報通信機器が使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと」と「随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと」が要件となることを紹介しつつ、「労働時間の算定が物理的に困難な場合に用いるという事業場外みなし労働時間制の本来の趣旨に鑑みると、適用対象となるかは懐疑的にならざるを得ず、法的にはリスクがある」と懸念を示した。

また、「社内規程で、副業・兼業先で雇用されない副業・兼業しか認めないと記載することは可能かどうか」との質問に対して弁護士は、「可能だが法的な拘束力はない」との見解を述べた。

【労働法制本部】

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