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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年3月12日 No.3721 マリック次期駐日インド大使と懇談 -南アジア地域委員会

マリック次期大使

経団連は1月29日、東京・大手町の経団連会館で南アジア地域委員会(安永竜夫委員長、平野信行委員長、深澤祐二委員長)を開催した。ナグマ・モハメド・マリック次期駐日インド大使から、インドの経済情勢や日印協力の展望等について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 日印関係の基盤

日本とは「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」のもと、相互信頼と共通の価値観、人的交流に根差した関係を築いてきた。両国関係は日本企業が培ってきた絆にも裏打ちされており、2025年8月には経団連とインド工業連盟(CII)による「第12回日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム」が開催された。

両国の文明的つながりは幾世紀にも及び、仏教の伝来をはじめとする歴史的交流が日本の文化や思想に影響を与えてきた。こうした長年の交流を基盤として、未来志向の協力関係が発展している。

■ インド経済の成長と戦略

インド経済は、安定した政権運営と政策の一貫性、堅調な国内需要を背景に、規模と安定性を兼ね備えた成長を続けている。近く世界第3位の経済大国となる見通しだ。

モディ政権下では、公共インフラへの投資、包摂的成長、イノベーション促進、規制緩和の四本柱で改革が進められてきた。

産業構造を見ると、サービス産業が総付加価値の約56%を占める一方、製造業は約14%にとどまっている。このため、製造業の拡大が経済戦略の中核に位置付けられており、今後10年で製造業の比率を25%へ引き上げ、若く、技能ある人材を活用しながらサプライチェーンの強靭化を図る方針が示されている。

半導体や電子部品分野では、中央・州政府による財政支援や高度人材の育成が進められており、投資基盤の整備が加速している。

製造業を支える道路、鉄道、港湾、空港等のインフラの拡充が積極的に推進されており、インドは製造・物流のハブとしての競争力を着実に高めている。

こうした取り組みを通じ、国内サプライチェーンの構築と輸入依存の低減が図られている。

■ 経済安全保障を軸とする日印連携の展望

日本は製造業を中心に長年にわたりインドに投資してきた重要なパートナーだ。

インドはこれまで、日本企業向け工業団地の整備等を通じて事業環境の向上に努めてきた。近年は日本の中小企業でもインド市場への関心が高まっている。精密機械や部品等に強みを持つ中小企業は、インドの次段階の産業高度化に不可欠な存在であり、政府は適切なパートナーの確保や政策支援を強化していく。

こうした日本との連携は、経済安全保障の観点からも重要性を増している。経済安全保障は日印協力の中核的な柱の一つであり、再生可能エネルギー、電池、重要鉱物、先端製造、AIなど幅広い分野で連携の可能性が広がっている。

生産連動型優遇策(Production Linked Incentive, PLI)や太陽光発電装置に関する生産者と型式の承認リスト(Approved List of Models and Manufacturers, ALMM)等の制度は、特定国への過度の依存を回避するサプライチェーン構築を後押しする枠組みとして機能している。

インドは日本企業と共に製造拠点の拡大や技術の共同開発を進め、強靭なサプライチェーンを共同で構築していく用意がある。日本企業にとって、今こそインドとの協力関係を一層深化させる好機だ。

25年8月の日印首脳会談で打ち出された、今後10年間で10兆円規模の対印民間投資目標を具体的な成果につなげるため、日本産業界と緊密に連携していく。

【国際協力本部】

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