経団連は5月19日、「若年社員の活躍推進における五つの課題と対応策」と題する報告書を公表した。
この報告書は、雇用政策委員会(内田高史委員長、山下良則委員長)と同委員会の人事・労務部会(直木敬陽部会長)での1年半にわたる検討結果をまとめたもの。若年社員に関する課題を五つに整理したうえで、その対応策を13社の企業事例と共に提示している。報告書の概要は次のとおり。
■ 若年者の状況と変化
若年就業者数(35歳未満)は1997年の2154万人から減り続け、2025年は1731万人に減少、40年は1594万人と予測されている。
若年社員のキャリアの志向性では「プライベートを大事に生活したい」以外の項目では回答が二分される傾向にあり、就労観を一律に捉えることは適切ではない。
■ 活躍推進に当たっての五つの課題と対応策
(図表のクリックで拡大表示)
【課題1】リアリティ・ショックの発生
入社前のイメージ等と現実が異なった場合に生じる「リアリティ・ショック」は、早期離職につながる可能性がある。
対応策としては、企業の課題や負の側面を含めた、ありのままの情報を、より広い範囲で提供する「日本型リアリスティック・ジョブ・プレビュー」(RJP)が有効だ。
【課題2】成長機会・実感の減少
若年社員に対する成長機会と成長実感の減少への対応としては、OJTやOff-JT(注)、自己啓発支援を組み合わせた教育体系の整備、計画的な能力開発支援、個々人の経験と志向に合った成長機会の付与といった諸施策の再構築が求められる。
【課題3】キャリア形成・パスのイメージしづらさ
企業によるキャリア形成支援を実感している若年社員は3割程度にとどまるうえ、将来のキャリアや生活に不安を感じている20代の社員はおよそ8割に上る。
対策としては、キャリア形成面談の実施、社内公募制など若年社員が希望する職務へ挑戦できるキャリア形成支援システムを構築し、主体的なキャリア形成を支援することが有効だ。
【課題4】コミュニケーションに関する認識ギャップと質的変化
上司と部下のコミュニケーションの頻度は、部下を褒めたりたたえたりする機会に比べ、フィードバックや指導等の機会は少ない。加えて若年社員とその上司ともに4割近くが「仕事上以外の会話をする機会が少ない・不足」と回答している。
こうした状況への対応としては、上司からのフィードバック機会の創出(タテ)、若年社員主体の研修・企画・運営(ヨコ)、メンター制度による支援(ナナメ)など多方向によるコミュニケーションの活性化が考えられる。
【課題5】育成・マネジメントの行き詰まり
働き方改革の進展やコンプライアンス意識の高まり等に伴い、若年社員に対し、意図的な業務負荷や挑戦機会の付与に慎重な管理職が増加し、従来型の育成手法が継続しにくくなっている。
そこで効果的なフィードバック・スキルの取得に向けた評価者研修の実施や、若年職場リーダーの選任と権限委譲による負担軽減など、上司・管理職への支援・サポートが望まれる。
(注)通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(研修)
【労働政策本部】
