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2007年度事業報告

I.事業活動の概要


1.政策全般

(1) 基本方針等の作成

  1. 日本経団連の活動指針となる総会決議を取りまとめた(5月)。
  2. 年頭所感「成長創造」(2008年1月)を取りまとめた。

(2) 憲法改正問題等への対応

2010年度以降に実施される憲法改正において経済界の意見を反映できるよう、憲法改正を巡る動向の把握に努めた。

2.経済・法制関係

(1) 適切な経済政策運営の実現

  1. 提言「豊かな国民生活の実現に向けた経済政策のあり方」(6月)を取りまとめ、持続的な経済成長の実現と、社会保障制度等のセーフティネットの安定的維持の重要性を訴えた。
  2. 報告書「イノベーションの加速による成長促進について」(11月)を公表した。

(2) 税制抜本改革に向けた取組み

  1. 税制抜本改革に向けた国民的な議論を深めるため、21世紀経済研究所経済広報センターの協力をえて、シンポジウム「今後のわが国税制のあり方〜国際的な税制改革の潮流〜」(11月)の開催などを通じて、世論喚起に努めた。
  2. 「今後のわが国税制のあり方と平成20年度税制改正に関する提言」(9月)を取りまとめ、政府・与野党へ働きかけを行った結果、与党税制改正大綱では、研究開発促進税制の税額控除限度額の引き上げ、公益法人関係税制および寄附金税制等が実現した。

(3) 財政の持続可能性確保に向けた検討

  1. 提言「国・地方を通じた財政改革に向けて」(9月)を取りまとめ、債務残高対GDP比の安定的低下、道州制の導入を念頭とした税・財政制度の再設計等を訴えた。
  2. 今後の財政運営のあり方について、財務大臣ほか財務省幹部などと意見交換を行った。

(4) 安心で持続可能な社会保障制度の構築

社会保障制度改革の今後の方向性の基本的な考え方を中間的に整理した。また、基礎年金の税方式化について議論を深め、主な論点、課題等を整理した。

(5) 金融法制・資本市場関連法制の整備

金融法制・資本市場関連法制について、有識者との意見交換を行うとともに、種類株式の発行、株券電子化制度等に関する意見を取りまとめた。

(6) 国際競争力の基盤となる経済法規の実現

  1. 法制審議会に「『保険法の見直しに関する中間試案』に対するコメント」(9月)を提出した。
  2. 合併等対価の柔軟化(いわゆる三角合併)について、「合併等対価の柔軟化の施行に伴う『会社法施行規則の一部を改正する省令案』に関する意見」(4月)を取りまとめた。また、「外国為替及び外国貿易法に基づく対内直接投資規制に関する政省令告示改正案に対するコメント」(7月)を公表した。
  3. 審判廃止と審査手続きの適正化を求めるため、「独占禁止法の抜本改正に向けた提言−審査・不服申立ての国際的イコールフッティングの実現を−」(11月)を取りまとめた。
  4. 景品表示法ならびに特定商取引法への消費者団体訴訟制度の導入について、「『独占禁止法・景品表示法における団体訴訟制度の在り方について』に対するコメント」(8月)を取りまとめた。
  5. 会計基準のコンバージェンス(収斂)の加速に向け、国際会計基準に関する欧州調査団を派遣(2008年2月)するなど、国内外の関係方面へ積極的な働きかけや意見交換を行った。

3.行革・産業・国土関係

(1) 行政改革、規制改革の推進

  1. 提言「規制改革の意義と今後の重点分野・課題」(5月)を取りまとめた。また、会員からの要望をもとに、「2007年度日本経団連規制改革要望」(6月)を取りまとめた。
  2. 国家公務員法の改正にあたり、5月29日、衆議院内閣委員会において、日本経団連として意見陳述を行った。

(2) 道州制の導入

  1. 道州制のもとでの国と地方の役割分担や道州制の実現に向けて、「道州制の導入に向けた第2次提言−中間取りまとめ−」(2008年3月)を取りまとめた。
  2. 道州制導入の意義などに関する国民の理解を促進するため、9月に東京、11月に名古屋、2008年2月に大分において、シンポジウム「道州制で日本を変える」を開催した。

(3) 産業競争力の強化

  1. 地域経済再興や立地競争力の強化に向けた課題や望ましい施策について検討を行った。
  2. 「映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会」の運営に協力した。
  3. 政府の外国人研修・技能実習制度の見直しの動きに対応して、「外国人研修・技能実習制度の見直しに関する提言」を取りまとめた(9月)。

(4) 新産業・新事業の創出

  1. 新会社・新事業創出に向けた各社の企業発ベンチャーの取組みについて意見聴取を行った。
  2. ヘルスケア産業の振興・発展に向けた諸課題について、有識者や関係企業に意見聴取を行った。

(5) ICT基盤の利活用の促進

  1. 「世界最先端の電子行政実現に向けた提言」(4月)を取りまとめ、政府に対して、電子行政推進会議の設置、モデル地域の創設等の提案を行った。
  2. IP化などの技術革新により、通信と放送の融合が進む中、新たな通信・放送の制度的枠組みのあり方について、提言「通信・放送融合時代における新たな情報通信法制のあり方」(2008年2月)を取りまとめた。
  3. インターネット社会に関する諸課題を議論する国連主催の「第2回インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)」(2007年11月)に向け、提言「官民連携による健全なインターネット社会の発展に向けて」(9月)を取りまとめた。
  4. 提言「高度情報通信人材育成の加速化に向けて」(12月)を取りまとめた。

(6) 物流効率化の推進

  1. 貿易諸制度の抜本的な改革に向けて、政府・与党等に働きかけを行った。
  2. 運輸業界の燃料費高騰問題への対応を行った。

(7) 農業の構造改革の推進

農業構造改革の推進に向けて、政府・与党、農業団体、有識者との意見交換、交流を行った。

(8) 都市・地方の再生と活性化

  1. PFI関係法制度の見直しを求めて、提言「PFIの拡大に向け抜本的な改革を求める」(12月)を取りまとめた。
  2. 都市・地域の再生について、検討した。

(9) 観光立国の推進

  1. 「観光立国推進基本計画に関する意見」(4月)を取りまとめた。
  2. 「第2回日韓観光協力会議」(10月)を開催し、北東アジアにおける観光ゾーン形成に向けた方策等について意見交換を行い、今後の協力に関する覚書を採択した。

(10) 住宅・住環境の質の向上

  1. 「住宅政策に関する要望事項」(5月)を取りまとめ、7月の参議院選挙の与党マニフェストに反映されるよう、働きかけた。
  2. 平成20年度住宅・土地税制改正に向けた対応を取りまとめ、「今後のわが国税制のあり方と平成20年度税制改正に関する提言」(9月)に盛り込んだ。

4.技術・環境・エネルギー関係

(1) イノベーションの創出、産学官連携の推進

  1. 政府の第3期科学技術基本計画の進捗や今後の課題について、中間評価に向けた検討を行った。
  2. 教育改革や産学連携を積極的に進めている大学等関係者からの意見聴取を実施し、報告をまとめた。

(2) 地球温暖化、廃棄物・リサイクル対策の推進

  1. 2013年以降のポスト京都議定書の国際枠組について、「京都議定書後の地球温暖化問題に関する国際枠組構築に向けて」(4月)、「ポスト京都議定書における地球温暖化防止のための国際枠組に関する提言」(10月)を取りまとめ、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP13)等で、わが国経済界の取組みや考え方を紹介した。
  2. 「環境自主行動計画(温暖化対策編)2007年度フォローアップ調査結果」(11月)を公表した。
  3. 会員企業・団体に対し、地球温暖化防止のための国民運動への協力を要請し、夏季の軽装運動等を実施した。また、8月には、省エネの観点から日本経団連事務局において試行的に1時間くり上げ勤務を実施した。
  4. 「環境自主行動計画(循環型社会形成編)2007年度フォローアップ調査結果」(2008年3月)を公表する等、廃棄物処理問題の自主的な取組みを推進した。
  5. 土壌環境政策、化学物質政策等、環境規制制度の改善に向けて取組んだ。

(3) 原子力を含むエネルギー戦略の確立

政府の2010年のエネルギー需給見通しに対して原子力推進の重要性など、経済界の意見反映に努めた。

(4) 知的財産政策の推進

  1. 提言「知的財産推進計画2008の策定に向けて」(2008年3月)を取りまとめた。
  2. 技術の国際標準化に関し当面取組む主な事項を「技術の国際標準化に関するアクションプラン」(5月)として取りまとめた。
  3. デジタル化・ネットワーク化時代における著作権法制の中長期的なあり方について検討した。

(5) 日米防衛産業間の協力強化

2008年度予算編成に関する要望を行うとともに、日米官民防衛関係者と日米間の防衛装備・技術協力の推進に向け検討した。

(6) 宇宙・海洋開発利用の推進

  1. 提言「宇宙新時代の幕開けと宇宙産業の国際競争力強化を目指して」(7月)を取りまとめ、今後のわが国宇宙政策に対する経済界の基本的考え方を示した。
  2. 提言「今後の海洋政策のあり方と海洋基本計画策定へ向けて」(10月)を取りまとめた。

(7) 自然保護プロジェクトの推進

公益信託日本経団連自然保護基金を通じて、国内外の自然保護プロジェクトを支援した。

(8) むつ小川原開発の推進

むつ小川原への官民のプロジェクトの立地、計画の策定等に関して、むつ小川原開発推進協議会の活動に協力した。

5.社会関係

(1) 広報・出版活動の積極的展開

  1. 日本経団連活動に関する国内外の報道が積極的かつタイムリーに行われるよう、支援を行った。
  2. 経済トレンド日本経団連タイムス等機関誌・紙の発行とその他の出版物の拡販に努めた。
  3. 連合首脳と直面する重要課題に関して意見交換を行う等、各界との対話を促進した。

(2) 企業倫理確立に向けた周知徹底

  1. 会社法、金融商品取引法、独占禁止法、消費生活用製品安全法など、企業経営に大きな影響を及ぼす法令の制定、改正を踏まえて、「企業行動憲章の実行の手引き」を改訂し、4月に公表した。
  2. 10月の企業倫理月間を機に、全会員代表者あてに、御手洗会長名で「企業倫理徹底のお願い」を送付するとともに、企業倫理トップセミナー等の開催、「企業倫理への取組みに関するアンケート調査」の実施等を行った。
  3. 国民生活審議会などにおける消費者行政のあり方に関する検討への対応を行った。

(3) 企業の社会貢献活動の推進

  1. 企業の社会貢献活動が果たすべき役割や可能性、今後重要となる活動領域や推進方法について検討を行い、中間報告「CSR時代の社会貢献活動」(12月)を取りまとめた。
  2. 2006年度社会貢献活動実績調査を実施した。

(4) 政策本位の政治の実現

  1. 「2007年政策評価」(11月)を発表するとともに、会員企業の自発的な政治寄付を呼びかけた。また、2008年の政策評価の尺度となる「優先政策事項」(12月)を公表した。
  2. 政党幹部との間で各種会合を開催し、重要政策課題をめぐり意見交換を行った。

(5) 教育改革の推進

  1. 教育と企業の連携促進に向けた課題の検討結果を取りまとめた。
  2. 企業の学校支援プログラムの周知と学校活動や教員研修などへの導入事例の拡大に向けて、「日本経団連学校支援プロジェクト(仮称)」の立ち上げに向けた検討を行った。
  3. 教育再生会議、中央教育審議会等、政府の教育再生をめぐる動きを把握し、経済界意見の反映に努めた。

(6) 防災問題への対応

経済界における防災対策の進捗状況を把握するために、アンケート調査を実施した。

6.経営労働関係

(1) 企業経営に係る指針の策定

毎春の労使交渉・労使協議に際し、「経営と人」に関する基本的な考え方を総合的に検討し、全国の企業経営者の指針となる報告として「2008年版経営労働政策委員会報告」(12月)を取りまとめた。

(2) 労働市場の改革に向けた取組み

  1. 若年層の労働力需給ミスマッチの解消に向け、「官民協力による若年者雇用対策の充実について−労働市場のマッチング機能強化に向けて−」(4月)を取りまとめた。
  2. 障害者雇用促進法の改正、労働者派遣制度見直しへの対応を行った。
  3. 「大学・大学院新規学卒者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」(10月)を発表するとともに、「倫理憲章の趣旨実現を図る共同宣言」(11月)への賛同を会員企業に呼びかけた。

(3) 人事・賃金制度のあり方の検討

  1. 「今後の賃金制度における基本的な考え方―従業員のモチベーションを高める賃金制度の構築に向けて―」(5月)を取りまとめ、年功型賃金から仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金への改革の必要性を訴えた。
  2. 最低賃金制度のあり方について、政府審議会における使用者側の対応について協議した。

(4) 労働法制への対応

  1. 新たな労働時間等規制の適用除外制度について、問題点を整理した。
  2. 仕事と生活の調和憲章・行動指針の策定、パートタイム労働法改正、男女雇用機会均等対策基本方針の改定、安全衛生・労災保険法令改令などへの対応を行った。

(5) 中小企業の競争力強化に向けた検討

日本のものづくり産業を支えている中小製造業の特徴、イノベーションの現状や方向性と現場力の実態を明らかにするため、報告書「ものづくり中小企業のイノベーションと現場力の強化」(10月)を取りまとめた。

(6) 国民生活の質の向上に向けた検討

男女共同参画とワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の問題について対応を行った。

(7) 総合的な少子化対策の推進

  1. 子育て環境整備の方向性と、政府による多様で柔軟な保育・子育て支援サービスの具体策のあり方を検討し、提言「子育てに優しい社会づくりに向けて」(11月)を取りまとめた。
  2. 次世代育成支援対策推進法改正への対応を行った。

(8) 国際労働・社会分野における議論への参画

ILO総会(5、6月)に向けて、各議題に関するわが国使用者側の見解を取りまとめるとともに、代表団を派遣した。

7.国際関係

(1) 貿易自由化・円滑化の推進

  1. グローバルな企業活動の現状と直面する課題に即して、提言「対外経済戦略の構築と推進を求める」(10月)を取りまとめた。
  2. 安全保障貿易管理制度の改正に際して、経済界の意見が反映されるよう、働きかけを行った。

(2) 国際協力のあり方に関する検討・発信

「わが国国際協力に対する提言と新JICAへの期待」(5月)を取りまとめ、資源・エネルギー確保、環境問題、経済連携協定促進等の重要政策課題の解決に向けたODAの戦略的活用や、2008年10月に発足する新しい国際協力機構(JICA)を巡る制度改革を提言した。

(3) BIAC活動への積極的参加

OECDやBIACの各種会合へ参加し、わが国経済界の意見反映に努めるとともに、OECDをめぐる最新情報の把握に努めた。

(4) 経済連携協定の締結推進

  1. 二国間・多国間のEPAの締結推進に不可欠な利便性の高い原産地証明制度の構築に向けて、検討を行った。
  2. 経済財政諮問会議における中長期的なEPA戦略の検討への対応を行った。

(5) 北米

  1. 日米経済連携協定(EPA)の実現および両国の規制改革の推進に向けた活動を行った。
  2. 民間対話チャネルの強化および日米経済関係に関する情報収集活動の一環として、米国、カナダの政府、経済界、有識者と懇談した。

(6) 欧州

  1. G8ビジネス・サミット(4月)において、G8の経済界首脳とグローバルな課題に関し意見交換し、共同声明を策定した。
  2. 新たな日欧経済関係の構築に向けて、提言「日EU経済連携協定に関する共同研究の開始を求める」(6月)を取りまとめた。また、ドイツ産業連盟と共同で提言「日・EU経済関係の発展に向け新たな枠組みの構築を求める」(8月)を取りまとめた。
  3. デンマーク、フィンランド、イタリアにミッションを派遣(6月、7月)した。
  4. メルケル ドイツ首相、プロディ イタリア首相、ベリシャ アルバニア首相、メシッチ クロアチア大統領、ユンカー ルクセンブルグ首相等、各国要人と懇談した。

(7) アジア・大洋州

  1. 安倍総理大臣(当時)のアジア歴訪に合わせ、インドネシア、インド、マレーシアに、御手洗会長を団長とする大規模な「訪アジア経済ミッション」(8月)を派遣した。
  2. 御手洗会長が日中経済協会訪中代表団の最高顧問として訪中した(9月)。
  3. 温家宝 中国首相、スラユット タイ首相、チエット ベトナム国家主席、フン・セン カンボジア首相、ブアソーン ラオス首相等、各国要人と懇談した。
  4. 香港(5月)、韓国(11月)、台湾(12月)との合同会議を開催した。また、日韓中ビジネスラウンドテーブル(10月)を開催した。

(8) 中南米

  1. コロンビアとの合同会議(4月)を開催した。
  2. ウリベ コロンビア大統領等、各国要人と懇談した。

(9) 中東・アフリカ

  1. 安倍総理大臣(当時)の中東歴訪に同行する形で、中東5カ国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、エジプト)に、御手洗会長を団長とするミッション(4月、5月)を派遣した。
  2. 南アフリカとアンゴラに経済調査ミッション(10月)を派遣した。その結果を踏まえ、「サブサハラ・アフリカの開発に関する提言」(12月)を取りまとめた。
  3. ムハンマド アブダビ皇太子、オルメルト イスラエル首相、マーリキー イラク首相等、各国要人と懇談した。

(10) ロシア・NIS

訪ウクライナ・カザフスタン・ミッション(4月)、訪ユジノサハリンスク・ウラジオストク・ミッション(10月)、訪モスクワ・ミッション(2008年2月)を派遣した。

8.外部組織等への協力

(1) 外部組織への協力

日本経団連事業サービス21世紀政策研究所経済広報センター等の主要関連団体や、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会国際文化教育交流財団(石坂財団)等の奨学事業に対する協力を行った。

(2) 公益活動に対する資金面の支援

全国的または国際的な規模で公益活動を行う機関などが、経済界に資金援助を求める、いわゆる「経済界募金」に協力した。

以上

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