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2004年度事業報告
I.事業活動の概要

項目と主な活動


1.政策全般

(1)基本方針等の作成

日本経団連の活動指針となる総会決議を取りまとめた(5月)。

(2)21世紀における国家像、国家戦略の検討

憲法など国の基本的枠組みについて、「わが国の基本問題を考える〜これからの日本を展望して〜」(2005年1月)を取りまとめ、憲法第9条第2項と第96条の改正をはじめ、総合的な安全保障政策の強化、より民主的で効率的な統治システムの実現等を提言した。

2.経済・法制関係

(1)適切な経済政策運営の実現

  1. 非製造業における国際競争の進展や競争力強化に向けた取組みについて検討し、「グローバル化が進む非製造業の新たな展開」(2005年4月)に関する報告書の取りまとめを進めた。
  2. 内閣府、日本銀行等とマクロ経済全般について意見交換した。
  3. 企業における景気関連統計の利用状況、今後の利用拡大の方策、経済統計の改善すべき点、等を検討し、「統計の利用拡大に向けて」(11月)を取りまとめた。
  4. 統計行政および経済統計の改善に向け、関係方面と意見交換した。

(2)税制改革の推進

景気の自律的回復に資する税制ならびに中長期的な経済活力の維持を可能とする税体系を構築する観点から、「平成17年度税制改正に関する提言」(9月)を取りまとめ、政府・与党に実現を働きかけた。その結果、平成17年度税制改正において、消費税を含む税体系の抜本的改革を行う方針が示されたほか、特別法人税の3年間課税停止、環境税の導入見送り、有限責任事業組合制度(いわゆる日本版LLP)の創設等が実現した。

(3)財政構造改革の推進

  1. 「活力と魅力溢れる日本をめざして」(2003年1月)で実施した経済、財政、社会保障に関するシミュレーションについて再試算を行い、「新ビジョン・シミュレーションの再試算結果」(9月)を公表した。
  2. 「財政の持続可能性確保に関する提言−活力溢れる未来を育むために−」(12月)を取りまとめ、歳出改革、歳入構造強化ならびに成長戦略における財政の役割等を提言した。

(4)社会保障制度の一体的改革の推進

  1. 社会保障制度、財政・税制を一体的に改革する観点から、「社会保障制度等の一体的改革に向けて」(9月)を取りまとめ、政府・与党に、その実現を働きかけた。
  2. 「介護保険制度の改革についての意見」(4月)を取りまとめ、給付の重点化や施設入所者の食費・居住費を保険給付外にすること等を提言した。また、介護保険の被保険者の範囲拡大に反対するため、経済四団体で共同意見を取りまとめ(12月)、政府・与党に要望し、経済界の意見を改正法案に反映させた。

(5)金融仲介機能の再生・拡充

  1. 郵政民営化について、「郵政民営化の着実な実現を望む」(12月)を取りまとめた。また、信託業法の全面改正に対応し、関係政省令等の整備に関して、経済界の意見を取りまとめ、パブリックコメントを提出した。
  2. 株券不発行制度の導入に関して、発行会社のコスト削減、利便性向上や株主状況の迅速な把握等の観点から、株券電子化の実務設計が行われるよう、関係方面に働きかけた。

(6)国際競争力の基盤となる経済法規の整備

  1. 株主代表訴訟の却下制度の創設や委員会等設置会社と監査役設置会社との整合性確保等を関係方面に働きかけた結果、会社法制の現代化法案に反映された。
  2. 企業価値を毀損させる企業買収に対する懸念の高まりを受けて、「企業買収に対する合理的な防衛策の整備に関する意見」(11月)を取りまとめ、関係方面に働きかけた。
  3. 「『消費者団体訴訟制度』の導入に関する基本的考え方に関する提言」(2005年2月)を取りまとめ、消費者団体訴訟制度の濫用・悪用等の排除等を提言し、関係方面に働きかけた。また、公益通報者保護法案や消費者基本法改正案に経済界の意見を反映させるため、関係方面に働きかけた。
  4. 課徴金の引き上げや措置減免制度の導入をはじめとする独占禁止法改正に対して、「21世紀にふさわしい独占禁止法改正に向けた提言」(7月)を取りまとめ、課徴金と刑事罰の併科制度の問題点や公正取引委員会の審査・審判手続きの抜本的見直し等を提言し、政府・与党に対して精力的に働きかけた。その結果、法案の附則に経済界の意見が反映された。
  5. 「日本法令の外国語訳の推進を求める提言」(6月)を取りまとめ、日本法令の外国語訳に政府が一体となって迅速に取り組むことを要望した。
  6. わが国の会計基準に準拠した開示書類が、2007年以降も欧州市場で継続承認されるよう、欧州証券規制当局委員会に働きかけた。また、国際会計基準審議会に対して、過度な時価主義に警鐘を鳴らすとともに、ガバナンスの改善等を要望した。

3.行革・産業・国土関係

(1)スピード感のある規制改革、行政改革の推進

  1. 会員からの要望を基に「2004年度日本経団連規制改革要望」(11月)を取りまとめ、規制改革・民間開放推進会議等に実現を働きかけた。その結果、2005年度までに具体的な措置がとられる41項目のうち、23項目当会要望が取り上げられた。
  2. わが国の国際競争力の向上に資する抜本的な行政改革の在り方の検討の一環として、国家公務員制度改革を中心とする提言「さらなる行政改革の推進に向けて」の取りまとめを進めた。

(2)新たな成長分野の振興

  1. エンターテインメント・コンテンツ産業の振興に向け、コンテンツ振興法の実現(5月)、東京映画祭への協力(10月)、「知的財産推進計画2004」への要望の反映、映像産業振興機構の設立(12月)、海賊版対策等に取り組んだ。
  2. 「外国人受け入れ問題に関する提言」(4月)を取りまとめ、総合的な外国人受け入れ施策を提言した。

(3)新産業・新事業の創出

  1. 産学連携の推進や大企業の新産業・新事業戦略に関して、ベンチャー企業と大企業の情報交換、人的交流を促すため、「起業フォーラム」9月11月)を開催した。また、地域産業クラスターの形成の課題を検討するため、「新産業フォーラム」(12月)を開催した。
  2. ITバブル崩壊後の米国ベンチャー事情を調査し、わが国のベンチャー政策に役立てるため、訪米調査団を派遣し、報告書を取りまとめた(2005年3月)。

(4)ITの利活用の促進

  1. 企業の情報セキュリティやインターネット・ガバナンスを検討し、「企業の情報セキュリティのあり方に関する提言」(2005年3月)を取りまとめた。
  2. 個人情報保護に係る企業の体制整備を支援するとともに、政府の関連ガイドライン案に経済界の意見をパブリックコメントとして提出した。
  3. 企業ユーザーの立場から、「企業の通信サービス・ニーズに関する調査報告書」(5月)を取りまとめ、通信ニーズと現実の通信サービスのギャップを把握するとともに、IP化時代における情報通信ネットワークの姿、競争政策のあり方、ユニバーサル・サービスの見直しに関する課題を検討した。
  4. 電波の有効利用を推進する観点から、経済的価値を反映した電波利用料制度の導入や免許不要局からの電波利用料徴収の先送りを求める意見を取りまとめた。
  5. 税務書類の電子保存範囲の拡大を関係方面に働きかけた結果、e−文書法に、経済界の要望が反映された。

(5)都市再生と観光立国の実現

  1. PFI法改正に向けて、経済界の意見に対する所管省庁の見解へのコメントならびに再反論を取りまとめた他、英国・フランス・欧州委員会にミッションを派遣し、PFI関連の諸制度を調査し、報告書を取りまとめた(10月)。
  2. 観光委員会を立ち上げ(10月)、観光立国となるための意見書の取りまとめのため、有識者からのヒアリングを行った。

(6)住宅・住環境の質の向上

  1. 今後の住宅政策のあり方とともに、住宅・街づくり基本法の実現に向けて、提言を取りまとめるべく検討した。
  2. 住宅・土地税制改正に向けて、政府・与党に働きかけた結果、住宅ローン減税等における中古住宅に関する要件の見直し等の住宅税制の拡充を実現した。

(7)最適サプライチェーンマネジメントの検討、わが国農業の構造改革の推進

  1. 流通システムの効率化・合理化に向けて、幅広い業種から説明を受け、コスト削減や競争力の強化に資する最適サプライチェーンマネジメント構築を検討した。
  2. 農業の構造改革、経済連携協定における農業分野の取扱い等をめぐり、農業団体と首脳レベルの懇談会を開催した(5月、10月)。また、食料・農業・農村基本計画の策定に向けて、学識経験者等との意見交換を通じて、経済界の意見を提出し、計画への意見反映に努めた。

(8)物流効率化、社会インフラの重点的・効率的整備の推進

  1. 輸出入・港湾諸手続きのワンストップサービスを実現するため、現地視察キャラバンを実施するとともに、関係方面に働きかけた。その結果、FAL条約(国際海上交通簡易化条約)の早期批准が決定された。
  2. コンプライアンスに着目した輸出制度について、財務省関税局と意見交換し、経済界の意見を取りまとめた。
  3. 運輸分野の規制改革要望を取りまとめ、実現を働きかけた結果、危険物積載船舶の特定港入港におけるGRT(総トン数)制限緩和や道路占用料金の適正化に向けた検討開始が決定された。

(9)地域振興の推進

地域再生プロジェクトの課題をめぐり政府関係者と意見交換するとともに、地域振興で積極的な取組みを行っている岐阜県を視察した。

4.技術・環境・エネルギー関係

(1)産業技術・科学技術戦略の検討

  1. 「科学技術をベースとした産業技術力の強化に向けて」(11月)を取りまとめ、国や産業の持続的発展の基盤となる重要科学技術の選出と一貫した政策の推進、先端技術融合型COEの新設、政府研究開発投資の拡充(対GDP比1%)等を要望し、関係方面に働きかけた。
  2. ナノテクノロジー、バイオテクノロジー分野の研究開発推進を働きかけた。
  3. 内閣府・日本学術会議との共催で「第3回産学官連携推進会議」(6月)、「第4回産学官連携サミット」(12月)を開催し、産学官トップの相互理解を深めた。
  4. 政府の知的財産戦略本部による知的財産推進計画の策定・改訂に対応し、「知的財産推進計画2005の策定に向けて」(2005年3月)をとりまとめ、関係方面に働きかけた。
  5. 会員企業・団体等に対し、機関誌やシンポジウム等を通じて、国際標準化の重要性を訴えた。

(2)宇宙開発利用・海洋開発の推進

  1. 「宇宙開発利用の早期再開と着実な推進を望む」(6月)を取りまとめ、ロケット打上げの早期再開や信頼性向上に向けた課題、安全保障や測位面での宇宙の積極的利用を提言し、関係方面に対して積極的に働きかけた。
  2. 宇宙開発について、政府宇宙開発利用委員会や総合科学技術会議宇宙開発利用専門調査会で経済界の意見を表明した。
  3. 大陸棚画定調査の着実な実施に向けて、関係方面と意見交換した。

(3)防衛生産・技術基盤の維持・強化

  1. 新たな防衛大綱の策定と中期防の見直しに対して、「今後の防衛力整備のあり方について」(7月)を取りまとめ、関係方面へ働きかけた。その結果、経済界から強い要望のあった武器輸出三原則の見直しが一部実現することとなった。
  2. 日米の官民防衛関係者の交流を図るため、米国国防省等と懇談した。

(4)地球温暖化問題への対応と廃棄物問題への取組み

  1. 環境大臣と環境問題全般に関し、意見交換した(10月)。また、環境立国に向けた経済界の取組み姿勢を示すため、会員企業・団体に対して環境報告書等の環境情報の発信に関するアンケート調査を実施し、取組み状況を公表した(2005年2月)。
  2. 政府における地球温暖化対策推進大綱の見直し作業に対応して、「地球温暖化対策の着実な推進に向けて」(7月)および「地球温暖化防止に取り組む産業界の決意」(2005年2月)を取りまとめ、政府・与党に働きかけた。
  3. 「環境自主行動計画2004年度フォローアップ結果」(11月)を公表する等、温暖化対策に関する経済界の自主的取組みを推進した。また、国連気候変動枠組条約第10回締約国会議(COP10、於:ブエノスアイレス)期間中、セミナーを開催し、海外の関係者にわが国経済界の取組みを説明した。
  4. 「環境自主行動計画2004年度フォローアップ結果(廃棄物対策編)」(2005年3月)を公表する等、廃棄物問題に関する経済界の自主的取組みを推進した。また、容器包装リサイクル法の見直しを検討し、中央環境審議会ならびに産業構造審議会で、経済界の意見を表明した。
  5. 閉鎖性海域における水質総量規制や水生生物保全のための環境基準設定等の環境規制制度の改善に向けて、経済界の意見を表明するとともに、環境省と意見交換を重ねた。
  6. 廃棄物・環境保全分野危険物・防災・保安分野に関する規制改革要望を取りまとめた。

(5)総合的なエネルギー政策の推進

  1. 政府のエネルギー長期需給見通しの取りまとめに向けて、原子力の活用の重要性等の経済界の意見反映に努めた。
  2. 諸外国のエネルギー政策の動向を把握するため、外国政府関係者と意見交換した。
  3. エネルギー分野の規制改革要望を取りまとめた。

(6)自然保護プロジェクトの推進

  1. 公益信託日本経団連自然保護基金を通じ、内外のNGOがアジア大洋州地域等において実施する各種自然保護プロジェクトを支援するなど、NGOとの連携を深めた。
  2. ベトナム自然保護視察ミッションを派遣した(11〜12月)。

(7)むつ小川原開発の推進

  1. 国際熱核融合実験炉(ITER)誘致をめぐる状況と今後の動向について、文部科学省と懇談した。
  2. むつ小川原へのプロジェクト誘致促進等に向け、むつ小川原開発推進協議会の活動に協力した。

5.社会関係

(1)広報・出版活動の積極的展開

  1. 重要課題に関する広報戦略や体制を検討し、独禁法改正、政治寄付、環境税導入阻止、国の基本問題、教育問題、地球温暖化防止への取り組み等の効果的広報活動のあり方を検討した。
  2. 経済トレンド日本経団連タイムス等機関誌(紙)の発行とその他の出版物の拡販に努めた。
  3. 連合首脳と直面する重要課題に関し意見交換を行う等、各界との対話を促進した。

(2)企業・経済界に対する社会の共感と信頼の向上

  1. 企業倫理を徹底するため、10月の企業倫理月間に、奥田会長より全会員代表者宛に「企業倫理徹底のお願い」を送付するとともに、企業倫理トップセミナー、企業倫理担当者向けの研修会等を開催した。
  2. 企業不祥事の根本原因や企業倫理の推進に向けた取組みについて、企業ならびに有識者からヒアリングした。

(3)政策本位の政治の実現

  1. 2003年9月の「優先政策事項」に基づいて、「第2次政策評価」(9月)を発表し、会員企業・団体の自発的政治寄付を働きかけた。さらに2005年の政策評価の尺度となる「優先政策事項」(11月)を改定した。
  2. 政策本位の政治の実現に向け、各党幹部との懇談会(7回)、自由民主党と政策を語る会(1回)を開催し、重要政策課題を巡り、意見交換した。
  3. 企業や個人の政治寄付を促進するため、法制面・税制面の検討を行った。

(4)企業の社会貢献活動の推進、NPO等との連携・協働の支援

  1. 社会貢献活動のあり方をCSRの観点から検討するため、内外の有識者と懇談した。
  2. 「2003年度社会貢献活動実績調査」(12月)を取りまとめた。
  3. 企業の社会的責任を推進する観点から、「企業行動憲章」(5月)ならびに「企業行動憲章実行の手引き」(6月)を改定した。
  4. 国際標準化機構(ISO)における社会的責任(SR)の規格化の議論に対して、わが国企業にとって不利にならないよう、経済界の意見を取りまとめ、わが国からの提案に反映させるとともに、関係方面へ働きかける等規格策定作業に積極的に参画した。
  5. 1%クラブニュース等を発行し、企業とNPOの連携などの情報提供に努めた。また、新潟県中越地震やスマトラ沖大地震等の被災地支援に取り組んだ。

(5)教育改革の推進

  1. 経済界が求める人材像と多様性、競争、評価を基本とする教育の改革案を「21世紀を生き抜く次世代育成のための提言」(4月)として取りまとめるとともに、「企業の求める人材像についてのアンケート」(11月)を公表した。
  2. 「これからの教育の方向性に関する提言」(2005年1月)を取りまとめ、教育基本法をはじめ教育に関わる基本的枠組みの見直しを提言した。
  3. 若年者の職業観・就労意識の形成ならびに向上を図るため、教員のための経済・社会研究プログラムを実施した(7月)。

6.経営労働関係

(1)企業経営に係る指針の策定

「経営と人」に関する基本的な考え方を総合的に検討し、春季労使交渉に際し、全国の企業経営者の指針となる報告書「経営労働委員会報告」(12月)を取りまとめた。
今期春季労使交渉への対応として、横並びのベースアップ要求を巡る労使交渉は役割を終えたと強調し、短期的な業績の成果は賞与・一時金に反映させるのが現実的な対応である等と指摘した。

(2)適切な雇用対策のあり方の検討

  1. 障害者雇用促進法の改正作業に対応して、雇用・労務管理の実態を踏まえること、在職精神障害者に対する雇用管理プログラムを確立すること等を主張し、法改正に反映させた。
  2. 「若者自立・挑戦プランの強化の具体化に向けて」(11月)を公表、政府の「若者自立・挑戦プラン」に対し縦割りを廃し、国・地方の連携による施策の実施を求めた。
  3. 新卒採用問題について検討し、「2005年度・新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」(10月)を公表した。

(3)多様な人材の活用、人事管理のあり方の検討

  1. 仕事と家庭の両立支援対策および男女雇用均等対策を検討し、労働政策審議会において経済界の意見を反映させた。
  2. 労働安全衛生法ならびに労災保険法令の改正問題について、企業・業種団体の意見を取りまとめ、労働政策審議会の使用者側委員と連携して対応した。

(4)健全な労使関係の発展、賃金管理のあり方の検討

  1. 組織活性化の観点から、労使協議のあり方について、企業事例を聴取するとともに、会員企業へのアンケート調査を企画して、報告書取りまとめのための活動を行った。
  2. 健全な労使関係の維持・発展に向け、労働組合の動向の把握に努めるべく、労働組合幹部と意見交換した。
  3. 中央最低賃金審議会における地域別最低賃金改定の審議状況を把握した上で、使用者側の対応を決定した。

(5)労働法規の整備

  1. 労働審判制度の施行に向けて、労働審判員の推薦基準や研修のあり方等を検討した。
  2. 労働契約法制のあり方を検討し、規制緩和・労使自治を尊重すべき等の経営側の意見を表明した。
  3. 労働時間法制のあり方について、労働基準法改正に備えて、有識者からのヒアリングや企業へのアンケート調査を実施し、報告書のとりまとめを進めた。
  4. 時短促進法改正の課題について検討し、経営側意見を取りまとめ、法改正に反映させた。

(6)中小企業問題の検討

中小企業の経営革新に向けた人材確保や人材育成等を検討した。

(7)労働力減少への対応、安全・安心な社会づくりの推進

  1. 労働力減少時代の到来を踏まえ、若年労働力の活用策やそのための環境整備等について、提言の取りまとめを進めた。
  2. 安全・安心な社会づくりを進める観点から、治安・防犯対策に対する経済界の自主的な関わり方等について、提言の取りまとめを進めた。

(8)国際労働・社会分野に関する議論への参画

  1. ILO総会に使用者代表団を派遣した(6月)。事前に各種議題に臨む使用者側の見解について審議するとともに、総会後に代表団員から、その模様につき報告を聞いた。
  2. 「日本人社員の海外派遣をめぐる戦略的アプローチ−海外派遣成功サイクルの構築に向けて」(11月)を発表し、社員の海外派遣を一過性のものとせず、人選から帰任後に至るまでの体系的な人事管理が必要である等を提言した。

7.国際関係

(1)経済連携の推進

経済連携協定(EPA)の推進に向けた経済界の基本的考え方および経済連携の推進に伴う国内の構造改革の必要性をめぐり、与党幹部と意見交換した。

(2)自由貿易体制の推進・強化

  1. WTO新ラウンド交渉にあたって、わが国経済界の要望事項として取りまとめた「WTOミッションポジション・ペーパー」(5月)に基づき、欧米に調査団を派遣し、WTO事務局幹部、各国政府ならびに経済団体と意見交換した(7月)。
  2. 「WTO貿易円滑化ルールの早期策定を求める」(4月)を取りまとめ、貿易円滑化ルール策定に向けた交渉の早期立ち上げを訴えた。
  3. 円滑な通商活動のため、政府に対し企業内転勤の条件緩和、安全保障輸出管理制度の規制緩和等を要望した。
  4. フランス、ベルギー等との社会保障協定の早期締結を政府に働きかけた。
  5. 経済政策、貿易、産業技術、情報通信、税制、海運、バイオテクノロジー、化学物質等の分野を中心にOECDならびにBIAC会合に代表を派遣し、わが国経済界の立場から意見を陳述した。

(3)ODA改革の推進

  1. 政府開発援助に関する中期政策(ODA中期政策)の改定作業に対して、経済界の意見を取りまとめ、改定案に反映させた。
  2. 「IT分野におけるODAの活用に関する提言」(8月)を取りまとめ、ODAをIT分野で活用するための各種制度・運用の改善を提言し、政府のIT国際政策に反映させた。

(4)北米

  1. 日米間のビジネス上の障害を解消し、日米経済連携をさらに深めていくため、米国政府・経済界・有識者と意見交換するとともに、在日米国大使館等の関係機関との情報交換を強化した。また、日米財界人会議を支援した。
  2. 海外事業活動関連協議会(CBCC)と協力して、日系アメリカ人コミュニティとの交流拡大に努めた。
  3. 日加経済関係を強化するため、「日加経済連携の一層の強化に向けて−カナダ委員会日加経済連携強化タスクフォース中間報告」を取りまとめるとともに、第一回日本カナダ経済会議(於:東京)を開催した(9月)。

(5)欧州

  1. 欧州統合市場のメリットを享受し経済発展につなげた国々の現状を把握し、日欧経済関係への理解を深めるため、ポルトガル、スペイン、アイルランドにミッションを派遣した(9月)。
  2. シュレーダー ドイツ首相、アハーン アイルランド首相、ジュルチャーニ ハンガリー首相、ハロネン フィンランド大統領、ダイス スイス大統領、リューテル エストニア大統領等、各国要人と懇談した。

(6)アジア・大洋州

  1. 内容の充実した経済連携協定(EPA)の早期締結を働きかけるとともに今後の経済交流のあり方を探るため、東南アジアミッションを派遣した(11月)。
  2. 日・ASEAN包括的経済連携構想の実現に向けて、日ASEANビジネス・ダイアログの開催に協力した(10月、11月)。
  3. グローバルな観点から日中経済関係について意見交換するため、中国ミッションを派遣した(9月)。
  4. WTO加盟後の対中国ビジネスの現状と課題を検討し、わが国経済界のポジションペーパーとして、「日中通商・経済関係の更なる拡大に向けて」(2005年2月)を取りまとめた。この実現を働きかけるため、第2回日中通商対話ミッションを派遣した(2005年2〜3月)。
  5. 中国重慶で実施している環境植林協力プロジェクトを推進するため、植林サイト視察ミッションを派遣した(4月)。
  6. 日韓中ビジネスフォーラム(於:東京、10月)を開催し、日韓中投資取り決めの早期実現等を政府に提言した。
  7. 日中産業シンポジウム(於:青島、10月)を開催し、両国の東アジア地域経済における役割等を討議した。
  8. タイ(9月)、台湾(12月)、香港(2005年1月)との合同会議を開催した。
  9. 温家宝 中国国務院総理、タクシン タイ首相、アブドラ マレーシア首相、アロヨ フィリピン大統領、ユドヨノ インドネシア大統領、ファン・ヴァン・カイ ベトナム首相等、各国要人と懇談した。

(7)中南米

  1. 第6回日本・ラテンアメリカ諸国経済交流シンポジウム(5月)、日墨経済連携協定(EPA)セミナー(11月)等を開催した。
  2. 「日伯経済連携協定(EPA)に関する政府間の早急な検討開始を求める−日伯EPAに関する報告書−」(5月)を取りまとめ、わが国政府等に建議した。
  3. イグレシアス 米州開発銀行総裁、ボラーニョス ニカラグア大統領、カナレス メキシコ経済相等、各国要人と懇談した。

(8)中東・アフリカ

  1. アルジェリア(9月)、トルコ(10月)との合同会議を開催した。
  2. イラク復興に関して、わが国政府の取組みに関する説明会(7月)、ハーフィズ イラク計画開発協力相との懇談会(10月)等を開催した。
  3. 第3回日本・南アフリカビジネスフォーラムを開催した(11月)。
  4. アブドッラー ヨルダン国王、エルドアン トルコ首相、ブーテフリカ アルジェリア大統領、キバキ ケニア大統領等、各国要人と懇談した。

(9)ロシア・NIS

  1. 第7回日本ロシア経済合同会議、日ロビジネス促進セミナーをモスクワ等で開催した(9月)。
  2. ロシアのビジネス環境を調査するため、代表団をモスクワ、ニージュニー・ノヴゴロドに派遣した(11月)。
  3. エネルギー、輸送・観光、科学技術・金融の分野において、各種ワークショップを開催し、日ロ協力を推進した。
以上

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