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2005年度事業報告
I.事業活動の概要

項目と主な活動

1.政策全般

(1) 基本方針等の作成

日本経団連の活動指針となる総会決議を取りまとめた(5月)。

(2) 憲法改正に向けた議論への対応

自由民主党の憲法改正草案の策定への参加などを通じて、憲法改正に向けた議論の動向を把握するとともに、経済界の考え方の実現に努めた。

2.経済・法制関係

(1) 適切な経済政策運営の実現

  1. 幅広い業種・企業に共通する、企業価値の最大化に向けた経営戦略のあり方を検討し、「企業価値の最大化に向けた経営戦略」(2006年3月)として取りまとめた。
  2. 内閣府や日本銀行などからマクロ経済全般を巡り意見交換した。
  3. 統計行政に関して、関係者と意見交換するとともに、関係企業・団体の意見を踏まえて、官庁統計の改善を行なった。

(2) 経済活力の維持、向上に向けた税制改革の推進

  1. 経済活力の維持、向上を重視する観点から、「平成18年度税制改正に関する提言」(9月)を取りまとめ、政府・与党に実現を働きかけた。その結果、平成18年度税制改正において、研究開発促進税制の延長、情報基盤強化税制の創設、役員賞与の損金算入などの会社法制定に伴う税制措置、環境税の導入見送りなどが実現した。
  2. 政府・与党における歳出・歳入一体改革の議論に対応するため、関係委員会と連携を図り、提言を取りまとめるべく検討を進めた。

(3) 国・地方財政の持続可能性確保に向けた取り組み

  1. 歳出・歳入一体改革の取り組みに関して、財務大臣や自民党税制調査会長と意見交換した(2006年1月、3月)。
  2. 「財政の持続可能性確保に関する提言」 <PDF>(2004年12月)の実現に向けた活動として、女性・高齢者の労働力化や研究開発の促進などにおける財政の役割や有効性を巡り、関係者と意見交換した。

(4) 社会保障制度の一体的改革の推進

  1. 「公的年金の一元化に関する基本的見解」(10月)を取りまとめ、政府・与党の被用者年金一元化に関する検討作業に対応した。
  2. 「医療制度のあり方について」(5月)、「国民が納得して支える医療制度の実現」(10月)を取りまとめ、医療費の適正化、高齢者医療制度の創設などを提言した。また、連合、健保連とともに、「医療制度改革関連法案の審議にあたっての共同確認」(2006年2月)を取りまとめ、政府・与党に実現を働きかけた。

(5) 金融・資本市場の環境整備

  1. 金融商品取引法(仮称)の概要などについて説明を受ける(2006年3月)とともに、政府における信託業法の改正作業に対応した。
  2. 株券電子化制度に関し、発行会社のコスト削減、利便性向上や株主状況の迅速な把握などの観点から、関係省庁や各界関係者における関連政省令案の検討、実務設計などに協力した。

(6) 国際競争力の基盤となる経済法規の整備

  1. 会社法の早期成立・施行を与野党に働きかけた結果、6月に成立した(2006年5月に施行)。また、会社法の法務省令において、ウェブ開示など経済界の要望が反映された。
  2. 企業買収に係わる諸問題について、経済界の意見を取りまとめ、関係方面に働きかけた結果、経済産業省と法務省の買収防衛指針(5月)の中で企業価値基準に基づく買収防衛策が明確化されるとともに、金融商品取引法案(2006年3月)に公開買付の対象者への買付期間の伸長権の付与などが盛り込まれた。
  3. 我が国におけるコーポレート・ガバナンスのあり方に関する提言の取りまとめに向けて、有識者から意見聴取するとともに、各社の取り組み状況などについて、アンケートを実施した。
  4. 公益通報者保護法の施行に向けて、経済界の意見を取りまとめ、「『公益通報者保護法に関するガイドライン案』に対するコメント」(7月)を提出した。
  5. 消費者団体訴訟制度の導入に対して、「『消費者契約法の一部を改正する法律案(仮称)の骨子について』に対するコメント」(2006年1月)を取りまとめ、制度の濫用・悪用などの徹底排除を提言し、政府・与党などに働きかけた。
  6. 公正取引委員会による適正な審査・審判手続きを確保する観点から、「『独占禁止法改正の施行に伴い整備する公正取引委員会規則の原案』に対する日本経団連コメント」(8月)を取りまとめた。また、政府・与党に対して、入札談合等関与行為防止法におけるそそのかし罪の導入を働きかけ、同法の改正法案に刑罰規定が盛り込まれた。
  7. 財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関して、企業の実態を踏まえた効率的かつ有効な基準の整備を求め、その実現に努めた。
    また、わが国の会計基準の国際的な同等性を認めるよう、欧州委員会などに対して積極的に働きかけた。

3.行革・産業・国土関係

(1) 規制改革・行政改革の推進

  1. 会員からの要望を基に、「2005年度日本経団連規制改革要望」(6月)を取りまとめ、規制改革・民間開放推進会議などに働きかけた。
  2. 「さらなる行政改革の推進に向けて」 <PDF>(4月)、「国家の競争力強化を目指した『攻めの行政改革』の実現を求める」(2006年2月)を取りまとめ、国家公務員制度の抜本的改革や行政改革に関する基本法の制定などの実現を政府・与党に働きかけた。

(2) 新しい成長分野の振興

  1. コンテンツ産業の発展に向けて、ソフト、ハード、キャリアなどの業界が協力して新たなビジネスモデルを構築するための課題を整理した。さらに、コンテンツ・ポータルサイトの実現、映像産業振興機構の運営、東京国際映画祭への協力(10月)、模倣品・海賊版対策などに取り組んだ。
  2. 食に係わる産業やヘルスケア産業の振興に向けて、経済界の意見を取りまとめ、関係方面に働きかけた(2006年3月)。

(3) 新産業・新事業の創出

地域クラスター形成に向けた取り組みについて、地方自治体、大学、地元企業、ベンチャーキャピタルなどから聴取し、その成果を報告書に取りまとめる予定である。また、大企業とベンチャー企業の連携を推進する「起業フォーラム」を開催した(9月)。

(4) ICTの利活用の推進

  1. 2006年以降のICT国家戦略に、経済界の意見を反映させるため、「次期ICT国家戦略の策定に向けて」 <PDF>(10月)を取りまとめ、関係方面に働きかけた結果、政府のIT新改革戦略において、ITSの実用化、高度ICT人材育成など要望内容が盛り込まれた。
  2. 「産学官連携による高度な情報通信人材の育成強化に向けて」(6月)を取りまとめ、産学官連携による世界レベルの高度なICTの実践教育を行う拠点大学・大学院の設立などを提案した。
  3. わが国の情報セキュリティ対策に関する検討の一環として、4月に米国に調査団を派遣した。
  4. 第2回世界情報社会サミットに向け、「インターネットガバナンスのあり方について」(9月)を取りまとめ、関係方面に働きかけた。その結果、同サミットの合意文書において、現行の民間主導体制を維持するなど主張が盛り込まれた。
  5. IP化時代の情報通信ネットワークの姿、政策課題などについて、有識者などから意見聴取するとともに、「『ユニバーサルサービス基金制度の在り方』答申(案)に関する意見」(8月)を取りまとめた。

(5) 流通システムの効率化と農業構造改革の推進

  1. 流通システムの効率化・合理化について、会員企業から意見を聴取した。
  2. WTO交渉への対応や食料・農業・農村基本計画への取り組みなどをめぐり、農業団体と首脳レベルの懇談会(8月、2006年3月)を開催するとともに、農林水産省幹部や有識者と意見交換した。

(6) 国土・都市政策の推進

  1. PFI法の改正を受けて、ガイドラインの改訂など積み残しの課題について検討した。
  2. 各地方経済連合会、国土交通省との三者による懇談会を開催し、社会資本整備、広域観光振興などを中心に各地方の実情を踏まえた国土形成計画の実現に向け政府に働きかけた。
  3. 政府・与党におけるまちづくり三法見直しの検討に対応するため、「「まちづくり三法の見直し」問題に関する考え方」(12月)を取りまとめた。

(7) 国際観光立国の実現

  1. 魅力ある国づくりならびに訪日外国人観光客の増大を主眼として、「国際観光立国に関する提言」(6月)を取りまとめるとともに、フランス、ドイツに調査ミッションを派遣し、観光資源の整備、人材育成などに係る取り組みに関する報告書を取りまとめた(10月)。
  2. 「観光立国基本法の制定に向けて」(2006年3月)を取りまとめ、観光立国基本法に盛り込むべき論点を整理し、政府・与党に対して、その実現を働きかけた。

(8) 住宅・住環境の質の向上

  1. 住みやすさで世界に誇れる国づくりを目指して、「住宅・街づくり基本法の制定に向けて」(6月)を取りまとめ、関係方面に働きかけた。
  2. 住宅・土地税制改正に向けて、「平成18年度住宅・土地税制改正への提言」(9月)を取りまとめ、政府・与党に働きかけた結果、耐震改修促進減税などを実現した。

(9) 物流効率化、社会インフラの重点的・効率的整備の推進

  1. ITを活用した物流効率化とセキュリティの確保との両立の実現を政府に働きかけた結果、関税法、港湾法などFAL関連法令の一部改正とFAL条約の締結が実現した(9月)。
  2. 「高速道路整備および道路関係四公団民営化に関する意見」(2002年11月)の趣旨を踏まえ、「首都圏三環状道路の早期整備を望む」(7月)を取りまとめ、政府・与党へ働きかけた。
  3. 原油価格の高騰を受けて、運輸業界、荷主、国土交通省による懇談会を開催し、意見交換を行なった(10月)。

(10) 地域振興の推進

北海道滝川市を訪問して、農業や林業のインキュベーション施設を視察するとともに、現地の代表者との意見交換を行なった。

4.技術・環境・エネルギー関係

(1) 科学技術創造立国の実現

  1. 科学技術の戦略的重点化や政府研究開発投資額の拡充(対GDP比1%と目標額の明示)などを関係方面に働きかけた結果、第3期科学技術基本計画に反映された。
  2. 内閣府、日本学術会議との共催で、「第4回産学官連携推進会議」(6月)、「第5回産学官連携サミット」(11月)を開催し、産学官の相互理解を深めるとともに、産学官の新たな役割と連携のあり方に関して、「イノベーションの創出に向けた産業界の見解」(12月)を取りまとめた。
  3. 知的財産権に関する民間の意識醸成を図るため、「知的財産権に関する行動指針」(7月)を策定するとともに、「『知的財産推進計画2006』の策定に向けて」(2006年3月)を取りまとめ、経済界の意見が反映されるよう、関係方面に働きかけた。
  4. 国際標準化に関して、情報通信分野での活動、標準化と事業戦略の関係などについて、関係者と意見交換した(10月、2006年3月)。

(2) 地球温暖化問題や廃棄物処理問題への取り組み

  1. 「民間の活力を活かした地球温暖化防止対策の実現に向けて」(9月)を取りまとめ、政府・与党に働きかけた結果、環境税導入は見送られた。また、「地球温暖化防止に向けた新たな国際枠組の構築を求める」(10月)を取りまとめ、京都議定書以降の国際的な枠組みのあり方を提言した。
  2. 会員企業・団体に対して、地球温暖化防止のための国民運動への協力を要請し、夏季の軽装運動などを実施した。また、「温暖化対策 環境自主行動計画2005年度フォローアップ結果」(11月)を公表するなど、地球温暖化対策の自主的な取り組みを推進した。
  3. 欧米に調査団を派遣して、経済団体などと温暖化対策の課題と展望などを意見交換する(5月)とともに、国連気候変動枠組条約第11回締約国会議及び京都議定書第1回締約国会合(11月)でわが国経済界の取り組みなどを紹介した。
  4. 容器包装リサイクル制度の見直しに向けて、「実効ある容器包装リサイクル制度の構築に向けて」(10月)を取りまとめ、政府・与党に働きかけた結果、最終的に経済界の主張が反映された。
  5. 「環境自主行動計画(廃棄物対策編)2005年度フォローアップ調査結果」(2006年3月)を公表するなど、廃棄物処理問題の自主的な取り組みを推進した。
  6. 低濃度PCB汚染機器の処理やアスベストによる健康障害救済の問題に関する経済界の意見ならびに廃棄物・環境保全分野、危険物・防災・保安分野に関する規制改革要望を取りまとめた。

(3) エネルギー戦略の確立

  1. 原油価格の高騰や発展途上国のエネルギー需要の増大を背景として、わが国を支えるエネルギー戦略の確立に向けた経済界の意見を取りまとめるべく、関係者から意見聴取した。
  2. 資源・エネルギー分野における規制の合理化や見直しに関する規制改革要望を取りまとめた。

(4) 宇宙開発利用・海洋開発の推進

  1. H−IIAロケットの打上げ再開を受けて、準天頂衛星システムなど宇宙の産業化、利用拡大のための具体的プロジェクトの実現を働きかけた。第3期科学技術基本計画の中で、宇宙分野での推進戦略に関する経済界の意見が反映されるよう、働きかけた。
  2. 「海洋開発推進のための重要課題について」(11月)を取りまとめ、第3期科学技術基本計画の中で経済界の意見が反映されるよう、働きかけた。

(5) 防衛生産・技術基盤の維持・強化

  1. 防衛生産技術基盤の維持強化と国際協力の重要性について経済界の意見反映を図るとともに、防衛大綱や中期防の着実な実行に向け、平成18年度予算での予算措置を政府・与党に働きかけた。
  2. 日米の官民防衛関係者とともに、日米間の防衛装備・技術協力の推進に向けて検討した。

(6) 自然保護プロジェクトの推進

  1. 公益信託日本経団連自然保護基金を通じ、国内外の自然保護プロジェクトを支援した。
  2. 国内外の自然保護に関するNGOと企業担当者の連携、交流を進めるため、交流会やフォーラムを開催した。

(7) むつ小川原開発の推進

  1. 国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致に向けて、政府・与党に働きかけた結果、わが国は準ホスト国の権利を得た。
  2. むつ小川原への官民のプロジェクトの立地、計画の策定などに関して、むつ小川原開発推進協議会の活動に協力した。

5.社会関係

(1) 広報・出版活動の積極的展開

  1. 重要課題に関する広報戦略を総合的な見地から検討した。
  2. 経済トレンド日本経団連タイムスなど機関誌・紙の発行とその他の出版物の拡販に努めた。
  3. 連合首脳と直面する重要課題に関して意見交換を行うなど、各界との対話を促進した。

(2) 企業・経済界に対する社会の共感と信頼の向上

  1. 企業倫理を徹底するため、10月の企業倫理月間を機に、奥田会長より全会員代表者宛に「企業倫理徹底のお願い」を送付するとともに、企業倫理トップセミナー、企業倫理担当者向けの研修会などを開催した。また、会員の取り組みの現状や問題点を把握するため、アンケート調査を実施し、結果を公表 <PDF> した(12月)。
  2. 会員に関わる不祥事の調査ならびに会員に対するコンプライアンス体制の構築・改善に関する支援を行なうとともに、企業不祥事に対する日本経団連の対応のあり方を検討した。

(3) 政策本位の政治の実現

  1. 2004年11月の「優先政策事項」に基づいて、自民党と民主党の「2005年政策評価」(10月)を発表するとともに、会員企業の自発的な政治寄付を呼びかけた。また、2006年の政策評価の尺度となる「優先政策事項」(11月)を公表した。
  2. 政策本位の政治の実現に向け、自民党幹部との懇談会(4回)をはじめ各種会合を開催し、重要政策課題を巡り、意見交換した。
  3. 企業や個人の政治寄付を促進するため、諸外国の例を参考に、政治資金規正法や税制の問題点を検討した。

(4) 義務教育改革への対応

  1. 中央教育審議会での義務教育改革の検討作業において、「多様性」「競争」「評価」を基本とする経済界の考え方を主張するとともに、義務教育改革に関する提言の取りまとめを進めた。
  2. 学校選択制の導入成果などを調査するため、小中学校を訪問した(5月、10月)。

(5) 企業の社会貢献活動の推進、NPO等との連携・協働の支援

  1. 企業の社会的責任(CSR)の観点から、社会貢献活動のあり方を検討するとともに、「2004年度社会貢献活動実績調査結果」(2006年2月)を取りまとめた。
  2. 「企業行動憲章」「企業行動憲章実行の手引き」 <PDF> を基に、「CSR推進ツール」 <PDF> を作成するとともに、会員企業に対する「CSRに関するアンケート調査」の集計結果 <PDF> を公表した(10月)。
  3. 国際標準化機構(ISO)における社会的責任(SR)をめぐる議論に対して、規格の設計仕様書に関するわが国経済界の考え方を反映させるため、関係方面に働きかけ、要望を実現した。

6.経営労働関係

(1) 企業経営に係る指針の策定

「経営と人」に関する基本的な考え方を総合的に検討し、全国の企業経営者の指針となる報告書「2006年版経営労働政策委員会報告」(12月)を取りまとめた。
今次労使交渉への対応として、個別企業の賃金決定は個別労使が経営事情を踏まえて行うべきであることなどを主張した。

(2) 適切な雇用対策・人事労務管理のあり方の検討

  1. 改正障害者雇用促進法に係る政省令の改正に対して、企業における障害者雇用の実効性を高めるため、経済界の意見を取りまとめた。
  2. 雇用保険3事業や助成金の改廃を政府に求めるとともに、特別会計の見直しに向けて、雇用保険制度の今後のあり方を検討した。
  3. 「2006年度・新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」(10月)を発表し、会員企業に遵守徹底を求めた。
  4. 男女雇用機会均等法の改正に向けて、経済界の考え方を取りまとめ、労働政策審議会において反映させた。
  5. 労働安全衛生法・労災保険法令の改正ならびにアスベストによる健康障害救済の問題に関して、会員企業や業種団体などの意見を取りまとめ、労働政策審議会などにおいて反映させた。

(3) 健全な労使関係の発展、賃金管理のあり方の検討

  1. 労使コミュニケーションのあり方について、会員企業へのアンケート調査などを通じて、報告書を取りまとめるべく検討した。
  2. 健全な労使関係の維持・発展に向け、労働組合動向などの実態把握に努めるべく、労働組合幹部と意見交換した。
  3. 中央最低賃金審議会における地域別最低賃金改定の審議状況を把握した上で、使用者側の対応を決定した。

(4) 労働法規の整備

  1. 「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」(6月)を取りまとめ、ホワイトカラーを一定要件下で労働時間規制の適用除外とする制度を提案した。また、「労働契約法制に対する使用者側の基本的考え方」(10月)を取りまとめた。
  2. 労働審判制度施行に向けて、労働審判員候補者の研修を行う体制作りなどに協力した。

(5) 中小企業問題の検討

中小企業関連施策に関して、中小企業庁などと意見交換した。また、中小企業の経営革新に向けた人材育成の課題などを検討した。

(6) 労働力減少への対応、安心・安全な社会づくりの推進

  1. 「若手社員の育成に関する提言」(5月)を取りまとめ、入社から10年目くらいまで若年社員の活用策と環境整備を提言した。
  2. 「安全・安心な地域社会づくりに向けて〜企業の防犯への取組みと課題〜」(5月)を取りまとめ、治安・防犯対策に対する経済界の関わり方などを提言した。

(7) 少子化対策の検討

少子化対策について、提言を取りまとめるべく、企業の取り組み、政府などに要望すべき事項を検討した。

(8) 国際労働・社会分野における議論への参画

  1. ILO総会に向けて、各議題に関するわが国使用者側の見解を取りまとめるとともに、代表団を派遣した(6月)。
  2. 中国におけるホワイトカラーの採用や処遇の問題などについて、報告書を取りまとめるべく検討を進めた。

7.国際関係

(1) 経済連携の推進

  1. 日タイ経済連携協定(EPA)の早期締結に向け、政府間交渉の現状と課題を把握し、意見交換を行うとともに、タイ政府首脳に対して、わが国経済界の関心事項を伝え、交渉の進展を促した。
  2. 東アジアにおける経済連携強化を目的に、「日ASEAN包括的経済連携協定の早期締結を求める」(12月)を取りまとめ、関係方面に働きかけた。
  3. わが国の資源エネルギー確保などの観点から、GCC(湾岸協力会議)との経済関係強化に向けて、「日GCC経済連携協定の早期交渉開始を求める」(9月)を取りまとめ、関係方面に働きかけた。
  4. 日・ASEAN包括的連携(AJCEP)、日韓自由貿易協定(FTA)、日インドネシア経済連携協定(EPA)、日越経済連携協定(EPA)などに関して、関係者と意見交換した。

(2) WTO新ラウンド交渉の推進・強化

  1. WTO新ラウンド交渉に向けて、わが国経済界の要望事項として取りまとめた「WTO新ラウンド交渉・香港閣僚会議の成功を望む」(9月)に基づき、米国(9月)、欧州(10月)にミッションを派遣し、WTO事務局幹部、各国政府および経済団体に働きかけた。
  2. 「WTO香港閣僚会議に向けた緊急提言」(12月)を取りまとめ、わが国経済界の代表団を香港閣僚会議に派遣し、各国経済団体と連携して、閣僚会議の成功と交渉の推進を働きかけた。
  3. 在留資格の整備及び要件の見直し、査証発給手続の簡素化・迅速化・透明性確保のための規制改革の実現を働きかけた。
  4. BIACの各専門委員会などにおいて、わが国経済界の意見を述べるとともに、来日したOECD関係者と意見交換した。

(3) 今後の経済協力のあり方の検討

「政策金融機能のあり方について」(11月)を取りまとめ、わが国国際競争力の維持・向上やリスクの高い資源・エネルギーの開発に対する超長期のファイナンスなどの政策金融機能の維持を提言した。

(4) 北米

  1. 日米民間の政策対話チャンネルを強化し、相互信頼・依存関係を深めるため、ビジネス・ラウンドテーブルとの会合(7月、於:ニューヨーク)を開催するなど、米国経済界、有識者と意見交換した。
  2. 日米間の人の移動を円滑にするため、米国政府のビザ政策、運転免許証発給・更新に係わる規制の見直しを要望した。
  3. 第2回日本カナダ経済会議(於:トロント)を開催し(10月)、日加経済連携強化のあり方について検討した。

(5) 欧州

  1. EU拡大の経済的影響を把握し、日本企業との協力の可能性を探るため、ブルガリア、ギリシャ、トルコにミッションを派遣した(9月)。
  2. 「欧州統合と日欧経済関係についての基本的考え方」を取りまとめるため、有識者と懇談し、検討を進めた。
  3. パルヴァノフ ブルガリア大統領、カラマンリス ギリシャ首相、サンパイオ ポルトガル大統領、ヴァンハネン フィンランド首相、トゥーマン ドイツ産業連盟会長など、各国要人と懇談した。

(6) 中国、アジア・大洋州

  1. 日中経済関係のさらなる拡大に向けた方策について意見交換するため、中国ミッションを派遣した(9月)。
  2. WTO加盟後の中国とのビジネスの現状と課題について検討し、「ポジションペーパー」(2006年3月)を取りまとめ、第3回日中通商対話ミッションを派遣し、中国政府関係者と意見交換した。
  3. 中国重慶市における環境植林の第2期プロジェクトを2006年度から推進するため、視察ミッションの派遣(9月)など準備を進めた。
  4. 第4回韓中日ビジネスフォーラム(於:ソウル、10月)に参加し、日中韓投資協定締結の早期実現などを盛り込んだ共同声明をとりまとめ、日中韓3か国政府に働きかけた。
  5. 台湾(12月)、タイ(2006年1月)、香港(2006年2月)との合同会議を開催した。
  6. 胡錦濤 中国国家主席、温家宝 中国国務院総理、マンモハン・シン インド首相、ユドヨノ インドネシア大統領、タクシン タイ首相、リー・シェンロン シンガポール首相、ファン・ヴァン・カイベトナム首相など、各国要人と懇談した。

(7) 中南米

  1. 日本と中米5カ国(グアテマラ、エルサルバドル、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス)との外交関係樹立70周年の関連行事の開催に協力した。
  2. コロンビア(4月)、ブラジル(5月)、メキシコ(2006年1月)との合同会議を開催した。
  3. ウリベ コロンビア大統領、ルーラ ブラジル大統領、フォックスメキシコ大統領など、各国要人と懇談した。

(8) 中東・アフリカ

  1. アフリカ開発支援に関して、英国アフリカ委員会(6月)、国連開発計画(UNDP)(7月)ならびにわが国政府や関係機関(9月)などの関係者と意見交換した。
  2. エルドアン トルコ首相、サーレハ イエメン大統領、ジャアファリー イラク首相、モッタキ イラン外相など、各国要人と懇談した。

(9) ロシア・NIS

  1. 日本ロシア経済協力フォーラムを開催し、プーチン大統領をはじめとするロシア政府・経済界と意見交換した(11月)。
  2. ロシアのビジネス環境に関する現状認識や事業環境の改善要望を把握するため、会員企業へのアンケート調査を実施した(7月)。
  3. エネルギー、輸送・観光、科学技術の分野において、日ロ協力を推進するとともに、ロシア極東地域との交流に努めた。
  4. 日本とウクライナの経済協力を拡大するため、キナフ ウクライナ第一副首相と懇談した(7月)。
以上

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