日本経団連2006年度事業報告：委員会等の活動

日本経団連の活動の指針となる総会決議「人間力の発揮を通じて時代を切り拓く」を取りまとめた（４月の当委員会において審議を行い、５月24日の定時総会において採択）。
同決議では、グローバル競争のさらなる激化や、国内における人口減少社会の到来といった日本経済が直面する大きな変化に一刻も早く対応するため、さらなる構造改革と新たな成長戦略が求められているという認識を示した。
そして、絶えざる技術革新と経営改革に努め、わが国の強みである製造業の競争力をさらに高めるとともに、サービス産業の質的向上を図ることにより、世界経済の成長力を取り入れていくことができれば、日本経済のさらなる発展は十分可能であると訴えた。
政府に対しては、企業の競争環境や国民の意識、行動の変化を踏まえ、改革をさらに前進させるよう求めた。
企業人に対しては、わが国社会が伝統的に持つ良さや強みを活かしながら、新しい価値を創造するため、新たな時代を切り拓く若い世代の育成を求めた。
さらに、企業の社会貢献としての政治寄付を促進し政策本位の政治の実現を支援すること、ならびに、企業が自己の規律強化と公正な競争の実現を通じて内外から信頼される存在となることを目指し、全力を尽くしてゆく旨を確認した。

新ビジョン「希望の国、日本」の取りまとめ

2007年１月１日、日本経団連は、グローバル化のさらなる進展や人口減少と少子・高齢化の進行といった経済社会の潮流変化を踏まえ、日本が目指すべき国のかたちとその実現に向けたロードマップを示した「希望の国、日本」と題する新ビジョンを公表した。
本ビジョンでは2015年までを視野に入れ、目指すべき国家像を「精神面を含めより豊かな生活」「開かれた機会、公正な競争に支えられた社会」「世界から尊敬され親しみを持たれる国」として掲げ、それを実現するための具体的な政策を「新しい成長エンジンに点火する」「アジアとともに世界を支える」「政府の役割を再定義する」「道州制、労働市場改革により暮らしを変える」「教育を再生し、社会の絆を固くする」という５本の改革の柱で示した。また、今後５年間に取組むべき施策として「アクションプログラム2011」をまとめた。同プログラムは、19の政策課題について114の具体的課題を掲げている。今後、各委員会で分担し、その実現に取組んでいくこととしている。

（２）国の基本問題検討委員会

与野党間で協議が続いている国民投票法案をめぐる動向の把握に努めた。また、各地域経済団体との経済懇談会等で、同法案に対する経済界の考え方を説明をした。

２．経済・法制関係

（１）経済政策委員会

１．持続的な経済成長に向けた経済運営のあり方の検討

生活水準の向上、財政や社会保障制度の維持・存続に不可欠となる経済成長の実現に向けた方策を企画部会（部会長：築舘勝利東京電力副社長）を中心に検討し、提言「日本型成長モデルの確立に向けて」（2007年１月16日）を公表した。その内容は、ビジョン「希望の国、日本」に優先課題の柱として盛り込まれた。

２．経済・金融情勢の把握

経済情勢専門部会を月１回開催し、内閣府および日本銀行からマクロ経済全般にわたって説明を聞いた。また、金融情勢懇談会を四半期に１回開催し、日本銀行から金融市場情勢について説明を聞いた。

３．経済統計の改善に向けた検討、官庁統計における報告者負担の軽減

(1) 統計調査、統計行政についての意見交換

2007年３月に統計部会（部会長：佐々木常夫東レ経営研究所社長）を開催し、総務省から、公的統計の体系的整備などを目的とした統計法の全部改正、2009年より調査実施予定の経済センサスについて説明を聞くとともに意見交換した。

(2) 統計審議会における対応（指定統計）

政府の統計審議会（総務大臣の諮問機関）に、佐々木統計部会長が委員として参画し、経済界の視点から、適宜意見を表明した。

(3) 総務省の意見照会への回答（承認統計）

統計報告調整法に基づき官庁が実施する承認統計のうち、企業・事業所を対象とした調査について、総務省から約60件の意見照会を受けた。これに対し、関係企業・団体の意見を踏まえつつ、報告者・利用者の観点から個別に審査し、改善につき回答した（レポート・コントロール制度）。

（２）税制委員会

2006年度においては、漸く回復軌道に乗ったわが国の景気を一層力強いものとするよう、国際競争力強化の観点を重視した税制改革の実現に取組んだ。

１．平成19年度税制改正に際しての取組み

政府・与党における税制改正の検討作業への意見反映を図るべく、企画部会（部会長：田中稔三キヤノン専務取締役）を中心に精力的な検討を行い、「平成19年度税制改正に関する提言」（2006年９月19日）を取りまとめ、その実現を図るため政府・与党への積極的な働きかけを行った。
同提言では、第一に、国際的に見て高止まりの状況にある法人実効税率の引下げを求めた。第二に、減価償却制度について、国際的な整合性を踏まえ、償却可能限度額の撤廃、償却カーブの見直しおよび法定耐用年数の短縮の必要性を提言した。第三に、近年、巨額の更正が相次ぐ移転価格税制の制度・運用両面での改善を求めた。また、三角合併の解禁や信託法改正、会計基準の変更に対する適正な税制措置の創設、さらに、景気維持の観点から証券税制、土地・住宅税制の優遇措置の維持・拡充を要望した。
その結果、12月の与党税制改正大綱には、減価償却制度の40年ぶりの大改正が盛り込まれ、償却可能限度額、残存価額の撤廃と「250％定率法」の導入、一部技術進歩が著しいＩＴ分野の設備についての法定耐用年数の短縮等、国際的に遜色のない制度が実現することとなった。また、移転価格税制については二重課税に伴う企業負担を軽減するために「納税猶予制度」が創設された。
さらに、三角合併の税制の取扱いについては、現行の組織再編税制の枠組みに沿った課税繰延を認めるとともに、信託法改正やリース会計基準変更に伴う税制措置がとられることとなった。
証券税制については、上場株式等の配当および譲渡益に係る軽減税率がそれぞれ１年延長されることとなった。
土地・住宅税制については、事業用買換特例の２年間の延長、住宅ローン控除の拡充、バリアフリー改修促進税制などが盛り込まれた。
法人実効税率の引下げについては、政府税制調査会の答申に、その必要性が明記された。

２．歳出入一体改革に関する中間取りまとめの公表

歳出・歳入両面を踏まえた中長期の改革のあり方について経済界の考え方を取りまとめ、「歳出入一体改革に関する中間とりまとめ」（2006年４月18日）を公表した。それに基づき「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」（2006年７月７日）に経済界の意見を反映させるべく関係方面への働きかけを行った。

３．租税条約ネットワーク拡充への取組み

二国間の経済取引の一層の円滑化を図るため、フィリピン、フランス、オーストラリア、アラブ首長国連邦、クウェート、パキスタン等、わが国にとって重要な貿易相手国との租税条約の交渉・締結に際し、経済界の意見を取りまとめ、その反映に取組んだ。

（３）財政制度委員会

１．成長力の維持・強化と財政再建の両立に向けた検討

成長力の維持・強化と財政再建の両立に向けた方策について検討を行った。具体的な検討は、2006年８月以降、企画部会（部会長：大内俊昭みずほ総合研究所社長）において、有識者からの意見聴取を踏まえつつ、財政の持続性を確保するための健全化目標および、そのために必要となる具体的施策、歳出・歳入一体改革に関する財政シミュレーションに関し検討を行い、提言「成長と財政健全化の両立に向けて」<PDF>（2007年１月16日）として、公表した。その内容は、ビジョン「希望の国、日本」に盛り込まれた。

２．今後の財政運営のあり方をめぐる意見交換

2006年11月に、尾身幸次財務大臣ほか財務省幹部と、御手洗会長をはじめとする日本経団連幹部との意見交換会を開催し、2007年度予算編成および税制改正の検討状況や、人口減少、国際競争の激化などを踏まえた、今後の財政運営のあり方について種々懇談した。

３．財政制度等審議会への参画

財政制度等審議会（財務大臣の諮問機関）に、経済界からの委員が多数参画し、「歳出・歳入一体改革に向けた基本的な考え方について」（2006年６月）ならびに「平成19年度予算の編成等に関する建議」（2006年11月）などの取りまとめにあたり、意見表明を行った。

（４）社会保障委員会

１．社会保障制度の中長期のあり方に関する検討と意見書の建議

ビジョン「希望の国、日本」のフォローアップもかねて、当委員会としての考え方を整理し、具体化に向けた検討を行った。
医療改革部会（部会長：齊藤三菱電機取締役上席常務執行役）では、有識者との意見交換や、医療制度改革検討ワーキング・グループでのビジョンの具体化に向けた検討を行った。個人の自助努力の促進や患者の選択肢拡大、効率的な医療提供体制の確立などを求める意見書「持続可能で国民の満足度の高い医療の実現に向けて」（2007年２月20日）を取りまとめ、政府・与党に建議した。
年金改革部会（部会長：岡本康男大日本住友製薬会長）では、政府における年金制度の財政検証の開始を念頭に中期的課題の検討を始めた。短時間労働者への厚生年金適用拡大について関係団体から意見を聞くとともに対応策を検討した。
社会保障情報システムワーキング・グループを設けてＩＣＴの活用により、社会保障制度を利用者に利便性の高いものへ改善するための検討を行った。
行政のたて割りを改めて、制度に関する照会・申請等を一元的に行える「社会保障ポータルサイト」等の導入を求める「社会保障制度のＩＣＴ化促進に関する提言」<PDF>（2007年２月20日）を取りまとめ、政府・与党に建議した。
この他、船員保険制度改革に関して委員にアンケート調査を行い、その結果を政府の検討会の取りまとめに反映させた。

２．各種審議会への対応と規制改革の推進

「社会保障の在り方に関する懇談会」や社会保障審議会等の審議会において、公的給付の抑制、制度運営の効率化などを訴え、意見反映に努めた。
６月と11月には、医療、年金、社会保険分野における規制改革要望を取りまとめ、関係省庁に実現を働きかけた。

（５）金融制度委員会

１．資本市場をめぐる課題への取組み

資本市場部会（部会長：島崎憲明住友商事副社長）では、東証上場制度総合整備プログラムに向けたディスカッションペーパーに対して2006年４月28日に提出したコメントの実現に向け、売買単位の集約などに関し、東証に対して働きかけを行った。また、内部者取引の未然防止に向けた証券界の取組みに対し、総合的な費用対効果などを十分勘案した実現可能な仕組み作りを求めた。

２．日本政策投資銀行民営化に関する取組み

企画部会（部会長：山﨑敏邦ＪＦＥホールディングス副社長）では、日本政策投資銀行の民営化に関し、長期安定資金供給など、経済社会からの要請に応えるために不可欠な機能の維持を求める旨の中間的取りまとめを行い、実現を働きかけた。その結果、経済界の要望も踏まえた「株式会社日本政策投資銀行法案」が通常国会に上程された。

３．株券電子化への協力

株券電子化制度に関し、発行会社のコスト削減、利便性向上や株主状況の迅速な把握等の観点から、関係府省や各界関係者による関連政省令案や実務設計の検討への協力を行った。

４．金融・保険・証券分野の規制改革要望取りまとめ

会員企業を対象としたアンケートに寄せられた意見をもとに、６月に日本経団連としての規制改革要望を取りまとめるとともに、８月および12月に再度意見を提出するなど、その実現を働きかけた。

（６）経済法規委員会

１．会社法対応ひな型の公表

企画部会（部会長：八丁地隆日立製作所副社長）では、会社法施行に伴い、会社法上作成が要求される事業報告、計算書類など各種書類について、従来の経団連ひな型の全面的な見直しを行い、「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」<PDF>（2007年２月９日）を公表した。

２．信託法改正、電子債権法制整備、保険法改正への取組み

信託法に関しては、社会経済の発展に的確に対応するため、事業信託を可能とするなど、経済界の選択肢を増やすための早期改正を働きかけた。その結果、改正信託法案が2006年12月８日に臨時国会で成立した。また、電子債権法制については、企画部会において、８月に「『電子登録債権法制に関する中間試案』に対するコメント」を公表し、経済界の意見が反映されるよう働きかけた。その結果も反映した電子記録債権法案が、今期通常国会に上程された。また、保険法改正については、2006年11月から開始した法制審議会保険法部会の審議について企業への影響の観点から、その議論の動向の把握に努めた。

３．Ｍ＆Ａ法制の一層の整備を求める提言

Ｍ＆Ａに関する懇談会（座長：島崎憲明住友商事副社長）では、2006年６月７日に成立した改正証券取引法（金融商品取引法）について、公開買付制度および大量保有報告制度等の改正に係る政令および内閣府令に関して金融庁と折衝を行い、経済界の意向の反映を実現した。
また、企業価値を損なうＭ＆Ａに対する法整備が欧米に比べて依然として脆弱であることから、合併等対価の柔軟化（いわゆる三角合併）の規律の強化など、Ｍ＆Ａ法制全般の見直しを検討し、提言「Ｍ＆Ａ法制の一層の整備を求める」（2006年12月12日）を取りまとめ、政府・与党に実現を働きかけた。特に三角合併に関しては、2007年５月１日の制度施行に向け、少数株主の保護、技術流出の防止の観点から、決議要件の問題点を政府・与党に対し、重点的に訴え続けた結果、2007年３月の自民党商法小委員会では、三角合併の際の対価に係る詳細な開示が義務づけられることとなった外、経済産業省貿易経済協力局における外為法の見直しの検討が開始されるに至った。

コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンス部会(部会長：立石忠雄オムロン副社長)では、我が国におけるコーポレート・ガバナンスのあり方に関し、前年度に引き続き有識者からの意見聴取（４月６日：三輪芳朗東京大学大学院経済学研究科教授、４月21日：神田秀樹東京大学大学院経済学研究科教授）を実施し、意見書「我が国におけるコーポレート・ガバナンス制度のあり方について」（2006年６月20日）を取りまとめた。また、意見書で指摘した課題の解決に向け、有識者との意見交換（12月12日：舩橋晴雄一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授、３月15日：大杉謙一中央大学法科大学院教授）を行った。

５．消費者問題への対応

消費者法部会(部会長：渡邉光一郎第一生命常務執行役員)では、2006年5月に成立した消費者団体訴訟制度の導入を内容とする「消費者契約法の一部を改正する法律」の立法過程において、制度の濫用・悪用等を徹底排除し、国民の信頼に足る制度設計を求め、政府・与党等関係方面に働きかけを行った。また、「『消費者契約法の一部を改正する法律』に関する政令・規則・ガイドライン（案）に対するコメント」（2006年12月）を取りまとめ、今後、本来の法の趣旨が後退・悪用されることのないよう、政府において厳格かつ公正な法運用を求めた。

６．独占禁止法・競争政策

官製談合問題への対応については、発注者側が違反行為をそそのかした場合、直接の刑事処分の対象とする「そそのかし罪」の創設をはじめ、経済界の意見の反映に努め、2006年12月、入札等の公正を害する行為を行った発注機関の職員への刑事罰を設けること等を内容として、議員立法により「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」が改正されるに至った。併せて、官製談合の根絶のためには、罰則の強化だけでなく、公共調達制度や予算制度のあり方など制度全体について抜本的な見直しの必要があることを指摘した。
競争法部会（部会長：小林利治東芝執行役常務法務部長）では、課徴金制度のあり方、審査・審判手続きのあり方等独占禁止法の抜本改正に向けて、内閣府に設置された独占禁止法基本問題懇談会における検討に対応し、「『独占禁止法基本問題』に関するコメント」（2006年８月１日）を取りまとめ、特に適正手続きの確保の観点から、審査・審判手続きの見直しについて同懇談会のみならず政府・与党関係方面に働きかけを行い、経済界の意見の反映に努めた。自民党司法制度調査会において準司法手続き全体のあり方の見直しについて検討が進められた。
企業の国際競争力の強化の観点から、グローバル市場を念頭に置いた産業再編を迅速かつ円滑に行える環境を整備すべく、政府・与党に対して企業結合審査のあり方の見直しを求め、政府・与党に対して働きかけを行い、「『企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針』等の一部改正（案）に対するコメント」（2007年3月）の取りまとめ等経済界の意見の反映に努めた。2007年3月、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針（いわゆる企業結合ガイドライン）」等の改正が行われ、企業結合審査の予見可能性、手続きの透明性、迅速性の向上が図られた。

７．司法制度改革

「日本法令の外国語訳化の推進を求める提言」（2004年６月）の実現に向けて、内閣のもとに設置された法令外国語訳・実施推進検討会議における審議等を通じて、引き続き経済界の意見の反映に努めた。また、裁判員制度の円滑な導入に向けて、政府と最高裁の取組みを支援した。

８．会計制度

企業会計部会（部会長：八木良樹日立製作所取締役会議長）では、日本の資本市場の活性化と企業活力の強化のためには、日本の会計基準が国際的に認められることが重要であるという認識のもと、意見書「会計基準の統合（コンバージェンス）を加速化し、欧米との相互承認を求める」（2006年６月20日）を取りまとめ、欧州の関係者を訪問するなど、積極的な働きかけを行った。
財務報告に係る内部統制報告制度の検討に際し、効率的かつ有効な基準の整備を求め、その実現に努めた。また、大規模な説明会を開催するなど、幅広く会員への情報提供を行った。
政府における公認会計士制度見直しと四半期業績の開示制度導入に関連した検討や企業会計基準委員会における新会計基準等の議論に対して、経団連推薦の経済界委員が積極的に参画し、活発な議論を行った。また、部会として、公開草案へのコメントを提出するなど、経済界の意見反映に努めた。

３．行革・産業・国土関係

（１）行政改革推進委員会

１．規制改革の推進

（１）規制改革要望の実現に向けた取組み

全会員企業・団体を対象に実施したアンケート調査に基づき、関係委員会の協力をえて、15分野230項目にのぼる個別の規制改革要望を取りまとめ、６月に政府の集中受付月間に提出した。また、これら個別要望を盛り込んだ「2006年度日本経団連規制改革要望」（2006年６月20日）を発表し、政府・与党関係先に建議した。11月には、再要望を中心に13分野87項目の個別の規制改革要望を取りまとめ、政府の集中受付月間に提出した。

（２）提言「規制改革・民間開放の推進による経済社会の活性化を目指して」の取りまとめ

政府の「規制改革・民間開放推進会議」が設置期限を迎えることを受け、同会議の後継機関の設置等を求めた提言「規制改革・民間開放の推進による経済社会の活性化を目指して」（2006年11月21日）を発表し、政府・与党関係先に建議した。その結果、11月26月に後継期間として「規制改革会議」が発足した。

（３）委員会、規制改革推進部会の開催

11月17日、国際基督教大学の八代尚宏教授から「創造と成長」のための規制改革・民間開放推進の課題について説明を聞いた。また、規制改革推進部会（部会長：山岸隆帝人専務取締役）では７回の会合を開催し、規制改革・民間開放の推進や構造改革特区、市場化テスト、公共サービス改革などについて関係者からヒアリングを行うとともに意見交換を行った。

２．道州制の導入に向けた取組み

道州制の導入に向けた諸課題について検討するため、11月、「道州制に関する検討会」を新たに設置し、道州制導入の意義・目的や政府・与党の取組み等につき７回にわたり検討した。これら検討の成果を「道州制の導入に向けた第１次提言」<PDF>として取りまとめ、政府・与党関係方面に建議した。また、３月20日には委員会を開催し、石井正弘岡山県知事と道州制の導入に向けて意見交換を行った。

３．行政改革の推進

６月12日、古川貞二郎前内閣官房副長官から「これまでの行政改革に対する政府の取組みと今後の課題」について説明を聞いた。また、以下の活動を行った。

（２）産業問題委員会

１．日本経済の将来を支える産業のあり方に関する検討

中長期的な経済社会の活力の維持・強化に向けたわが国の新たな成長基盤の確立、とりわけ経済社会の担い手である産業の国際競争力強化について検討を行い、政府・与党が７月に取りまとめた「経済成長戦略大綱」に反映されるよう働きかけた。
また、ソフト、ハード、通信キャリア等の連携によるわが国のコンテンツ産業発展に向け、「エンターテインメント・コンテンツ関係者連携に関する懇談会」(座長：岡村委員長)において、「エンターテインメント・コンテンツ関係者の戦略的コラボレーションに向けて」（2006年４月18日）を取りまとめた。

２．エンターテインメント・コンテンツ産業の振興

エンターテインメント・コンテンツ産業部会（部会長：依田巽ギャガ・コミュニケーションズ会長）では、「知的財産推進計画2006の策定に向けて」（2006年３月22日）で掲げた諸課題の実現を政府に働きかけ、知的財産戦略本部の「知的財産推進計画2006」に反映させた。また、盛り込まれた施策の実現に向け、６回の部会会合を重ね、コンテンツ・ポータルサイトの構築作業の一環としてのコンテンツ・ポータルサイト運営協議会（会長：佐藤修ポニーキャニオン会長）の設立支援（８月）、映像産業振興機構の運営への協力、東京国際映画祭への協力（10月）等に取組んだ。加えて、10月に映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会（座長：久保利英明エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク理事長）を設置し、報告書「映像コンテンツ大国の実現に向けて」（2007年２月22日）を取りまとめた。
また、知的財産委員会とともに、「知的財産推進計画2007の策定に向けて」<PDF>（2007年３月20日）の取りまとめを行い、関係方面にその実現を働きかけた。

３．食に係わる産業の振興

食の産業部会（部会長：西野伊史アサヒビール常務取締役）では、残留農薬ポジティブリスト制度に関わる運営面の課題を中心に質問・要望事項等を取りまとめ、厚生労働省と意見交換を行った。また、東アジア食品産業活性化戦略の実行計画の策定にあたり、農林水産省との意見交換を通じて、経済界の意見の反映を図った。

４．外国人受入問題への取組み

「外国人受け入れ問題に関する提言」（2004年４月14日）後の外国人受入施策をめぐるその後の政府・与党の動向に対応すべく、「外国人材受入問題に関する部会」（部会長：島上清明東芝常任顧問）を新設し、国・地方自治体・企業が重点的に取組むべき課題について検討した。同部会では、自民党の木村義雄外国人労働者等特別委員長、内閣府規制改革・民間開放推進室、学界などの有識者から意見を聞いたほか、企業のニーズを調査し、これらをもとに、専門的・技術的分野における外国人材の受入円滑化、在留外国人の生活環境の整備、外国人材の受入企業におけるコンプライアンス体制強化等に焦点を当てた「外国人材受入問題に関する第二次提言」<PDF>（2007年３月20日）を取りまとめた。

（３）起業創造委員会

１．メンター制度に関する検討

2005年度の訪米調査および2006年度の国内クラスター視察調査の結果を踏まえ、クラスターを通じた地域の新産業の創出を促す提言「人的ネットワークと地域クラスターを通じた新産業・新事業の創造へ」（2006年４月18日）を取りまとめた。
同提言で取り上げたメンター制度の日本における定着を目指し、メンター研究会（座長：鳴戸道郎富士通顧問）において具体的な制度の仕組みについて検討を行った。その一環として、日本政策投資銀行や地域経済団体の協力をえて起業フォーラム会員企業や地域のベンチャー企業に対してメンタリングに関するニーズを調査し、その結果を当委員会（11月20日）で報告するとともに制度の実行可能性を探るため早期にパイロット事業に着手することを決めた。

２．ヘルスケア産業の振興に関する検討

ヘルスケア産業部会（部会長：赤星慶一郎オムロンヘルスケア社長）において、2008年４月から導入される生活習慣病予防のための特定健康診査・特定保健指導に関連して、「生活習慣病予防に係る特定健康診査・特定保健指導のアウトソース推進に向けて」（2006年４月18日）を取りまとめた。本意見書の実現に向けてワーキング・グループを設け、「生活習慣病予防に係る効率的で質の高い特定健康診査・特定保健指導の実施に向けて」（2006年８月11日）を取りまとめるとともに、赤星部会長が厚生労働省の「保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会」に委員として参画し、経済界の意見の反映に努めた。
この他、ヘルスケア産業部会のもとに「健康投資と企業経営に関する分科会」（座長：田中敦ジェイティービー事業創造本部事業開発室室長）を設置し、社員の健康増進に向けた諸方策と企業経営に与える影響等に関する検討に着手した。

（４）情報通信委員会

１．ＩＴ新改革戦略への対応

情報化部会（部会長：遠藤紘一リコー専務取締役）を中心に、日本経団連の要望する「成果目標型戦略」「世界一の電子行政」「高度ＩＣＴ人材育成」等の確実な実現のための活動を行った。
重要課題である「利便性の高い電子行政」の実現に関しては、2006年６月に内閣官房および国税庁との意見交換を実施し、それを踏まえ「重点計画-2006」に対する意見として、オンライン行政手続き上の問題点を指摘することで、国税手続きにおけるインセンティブの付与など、その後の各府省における改善に繋げた。また、11月および2007年１月には、ＩＴ戦略本部評価専門調査会・電子政府評価委員会の場で経済界の意見を表明し、ＰＤＣＡサイクルの「Ｃ（Check）」機能を担う評価専門調査会の評価報告に日本経団連の意見を反映させた。
さらに、2007年４月を目処に「世界最先端の電子行政のあり方」に関する提言をまとめるため、ＩＴ新改革戦略推進ワーキング・グループにおいて集中的な議論を行った。

２．高度情報通信人材の育成

「高度情報通信人材育成部会」(部会長：山下徹ＮＴＴデータ副社長)を中心に、提言「産学官連携による高度な情報通信人材の育成強化に向けて」（2005年６月21日）で提案した「産学官連携による、世界レベルの高度なＩＣＴの実践教育を行う拠点大学・大学院等の設立」に向けた具体的な活動を推進した。
４月には九州大学・筑波大学の２校を「重点協力校」に、東海大学他７校を「協力校」に選定した。効率的な実務の推進にあたるため、５月に「拠点支援プロジェクトチーム」を結成し、重点協力校を中心に、カリキュラムの策定、運営組織の立ち上げ、ＰＢＬ（プロジェクト演習）教材等の作成・提供、常勤講師の派遣など、2007年４月の開設に向けて、産学で延べ50回を超える協議を重ねた。また、本プロジェクト全体のマネジメントを行う「戦略・企画チーム」を10月に立ち上げ、組織としての中長期的な取組み体制も整備した。
一方、重要課題である政府との連携については、2006年４月14日に山下部会長が松田ＩＴ担当大臣（当時）を訪問し、産官が歩調を合わせ、集中的な資源投入を行うことが重要との認識で一致したことを受け、文部科学省の「先導的ＩＴスペシャリスト育成推進プログラム」などの選考に際して強力な働きかけを行うことで、上記重点協力校・協力校に対する集中的な予算配分を実現した。

３．ＩＰ時代の通信・放送のあり方の検討

ＩＰ化、通信と放送の融合の動きが進む中、情報通信ワーキング・グループおよび放送のあり方に関する勉強会において、今後の情報通信の枠組みのあり方、競争政策のあり方などについて検討した。また、米国における電気通信制度の基本的枠組みの見直し状況、競争の進展状況と競争政策の推進体制などを把握するため、６月に米国に調査団を派遣し、米国の電気通信政策調査についての調査報告を取りまとめた。これらを踏まえ、７月には、通信・放送政策部会（部会長：前田忠昭東京ガス副社長）において、ＩＰ時代の情報通信ネットワークの姿、政策課題などについて「ＩＰ時代の通信・放送政策のあり方」を中間的に取りまとめた。同取りまとめは、2007年２月の委員会に報告し、承認された。
また、９月には、「ネットワークの中立性に関する日米通信政策カンファレンス」を開催し、日米の有識者を招き、ネットワークの中立性をめぐる日米間の議論の状況、ネットワークの中立性の確保のあり方について理解を深めた。
12月に、情報通信ワーキング・グループを改組し、次世代情報産業ワーキング・グループにおいて、通信・放送の融合法制のあり方および情報通信産業の国際競争力強化のあり方について、有識者および事業者からのヒアリングを重ね、2007年度中の提言発表に向けた準備を行った。

４．インターネットガバナンスのあり方の検討

インターネット社会に関する諸課題を扱う「第１回インターネット・ガバナンス・フォーラム（ＩＧＦ）」（2006年10月末、於：ギリシア・アテネ）に向け、インターネットのセキュリティ問題を中心として経済界の意見を取りまとめ、提言「国際連携による安全・安心なインターネット社会の構築について」（2006年10月17日）を公表した。さらに、関係団体等との合同ミッション（団長：村上輝康野村総合研究所理事長）を派遣、日本政府および国際商業会議所（ＩＣＣ）等と密接に連携しつつ、セキュリティ・セッションにおいて意見を表明するとともに、関係者との意見交換を行った。

５．国際問題部会

国連ＩＧＦの他、Ｇ８やＯＥＣＤ、あるいはＩＣＣなどにおいて、インターネット・ガバナンスのあり方が重要課題として取り上げ始められている状況を踏まえ、これからのインターネット社会のあり方に関する国際的な枠組み作りに、わが国経済界として、より積極的かつ継続的に関与・貢献できる体制を整備するため、2007年２月１日付で国際問題部会（部会長：加藤幹之富士通経営執行役）を設けた。
同部会は、３月に第１回会合を開催し、国際的なインターネット・ガバナンスの最新状況について認識を深めた。

（５）運輸・流通委員会

１．提言「貿易諸制度の抜本的な改革を求める」取りまとめ

当委員会では、国際競争力強化の観点からＩＣＴを活用した物流効率化とセキュリティの確保との両立に向けて提言「貿易諸制度の抜本的な改革を求める」（2006年11月21日）を取りまとめた。

（１）財務省関税局との懇談会

上記提言を踏まえて、財務省の青山幸恭関税局長から今後の制度改正の方向について説明を聞くとともに意見交換を行った（12月４日）。また、財務省関税局の森川卓也参事官と上記提言に関する意見交換を行った（２月14日）。
世界税関機構（ＷＣＯ）事務局の御厨邦雄次長と財務省の青山幸恭関税局長から、貿易円滑化に向けたＷＣＯ・財務省の取組みにつき説明を聞くとともに意見交換を行った（２月９日）。

（２）コンプライアンス・プログラムの調和にむけた検討会の開催

コンプライアンス・プログラムの調和に向けて、財務省・経済産業省・国土交通省から説明を聞くとともに意見交換を行った（２月７日）。

（３）交通政策審議会港湾分科会でのプレゼンテーション

交通政策審議会港湾分科会に丸山和博物流部会長（東レ常務取締役）が出席し、港湾行政の改革に関する日本経団連の考え方を説明した（11月30日）。

（４）原産地規則検討会の開催

利便性の高い原産地証明制度の確立に向けて、経済連携推進委員会との連携のもと、原産地規則検討会を設置した。同検討会では、経済産業省の大澤活司経済連携課参事官補佐（２月26日）、経済産業省の鈴木啓之原産地証明室長(２月20日)、財務省の上川純史関税局原産地規則専門官（３月12日)、日本商工会議所の岡山英弘国際部副部長（１月19日）など関係者から説明を聞くとともに意見交換を行った。

（５）自民党との意見交換会

参議院自民党との意見交換会の行革・規制改革・都市地域政策分科会において、貿易諸制度の抜本的な改革をテーマに意見交換を行った（２月９日）。

（６）国際物流競争力パートナーシップ会議への協力

経済産業大臣と国土交通大臣が共同で開催した「国際物流競争力パートナーシップ会議」において、渡副会長より日本経団連としての意見を陳述した（12月22日）。

（７）アジア・ゲートウェイ戦略会議・物流に関する検討会への協力

安倍内閣が掲げる「アジア・ゲートウェイ構想の実現に向けた戦略会議」の物流に関する検討会に渡副会長が参画し、日本経団連としての意見を陳述した（２月８日）。

（８）中川秀直自民党幹事長、冬柴鐵三国土交通大臣、甘利明経済産業大臣、菅義偉総務大臣を渡副会長が訪問し、上記提言を説明するとともに意見交換を行った（１月15日、16日、24日）。

２．わが国の物流・流通における課題への取組み

輸送委員会と流通委員会の統合に伴い、会員の要望の強い課題への取組みを強化すべく、下記の活動を展開した。

（１）物流インフラの整備に関するこれまでの提言を踏まえ、ボトルネックの解消を通じた物流ネットワークの構築の必要性を中心に意見書「物流インフラの整備について」（2006年７月５日）を取りまとめ、北側国土交通大臣（当時）へ提出した。

（２）国土交通省の尾澤克之政策統括官付政策調整官を物流部会に招き、物流インフラ整備に向けた国土交通省の対応について説明を聞くとともに意見交換を行った（９月14日）。

（３）当委員会を開催し、一橋大学の杉山武彦学長を招き、社会・経済環境の変化を踏まえたわが国の物流・流通における課題について説明を聞くとともに意見交換を行った（９月15日）。

（４）当委員会を開催し、神奈川大学の平田義章講師を招き、国際物流の動向とわが国貿易のあるべき姿について説明を聞くとともに意見交換を行った（10月31日）。

（５）運輸・流通分野における規制改革要望を取りまとめた（６月）。

３．運輸業界の燃料費高騰問題への対応

国土交通省の安富正文事務次官と渡副会長、岡部共同委員長はじめ当委員会幹部との懇談会を開催し、原油価格の高騰による輸送事業者への影響と国土交通省の対応について、説明を聞くとともに意見交換を行った(９月５日)。

（６）農政問題委員会

１．農業団体との対話の推進

農業構造改革の推進に向け、日本経団連首脳と農業団体首脳との懇談会を開催した（12月）。同懇談会では、担い手の育成・確保に向けた具体的取組み等について説明を聞くとともに、日豪ＥＰＡ交渉への対応等について率直な意見交換を行った。
また、10月にはＪＡ北海道の幹部と日本農業・ＪＡの展望、農業構造改革の方向性について意見交換を行った。

２．農業構造改革の推進に向けて

農業構造改革の推進に関連して、政府・与党のほか関連団体、有識者との交流、意見交換を積極的に行った。７月には自民党農政調査会会長兼ＦＴＡ・ＥＰＡに関する特命委員会委員長である谷津義男衆議院議員と懇談を行い、ＷＴＯ、ＥＰＡ交渉への対応を踏まえた農政改革の方向性について意見交換を行った。10月の委員会では、農林水産省の柄沢彰経営政策課長を招き、政府の農政改革への取組みについて説明を聞くとともに、今後10年程度を見据えた当委員会としての取組み目標や中期的な施策等のあり方について検討した。また、2007年１月の委員会では、農林漁業金融公庫の髙木勇樹総裁より農地制度を中心とする農政改革に向けた具体的方策について、２月には日本農業法人協会の長谷川久夫会長ら同協会幹部から農業法人における経営革新への取組み等について説明を聞くとともに意見交換を行った。
企画部会（部会長：松﨑昭雄森永製菓相談役）において、昨年に引き続き、福島県新農政研究会との懇談を行い、農地制度のあり方等につき現場の立場からの説明を聞くとともに、わが国農業の活性化方策につき検討を深めた（2007年3月）。
この他、農政分野におけう規制改革要望を取りまとめた（６月）。

（７）国土・都市政策委員会

１．ＰＦＩガイドライン改定に向けた取組み

2005年８月のＰＦＩ法改正を受けて現在政府が検討を行っているＰＦＩガイドライン改定に向けて、与党としての取組みを働きかけるとともに、経済界の要望を改めて取りまとめるべく、以下の活動を行った。

２．国土形成計画策定に向けた対応

政府が目下進めている国土形成計画の策定に関して、経済界としての課題・要望を反映させるべく、国土交通省国土計画局ならびに関東地方整備局との意見交換を行った。

３．2007年度土地税制改正への取組み

2006年10月５日に委員会を開催し、「平成19年度都市・地域再生関連税制に関する要望」を取りまとめ、住宅政策委員会とも連携しつつ、その実現方に努めた（結果については住宅政策委員会の「住宅・土地税制改正に向けた取組み」参照）。

４．都市・地域の再生の取組みへの対応

2006年10月５日に委員会を開催し、都市再生本部の澤井英一事務局長ならびに国土交通省の中島正弘都市・地域整備局長より都市再生事業に関する政府の取組みについて説明を聞くとともに意見交換を行った。
2007年３月22日に企画部会（部会長：一色誠一新日本石油常務取締役）を開催し、少子・高齢社会における都市開発のあり方に関して三井不動産Ｓ＆Ｅ総合研究所の多田宏行所長より説明を聞くとともに意見交換を行った。
また、土地・住宅分野における規制改革要望の取りまとめを行った（2006年６月）。

（８）観光委員会

１．観光立国推進基本法の成立および基本計画の策定に向けた働きかけ

（１）観光立国推進基本法の成立に向けた働きかけ

提言「観光立国基本法の制定に向けて」（2006年３月）の趣旨を実現すべく、観光立国推進基本法の成立を与野党に働きかけた結果、６月７日に与党が観光立国推進基本法案を通常国会に提出し、継続審議扱いとなった。引き続き10月からの臨時国会の会期においても与野党に働きかけた結果、12月13日に観光立国推進基本法が成立し、2007年１月１日から施行された。

（２）観光委員会の開催

８月１日に委員会を開催し、建築家の安藤忠雄氏より文化財・芸術作品を活用した地域の景観形成や、芸術祭の開催による地域主体の集客戦略等について説明を聞いた。

１月24日に委員会を開催し、愛知和男衆議院議員（自民党観光特別委員長）より、観光立国推進基本法成立の背景とそのポイントについて説明を聞いた。

（３）「観光立国推進基本計画に関する意見」の取りまとめ

観光立国推進基本法に基づいて、2007年６月を目途に策定・閣議決定される予定の観光立国推進基本計画に向けて、企画部会（部会長：宇佐美皓司日本郵船顧問）において「観光立国推進基本計画に関する意見」を３月に取りまとめた。

２．観光立国推進体制の整備に向けた取組み

（１）「観光立国推進体制に関する打合会」の設置

2006年６月に自民党観光特別委員会が「観光行政の強化に関するプロジェクトチーム」を設置したことを受けて、７月に企画部会のもとに「観光立国推進体制に関する打合会」を設置し、わが国の観光立国推進体制のあり方について検討を開始した。

（２）「観光立国推進体制に関する考え－中間とりまとめ」の取りまとめ

「観光立国推進体制に関する考え－中間とりまとめ－」（2006年11月21日）を取りまとめた。なお、当日の委員会では、九州観光推進機構の田中浩二会長より、同機構における先進的な取組み状況について説明を聞いた。

（３）自由民主党観光特別委員会における意見陳述

12月７日、自民党観光特別委員会観光行政の強化に関するプロジェクトチーム（座長：愛知和男衆議院議員）において、江頭委員長が意見陳述して、経済界の考えを自民党の検討に反映させるよう働きかけた。

３．日韓観光協力会議

（１）日韓観光協力会議の開催

９月18日、当委員会では、ソウルにおいて全国経済人連合会観光産業特別委員会との間で「第１回日韓観光協力会議」を開催し、北東アジアにおける観光ゾーン形成に向けた方策を中心に意見交換を行い、今後の協力に関する覚書を採択した。なお2007年には、東京において「第２回日韓観光協力会議」を開催することとなった。

翌19日には、韓国文化観光部および仁川国際空港を訪問するとともに、韓国の観光政策について説明を聞くとともに意見交換をした。

（２）報告書の取りまとめ

日韓観光協力会議をはじめとする訪韓の模様や調査結果については、「日韓観光協力会議　報告書」を取りまとめ、11月９日の当委員会で配布した。

（３）盧成泰韓国経済研究院院長との懇談会

８月24日に、日韓観光協力会議を前に、全経連の付属機関である韓国経済研究院の盧成泰院長との間で、江頭委員長を座長とする懇談会を開催し、韓国の経済情勢や韓米ＦＴＡの背景と日韓ＦＴＡ交渉への影響について説明を聞いた。

４．ドバイミッションの派遣

海外における先進的な観光事業への取組みを調査し我が国の参考とすべく、2007年３月、外資導入によるビジネス客誘致、大規模都市開発による集客交流等を通じて発展を遂げているドバイ(アラブ首長国連邦)にミッションを派遣した。

（９）住宅政策委員会

１．「住生活基本計画」策定に向けた取組みならびに点検作業

2006年６月８日に施行された住生活基本法に基づき策定される「住生活基本計画」に対し、経済界の意見を反映させるため、企画部会ワーキング・グループ（座長：竹内和正旭硝子経営企画室プロフェッショナル）を中心に「住生活基本計画に関する考え方」を取りまとめ、企画部会（部会長：立花貞司トヨタ自動車専務取締役）として国土交通省に要望を行った（2006年６月）。こうした活動の結果、2006年９月19日に閣議決定された「住生活基本計画」には、日本経団連の主張が概ね取り入れられた。
また、住生活基本計画の進捗状況を点検するため、2007年３月27日に企画部会を開催し、国土交通省の依田晶男住宅局住宅政策課長と意見交換を行った。

２．住宅・土地税制改正に向けた取組み

2006年７月10日に企画部会を開催し、2007年度の住宅・土地税制改正に向けた対応を取りまとめ、「平成19年度税制改正に関する提言」（2006年９月13日）に盛り込んだ。また、国土交通省や住宅・不動産業界をはじめとする関係業界などとも連携し、自民党国土交通部会住宅・土地ワーキングチームにおける意見発表（2006年９月13日）や与党幹部への説明など、住宅・土地税制改正実現に向けた働きかけを行った。
こうした活動の結果、2007年度税制改正において、企業の国際競争力強化に向けた設備投資や地域活性化に資する土地の有効活用に不可欠な「事業用資産の買換え特例（16号特例）」の２年間の延長や、都市再生の事業認定制度に関わる特例措置の２年間延長、国民の住宅投資を支援する「住宅ローン減税」の効果を確保するなど、概ね日本経団連の要望が実現した。

３．自民党「200年住宅」ビジョンへの対応

2007年３月６日に企画部会を開催し、自民党住宅土地調査会事務局長の宮澤洋一衆議院議員より「200年住宅」ビジョンについて説明を聞くとともに、意見交換を行った。

（10）地域活性化委員会

2006年10月より、地域経済を活性化させる施策と地元企業の役割をテーマとした活動を開始した。委員会では、10月に中小企業庁より、「2007年度における政府の地域活性化に向けた取組み」について、11月に人口減少化における地域活性化の課題について、東京大学の大西隆教授より講演を聞いた。
12月には、報告書作成に向けた具体的な検討を行うため、企画部会（部会長：横山敬一郎日本通運執行役員）を設置した。企画部会は、12月に地域マーケティング、地域ブランド施策の現状と課題について、上智大学の田中利見教授より、2007年２月に地域経済の構造変化と地域産業・中小企業の発展戦略について、一橋大学の関満博教授より講演を聞いた。そして2007年３月には、企画部会において、委員会報告案についての中間整理と集中討議を実施した。
またこの間、2007年１月には、委員会・企画部会合同会議を行い、芸術による地域活性化について、アートディレクターの北川フラム氏から、地域ブランドの推進に必要な施策について、長野県デザイン振興協会の五味英紀事務局長から聞いた。

４．技術・環境・エネルギー関係

（１）産業技術委員会

１．イノベーションの創出を可能とする環境整備に向けた活動

イノベーションの創出の重要性が高まる中、イノベーション25戦略会議の新設を含め、政府でのさまざまな動向を的確にとらえながら、科学技術政策部会（部会長笠見昭信東芝常任顧問）、重点化戦略部会（部会長：中村道治日立製作所副社長）を中心に、(1) イノベーションの加速化に向けた施策の充実への働きかけ、(2) 第３期科学技術基本計画における施策の進捗状況のフォローアップ等の活動を展開した。
イノベーションの加速化に関しては、2025年を視野に入れた長期の戦略指針の策定を目指すイノベーション25戦略会議に岡村副会長が参加し、経済界の考え方を述べた。また、イノベーションの創出をめぐり、高市早苗科学技術政策担当大臣、甘利明経済産業大臣と各々懇談会を開催するとともに、経済産業省とイノベーション・スーパーハイウェイ構想について意見交換を行った。
フォローアップに向けた活動では、重点化戦略部会において、内閣府の清水一治審議官より各種施策の進捗状況について説明を聞くとともに懇談した。

２．産学官連携の推進

産学官連携の推進については、2006年６月に京都で第５回産学官連携推進会議を、11月に東京で第６回産学官連携サミットを、内閣府、日本学術会議などと共催した。
さらに、理工系博士人材の育成・活用に向けた研究・教育のあり方などについて、大学院博士課程検討会を中心に検討を行い「大学院博士課程の現状と課題（中間報告）」（2007年１月）を取りまとめるとともに、当委員会委員を対象に実施した「企業における博士課程修了者の状況に関するアンケート調査」（2007年２月）を通じ、博士課程修了者に対する企業の評価、求める資質などを明らかにした。こうした検討成果をもとに提言「イノベーション創出を担う理工系博士人材の育成と活用を目指して－悪循環を好循環に変える９つの方策－」（2007年３月20日）を取りまとめた。

（２）海洋開発推進委員会

四方を海に囲まれたわが国にとって、海洋の効率的な開発・利用は国益に直結する重要な課題である。他の海洋国家においては、海洋行政を総合的、一元的に所管する官庁があるが、わが国にはそのような組織がなく、官庁ごとの縦割り行政が続いている。
このような状況に対して、わが国の海洋行政のあり方を見直し、海洋政策大綱および海洋基本法の原案を策定するため、武見敬三参議院議員を代表世話人とする海洋基本法研究会が４月に設立された。同研究会には、学識経験者として伊藤委員長も参加した。
当委員会においては、総合部会（部会長：鈴木賢一日本水産相談役）で、10月に同研究会の事務局を務める海洋政策研究財団の寺島紘士常務理事より検討状況を聞くとともに、今後の進め方等について意見交換した。また、伊藤委員長より、研究会の場で海洋基本法策定に対する経済界の意見を表明した。

（３）環境安全委員会

１．環境問題全般（委員会会合の開催）

７月26日ならびに11月６日に、経済産業省の伊藤元大臣官房審議官から、温暖化対策をめぐる内外情勢と課題について、２月14日に西村六善地球環境大使より、国際枠組をめぐる交渉について、また３月15日には、環境省の由田秀人廃棄物リサイクル対策課長から、廃棄物・リサイクル政策をめぐる課題について、それぞれ説明を聞くとともに意見交換を行った。

２．地球温暖化問題への対応

（１）環境自主行動計画（温暖化対策編）の着実な推進

環境自主行動計画2006年度フォローアップを実施し、11月に結果を公表した。調査には産業・エネルギー転換部門35業種を含む60業種・企業が参加した。産業・エネルギー転換部門では、ＣＯ_２排出量が1990年度比0.6％減と、6年連続で「2010年度のＣＯ_２排出量を90年度レベル以下に抑制する」との統一目標を達成した。また、外部有識者で構成する第三者評価委員会を12月～３月に５回開催し、透明性・信頼性向上のための課題等につき評価報告書を取りまとめた。

（２）温暖化対策の強化・拡充に向けた働きかけ

６月に会員企業・団体に対し、政府が進める国民運動への協力を要請し、日本経団連においても軽装運動等を実施した。８月下旬には、対応状況に関する調査を行い、対応の着実な進捗を確認した。さらに３月には、優れた温暖化対策の共有・活用に向けて「地球温暖化防止対策事例集」を改訂・公表した。

（３）意見書の建議

地球環境部会（部会長：～６月29日服部拓也東京電力副社長、６月29日～12月31日早瀬佑一東京電力副社長、2007年１月１日～猪野博行東京電力常務取締役）を中心に、2013年以降の国際枠組において克服すべき課題について、意見書「実効ある温暖化対策の国際枠組の構築に向けて」（2006年11月21日）を取りまとめるとともに、国連気候変動枠組条約締約国会議（ＣＯＰ12）等の機会において、日本の経済界の取組みや考え方を紹介した。

３．廃棄物・リサイクル問題への対応

（１）環境自主行動計画（廃棄物対策編）フォローアップ調査の実施等

昨年度のフォローアップ調査によって、経済界全体の2010年度目標を３年連続前倒し達成したことから、本年度はフォローアップ調査の実施と併せ、目標の見直し作業を行った。同調査には40業種が参加し、2005年度の経済界全体の産業廃棄物最終処分量は1990年度実績より84.7％削減した。また、経済界全体の2010年度の目標値を「1990年度における経済界全体の産業廃棄物最終処分量を86％削減する(旧目標：75％削減)」に設定し直すとともに、産業廃棄物最終処分量以外の「業種別独自目標」を設定した。併せて、名称を「廃棄物対策編」から「循環型社会形成編」に変更し、循環型社会形成に向けた経済界の幅広い取組みを紹介することとした。本調査は、廃棄物・リサイクル部会（部会長：河野正樹ＤＯＷＡホールディングス社長）、当委員会等の議論を経て、2007年３月に公表した。

（２）廃棄物・リサイクル分野に係る規制改革の推進

５月に廃棄物・リサイクル部会を開催し、慶應義塾大学の細田衛士経済学部教授から規制改革の方向性につき説明を聞いた。６月には、廃棄物処理法を中心とした規制改革要望を取りまとめた。11月には廃棄物・リサイクルワーキング・グループ（座長：志村明彦ＪＦＥスチールリサイクル推進部総括室長）で「廃棄物処理法の欠格要件の見直しに係る再要望」を取りまとめ、２月に環境省の検討会で意見陳述を行った。そのほか、中央環境審議会における木くずに係る廃棄物の区分の見直しに係る検討に対応した。また、３月に経済産業省の横田真リサイクル推進課長を招いて廃棄物・リサイクル部会を開催するなど、産業構造審議会における資源有効利用促進法の見直しに係る検討に対応した。

（３）低濃度ＰＣＢ対策ワーキング・グループの設置

低濃度ＰＣＢ対策ワーキング・グループ（座長：影山嘉宏東京電力環境部長）を７月に設置し、低濃度ＰＣＢ汚染電気機器の処理問題の検討を本格化した。

（４）容器包装リサイクル法に係る経団連提言（2005年10月）のフォローアップ

６月の改正容器包装リサイクル法の成立を受け、８月に環境省の藤井康弘リサイクル推進室長を招いて廃棄物・リサイクル部会を開催し、改正法の内容等の説明を聞いた。また、中央環境審議会、産業構造審議会における政省令の見直しやプラスチック製容器包装に係る再商品化手法の見直し問題の検討に対応した。

（５）不法投棄原状回復基金に対する2007年度以降の対応

2002年度合意に基づく不法投棄原状回復基金への資金協力が2006年度で最終年度を迎えることから、環境省や関係団体等と協議を重ね、2007年度以降３年間の資金協力等について共通の理解をえた。

４．アスベスト問題への対応

「石綿による健康被害の救済に関する法律」の制定（2006年３月）を受け、政府は、石綿による健康被害の救済に係る事業主負担に関する検討会を設け、９月に同検討会の報告書が関係閣僚会合で了承された。これにより、2010年までの国、地方自治体、事業主全体が救済費用を負担するための基準が決定した。

５．環境規制制度の改善に向けた動き

（１）水質総量規制への対応

閉鎖性海域（東京湾、伊勢湾、瀬戸内海）における第６次水質総量規制の設定にあたり、環境管理ワーキング・グループを開催し、環境省水・大気局森谷課長よりＣＯＤ基準値の設定根拠等につき説明を聞くとともに意見交換を行った。

（２）自動車排出ガスの削減への対応

中央環境審議会では、2010年度の大気環境基準の達成に向け、自動車ＮＯ_ＸＰＭ法上の対策地域（首都圏、愛知三重圏、大阪兵庫圏）への不適合車の流入対策や、恒常的にＮＯ_Ｘ濃度が高い局地への重点対策等について検討を進め、12月に最終報告書を作成した。環境管理ワーキング・グループでは、環境省の金丸康夫自動車環境対策課長より、報告書の趣旨等について説明を聞くとともに意見交換を行った。

６．危険物・防災・保安分野に係る規制改革要望の取りまとめ

危険物・防災・保安分野に係る規制改革要望を2006年６月に取りまとめ、実現を働きかけた。安全を政策目的とした分野であるが、技術開発の進展等により対応が可能と考えられる課題や、実態を踏まえた対応が必要な点について要望を取りまとめた。また、保安諸規制の合理化、整合化の観点から、重複規制の抜本的な解消について引き続き要望した。

（４）資源・エネルギー対策委員会

１．長期的なエネルギー戦略に関する検討と提言

（１）提言「わが国を支えるエネルギー戦略の確立に向けて」の取りまとめ

「エネルギー基本計画」の改定など、政府における長期的なエネルギー戦略の策定に向けた検討に対応して、提言「わが国を支えるエネルギー戦略の確立に向けて～エネルギー安全保障を中心に～」（2006年５月９日）を取りまとめ、政府・与党ほか関係方面に建議を行った。提言では、エネルギー戦略を国家安全保障に直結する基幹戦略と位置づけ、政治のリーダーシップによる総合的な戦略立案と遂行を求め、官民の明確な役割分担のもとでの連携により総合力の強化を目指し、原子力推進を中心とするエネルギー供給バランスの最適化などを訴えた。

（２）政府のエネルギー戦略立案への反映

政府の総合資源エネルギー調査会総合部会における「エネルギー基本計画」の改定に向けた審議には、柴田委員長が委員として参加し、経済界意見の反映に努めた。10月３日に資源エネルギー庁の望月晴文長官を来賓として委員会に招き、原子力立国計画について説明を聞くとともに、原子力推進の必要性について議論を深めた。さらに、12月18日、資源エネルギー庁の木村雅昭総合政策課長からエネルギー基本計画改定案の説明を聞くとともに意見交換を行った。その結果、改定基本計画は、エネルギー安全保障に重点が置かれ、国のリーダーシップのもとでの資源外交の重要性、技術開発の戦略的強化、原子力推進の重要性が明記されるなど、概ね経済界の意見が反映された。

２．資源・エネルギー分野における規制改革への取組み

会員企業・団体からの具体的な規制改革要望を踏まえ、資源・エネルギー分野において必要不可欠な安全水準を確保することを前提に、コスト削減や新たな技術やサービス提供、効率的な資源開発などに向けた経済界の取組みを支援し、多様なエネルギー需要に応えることが可能となるよう規制の合理化や見直しを求めた。

（５）知的財産委員会

１．知的財産委員会の新設

2003～2005年度の３年間で第１期知財改革が終了し、2006年度からは第２期知財改革がスタートした。日本経団連でも、知財の重要性の一層の高まりをうけ、これまでの産業技術委員会知的財産部会における活動を継承する形で2006年５月に知的財産委員会を新設し、産業技術委員会から知的財産部会、国際標準化戦略部会を移管するとともに、著作権部会を新設し、企画部会（部会長：加藤幹之富士通経営執行役）、国際標準化戦略部会（部会長：吉田信弘東芝執行役常務）、著作権部会（部会長：和田洋一スクウェア・エニックス社長）の体制で活動を実施した。
2006年７月には、知的財産戦略推進事務局の荒井寿光事務局長、12月および2007年３月には、知的財産戦略推進事務局の藤田昌宏事務局次長、2007年２月には、特許庁の中嶋誠長官を招いて、委員会を開催し、意見交換を行った。

２．「知的財産推進計画2007の策定に向けて」<PDF>（2007年３月20日）の取りまとめ

2007年３月には、産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会と協力して、政府知的財産戦略本部による「知的財産推進計画2007」の策定に向けた知的財産全般にかかる総合的な提言を取りまとめ、関係方面に建議した。具体的な項目として、(1) 世界特許の構築、(2) 模倣品・海賊版対策の強化、(3) 国際的にも知財紛争を処理できる高度法曹人材を育成、(4) 国際標準化への戦略的取組み、(5) 著作権制度の整備などを求めた。

３.国際標準化のための環境整備

国際標準化戦略部会では、2006年10月には知的財産戦略推進事務局の藤田昌宏次長を招き、国際標準総合戦略の検討状況について懇談するとともに、同戦略の取りまとめにあたり、経済界としての考え方について意見陳述を行った。
また、2007年３月には、経済産業省とともに「第３回事業戦略と国際標準化シンポジウム」を共催し、企業の事業戦略における国際標準化活動の重要性について理解促進に努めた。

４．デジタル化・ネットワーク化時代の著作権法制のあり方について検討

５．その他の活動

企画部会で、経済産業省、特許庁、日本弁理士会とそれぞれ意見交換を行うとともに、2007年１月には経済産業省に対して、「包括ライセンス契約による通常実施権の登録制度の創設について」に対するパブリックコメントを提出した。
2006年10月にはマイクロソフトのマーシャル・フェルプス氏、2007年3月には、米国連邦巡回区控訴裁判所（ＣＡＦＣ）のランドール・レイダー判事を招き、アメリカにおける最近の知財の動向について説明を聞くとともに意見交換を行った。
2006年11月には国際電気標準会議（ＩＥＣ）ジャック・レジス次期会長と意見交換を行った。

５．社会関係

（１）広報委員会

日本経団連の活動に関する国内外への広報が積極的かつタイムリーに行われるよう、支援を行った。

（２）企業行動委員会

１．企業倫理月間の実施

「企業不祥事防止への取組み強化について」（2002年10月）では、企業行動に関する会員の継続的な取組みを支援するために、毎年10月を「企業倫理月間」とすることとした。2006年10月も、会員に企業行動の総点検を要請するとともに、セミナー、研修会等を開催した。

（１）「企業倫理徹底のお願い」の送付

経営トップが自らの言葉で企業倫理の重要性を繰り返し訴え、社内体制を強化し、社内の隅々まで徹底することが、不祥事を許さない企業風土を確立することにつながるとして、御手洗会長から全会員代表者あてに、「企業倫理徹底のお願い」を送付した。

（２）企業倫理トップセミナーの開催

約400名の参加をえて、第５回企業倫理トップセミナーを開催した。参加者は、麗澤大学の高巌（たかいわお）企業倫理研究センター長・国際経済学部教授の「経営トップの果たすべき役割について」と題する講演に続き、同教授の指導のもとで事例研究に取組んだ。また、参加者から、各社の企業倫理の確立に向けた取組みについて報告を受けた。

（３）企業倫理担当者研修会の開催

経団連ゲストハウスにおいて、企業倫理担当者研修会を実施した（第５回：９月21日～22日、第６回：11月９日～10日、第７回：２月15日～16日の３回）。第５回と第６回研修会ではベネッセコーポレーションの桜木君枝常勤監査役、中島経営法律事務所の浅見隆行パートナー、三菱自動車工業の川内厚ＣＳＲ推進本部コンプライアンス部長、新日本インテグリティアシュアランスの横田祐次取締役の４氏を、第７回研修会では、桐蔭横浜大学の山本信之コンプライアンス研究センター講師、国広総合法律事務所の芝昭彦弁護士、三井物産の高場真理法務部コンプライアンス室長、警察庁の岸本吉生刑事局組織犯罪対策部暴力団排除対策官・警視長、金沢工業大学の岡部幸徳情報フロンティア学部准教授・経営倫理実践研究センター専任講師の５氏を講師として招き、企業の担当者がコンプライアンスをめぐる最新情勢を学ぶとともに幅広い意見交換を行った。

２．企業行動憲章実行の手引き（第４版）の改訂

個人情報保護法や公益通報者保護法の制定、商法や製品安全法の改正など企業をとりまく法的環境が変化していること等に対応すべく、「企業行動憲章実行の手引き（第４版）」を改訂し、同第５版を取りまとめた。改訂作業は、企画部会（部会長：中村芳夫事務総長）と社会的責任経営部会（部会長：廣瀨博住友化学常務執行役員）の合同ワーキング・グループを設置して実施した。

（１）９月８日、社会的責任経営部会と企画部会の合同会合を開催し、「企業行動憲章実行の手引き」の見直しについて意見交換した。

（２）12月13日、社会的責任経営部会において手引き見直しの必要性について議論した。

（３）12年18日、企画部会において警察庁の岸本吉生刑事局組織犯罪対策部暴力団排除対策官・警視長から、反社会的勢力による被害防止への取組みについて説明を聞くとともに意見交換した。

（４）１月11日に開催した第１回「企業行動憲章実行の手引き改訂ワーキング・グループ」会合を皮切りに、６回のワーキング・グループ会合を開催して検討を行った。ワーキング・グループでは、検討にあたり、中島経営法律事務所代表の中島茂弁護士、経済産業省の田中哲也製品安全課課長補佐から意見を聞いた。

（５）改訂作業を受けて、３月28日、企画部会と社会的責任経営部会の合同会合を開催し、「企業行動憲章実行の手引き第５版」<PDF>について審議した。

３．企業の社会的責任（ＣＳＲ）の一層の推進

社会貢献推進委員会との合同部会である社会的責任経営部会では、部会のもとに設置したワーキング・グループの各作業チームにおいて、先進的事例の収集、ステークホルダーとの対話の促進、国内外の経済諸団体との連携について検討を進めるとともに、情報紙の発行、ホームページや機関誌を通じてＣＳＲに関する情報を提供した。

４．国際標準化機構（ＩＳＯ）におけるＳＲの規格化への対応

企業行動委員会と社会貢献推進委員会の合同委員会、社会的責任経営部会、同ワーキング・グループにおいて、ＩＳＯが進めている社会的責任（ＳＲ）の規格化に対応した。
５月にポルトガルのリスボン、１月にオーストラリアのシドニーで開催されたＩＳＯのＳＲに関するワーキング・グループ総会に専門家やオブザーバーを派遣し、積極的な働きかけを行った。また、各総会後の規格の草案作業においても、これまで各国経済界が求めてきた、第三者認証を目的としないこと、マネジメント・システム規格としないこと、企業だけでなくあらゆる種類の組織を対象とする規格とすることなどの前提条件を満たした規格づくりのために具体的な提案を行った。

５．会合の開催

（１）ＩＳＯにおける社会的責任の規格化に向けた動き

４月18日、社会貢献推進委員会と企業行動委員会の合同会合を開催し、５月に開催されるＩＳＯにおける社会的責任規格化のリスボン総会に向けた取組みについて報告した。９月８日、社会的責任経営部会と企画部会の合同会合を開催し、対応状況について報告し、意見交換した。10月31日には、経済産業省の松本隆太郎大臣官房審議官（基準認証担当）を招き、１月のシドニー総会に向けた取組みについて意見交換した。12月13日には、同シドニー総会に向けた日本経団連としての対応について議論した。２月20日、同シドニー総会の報告会を開催した。

（２）11月28日、フランスのシュネデール・エレクトリック社のラックマン監査役会会長と、アクサ・グループのベベアー監査役会会長を招き、日仏企業によるＣＳＲに関する取組みについて意見交換した。

（３）３月５日、企画部会を開催し、米国モルガン・ルイス・バッキアス法律事務所のマーク・Ｓ・ディクター弁護士から、米国における人事・労務に関連したリスクについて説明を聞くとともに意見交換した。

（４）７月と３月に、ＣＳＲに関係のある委員会の部会長による懇談会を開催し、個々の部会におけるＣＳＲ課題の検討状況を報告し、分野横断的なＣＳＲ課題の洗い出しを行った。

６．企業不祥事への対応

日本経団連の会員にかかわる不祥事に対応し、必要な措置を講ずるとともに、会員からの問い合わせに応じてコンプライアンス体制の構築・改善に向けた助言を行った。

（３）社会貢献推進委員会

１．企業の社会的責任（ＣＳＲ）の観点から社会貢献活動のあり方を検討

当委員会では、1992年から毎年、経団連ゲストハウスで社会貢献フォーラムを開催している。2006年度は「企業の社会貢献～持続可能な社会をどう拓くか」をテーマに実施した（2007年２月23日、24日）。持続可能な社会を実現するために、企業の社会貢献活動が果たすべき役割や可能性、今後重要となる活動領域や推進方法について討議を行った。

２．社会的課題の解決に寄与する社会貢献活動のあり方の検討

７月の委員会では、多様な組織や市民の参加と協働に基づくコミュニティづくりにおいて企業、ＮＰＯ、行政の各々が果たす役割、協働の効果や期待について、立教大学の萩原なつ子社会学部助教授から説明を聞いた。その上で、特定非営利活動法人ＥＴＩＣ．による社会起業の事例紹介を通じて、社会貢献活動を新しいビジネスに結びつける可能性を検討した。
11月の委員会では、日本赤十字社九州国際看護大学の喜多悦子学長から、「企業のグローバルな社会貢献活動に求められていること～国際保健の視点からの提言」をテーマに説明を聞くとともに自然災害、異常気象、新たな感染症の発生、紛争とテロなど、経済社会に大きな影響を与えている問題の解決への関わり方について検討した。
社会貢献担当者懇談会（座長：嶋田実名子花王社会貢献部長）では、社会の持続可能性や人権などの人間の安全保障、社会貢献活動のグローバルな展開、災害被災地支援のあり方などをテーマに、社会貢献の実務担当者の懇談会を９回開催した。

３．2005年度社会貢献活動実績調査

2005年度の社会貢献活動の実績について調査し、447社（回答率：31.9％）から回答をえた。社会貢献活動支出額は、総額で1,444億円、１社平均では3億5,400万円であった。３年に1度の意識・制度調査では、ＣＳＲの一環として社会貢献活動を位置づけ、積極的に展開しようとする企業の姿勢が色濃く表れた。

（４）政治・企業委員会

１．政党の政策評価に基づく政治寄付の促進

日本経団連では、民主導・自律型社会の実現のために緊急かつ重要と思われる「優先政策事項」に基づき、政党の政策評価を実施し、会員企業が政党へ寄付する際の参考に供している。
2006年度は、９月に自民党と民主党の政策評価を発表した。10月には政策評価説明会を開催し、会員企業に対して、企業の社会的責任の一端としての重要な社会貢献として、自発的に政治寄付を行うよう呼びかけた。
2007年１月には、2007年の評価の尺度となる「優先政策事項」を公表した。

２．政党との政策対話

政党との間で各種会合を開催し、重要政策課題をめぐり意見交換を行った。

３．政治寄付促進のための法制、税制の見直し

諸外国の例を参考に、政治寄付に関わる諸制度の課題と対応策につき検討するとともに、政党関係者と意見交換を行った。12月には政治資金規正法が改正され、いわゆる外資規制の合理化が実現した。

（５）政経行動委員会

１．政策評価作業の実施

政治・企業委員会の諮問を受け、９月の政策評価、2007年１月の優先政策事項の改定に向けた作業を行った。また、2007年の評価手法について検討した。

２．政治寄付促進のための諸制度の見直し

政治・企業委員会と協力して、政治寄付促進の観点から、法制度の検討作業を行った。

（６）教育問題委員会

１．「義務教育改革についての提言」（2006年４月18日）取りまとめ

公立学校が教育の質の向上に向けたダイナミズムを生み出していけるよう、従来の提言のうち、特に(1) 学校選択制の導入、(2) 教員評価を含めた学校評価の実施・公表、(3) 教育の受け手の選択を反映した学校への予算配分の実施、の３点について検討を深め提言した。

２．教育再生に向けた働きかけ

教育基本法改正を推進する立場から、６月に委員会を開催し、与党教育基本法改正に関する検討会座長の大島理森衆議院議員より、教育基本法改正に向けたこれまでの議論と今後の見通しなどについて説明を聞くとともに意見交換を行った。また、教育再生を推進する立場から、12月の委員会では、山谷えり子内閣総理大臣補佐官（教育再生担当）より、教育再生会議「第一次報告」の取りまとめを中心に説明を聞くとともに意見交換を行った。
企画部会（部会長：宇佐美聰三菱電機顧問）では、「義務教育改革についての提言」に関連して、教育委員会改革等について有識者より説明を聞くとともに意見交換を行った。高等教育政策、第三者評価のあり方等についても、今後の検討課題として議論を行った。
宇佐美企画部会長が、第３期中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会委員として、経済界の意見反映に努めた。

（７）防災に関する委員会

１．委員会の設置と第１回会合の開催等

災害に強い社会の構築に向け、2006年５月の定時総会において、防災に関する特別懇談会（樋口公啓座長）を発展的に改組し、防災に関する委員会を設置した。
11月９日には、第1回委員会を開催し、溝手顕正内閣府特命担当大臣（防災）より政府の防災に関する取組み状況について説明を聞いた。また、今後の委員会活動について議論し、アンケート等を通じて各企業の防災に関する取組みや委員会活動へのニーズを把握するとともに、人口密集地・産業集積地における大規模地震等、具体的な災害を想定したケース・スタディを実施し、実践的に検討することとした。

２．政府諸機関等における防災関連の検討への対応

中央防災会議や文部科学省、気象庁等における防災関連の検討の状況を注視し、経済界の意見を反映させるべく、適宜、情報収集や働きかけを行った。

６．経営労働関係

（１）経営労働政策委員会

毎春の労使交渉・労使協議に際し、「経営と人」に関する基本的な考え方を総合的に検討し、全国の企業経営者の指針となる報告として「経営労働政策委員会報告」（2006年12月19日）を取りまとめ、発表した。本報告は、副題を「イノベーションを切り拓く新たな働き方の推進を」とし、イノベーションの原動力となる人材を十分に活用していくためには、従来の働き方を見直していくことが必要であると指摘している。そのためには、ワーク・ライフ・バランス（仕事と生活の調和）の基本理念のもとに、多様な人材の活用と柔軟な働き方を推進していくことを提案した。
今次春季労使交渉での賃金決定に関しては、国際競争が激化する今日、企業にとって競争力強化が最重要課題であり、賃金水準を一律に引き上げる余地はないと主張した。また、労働分配率（付加価値に占める人件費の割合）についても、国際競争力強化の観点から、各企業は、適正水準を中長期的観点に立って判断していく必要があること、産業、企業ごとに異なるものであり、高低を一律に論じるべきではないこと、賃金決定は、各社の支払能力、すなわち付加価値生産性（従業員１人あたりが生み出す付加価値額）を基本に、個別に労使間で行うべきであると主張した。そして、今次交渉における主要なトピックとして、総額人件費管理の重要性、賃金制度・賃金体系の見直し、賃金以外の人事処遇制度の見直し、人材育成、退職金や企業年金などの退職給付制度の見直しなどを指摘した。

（２）雇用委員会

適切な雇用政策を実現するために、雇用政策検討部会（部会長：橋本浩樹王子製紙執行役員人事部長）とともに、以下のとおり対応した。

１．雇用保険法・雇用対策法改正への対応

行政改革推進法において労働保険特別会計の見直しが規定され、厚生労働省労働政策審議会雇用保険部会において、雇用保険制度のあり方について検討が行われた。当委員会、雇用政策検討部会での検討に加え、委員に対するアンケートの実施等により意見集約を行い、同審議会において、国庫負担による国の関与の必要性を訴えるとともに、雇用保険三事業の見直し、保険料率の引き下げを主張した。その結果、改正雇用保険法では国庫負担は継続、雇用保険三事業は二事業に整理され、保険料率は引き下げられた。
また、同審議会雇用対策基本問題部会では、雇用対策法について検討が行われた。当委員会、雇用政策検討部会において対応を検討し、同審議会において主張した。

２．高年齢者や障害者の雇用促進に向けた支援

2006年４月施行の改正高年齢者雇用安定法に対応した企業の取組み事例の情報収集ならびに情報提供に努めた。また、障害者の雇用促進に向け、厚生労働省の「障害者の多様な雇用形態を検討する研究会」に参画した。

３．労働移動の円滑化の検討

若年雇用の現状について、東京大学の佐藤博樹社会科学研究所教授ら有識者から講演を聞いた。雇用失業情勢が改善するなか、他の年齢層と比較して、有効求人倍率、完全失業率とも高水準となっている若年層労働の需給ミスマッチの解消に向けて、外部労働市場の整備などの方策を検討した。

４．労働者派遣法の規制緩和への働きかけ

従来から要望している労働者派遣制度における規制緩和（期間制限の撤廃、雇用申し込み義務の廃止、事前面接の解禁）について、委員会の意見を再度確認し、厚生労働省労働政策審議会労働力需給制度部会や厚生労働大臣との懇談において実現を働きかけた。

５．新卒採用問題の検討

（３）人事労務管理委員会

１．男女雇用機会均等法改正への対応

男女雇用機会均等法改正に伴う省令および指針の見直しについて、厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会で審議が行われた。当委員会と労務管理問題検討部会（部会長：坂田甲一凸版印刷人事労政本部労政部長）では、対応を検討して、意見集約を行い、使用者側委員を通じ意見の反映に努めた。

２．パートタイム労働法改正への対応

雇用均等分科会でのパートタイム労働法改正の審議にあたり、当委員会と部会において対応を検討し、改正は慎重に考えるべきであるという基本方針を取りまとめた。その結果、多様な形態のパートタイム労働を一律的ではなく、実態に応じて均衡待遇を図る旨の改正法案策定が行われた。

（４）労使関係委員会

１．企業内コミュニケーションのあり方に関する提言の取りまとめ

多様化する経営環境や労使間の課題に対応して、幅広く行われている労使間コミュニケーションに関して、企業事例を聞くとともに会員企業へのアンケート調査などを踏まえて検討を行い、提言「新たな時代の企業内コミュニケーションの構築に向けて」（2006年５月16日）を取りまとめた。

２．これからの人事・賃金制度のあり方に関する検討

激変する経営環境に対応するための人事・賃金制度として仕事・役割・貢献度等に応じた人事・賃金制度に注目し、政策部会（部会長：横山敬一郎日本通運執行役員総務・労働部長）において、企業の事例を聞くとともに、そのあり方について検討した。

３．最低賃金に関する対応

厚生労働省・中央最低賃金審議会における「2006年度地域別最低賃金額改定の目安審議の状況」に関して、同審議会使用者側委員からの説明を聞くとともに2006年度の目安答申に向けた使用者側の対応について了承した。
また、厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会の「今後の最低賃金制度のあり方」に関する部会報告の取りまとめにあたり使用者側の対応を協議、了承した。

４．労働組合の動向などの実態把握

健全な労使関係の維持、発展に資するために、日本労働組合総連合会（連合）の古賀伸明事務局長から2007年度の連合の活動方針などについて聞くとともに意見交換を行うなど、労組動向の実態把握に努めた。

（５）労働法規委員会

１．労働契約法制・労働時間法制に関わる取組み

厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会における新法制定および法改正の審議において、委員会および労働法企画部会（部会長：小島浩日本アイ・ビー・エム顧問）で対応策を協議し、使用者委員を通じ意見表明した。
労働契約法制では、労使自治の尊重を主張し、企業行動を制約するような規制色の強い項目の削除を求め、一定の成果をえた。労働時間法制については、委員会提言を基盤として一定要件下での労働時間規制の適用除外制度導入を主張し、審議会答申に反映した。その後、与党修正により2007年通常国会への法案提出は見送られた。

２．労働審判制度に関わる取組み

労働審判制度の施行にあたり、最高裁から制度の運用状況について聞いた。

３．安全衛生・労災保険法令改令への対応

労働安全衛生部会（部会長：相川貢ＪＦＥスチール常務執行役員）とその下部組織である産業保健問題小委員会、じん肺問題小委員会、労働安全衛生管理システム小委員会において、2006年９月1日施行の労働安全衛生法改正問題（石綿製造全面禁止、石綿障害予防、ＧＨＳ＝化学物質等の表示および文書交付制度の改善関係）について検討を行い、厚生労働省労働政策審議会の安全衛生分科会審議において、適宜意見を表明した。
また、労働福祉事業について、「適正な労働条件確保事業」の廃止等を主張し、予算圧縮を図った。
さらに、国民の健康保持増進にむけ、医療保険者、事業者、労働者が各々の立場から連携して取組めるよう役割を明確化する観点から、意見書「定期健診項目の見直しに関する考え方」<PDF>（2007年2月16日）を取りまとめ、建議した。

（６）中小企業委員会

１．中小企業の人材確保と育成に関する提言の取りまとめ

本年度の前半は、2005年度に引き続いて、「中小企業の経営革新に向けた人材確保と育成の課題」を主要テーマに、中小企業における人材確保や人材育成、雇用需給のミスマッチなどの諸問題を検討した。これらの検討の成果として、提言「中小企業の人材確保と育成」<PDF>（2006年６月20日）を取りまとめ発表した。報告書は、中小企業を会員企業に多く持つ地方経営者協会からの関心が高く、９月に報告書に関する講演会を５ヵ所（３つの地方経営者協会）で実施した。

２．ものづくり中小企業の発展に向けた調査・研究の開始

10月からは、「中小企業のイノベーションと現場力の強化」を新しいテーマに活動を開始した。主として、ものづくり中小企業におけるイノベーションの現状・方向性と現場力の実態について、ものづくりを担う人材の育成や中小企業の製造現場の労働環境などに焦点を当てて調査・情報収集を行い、中小企業の経営に資する提言もしくは報告書の作成を目指している。2006年５月には、中小企業庁の花木出事業環境部調査室長を招き、「平成18年度中小企業白書のポイント」について説明を聞くとともに意見交換を行った。
その後は、新テーマの調査・研究のために、横浜国立大学の三井逸友教授（2006年10月）、（財）大田区産業振興協会の山田伸顯専務理事・事務局長（同年11月）、中小企業庁の中野節技術課長と早稲田大学の鵜飼信一教授（2007年２月）など、ものづくり中小企業に関する専門家などからのヒアリング・意見交換を行った。さらに、2006年12月以降は、強い競争力を持つとの評価が高い中小企業からのヒアリングや企業視察（北嶋絞製作所、巧電社）を実施した。そして、2007年３月には報告書取りまとめに向けた中間整理のための意見交換を行った。

（７）国民生活委員会

１．提言「子育て環境整備に向けて」の事後調査

提言「子育て環境整備に向けて」（2003年７月）の実施状況の点検のため、会員企業を対象にアンケート調査を実施し、４月に結果を公表した。調査には、107社が回答し、提言で指摘した、企業の意識改革や諸制度の整備については、多くの企業が取組んでいることが分かった。また、会員企業における事業所内保育施設の設置への取組状況について説明を聞くとともに意見交換を行った。

２．「安全安心な地域社会づくりに向けて」の継続的取組み

「安全安心な地域社会づくりに向けて」（2005年５月）を踏まえて、犯罪対策閣僚会議を中心とする犯罪対策の現状と今後の課題について、荻野徹内閣参事官から説明を聞くとともに意見交換を行った。

（８）少子化対策委員会

１．意見書の建議

企画部会（部会長：上坂清日本電信電話取締役第一部門長）を中心に、人口減少の速度をできる限り緩和するための少子化対策を検討し、産業界・企業において取組むべき仕事と家庭生活の両立支援施策に関する考え方を整理した提言「産業界・企業における少子化対策に関する基本的取組み」（2006年５月10日）を取りまとめた。さらに、上記提言を深掘りする検討作業を進め、国全体としての少子化問題に対する共通認識を踏まえた、人口減少下における新しい社会づくりの方向性を示し、企業のワーク・ライフ・バランス（仕事と生活の調和）推進に向けた取組み、政府の総合的な少子化対策、国民一人一人の意識改革に関して、それぞれ取組むべき具体的課題を整理した提言「少子化問題への総合的な対応を求める」<PDF>（2007年３月20日）を取りまとめ、政府・与党に建議した。

２．児童手当乳幼児加算制度創設への対応

政府が2007年４月からの導入を目指した児童手当の乳幼児加算に対して、現行児童手当の財源構成の問題点、児童手当と扶養控除の一本化による税額控除への切り替えの必要性など経済界の意見を取りまとめ、柳澤伯夫厚生労働大臣、高市早苗少子化担当大臣などに働きかけた。

３．少子化問題に関する外部機関の活動への参画

（１）「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」への参画

2007年２月に発足した子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議（議長：塩崎恭久官房長官）に、池田委員長が委員として参画するとともに、会議の分科会に経済界委員が参画し、経済界の意見の反映に努めた。

（２）経済広報センター「少子化問題を考えるシンポジウム」への協力

経済広報センターが2006年10月～11月に３回開催した「少子化問題を考えるシンポジウム」の運営に協力し、各企業の取組みおよび仕事と子育ての両立に取組む女性の抱える課題について理解を深めた。

（３）官民連携子育て支援推進フォーラム」への参画

政府・経済団体・地方関係団体などで構成する「官民連携子育て支援推進フォーラム」の具体的活動の取りまとめに参画し、2007年２月に、職場だけでなく地域における子育て支援を関係方面に呼びかける行動宣言を取りまとめた。

（９）国際労働委員会

１．国際労働機関（ＩＬＯ）への対応

（１）ＩＬＯ総会への対応

５月31日から６月16日まで、スイスのジュネーブにおいて第95回ＩＬＯ総会が開催され、立石委員長を代表とする日本使用者代表団７名を派遣した。同総会では、労働安全衛生を国の重要課題として促進する国家プログラムや制度の策定を求める条約・勧告、ならびに新たな形態の請負や業務委託などの就労者保護の指針となる勧告が採択された。また、ＩＬＯが加盟国に対して行っている法令整備や雇用政策策定などの技術協力に関して討議された。
立石委員長は代表演説で、企業の社会的責任（ＣＳＲ）を取り上げ、ＣＳＲの出発点は、社会からの期待にいかに応えていくか、という経営者の哲学そのものであると述べるとともに、ＩＬＯは、各国政府がＣＳＲの環境づくりを行えるよう助けていく必要があると述べた。
当委員会では、事前に各種議題に臨む使用者側の見解について審議を行うとともに（５月）、参加した使用者側代表団から報告を聞いた（７月）。

（２）その他

５月、ＩＬＯアジア太平洋地域事務所のチャンヒー・リー研究員を講師として招き、改革・開放とグローバル化が中国の労使関係に与えた影響をテーマに講演会を開催した。
この他、産業別、テーマ別に開催される各種の専門家会議やアジア地域の会議・セミナーなど５件に日本使用者側代表を派遣した。

２．日本企業の中国におけるホワイトカラー人材戦略に関する報告書

「日本企業の中国におけるホワイトカラー人材戦略」（2006年５月16日）を発表した。
本報告書では、中国人ホワイトカラー人材を確保し定着させるための戦略として、中国人が働きたいと感じられる企業の魅力を高めて発信することや、企業の付加価値を生むために日本的経営を活かすことを提言した。

３．アジアの日本企業の人事労務管理における好事例の検討

アジア地域に進出している日本企業を対象に、従業員との関係で求められている企業行動について、11月から政策部会（部会長：立石信雄オムロン相談役）で検討した。

７．国際関係

（１）貿易投資委員会

１．ＷＴＯドーハ・ラウンド交渉の推進

（１）諸外国への働きかけと国際連携

１）７月、御手洗会長、宮原副会長が、来日中のＷＴＯのパスカル・ラミー事務局長と懇談し、2006年中の妥結に向けて早期の大筋合意実現を訴えた。同事務局長からは、日米欧の経済界が具体的なアクションを起こしてほしいとの要請があった。また、同時期に、桑田芳郎企画部会長（日立製作所取締役）を団長とするミッションをジュネーブ、ブラッセルに派遣し、提言「ＷＴＯ新ラウンド交渉の成功を望む－2006年中の最終合意を目指して－」（2006年６月20日）をめぐって、ＷＴＯ事務局幹部、各国政府関係者および経済団体と意見交換を行うとともに、その実現を訴えた。さらに、ミッション帰国直後、イアン・マッカートニー英国貿易担当国務大臣と桑田部会長がドーハラウンド交渉の見通しなどについて懇談した。

２）７月末のドーハ・ラウンド交渉中断を受けて、交渉のコアグループであるＧ６諸国の11の経済団体と共同で交渉の早期再開を求める共同声明を取りまとめた。また、９月から10月にかけて、御手洗会長、佐々木委員長、秋草共同委員長がそれぞれジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員長、セルソ・ルイス・ヌーネス・アモリン　ブラジル外相、スーザン・シュワブ米国通商代表を訪問または書簡を送付し、交渉の早期再開・妥結を働きかけた。

2007年１月の交渉の本格再開後は、企画部会委員が米欧を中心とするサービス業界の団体とともにジュネーブを訪問し、サービス交渉の推進を働きかけた。

（２）わが国政府への働きかけ

交渉の節目をとらえて、委員会あるいは企画部会を開催し、農業、非農産品市場アクセス、サービス貿易、アンチダンピング協定などについて、政府関係者より交渉の進展状況について説明を聞くとともに意見交換を行った。また、ＷＴＯサービス貿易自由化交渉に関する懇談会（座長：長谷川公敏第一生命経済研究所専務取締役）を開催し、政府関係者と意見交換を行った。

２．輸出管理制度に関する提言の取りまとめ

産業構造審議会における輸出管理制度の改正審議に対応するため、2006年４月に輸出管理タスクフォースを設置し、７回の会合を開催し、実効ある輸出管理制度のあり方について検討を行った。その結果を提言「実効ある安全保障貿易管理に向けて制度の再構築を求める」（2007年３月20日）として取りまとめ、安全保障貿易管理法体系の整理・簡素化、法令等を遵守している事業者に対する優遇措置の拡充等を求めた。

３．社会保障協定に関する要望の取りまとめ

海外に派遣されている民間企業関係者に関する社会保険料の二重負担等を解消すべく、日本貿易会、日本在外企業協会と連名で要望「社会保障協定の一層の締結促進を求める」（2006年10月17日）を取りまとめ、イタリア、チェコ等との社会保障協定の早期締結を求めるとともに、社会保障協定を速やかに発効させる観点から、包括特例法の整備を要望した。

４．通商分野の規制改革

わが国企業が円滑に事業活動を行いえる環境を確保するとともに、国際競争力を強化する観点から、輸出管理に係わる一般包括許可の対象国やＷＴＯ政府調達協定の適用対象機関等に関する規制改革を働きかけた。

（２）国際協力委員会

１．「海外経済協力と国際金融業務のあり方に関する提言」の取りまとめ

政策金融改革の流れの中、海外経済協力の実施体制等に関する改革の方向性が固まったことを受け、「海外経済協力と国際金融業務のあり方に関する提言」（2006年６月20日）を取りまとめた。同提言では、２月に取りまとめられた政府の「海外経済協力に関する検討会」報告書において示された、(1) 円借款、技術協力、無償資金協力の国際協力機構（ＪＩＣＡ）での一元的実施、(2) 国際協力銀行（ＪＢＩＣ）の国際金融部門の新政策金融機関への統合といった方向性を支持するとともに、今後の具体的な制度・組織の設計にあたり、その趣旨が貫徹されるよう要望した。

２．わが国の今後の経済協力のあり方につき検討

10月、外務省の別所浩郎国際協力局長より、わが国ＯＤＡの現状と今後の課題について説明を聞くとともに、案件実施の迅速化などをめぐり懇談した。また、2007年１月には、経済産業省の石田徹貿易経済協力局長より、最近の対外経済政策と海外経済協力と題して、日本政府の取組み状況について聞くとともに、資源確保や民間投資促進とＯＤＡの関係などに関し意見交換した。

３．提言取りまとめに向けて政策部会での検討を開始

2008年は、日本でＧ８サミット（主要国首脳会議）、第４回アフリカ開発会議（ＴＩＣＡＤ）が開催されるとともに、いわゆる新ＪＩＣＡが発足するなど、わが国の援助実施体制が大きく変わる。こうした流れに鑑み、2007年半ばを目途に国際協力に関する提言を取りまとめるべく、10月から政策部会（部会長：江川豪雄三菱重工業常務執行役員）において検討を開始し、外務省、経済産業省、ＪＢＩＣ、ＪＩＣＡなど関係省庁・機関と意見交換をした。

４．自民党、外務省への働きかけ

2007年３月、麻生外務大臣の諮問により「国際協力に関する有識者会議」が設置され、経済界からは、米倉副会長、辻国際協力委員会共同委員長、岡日本貿易会副会長が委員として参加することとなった。同会議は、2007年末を目途にわが国の国際協力のあり方について中間取りまとめを行うとしており、３委員を通じて経済界の意見を反映させていくこととなった。
同じく2007年３月、自民党の「対外経済協力特別委員会（伊藤達也委員長）・外交ツールの強化に関するワーキングチーム（小野寺五典座長）合同会議」において、辻共同委員長が「経済界から見たＯＤＡ」と題し、日本経団連のＯＤＡに対する考え方、民間企業としてのＯＤＡの取組みについて説明するとともに意見交換した。

５．国際機関との関係強化

７月に、世界銀行のプラウル・パテル南アジア地域担当副総裁、石井菜穂子スリランカ担当局長ほかとインドの経済開発をめぐって意見交換、2007年２月には、アジア開発銀行のラジャット・ナグ事務総長とアジアの開発問題や地域協力について意見交換するなど、国際機関との関係強化に努めた。

（３）ＯＥＣＤ諮問委員会

経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）は、先進30カ国が参加する国際機関として、経済政策、貿易・投資、環境、科学技術、規制改革、情報通信、コーポレート・ガバナンスなどの分野を中心に研究・分析を行い、各国に政策提言を行っている。当委員会は、ＯＥＣＤ加盟国の経済団体で構成される公式の民間諮問機関であるThe Business and Industry Advisory Committee to the ＯＥＣＤ（ＢＩＡＣ）を通じてＯＥＣＤへの提言、働きかけを行っている。

１．ＢＩＡＣ総会・理事会への参加等

５月のＢＩＡＣ総会（於：パリ）、12月のＢＩＡＣ理事会（於：パリ）に本田委員長が参加し、ＢＩＡＣの活動についてわが国経済界の立場から意見を述べた。なお、ＢＩＡＣ経済政策委員会の浅見唯弘副委員長が理事会の指名・推薦により、加盟団体の了承を経て2007年１月に事務局長に就任した。

２．ＢＩＡＣ・ＯＥＣＤ会合への参加

わが国企業関係者が、ＢＩＡＣの各専門委員会やＯＥＣＤの開催する会合に参加し、わが国経済界の立場から意見を述べた。

３．会合の開催

以下の会合を通じて、ＯＥＣＤ、ＢＩＡＣにおける議論の国内へのフィードバックを図るとともに、ＯＥＣＤをめぐる最新情報の把握に努めた。

４．広報活動

機関誌「ＢＩＡＣ　ＮＥＷＳ」を発行しＢＩＡＣやＯＥＣＤの活動を紹介したほか、「ＢＩＡＣの組織と活動」を改訂し発行した。

（４）経済連携推進委員会

１．提言「経済連携協定の『拡大』と『深化』を求める」の取りまとめ

企画部会（部会長：島上清明東芝常任顧問）を中心に、有識者や政府関係者などから集中的にヒアリングを行うとともに、委員を対象とした経済連携協定（ＥＰＡ）の推進に関するアンケートを実施した。それらをもとに精力的に検討を進め、提言「経済連携協定の『拡大』と『深化』を求める」（2006年10月17日）を取りまとめ、政府・与党など関係方面に対し、その実現を働きかけた。

２．原産地証明制度の見直し

二国間・多国間のＥＰＡの締結を推進し、経済連携のネットワークを拡大していく上で、利便性の高い原産地証明制度の構築が不可欠であることから、上記提言の実現に向けて、運輸・流通委員会と連携して「原産地規則検討会」を設置し、具体的な要望の取りまとめにあたった。

３．中長期的なＥＰＡ戦略に関する検討

政府の経済財政諮問会議において、「グローバル化改革」の一環として、中長期的なＥＰＡ戦略の検討が開始されたのを受け、貿易投資委員会、アジア・大洋州地域委員会など関係の地域・二国間委員会などと連携して検討を行い、その成果が諮問会議の議論に反映されるよう努めた。

４．有識者・関係省庁との懇談

（１）谷口誠岩手県立大学学長（元国連大使）との懇談（９月）

岩手県立大学の谷口誠学長より、東アジア経済統合に向け日本が取るべき戦略について説明を聞くとともに懇談した。

（２）経済産業省・外務省幹部との懇談（2007年２月）

経済産業省の豊田正和通商政策局長と外務省の田辺靖雄経済局審議官より、2007年１月中旬にフィリピン・セブ島で開催された日ＡＳＥＡＮ首脳会議やＡＳＥＡＮ＋３首脳会議、東アジアサミットなど一連の首脳会議の結果につき、説明を聞くとともに懇談した。

2006年度事業報告 III．委員会等の活動

１．政策全般

（１）総合政策委員会

総会決議の取りまとめ