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2009年度事業報告 ]
2009年度事業報告
I.事業活動の概要
1.政策全般
(1) 基本方針の策定
日本経団連の活動指針となる総会決議を取りまとめた(5月)。
(2) 経済危機からの脱却に向けた取組み
物価下落や資産デフレから脱却するため、提言「経済危機からの脱却と持続的成長の実現に向けた金融のあり方」(11月)を取りまとめ、働きかけた結果、政府系金融機関による企業の資金繰り支援策が継続された。
2.経済・法制関係
(1) 経済危機脱却後を見据えた成長戦略の推進
当面の経済危機脱却後を視野に入れ、提言「経済危機脱却後を見据えた新たな成長戦略」(12月)を取りまとめ、新たな需要が期待される5分野と持続的な成長を支える政策の3本柱を掲げて実現を働きかけた結果、政府の「新成長戦略(基本方針)」に意見が反映された。
(2) 経済活性化に資する税制の実現
「平成22年度税制改正に関する提言」(10月)を取りまとめ、実現を働きかけた結果、研究開発促進税制の延長やタックスヘイブン対策税制の抜本的な改革が行われた。また税制改正大綱に、税制抜本改革実現に向けて工程表を作成して税制抜本改革を実現することが明記された。
(3) 財政改革の推進
提言「経済危機からの早期脱却と生活の安心・充実に向けた財政政策を望む」(11月)を取りまとめ、当面は経済危機からの早期脱却を目指し、中長期的には財政健全化と地方税・財政制度の抜本改革に取り組むことを訴えた。
(4) 中長期的に持続可能な社会保障制度の構築
- 提言「安心で信頼できる社会保障制度の確立に向けて」(10月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
- 中福祉・中負担国家として目指すべき姿と負担のあり方等について検討を進めた。
(5) 金融・資本市場の活性化
東京証券取引所との意見交換を通じて、上場制度への経済界の意見の反映に努めた。
(6) 国際競争力の基盤となる経済法制の実現
- 提言「より良いコーポレート・ガバナンスをめざして(中間報告)」(4月)を取りまとめ、金融庁や証券取引所における規則改正への経済界の意見の反映に努めた。
- 法務省法制審議会の民法(債権関係)部会で意見の反映に努めた。
- 提言「公正取引委員会の審判制度の廃止及び審査手続の適正化に向けて」(10月)を取りまとめて実現を働きかけた結果、公取委の審判廃止や処分前手続の充実化・透明化等を含む独占禁止法改正法案が2010年第174回通常国会に提出された。
- IFRS対応会議、IFRS導入準備タスクフォースを発足させ、国際会計基準の導入に向けて民間レベルでの取り組み体制を整備した。
3.行革・産業・国土関係
(1) 規制改革の推進
会員からの要望をもとに「2009年度日本経団連規制改革要望」(6月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
(2) 道州制の導入
- 提言「改めて道州制の早期実現を求める」(10月)を取りまとめ、日本経団連と政府で道州制タスクフォースを設置して検討を進めた。
- 日本商工会議所、経済同友会と共催で「地域主権と道州制を推進する国民会議」(12月)を開催するとともに、札幌でシンポジウム(10月)を行い、広報活動を展開して道州制の理解の増進に努めた。
(3) 産業競争力の強化
- 提言「競争力人材の育成と確保に向けて」(4月)を取りまとめ、高度人材受入れ推進会議に実現を働きかけた。
- 提言「産業構造の将来像」(2010年1月)を取りまとめ、産業構造ビジョンや新成長戦略への反映を働きかけた。
(4) 企業発ベンチャーの促進
新産業・新事業の創出に向け、報告書「新産業創出プロジェクトの推進に向けて〜2009年度報告」(2010年3月)を取りまとめた。
(5) 安全輸送と競争力強化の両立
提言「国際海上コンテナの安全輸送と物流円滑化に向けて」(2010年2月)を取りまとめ、働きかけを行った結果、安全確保と競争力強化の両立を目指す内容が盛り込まれた。
(6) 総合的な食料供給力の強化
- 提言「新たな食料・農業・農村基本計画に望む」(2010年2月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
- 農商工連携セミナーや視察を通じて農業界との相互理解を深めた。
(7) 都市の成長戦略
- 提言「わが国の持続的成長につながる大胆な都市戦略を望む」(2010年3月)を取りまとめ、政府の新成長戦略への反映に努めた。
- 提言「PFIのさらなる活用を求める」(11月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
(8) 観光立国の早期実現
- 提言「観光立国を担う人材の育成に向けて」(2010年2月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
- 韓国全経連との間で「第4回日韓観光協力会議」を開催した(11月)。
(9) 住生活の向上
- 提言「住生活の向上につながる成長戦略を求める」(2010年3月)を取りまとめ、政府の新成長戦略への反映に努めた。
- 「平成22年度税制改正に関する提言」(10月)の実現に向けて働きかけた結果、新築住宅に関る固定資産税の減額等が実現した。
4.技術・環境・エネルギー関係
(1) イノベーションの創出
- 「科学・技術・イノベーションの中期政策に関する提言」(12月)を取りまとめ、第4期科学技術基本計画への反映を働きかけた。
- 提言「『世界最先端研究支援強化プログラム』(仮称)の創設について」(4月)、提言「『世界最先端研究開発支援強化プログラム』(仮称)の執行に係る枠組みのあり方について」(4月)を取りまとめ、働きかけた結果、第1次補正予算で1,500億円規模の「世界最先端研究開発支援プログラム」が創設された。
(2) 知的財産政策の推進
- 「知的財産推進計画2009」への経済界の意見の反映に努めた。
- 提言「『イノベーション立国』に向けた今後の知財政策・制度のあり方」(2010年3月)を取りまとめた。
(3) ICTの利活用
- 提言「新IT戦略の策定に向けて」(5月)、提言「新しい社会と成長を支えるICT戦略のあり方」(2010年3月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
- 特定非営利活動法人高度情報通信人材育成支援センターの設立(8月)を支援した。
(4) 電子行政の推進
- 提言「ICTの利活用による新たな政府の構築に向けて」(11月)を取りまとめるとともに、政府との間で電子行政タスクフォースを設置して意見交換を行った。
- シンポジウムを開催する(12月)とともに、電子行政のパンフレットを作成した。
(5) 防衛・宇宙産業の競争力強化
- 提言「わが国の防衛産業政策の確立に向けた提言」(7月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
- 「宇宙開発基本計画に関する意見」を取りまとめ実現を働きかけた。
(6) 地球温暖化問題への対応、循環型社会の形成
- 「グリーン・イノベーションによる成長の実現を目指して」(2010年3月)を取りまとめ、政府の新成長戦略への反映に努めた。
- 「ポスト京都議定書におけるわが国の中期目標に関する意見」(5月)、「ポスト京都議定書におけるわが国の中期目標について」(6月)、「『地球温暖化対策の基本法の制定に向けたメッセージ』に対する意見」(12月)、「地球温暖化対策基本法案に関する意見」(2010年2月)を取りまとめ、関係方面に働きかけを行った。
- 環境自主行動計画〔温暖化対策編〕2009年度フォローアップ調査を実施し、産業・エネルギー転換部門34業種のCO2排出量が90年比10.5%減少との結果を公表した。
- 「日本経団連低炭素社会実行計画」(12月)を取りまとめ、2050年における世界の温室効果ガス排出量半減目標の達成に日本の産業界が技術力で中核的役割を果たすことを目指すと宣言した。
- 自主行動計画〔循環型社会形成編〕のフォローアップや不法投棄等の支障除去等に関する基金への協力を行った。
(7) エネルギー供給事業の効率化・活性化
- 政府のエネルギー戦略について説明を聴取し意見交換を行った。
- 各種エネルギー供給事業の効率化・活性化に向けた規制改革要望を取りまとめて実現を働きかけた。
(8) 自然保護プロジェクトの推進
- 公益信託日本経団連自然保護基金を通じて61件の自然保護プロジェクトに1億9,710万円の支援を行った。
- タイ・フィリピンにミッションを派遣した(10月)。
(9) むつ小川原開発の推進
むつ小川原への官民のプロジェクトの立地に関して、むつ小川原開発推進協議会の活動に協力した。
5.社会関係
(1) 広報・出版活動の積極的展開
- 日本経団連活動に関し、国内外の報道が積極的かつタイムリーに行われるよう努めた。
- 日本経団連の機関誌・紙である「経済Trend」 「日本経団連タイムス」等の出版活動を行った。
- 連合首脳と雇用問題や春季労使交渉等について意見交換を行う等、各界との対話を行った。
(2) 企業倫理の徹底、消費者行政への対応
- 10月の企業倫理月間に「企業倫理徹底のお願い」を発信し、セミナーを開催した。
- 「CSRに関するアンケート調査」を実施し、CSRが企業経営の根幹をなすものとして定着していることを明らかにした。
- 消費者庁・消費者委員会の設立に対応した。
(3) 企業の社会貢献活動の推進
企業の社会貢献活動のあり方についてNPO関係者等と意見を交換し、2008年度社会貢献活動実績調査を実施した。
(4) 政策本位の政治の実現
- 会員企業に企業の社会貢献として自発的な政治寄附を実施するようよびかけた。
- 政党幹部との間で各種会合を開催し、重要政策課題をめぐり意見交換を行った。
(5) 教育界との連携の推進
教育と企業の連携の推進に努めた。
(6) 企業における災害対策の強化
提言「首都直下地震にいかに備えるか」(2009年3月)の実施状況を把握し徹底を図った。
6.経営労働関係
(1) 労使交渉・協議における経営者の指針の策定
「2010年版経営労働政策委員会報告」(2010年1月)を取りまとめ、企業活力を最大限に発揮する経済政策や人材力の底上げの重要性を指摘するとともに、今次労使交渉における経営側の基本姿勢として、賃金よりも雇用を重視した交渉を行い、最大の経営資源である雇用の確保に努めることの重要性に言及した。
(2) 雇用の安定の促進
- 雇用保険制度、労働者派遣制度の見直しに際し、経済界の立場の理解の推進に努めた。
- 「大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」(10月)を取りまとめ、「倫理憲章の趣旨実現をめざす共同宣言」(2010年1月)を発表し、会員企業に倫理憲章への賛同を求めた。
(3) 人事・労務マネジメントの支援
経営環境の変化に対応した企業と従業員のあり方に関し、事例と課題を整理するとともに、中央最低賃金審議会の動きに対応した。
(4) 労働法制の見直しへの対応
労働基準法、安全衛生・労災保険法令、育児・介護休業法等の改正への対応を行った。
(5) 中小企業の支援
中小企業の人材確保に関し、好事例の聴取やアンケートを実施した。
(6) 新型インフルエンザ対策の推進
「鳥由来の新型インフルエンザ対策の再開・強化を求める」(11月)を取りまとめるとともに、豚由来の新型インフルエンザの発生に対応した。
(7) 少子化対策の推進
- 「子ども・子育てビジョン」の策定に際し、経済界の意見の反映に努めた。
- 「家族の日」「家族の週間」の国民運動に協力し、ノー残業デーの設定を呼び掛けた。
(8) 国際労働問題への対応
ILO総会(6月)に向けて、各議題に関する使用者側の見解を取りまとめるとともに、代表団を派遣し、意見を発信した。
7.国際関係
(1) 対外経済戦略の構築と推進
WTOドーハ・ラウンド交渉の2010年中の妥結を関係方面に働きかけた。
(2) 戦略的・機動的な国際協力の推進
- 提言「官民連携を梃子に国際協力の戦略的・機動的な展開を求める」(4月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
- 提言「危機を乗り越え、アジアから世界経済の成長を切り拓く」(10月)、提言「アジア経済の成長アクション・プランの実現に向けて」(11月)、提言「豊かなアジアを築く広域インフラ整備の推進を求める」(2010年3月)、提言「豊かなアジアを築く金融協力の推進を求める」(2010年3月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
(3) BIAC活動への参加
OECDやBIACの各種会合へ参加し、OECDをめぐる最新情報の把握に努めるとともに、わが国経済界の意見反映に努めた。
(4) 経済連携協定のさらなる推進
EU、米国とのEPA交渉の開始や、GCC、インド、豪州とのFTA・EPAの早期締結を求めた。
(5) G8ビジネス・サミット
イタリアにおいて開催された第4回G8ビジネス・サミット(4月)に、御手洗会長ほかが参加し、共同声明を取りまとめ、実現を働きかけた。
(6) 北米
- 日米EPAの実現と両国の規制改革の推進に向けた活動を行った。
- 民間対話チャネルの強化と日米経済関係に関する情報収集活動の一環として、米国、カナダの政府、経済界、有識者と懇談した。
(7) 欧州
- 提言「日・EU経済統合の実現を目指して」(4月)、「日・EU経済統合協定交渉の開始を求める」(11月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
- 御手洗会長を団長とするミッションをベルギー、イタリア、スペインに派遣し(4月)、ベルルスコーニ首相(イタリア)、フアン・カルロス一世国王(スペイン)と懇談した。
- バセスク ルーマニア大統領、アンシプ エストニア首相等、各国要人と懇談した。
(8) アジア・大洋州
- 中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム、日本の経済団体が参加し、アジア・ビジネス・サミットを開催した(2010年3月)。
- 御手洗会長を団長とするミッションをタイ、シンガポール、ベトナム(11月)、インドネシア(2010年1月)に派遣し、スリンASEAN事務総長等と意見交換を行った。
- 御手洗会長が日中経済協会訪中代表団の最高顧問として訪中し、胡錦濤国家主席と意見交換を行った(9月)。日中韓ビジネス・サミットを開催し、日中韓FTAの推進等の協力を模索した(10月)。
- フン・セン カンボジア首相、テイン・セイン ミャンマー首相、アピシット タイ首相、ズン ベトナム首相、サイニャソーン ラオス国家主席、ユドヨノ インドネシア大統領等、各国要人と懇談した。
- 台湾(12月)、香港(2010年2月)との合同会議を開催した。
(9) 中南米
- 提言「日本・メキシコ経済連携協定の再協議に関する要望」(7月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
- ブラジル(9月)、メキシコ(2010年2月)との合同会議を開催した。
- チャベス ベネズエラ大統領等、各国要人と懇談した。
(10) 中東・アフリカ
- 提言「日GCC自由貿易協定の締結に関する要望」(10月)を取りまとめ、実現を働きかけた。
- ナーセル クウェート首相、ボンゴ ガボン共和国大統領、ヤラドゥア ナイジェリア大統領等、各国要人と懇談した。
- トルコ(10月)、アラブ連盟(2010年1月)との合同会議を開催した。
(11) ロシア・NIS
- 日本ロシア経済フォーラム(5月)を開催した。
- プーチン ロシア首相(5月)等、各国要人と懇談した。
8.外部組織等への協力
(1) 外部組織への協力
日本経団連事業サービス、経済広報センター等の主要関連団体や、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会、国際文化教育交流財団(石坂財団)等の奨学事業に対する協力を行った。
(2) 公益活動に対する資金面の支援
全国的または国際的な規模で公益活動を行う機関等が、経済界に資金援助を求める、いわゆる「経済界募金」に協力した。
以上
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