1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2026年4月16日 No.3726
  5. 循環経済を巡る内外の動向と課題 ビジネスモデルと社会全体のデザイン

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年4月16日 No.3726 循環経済を巡る内外の動向と課題 ビジネスモデルと社会全体のデザイン -環境委員会/廃棄物・リサイクル部会

経団連は3月4日、東京・大手町の経団連会館で環境委員会(小堀秀毅委員長、野田由美子委員長、宮田知秀委員長)と同廃棄物・リサイクル部会(関口明部会長)の合同会合を開催した。

東京大学大学院工学系研究科の梅田靖教授から、日本が目指すべきサーキュラーエコノミー(CE)の姿について説明を聴くとともに意見交換した後、1月末に派遣したCE訪欧ミッション(2月19日号既報)のクロストークを行った。概要は次のとおり。

■ 梅田氏講演

1.内外の動向と課題

CEはカーボンニュートラル(CN)やネイチャーポジティブ(NP)と並ぶ重要課題である一方、ものづくりやビジネスモデルそのものの変革を求める点に本質がある。

CEの主な目的は、(1)環境面でのサステナビリティ確保(2)将来世代を含めたウェルビーイングの実現(3)地政学的リスクの高まりを背景とした資源確保――の3点が挙げられる。特に資源確保の深刻さは近年一層高まっており、制約下での企業競争力の向上が最重要だ。

CEへの移行には、大量生産・大量販売・大量廃棄を前提としない社会の構築が重要だ。

EUのCE政策はリサイクル促進にとどまらず、市場競争の座標軸や価値提供のあり方自体の変革を意図している。再資源化を促す法制度の整備や、製品の長期使用、シェアリング等の新たな価値提供モデルが市場競争の軸になりつつある。

日本政府も、資源有効利用促進法の改正をはじめ環境整備を進めているが、産業競争力強化につなげるための方策等については、明確な答えが見えていない。

2.日本が目指すべきCEの姿

従来は、メーカーが製品を設計・生産して市場に提供する一方向型の構造だったが、今後は製品そのものではなく価値提供型の構造へ転換する必要がある。さまざまな主体が資源循環を駆動する価値共創エコシステムへ移行すべきだ。

その際、1社では循環全体の構想や運営を担いきれないため、多様なステークホルダーの強みを束ね、循環を企画し、ビジネスとして成立させる指揮者的役割を担う存在が求められる。さらに再生材のトレーサビリティ、質および量の保証、地域振興が付加価値となる。

エコデザインと循環システム設計の連動が肝要であり、そのためには動脈産業と静脈産業が連携にとどまらず融合する必要がある。

CEに移行しなければ、日本の製造業は資源を保有する国に後れを取るばかりだ。量ではなく質と価値で勝負する産業構造への転換が不可欠であり、そのカギは製造業と技術開発にある。ビジネスモデルとそれを取り巻く法制度、文化、教育・啓発を含めた社会全体のデザインが、今後の大きな課題だ。

■ 訪欧ミッション参加者によるクロストーク

CE訪欧ミッションの参加者がミッションで得た知見や感想を共有した。

(1)フィンランド、ドイツは政府と企業が一体となって、CEを環境対応にとどまらず資源安全保障や競争力強化の軸として推進していること(2)再生材のトレーサビリティ向上が日欧の共通課題であること(3)産学官の連携のもとイノベーションを誘発し、研究開発を積極的に推進すること――の重要性等についてコメントがあった。

日本がCEを推進するために今後必要な活動として、国際的なルール形成への参画や再生材を利用した製品の開発など、日本が世界に対して優位性を発揮できる技術を生かした事業展開を挙げた。

◇◇◇

その後、「資源安全保障に資するCE推進に関する提言」3月19日号既報)および「循環型社会形成自主行動計画~2025年度フォローアップ調査結果報告ならびに次期計画方針」4月2日号既報)について審議し、了承された。

【環境エネルギー本部】

「2026年4月16日 No.3726」一覧はこちら