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2008年度事業報告

I.事業活動の概要

1.政策全般

(1) 基本方針等の策定

日本経団連の活動指針となる総会決議を取りまとめた(5月)。

(2) 経済危機脱却に向けた対応

わが国経済の危機的状況を早期に打開するため、「現下の経済情勢を打開するための緊急提言」(7月)、提言「補正予算の早期成立を望む」(10月)、提言「金融安定化策の早急な実行を求める」(2009年1月)、提言「日本版ニューディールの推進を求める」(2009年2月)、「経済危機からの脱却に向けた緊急提言」(2009年3月)を取りまとめ、景気刺激策や金融安定化策の実行を求めた。

2.経済・法制関係

(1) 人口減少に対応した経済社会のあり方

提言「人口減少に対応した経済社会のあり方」(10月)を取りまとめ、今後本格化する人口減少が経済社会に及ぼす影響と中長期的な経済社会の活力維持に向けた方策を提示した。

(2) 税・財政・社会保障制度の一体改革

  1. 「平成21年度税制改正に関する提言」(9月)を取りまとめ、働きかけを行った結果、与党税制改正大綱では、海外子会社からの受取配当金の非課税制度、住宅取得促進税制の拡充等が実現した。
  2. 足元の景気刺激策の実施と同時に、消費税を含む中長期的なわが国の歳出歳入の将来の姿を描いた「税・財政・社会保障制度の一体改革に関する提言」(10月)を取りまとめた。

(3) 今後の財政運営のあり方

経済が危機的な状況に直面するなか、財政が果たすべき役割、中長期的な財政規律を維持するための方策について、提言「今後の財政運営のあり方について」(2009年3月)を取りまとめた。

(4) 中長期的に持続可能な社会保障制度の構築

  1. 提言「国民全員で支えあう社会保障制度を目指して」(2008年5月)を取りまとめ、社会保障制度改革の基本的な方向性についての考え方を示した。
  2. 国民が安心し信頼できる社会保障制度の将来像と安定財源の確保方策等について、提言「国民全体で支えあう持続可能な社会保障制度を目指して」(2009年2月)を取りまとめた。
  3. 政府・与党の「中期プログラム」策定に際して、「中期プログラム策定に関する緊急提言」(12月)を取りまとめた。

(5) 金融・資本市場の活性化

金融法制、資本市場関連法制について、有識者との意見交換を通じた経済界意見の理解促進を図るとともに、株券無券面化の周知・広報に努めた。

(6) 国際競争力の基盤となる経済法規の実現

  1. より良いコーポレート・ガバナンスのあり方について、2009年4月に提言を取りまとめるべく、有識者からの意見聴取を重ね、検討を深めた。
  2. 法務省令や企業会計基準の改正等を踏まえて、「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(改訂版)」(11月)を作成・公表した。
  3. 国際会計基準の採用のための環境整備に向けて、提言「会計基準の国際的な統一化へのわが国の対応」(10月)を取りまとめた。

3.行革・産業・国土関係

(1) 規制改革、行政改革の推進

会員からの要望をもとに、「2008年度日本経団連規制改革要望」(6月)を取りまとめるとともに、政府による取組みの強化・充実を求めた。

(2) 道州制の導入

  1. 道州制の導入の効果や道州制を支える諸制度のあり方について、「道州制の導入に向けた第2次提言」(11月)を取りまとめた。
  2. 道州制の導入に向けた国民的な論議を高めるため、7月に仙台、2009年2月に広島において、経済広報センター及び地元経済連合会等との共催によりシンポジウムを開催した。

(3) 地域の活性化と産業競争力の強化

  1. 「自立した広域経済圏の形成に向けた提言」(5月)を取りまとめ、企業立地促進、農業・観光振興や広域連携の推進策に関して提言を行った。
  2. エンターテインメント・コンテンツ産業の振興、外国人材受け入れに関して、産業界の立場の理解増進に努めた。

(4) 企業発ベンチャーの促進

企業の有する技術・アイデア等の資源を活用した起業創出の機運の向上に向けて、報告書「企業発ベンチャーの更なる創出に向けて」(9月)を取りまとめた。

(5) 物流効率化の推進

「貿易手続改革プログラム」の改訂及び実施に対応して、政府・与党等に働きかけを行った。

(6) 総合的な食料供給力の強化

国際的な食料需給の不安定化や高齢化の進展、地域経済の疲弊等、わが国農業を巡る状況の変化を踏まえ、「わが国の総合的な食料供給力強化に向けた提言」(2009年3月)を取りまとめた。

(7) 都市・地域の再生

都市・地域の再生やPFIの改革に向けて、具体策の検討を行った。

(8) 観光立国の早期実現

  1. 10月の観光庁発足に先立ち、提言「観光立国の早期実現に向けて」(9月)を取りまとめ、官民の推進体制の整備を訴えた。
  2. 韓国全経連との間で「第3回日韓観光協力会議」を開催した(10月)。

(9) 今後の住宅政策及び新たな住宅税制のあり方

  1. 「豊かさを実感できる住生活の実現に向けた提言」(9月)を取りまとめ、今後の住宅政策全般のあるべき姿及び新たな住宅税制のあり方を示した。
  2. 2009年度住宅・土地税制改正に向けた産業界の考えが「平成21年度税制改正に関する提言」(9月)に反映された。

4.技術・環境・エネルギー関係

(1) 第3期科学技術基本計画の推進

  1. 提言「国際競争力強化に資する課題解決型イノベーションの推進に向けて」(5月)を取りまとめ、政府の第3期科学技術基本計画の推進に向けた当面の課題と改善方策を示した。
  2. 「技術系留学生の質・量両面の向上に関する報告書」(2009年2月)を取りまとめた。
  3. 提言「わが国研究開発システムの抜本改革に向けた検討を求める」(10月)を取りまとめ、研究開発力強化法の着実な実行を求めた。

(2) 知的財産政策の推進

  1. プロイノベーションのための知財政策の推進に向け、提言「知財推進計画2009の策定に向けて」(2009年3月)を取りまとめた。
  2. 複線型著作権法制の具体的な制度設計を行い、提言「デジタル化・ネットワーク化時代に対応する複線型著作権法制のあり方」(2009年1月)を取りまとめた。

(3) ICT基盤の利活用の促進

国連主催の「第3回インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)」(12月)に向けて、提言「第3回IGFへの提言」(7月)を取りまとめた。

(4) 電子行政の推進

  1. 電子行政の実現に向けて、提言「国民視点に立った先進的な電子社会の実現に向けて」(4月)を取りまとめた。
  2. 電子行政推進のための体制・法制や環境の整備に向けて、提言「実効的な電子行政の実現に向けた推進体制と法制度のあり方について」(11月)を取りまとめた。

(5) 防衛・宇宙産業の競争力強化

  1. 2009年度防衛予算編成に関する要望を行った。
  2. 宇宙基本計画や今後の宇宙開発利用推進体制等について、産業界の意見を反映させるべく、提言「戦略的宇宙基本計画の策定と実効ある推進体制の整備を求める」(2009年2月)を取りまとめた。

(6) 地球温暖化問題への対応、循環型社会形成

  1. ポスト京都議定書の国際枠組について、「洞爺湖サミットにおけるポスト京都議定書の国際枠組交渉への対応について」(4月)、「ポスト京都議定書の国際枠組に関する提言」(11月)を取りまとめた。
  2. 政府がポスト京都議定書におけるわが国の中期削減目標の検討に着手したのに合わせて、「ポスト京都議定書におけるわが国の中期目標に関する考え方」(2009年2月)を取りまとめた。
  3. 「地球温暖化防止に向けた産業界の取り組み」(6月)をとりまとめ、地球温暖化防止に向けた産業界の強い決意を表明した。
  4. 環境自主行動計画〔温暖化対策編〕2008年度フォローアップ調査結果(11月)、環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕2008年度フォローアップ調査結果(2009年3月)を公表した。

(7) エネルギー対策

家庭部門における省エネ・CO2対策の推進と原子力発電の活用をはじめとするエネルギー供給対策に関して、提言「全員参加型の低炭素社会の実現に向けて」(6月)を取りまとめた。

(8) 自然保護プロジェクトの推進

公益信託日本経団連自然保護基金を通じて、国内外の自然保護プロジェクトを支援した。「日本経団連生物多様性宣言」(2009年3月)を取りまとめた。

(9) むつ小川原開発の推進

むつ小川原への官民のプロジェクトの立地、計画の策定等に関して、むつ小川原開発推進協議会の活動に協力した。

5.社会関係

(1) 広報・出版活動の積極的展開

  1. 日本経団連活動に関する国内外の報道が積極的かつタイムリーに行われるよう、支援を行った。
  2. 経済Trend日本経団連タイムス等機関誌・紙の発行等の出版活動を行った。
  3. 連合首脳と雇用問題や春季労使交渉等について意見交換を行う等、各界との対話を行った。

(2) 企業倫理の徹底、消費者行政への対応

  1. 10月の企業倫理月間を機に、会長名で「企業倫理徹底のお願い」を発信するとともに、企業倫理トップセミナー、関西企業倫理セミナーを開催した。
  2. 政府・与党にて進められた消費者行政の一元化に係る検討に対応した。

(3) 企業の社会貢献活動の推進

  1. 日本企業のCSR活動に関して、今後重要となる領域や推進方法を整理した書籍『CSR時代の社会貢献活動〜企業の現場から』を出版した。
  2. 2007年度社会貢献活動実績調査を実施した。

(4) 政策本位の政治の実現

  1. 「2008年政策評価」(9月)を発表するとともに、会員企業の自発的な政治寄付を呼びかけた。2009年の政策評価の尺度となる「優先政策事項」(2009年1月)を公表した。
  2. 政党幹部との間で各種会合を開催し、重要政策課題をめぐり意見交換を行った。

(5) 教育再生に向けた取組み

社会総がかりでの教育支援が求められるなか、首都圏の教育委員会との間で連携を模索した。

(6) 災害に強い社会の構築

首都直下地震に関する課題と対策について、提言「首都直下地震にいかに備えるか」(2009年3月)を取りまとめた。

6.経営労働関係

(1) 労使交渉・協議における経営者の指針の策定

毎春の労使交渉・協議における経営側の基本姿勢と雇用・労働に関する諸問題に対する考え方を総合的に検討し、全国の企業経営者の指針となる「2009年版経営労働政策委員会報告」(12月)を取りまとめた。

(2) 雇用の安定・確保

  1. 改正高年齢者雇用安定法への企業の対応状況について、報告書「高齢者雇用の促進に向けた取組みと今後の課題」(11月)を取りまとめた。
  2. 「大学卒業予定者・大学院修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」(10月)を取りまとめるとともに、「倫理憲章の趣旨実現をめざす共同宣言」(12月)に発表し、会員企業に倫理憲章への賛同を求めた。
  3. 雇用保険制度、労働者派遣制度、障害者雇用促進法の見直しに際して、産業界の立場の理解推進に努めた。
  4. 雇用不安の払拭に向け、日本労働組合総連合会と共同で「雇用安定・創出に向けた労使共同宣言」(2009年1月)、「雇用安定・創出に向けた共同提言」(2009年3月)を取りまとめ、それらをもとに政府も加わり、「雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意」(2009年3月)を実現した。

(3) 賃金制度のあり方の検討

今後の賃金制度の方向性、考え方を示すべく、報告書「仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度の構築・運用に向けて」(5月)を取りまとめた。

(4) 労働法制の見直しへの対応

改正労働基準法、安全衛生・労災保険法令改正、育児・介護休業法改正等への対応を行った。

(5) 中小企業の支援

政府の中小企業施策や、中小企業の好事例等について、有識者から聴取した。

(6) 新型インフルエンザ対策

新型インフルエンザ対策の推進、充実に向け、「新型インフルエンザ対策に関する提言」(6月)を取りまとめた。

(7) 少子化対策の推進

今後の少子化対策のあり方について、「少子化対策についての提言」(2009年2月)を取りまとめ、保育サービスの拡充、子育て世代の経済的支援等への思い切った財政投入を求めた。

(8) 国際労働問題への対応

  1. ILO総会(5、6月)に向けて、各議題に関する使用者側の見解を取りまとめるとともに、代表団を派遣し、意見を発信した。
  2. アジアにおける現地社員のマネジメントのあり方について、報告書「アジアにおいて求められる人材マネジメント」(7月)を取りまとめた。

7.国際関係

(1) 対外経済戦略の構築と推進

  1. WTOドーハ・ラウンド交渉の推進に向けて関係方面に働きかけた。
  2. 提言「グローバルな投資環境の整備のあり方に関する意見」(4月)を取りまとめ、投資に関する質の高い法的基盤の早急な整備を求めた。

(2) 今後の国際協力のあり方

国際協力における諸課題に対する具体的提案を行うため、提言「今後の国際協力のあり方について」(4月)を取りまとめた。

(3) BIAC活動への積極的参加

OECDやBIACの各種会合へ参加し、OECDをめぐる最新情報の把握に努めるとともに、わが国経済界の意見反映に努めた。

(4) 東アジア経済統合の推進

提言「東アジア経済統合のあり方に関する考え方」(2009年1月)を取りまとめた。

(5) G8ビジネス・サミット

  1. 第2回G8ビジネス・サミット(4月)を東京で主催した。その結果取りまとめた共同声明をG8北海道洞爺湖サミットの議長である福田総理大臣に手交した。
  2. パリにおいて開催された、第3回G8ビジネス・サミット(12月)に、御手洗会長ほかが参加し、共同声明を取りまとめた。

(6) 北米

  1. 日米経済連携協定(EPA)の実現及び両国の規制改革の推進に向けた活動を行った。
  2. 民間対話チャネルの強化及び日米経済関係に関する情報収集活動の一環として、米国、カナダの政府、経済界、有識者と懇談した。

(7) 欧州

  1. ハンガリー、チェコ、ポーランドに御手洗会長を団長とする訪中東欧ミッション(6月)を派遣した。
  2. フィヨン フランス首相、カルロス スペイン国王、パルヴァノフ ブルガリア大統領、ヤンシャ スロベニア首相、ヴァンハネン フィンランド首相、カウエン アイルランド首相等、各国要人と懇談した。

(8) アジア・大洋州

  1. 御手洗会長が日中経済協会訪中代表団の最高顧問として訪中し、胡錦濤国家主席と意見交換を行った(9月)。麻生総理大臣に同行して、御手洗会長ほかが訪韓し、李明博大統領ほかと意見交換を行った(2009年1月)。
  2. 提言「環境にやさしい日中関係をめざして」(12月)を取りまとめた。
  3. シン インド首相、ラッド豪州首相、アピシット タイ首相、サイニャソーン ラオス国家主席等、各国要人と懇談した。
  4. 香港(5月)、タイ(11月)、台湾(12月)との合同会議を開催した。
  5. 第1回(4月)ならびに第2回(10月)の日韓ビジネスサミット・ラウンドテーブル(BSR)、第2回日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム(10月)、日本インドネシア経済フォーラム(12月)を開催した。

(9) 中南米

  1. 2008年の「日本ブラジル交流年」の事業に協力した。日本、ブラジル両国政府の合意に基づき設置された「日伯貿易投資促進合同委員会」に協力した。
  2. 日本コロンビア賢人会第2回会合に合わせ、訪コロンビア経済視察団を派遣した(10月)。

(10) 中東・アフリカ

  1. 第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)(5月、於:横浜)への協力を行った。
  2. ナーセル クウェート首相、ボンゴ ガボン共和国大統領、ヤラドゥア ナイジェリア大統領等、各国要人と懇談した。
  3. アルジェリア(11月)、トルコ(12月)との合同会議を開催した。

(11) ロシア・NIS

  1. 第9回日本ロシア経済合同会議(9月)を開催した。
  2. ティモシェンコ ウクライナ首相(2009年3月)等、各国要人と懇談した。

8.外部組織等への協力

(1) 外部組織への協力

日本経団連事業サービス経済広報センター等の主要関連団体や、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会国際文化教育交流財団(石坂財団)等の奨学事業に対する協力を行った。

(2) 公益活動に対する資金面の支援

全国的または国際的な規模で公益活動を行う機関等が、経済界に資金援助を求める、いわゆる「経済界募金」に協力した。

以上

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