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月刊 経団連 座談会・対談 循環型社会の深化に向けて

吉川廣和
経団連環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会長
DOWAホールディングス

住川雅晴
産業競争力懇談会(COCN)実行委員長

田中 勝
鳥取環境大学環境マネジメント学科特任教授

井手明彦
経団連審議員会副議長・資源エネルギー対策委員長
三菱マテリアル

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井手明彦 (経団連審議員会副議長・資源エネルギー対策委員長/三菱マテリアル会長)
三菱マテリアルは、非鉄製錬所とセメント工場の協業により、多くの素材や材料を国内外の社会に供給すると同時に、廃棄物や使用済み製品を回収し、素材やエネルギーとして再利用している。資源の安定確保という観点からは、一般廃棄物の広域的な回収の推進、有用金属を含む廃棄物の適正保管の推進が重要である。レアメタルについては、さまざまな元素のリサイクルに取り組み、自治体とも協力しながら、小型家電の回収・リサイクルの実用化に向けた検討を継続しており、現在は経済的に困難なレアメタルの回収も、日本人の叡智で解決できる時が来ると思う。

田中 勝 (鳥取環境大学環境マネジメント学科特任教授)
循環型社会づくりに必要な3Rの促進と廃棄物の適正処理は車の両輪である。廃棄物の物質回収型リサイクルが強調されるが、エネルギーとして使うというリサイクルもある。何が社会にとって本当にいいのか、公平に評価をして選択すべきです。また、処理に困らないように、製品の設計、素材の選定にも努力し、商品価値を高め、国際競争力向上につなげてほしい。循環型社会の深化に向けた産業界のさまざまな提案は、安全かつ資源の保全につながることを説得力のあるかたちで提案すれば、実現すると思う。

住川雅晴 (産業競争力懇談会(COCN)実行委員長)
産業競争力懇談会(COCN)は、技術的な面から日本の産業競争力の強化に向けさまざまな検討をし、具体的な提言を行っている。3Rもテーマの一つで、プラスチックリサイクル、プリント基板からの貴金属の回収、レアメタルの回収・再生を検討してきた。レアメタルの確保は産業競争力を維持するうえでは必須で、循環活用し、競争力を守るという積極的な取り組みが必要である。そのためには、幅広く各分野の知恵を活用し、技術を高めていかなければならない。また、再生した純度による利用方法、リサイクルしやすいものづくり、省資源化も研究していくべきであると思う。

吉川廣和 (経団連環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会長/DOWAホールディングス相談役)
経団連は、1997年に循環型社会の構築に向けた環境自主行動計画を策定して以来、3Rの取り組みを主体的に進め、大きな成果をあげてきた。今後は、環境への悪影響を回避するなどの措置も講じながら、民間が3Rに取り組みやすい条件を整備することが不可欠である。レアメタルについては、効率的な回収を可能にすることが重要で、規制緩和も検討しないと、回収・リサイクルは進まない。環境問題に国境はなく、DOWAグループとしてはアジアで循環型社会形成を進める役割を果たしたいと考えている。

  • ●3Rに関する産業界の主体的な取り組み
  • ●資源循環・廃棄物の有効利用促進に向けた政策要望・政府への期待
  • ●レアメタルリサイクルの強化(資源確保)

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