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月刊 経団連

月刊 経団連2015年6月号

特集 いよいよ始まるマイナンバー制度

巻頭言

歴史探訪小旅行-佐原

岡本 毅 (経団連審議員会副議長/東京ガス会長)

過日、歴史探訪小旅行と称して、友人と千葉県佐原に出かけた。金曜日の夕刻、八重洲口から高速バスに乗って一時間半、JR佐原の駅前に着く。まずは晩飯だ。勝手がわからないので、タクシーの運転手さんから情報収集し、お薦めの寿司屋さんへ。これが大当たり。何もかも旨くて、しかも安い。そうか、ここは銚子漁港にもほど近いのだから何も不思議はないわけだ。

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特集

いよいよ始まるマイナンバー制度

今年10月より全住民に対してマイナンバー(個人番号)が送付され、来年1月にマイナンバー制度が開始される。経団連は、「社会保障と税の一体改革」や「電子行政の基盤」の観点から、その実現を強く求めてきた。国民一人ひとりが公正、確実、透明、効率的に行政サービスを受け、安心で豊かな生活を実現するために、マイナンバー制度の円滑な導入が必要である。マイナンバー制度への期待と課題、現在の対応状況、今後の政策展開などについて議論する。

座談会:いよいよ始まるマイナンバー制度

  • 中西宏明 (経団連副会長/日立製作所会長)
  • 平井たくや (自由民主党IT戦略特命委員会委員長/衆議院議員)
  • 五十嵐芳彦 (経団連電子行政推進部会長/東京海上日動火災保険常務取締役)
  • 金子郁容 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)

PDF形式にて全文公開中

中西宏明 (経団連副会長/日立製作所会長)
マイナンバー制度の導入効果として、まず行政の効率化が挙げられる。高齢化が進むなか、医療・介護の高度化・効率化を進めることもできる。情報通信技術が身近になったこともあり、個人番号カードの普及が進めば、国民生活のさまざまな場面における利便性向上につながる新しいサービスが登場する可能性もある。経団連としては、社会保障・税番号制度としてのマイナンバー制度導入を成功させ、国民が具体的なメリットを感じ、制度としての信頼を得ることが重要だと考えている。

平井たくや (自由民主党IT戦略特命委員会委員長/衆議院議員)
マイナンバーを「国民の、国民による、国民のための番号」にしなければ普及しないと考えている。そのためには、しっかりとしたトラストフレームワークを構築したうえで、リスクとメリットを国民に提示し、国民の理解を得ていきたい。制度設計においては、現在のニーズに応えるだけでなく、将来にわたって活用できるように工夫している。人口一億人を超える国での全住民を対象に電子証明書を発行している国は、世界に類を見ない。壮大なチャレンジであるが、「今回がラストチャンス」という覚悟で取り組んでいく。

五十嵐芳彦 (経団連電子行政推進部会長/東京海上日動火災保険常務取締役)
経団連では、各社の部門をまたがる実務担当者が制度上の疑問点などを持ち寄り、内閣官房や国税庁、厚生労働省との意見交換を重ねてきた。こうした取り組みを踏まえ、より広く企業の実務担当者に参照してもらえるよう、「マイナンバー制度への対応のお願い」という文書を公表した。経団連としては、この制度が、国民にとって納得のいく新しい社会づくりにつながるよう、円滑な導入に向けて協力していきたい。

金子郁容 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)
マイナンバーには、「使われるようになるためには、便利でなければならない」「便利になるためには、使われなければならない」というジレンマがある。多くの国民が個人番号カードを持たなければ、本当に便利なツールにはならない。国民が「使いたい」と思えるような制度設計が求められる。今のところ医療機関の現場でマイナンバー自体を使うことは想定されていないが、二重投資を避けるために政府全体の情報基盤と共有できる部分は共有することを検討している。

根本勝則 (司会:経団連常務理事)

  • ●マイナンバー制度の導入に向けて
  • 豊かな国民生活の実現に向けたITの官民連携基盤として
  • マイナンバー制度実現までの長い道のり
  • トラストフレームワークの構築が鍵
  • ●行政を効率化し、国民の利便性を高める新しい社会基盤に
  • 国民の、国民による、国民のための番号
  • デジタルソサエティーを視野に利活用を考える
  • 国民に「使いたい」と思ってもらえるものにする
  • マイナンバー導入をテコに改革を推進する
  • ●情報保護の取り組み
  • リスクを前提に議論する必要がある
  • メリットとリスクを示し、コンセンサスをつくることが大切
  • ●医療分野への活用推進
  • 医療等ID(仮称)とマイナンバーは同時に進めるべき
  • ●実務上の対応準備を
  • マイナンバー導入に向けた経団連の取り組み
  • 個人番号カードを社員証として使ってもらいたい
  • ●利用範囲の拡大と民間利用の重要性
  • ロードマップを示して、民間活用を促進する

社会保障・税番号制度の開始に向けて
 向井治紀 (内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室長代理(副政府CIO))

  • 行政の効率化、国民の利便性向上、公平・公正な社会実現のための社会基盤
  • 民間事業者は準備を
  • マイナンバーを従業員等から取得する際の注意点
  • 「個人番号カード」は本人確認などさまざまな用途で利用可能
  • 法人番号は自由に利用可能

国民の安心を支える社会保障制度の充実に向けて
 村木厚子 (厚生労働事務次官)

  • 社会保障分野での番号制度導入の意義
  • 民間事業者におけるマイナンバーの活用場面
  • 医療等分野における番号の活用

税分野での番号制度の導入
 林 信光 (国税庁長官)

銀行界における取り組み
 佐藤康博 (全国銀行協会会長)

  • マイナンバー利用開始に向けた準備
  • 個人預金口座へのマイナンバーの付番
  • 銀行業務におけるマイナンバー制度の利活用
  • 国民の幅広い理解と納得

証券業界における制度導入に向けての取り組み
 稲野和利 (日本証券業協会会長)

  • 証券会社における対応整備
  • マイナンバー利用による利便性向上への期待

生命保険事業における将来的な利活用および税分野の対応
 渡邉光一郎 (生命保険協会会長)

  • 生命保険事業におけるマイナンバー制度の将来的な利活用
  • マイナンバー制度の円滑な導入に向けた取り組み等

損害保険業界における取り組み
 堀 政良 (日本損害保険協会専務理事)

  • 損害保険業界の準備状況
  • 民間での利活用に向けて

民間活用サービスモデルの検討
 矢野 聡 (日本総合研究所主任研究員)

  • マイナンバーの利用可能範囲
  • マイナンバーインフラとその利用イメージ
  • 民間サービスへの想定適用事例
  • マイナンバーの民間利用実現に向けて

失敗しない制度対応
~これから半年の準備
 梅屋真一郎 (野村総合研究所未来創発センター制度戦略研究室長)

  • マイナンバーへのしっかりとした取り組みは企業の責務
  • 準備のマイルストーン
    ~いつまでに何を行うのか
  • まずは従業員等関係者に周知徹底を行うべき
  • 通知カードの確実な受け取りと保管

制度導入にあたっての企業の役割と心構え
 袖山喜久造 (SKJ総合税理士事務所所長・税理士)

  • 行政機関におけるマイナンバー
  • マイナンバー制度における企業の役割
  • 制度導入にあたっての企業の心構え

くらしに役立つ制度にするための視点
 清原慶子 (三鷹市長)

  • はじめに
  • マイナンバー制度の基礎にある住民基本台帳ネットワーク・住基カード
  • 自治体としてマイナンバー制度を活かすための視点
  • マイナンバーの利用を最適化するための諸課題
  • マイナンバー制度が信頼される制度となるために必要な取り組み

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一般記事

経団連インドネシア・ミッション
~両国経済関係の深化・拡大に向け成果
 榊原定征 (経団連会長)

  • 事業環境整備に向けた具体的課題を提起
  • 日本への強い信頼と大きい期待

【提言】
地球規模の削減に向け実効ある気候変動政策を求める

~温暖化対策に関するわが国の貢献のあり方を提示
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/033.html
 木村 康 (経団連副会長・環境安全委員長/JXホールディングス会長)
 徳植桂治 (経団連環境安全委員会共同委員長/太平洋セメント会長)

  • 実効的な国際枠組みの構築を
  • わが国の貢献のあり方
  • 望ましい国内の温暖化対策

【提言】
人口減少への対応は待ったなし

~総人口一億人の維持に向けて
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/037.html
 岡本圀衞 (経団連審議員会副議長・経済政策委員長/日本生命保険会長)
 上釜健宏 (経団連経済政策委員会共同委員長/TDK社長)

  • 人口減少の原因は若者の未婚化
  • 結婚の希望を叶える
  • 生み育てやすい環境をつくる
  • 外国人材の受け入れ・定住促進に向けて
  • 社会全体での取り組みを推進

企業が求める人材像と大学教育への期待
~グローバル人材の育成・活用に向けた取り組みに関するアンケート結果
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/028.html
 渡邉光一郎 (経団連教育問題委員会共同委員長(当時)/第一生命保険社長)

  • グローバル人材に不可欠な資質は「多様性への理解」
  • 企業によるグローバル人材の採用・活用は着実に進展
  • 大学には双方向の留学生交流を期待

労働法制改革の推進を求める
~なぜ、労働者派遣法改正法案・労働基準法改正法案の早期成立が必要か
 篠田和久 (経団連副会長・雇用委員長/王子ホールディングス取締役)
 鵜浦博夫 (経団連副会長・労働法規委員長/日本電信電話社長)

  • 労働者派遣法改正案
  • 労働基準法改正法案

連載

  • 未来を創る企業力 (11) ~100年経営の真髄に迫る~
    数々のイノベーションを通じて産業の発展を支え続ける。
    坂口電熱

    • オンリーワンの技術開発で次代の半導体生産に貢献
    • 創業者の精神を継承した自ら進んで困難に挑む姿勢
    • 経営の根幹にある社是が事業の推進力を呼び覚ます
  • 震災復興の現場から (11)
    民間企業社員が被災地の行政で働く意義
    山中啓稔(福島県双葉町役場復興推進課)

  • あの時、あの言葉
    当事者根性を持て!!
    根岸修史(積水化学工業会長)

  • Essay「時の調べ」
    思い出磨き業のエキスパート
    平田裕一(会津東山温泉「向瀧」代表取締役)

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