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月刊 経団連

月刊 経団連2016年3月号

特集 人口減少下での経済の好循環と企業の持続的成長の実現

巻頭言

インフラシステム輸出の推進に向けて

山内隆司 (経団連審議員会副議長/大成建設会長)

わが国は世界に類を見ない急激な人口減少時代を迎えつつある。世界に目を転じれば、現在70億人を超える人口が2050年までに90億人を突破すると予測されている。新興国を中心に、空港・鉄道・電力・港湾などの旺盛なインフラ整備需要が見込まれており、日本再興戦略のもと、質の高いインフラシステムの輸出に官民を挙げて取り組んでいるところである。

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特集

人口減少下での経済の好循環と企業の持続的成長の実現

過去2年の労使交渉・協議において、経団連は、業績が拡大した企業に向け、積極的な対応を呼びかけた。経済の好循環の二巡目を回すために企業経営者が思い切った決断を下したこともあり、多くの企業において2年連続でベースアップが行われ、賞与・一時金額も増加した。わが国経済は現在、全体としては緩やかな回復を続けているものの、中国経済の減速や円高・株安等の変動リスクにより、先行きは不透明さを増している。このような情勢のなか、人口減少や経済の好循環の実現への対応に向け、多様な人材の活躍推進に関する取り組みや、難しい判断が求められる2016年春季労使交渉・協議について議論を行った。

座談会:人口減少下での経済の好循環と企業の持続的成長の実現

  • 工藤泰三 (経団連副会長・経営労働政策特別委員長/日本郵船会長)
  • 内山田竹志 (経団連副会長/トヨタ自動車会長)
  • 進藤清貴 (経団連雇用政策委員長/王子ホールディングス会長)
  • 湯元健治 (日本総合研究所副理事長)

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工藤泰三 (経団連副会長・経営労働政策特別委員長/日本郵船会長)
今次労使交渉・協議に向けた「経営側の基本スタンス」として、経済の好循環を回すという社会的要請を受け、2015年を上回る「年収ベースの賃金引き上げ」について、前向きで踏み込んだ検討が望まれる。賃金引き上げにあたっては、月例賃金の一律的な水準引き上げ(全体的ベースアップ)に限らず、若年層や子育て世代への重点配分(重点的ベースアップ)、賞与・一時金の増額、各種手当の見直しなど、さまざまな選択肢がある。

内山田竹志 (経団連副会長/トヨタ自動車会長)
当社は、多種多様な人たちが能力を十分に発揮できる環境づくりを目指している。現在、特に力を入れているのは女性の活躍推進である。理系の女性を増やすために「トヨタ女性技術者育成基金」を設立し、大いに後押ししている。労使関係は企業の競争力を強化するうえで極めて重要な要素である。そのため、会社と組合のコミュニケーションをとても重視し、春の労使協議会においても、経営課題や職場が抱える課題、働き方など幅広いテーマについて議論している。賃金は重要ではあるものの、そうした労使協議のテーマの一つと位置付けている。

進藤清貴 (経団連雇用政策委員長/王子ホールディングス会長)
当社は、2015年4月にダイバーシティ推進室を設置し、ダイバーシティ経営を本格化させた。ダイバーシティ推進がかけ声で終わらないよう、スローガンとロゴマークをつくり、各カンパニーのトップをメンバーとするダイバーシティ推進委員会を開催している。今次労使交渉・協議にあたっては、グループ各社が支払能力に応じて賃金を決定するが、賃金引き上げは基本的に賞与で行うというのがグループ共通の指針である。今後、月例賃金の水準を引き上げる場合は、子育て世代に厚くしたい。

湯元健治 (日本総合研究所副理事長)
日本企業を取り巻く環境は、昨年以上に改善されたとはいえず、グローバルリスクの顕在化で不透明感が増している。今次労使交渉・協議では、3年連続のベースアップが実現することが望ましい。しかし、物価上昇率がゼロに落ちていることもあり、昨年を上回るかは微妙だろう。労使は運命共同体であり、パートナーとして、企業が抱える中長期的な課題について認識を共有し、対応策を協議していくべきである。課題解決型の労使交渉・協議に変えていくことが求められている。

椋田哲史 (司会:経団連専務理事)

  • ●多様な人材の活躍と働き方改革によるイノベーション創出
  • 人口減少社会における企業戦略とは?
  • 多種多様な人たちが能力を発揮できる環境づくり
  • トップが変わらなければダイバーシティは進まない
  • 外国人が圧倒的多数のなかで日本人が果たす役割
  • 「ワーク・ライフ・バランス」の向上を目指して
  • 仕事と介護の両立は社会的なニーズ
  • 研修と人事ローテーションで働き方を身に付ける
  • トップのコミットメント、成果主義、多様な制度
  • ●2016年春季労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢
  • グローバルリスクの顕在化で不透明感が増している
  • 2016年版経労委報告「経営側の基本スタンス」のポイント
  • 良い労使関係は企業の競争力の源泉
  • 賃金引き上げは子育て世代に厚くしたい
  • 非正規雇用の正規化で人口減少に歯止めを
  • 「春闘型」から「課題解決型」の労使交渉・協議へ変えていく

2016春季生活闘争に向けて
-底上げ元年の実現を!
 神津里季生 (日本労働組合総連合会会長)

  • 持続性と底上げを図る取り組み
  • 大手追従・大手準拠などの構造転換に挑戦する
  • 希望と安心社会の構築に向けて

地域の将来像、課題も踏まえて経営判断を
 小俣一夫 (神奈川県経営者協会会長/JFE物流社長)

  • 人口減少、超高齢社会を乗り越えるために
  • これからの労使交渉・協議に向けて

労働力人口減少への対応
-多様な人材の活躍推進について
 樋口美雄 (慶應義塾大学商学部教授)

  • 景気回復に伴う正規労働者の増加
  • 多様で柔軟な働き方のできる環境の整備を

女性の活躍推進に向けて
 とかしきなおみ (厚生労働副大臣)

  • 女性の活躍に向けた課題を明らかにし、行動計画策定を
  • 働く女性、働きたい女性を多方面から支援

会社が社員に求めているのは時間ではなく成果
-カルビーの働き方改革
 高橋文子 (カルビー人事総務部長)

  • 震災をきっかけに働き方改革が動く
  • キーワードは簡素化・透明化・分権化
  • ダイバーシティ推進に向けて

人材は最も重要な経営資源であり、競争力の源泉
-多様な人材がイオンリテールで活躍し、事業戦略を達成するための新しい仕組みづくり
 二宮大祐 (イオンリテール執行役員人事・総務本部長)

  • 人事理念(人事ビジョン)
  • 人事制度改定の背景
  • 新たな人事制度の方向性

健康経営の推進について
 松井敏浩 (大和証券グループ本社CHO専務執行役)

  • 生活習慣病ハイリスク者対策を最優先に
  • インセンティブ付与で自助努力の後押し

仕事と介護の両立推進に向けた取り組み
 谷村仁志 (オムロングローバル人財総務本部人事部長)

  • これまでの取り組み
  • 取り組みの強化
  • 今後に向けて

2016年版経営労働政策特別委員会報告を公表
-人口減少下での経済の好循環と企業の持続的成長の実現
 (経団連労働政策本部)

  • 多様な人材の活躍と働き方改革によるイノベーション創出
  • 雇用・労働における政策的な課題
  • 2016年春季労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢

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一般記事

【提言】
東京オリンピック・パラリンピックに向けたサイバーセキュリティ対策を求める

~サイバーセキュリティ対策の強化に向けた第二次提言
http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/006.html
 中西宏明 (経団連副会長・情報通信委員長/日立製作所会長)

  • サイバーセキュリティの意義
  • サイバーセキュリティ対策
  • 産業界の取り組み

【提言】
アフリカの持続可能な成長に貢献するために

~TICAD Ⅵに向けた経済界のアフリカ戦略
http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/005.html
 野路國夫 (経団連審議員会副議長・サブサハラ地域委員長/小松製作所会長)
 加瀬 豊 (経団連サブサハラ地域委員長/双日会長)

  • アフリカ市場の現状とTICAD Ⅴ後の進捗
  • 今後の対アフリカ戦略
  • アフリカのさらなる発展に向けた課題

【提言】
生物応答を利用した排水管理手法(WET手法)の活用の再考を求める

http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/007.html
 徳植桂治 (経団連環境安全委員長/太平洋セメント会長)

  • 着実に改善が進むわが国の水環境
  • WET手法には多くの課題
  • 経済再生と両立する政策の推進を

採用選考に関する「指針」および「手引き」の改定について
 岡本 毅 (経団連審議員会副議長・雇用政策委員長/東京ガス会長)
 進藤清貴 (経団連雇用政策委員長/王子ホールディングス会長)

  • 選考開始時期の前倒しと柔軟な選考機会の提供
  • 学事日程への一層の配慮求める
  • 「指針」の周知徹底に向けて

連載

  • あの時、あの言葉
    思いを言葉に乗せて、夢をかなえる
    鳥越淳司(相模屋食料社長)

  • Photo Message
    呼吸する光
    佐藤時啓(美術家/写真家)

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