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月刊 経団連 座談会・対談 東京オリンピック・パラリンピック等の成功に向けて

河合純一
パラリンピック5大会水泳メダリスト/日本パラリンピアンズ協会会長

室伏広治
アテネオリンピックハンマー投げ金メダリスト/東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツ局長(兼スポーツディレクター)

高橋尚子
シドニーオリンピックマラソン金メダリスト/東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会アスリート委員長

長榮周作
経団連審議員会副議長、オリンピック・パラリンピック等推進委員長
パナソニック会長

豊田章男
経団連オリンピック・パラリンピック等推進委員長
トヨタ自動車社長

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豊田章男 (経団連オリンピック・パラリンピック等推進委員長/トヨタ自動車社長)
リオ大会の開会式に出席し、スポーツの力、素晴らしさをあらためて感じた。東京大会の成功には日本人選手の活躍が不可欠であり、企業は継続的にスポーツ支援を行っていかなければならない。当社も、「ステークホルダーへの恩返し」という位置付けで、さまざまなスポーツ支援活動に取り組んでいる。パラリンピックに関しては、東京は世界で初めて2回目の開催をする都市となる。このことの意味は大きく、「心のバリアフリー」の実現を目指すとともに、日本の技術力を活かしたハード面のレガシーづくりにもチャレンジしたい。

室伏広治 (アテネオリンピックハンマー投げ金メダリスト/東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツ局長(兼スポーツディレクター))
さまざまな問題が指摘されながらも、リオ大会が結果的に成功したのは、競技エリアの運営がうまくいっていたことが大きい。東京大会でも同様の準備・取り組みが必要になるだろう。日本選手の競技力向上については、技術とともにタフな精神を身につけさせることが重要である。国際大会では、危機をチャンスに変える力、困難を楽しむ力がなければ、ベストのパフォーマンスを発揮できない。2020年の東京大会の成功に向け、オリンピアンとパラリンピアンが共同して取り組み、次世代に精神面のレガシーを残したい。

長榮周作 (経団連審議員会副議長、オリンピック・パラリンピック等推進委員長/パナソニック会長)
東京大会ではオリンピックパークがなく、試合会場が点在するため、できるだけ多くのパブリックビューイング会場を設置し、大会を盛り上げる必要がある。また、幼少期から続けている剣道を通じて、障がいを持った剣士と接する機会があり、さまざまな気づきを得た。パラリンピック成功のためには、障がい者アスリートと市民が触れ合う機会をつくり、心のバリアを少しずつなくしていきたい。2020年までは、日本の素晴らしさ、魅力を世界にアピールする好機。東京オリンピック・パラリンピック開催後も、海外からのお客様を引きつけ続ける日本にしていきたい。

河合純一 (パラリンピック5大会水泳メダリスト/日本パラリンピアンズ協会会長)
リオ大会のパラリンピックは、残念ながら金メダルゼロという結果に終わった。各国が日本を上回るスピードでレベルを上げてきている。選手の環境は良くなりつつあるが、選手を支えるコーチやガイドランナーといった人たちへのサポートが、日本ではまだ十分とはいえない。オリンピックとパラリンピックの間にある「壁」を取り払い、オリンピックの経験者・指導者が、パラリンピアンの指導にあたれる環境を整えることが必要である。また、パラスポーツの楽しさを市民に体験してもらう取り組みも進めていく。

高橋尚子 (シドニーオリンピックマラソン金メダリスト/東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会アスリート委員長)
リオ大会で過去最多のメダルを獲得できたのは、選手たちに「東京につなげたい」という気持ちが出てきたことが大きいと感じた。アスリートにとっては、国民からの応援が最高のモチベーションとなる。アスリート委員会として、もっとスポーツと社会の距離が近づくような取り組みを進め、東京大会の好成績につなげたい。同時に、オリンピックとパラリンピックの間にある「壁」を乗り越えて一緒に活動していくことにより、2020年の先にある「共生社会」の実現を目指したい。

久保田政一 (司会:経団連事務総長)

  • ● リオデジャネイロ大会を振り返って
  • リオの「感動」を東京で
  • パブリックビューイングで大会を盛り上げる
  • スポーツプレゼンテーションの重要性を感じた
  • 報道の立場から見た大会運営の課題
  • リオで学んだことを選手・スタッフと共有して前に進む
  • ● 2020年東京大会に向けた競技力向上とスポーツ支援
  • スポーツの「場」づくりが必要
  • 国際大会で必要な「タフさ」を身につける
  • オリンピックとパラリンピックの「壁」を壊したい
  • 人材育成の観点から継続的なスポーツ支援を
  • ● 東京パラリンピックの成功と真のバリアフリー社会に向けて
  • 「ボッチャバー」で盛り上がる
  • 「心のバリアフリー」を東京大会のレガシーに
  • 「FUN TO DRIVE」は健常者だけのものではない
  • アスリートと市民が触れ合う「ビューティフルジャパン」
  • パラリンピックの先にある「共生社会」
  • ● 東京大会のレガシー形成に向けて
  • アスリート自らがアクションを起こす
  • 使いやすさと「かっこよさ」を兼ね備えたレガシー
  • 物質的な豊かさから精神的な豊かさへ
  • 「クールジャパン」を世界に向けて発信するチャンス
  • 誇りの持てる日本を次世代に残したい

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