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月刊 経団連 座談会・対談 成長戦略を支えるジャパン・ブランドの発信力強化に向けて

高藤悦弘
経団連産業競争力強化委員会ジャパン・ブランド部会長
味の素取締役専務執行役員

ピーター・バラカン
ブロードキャスター

依田 巽
経団連産業競争力強化委員会エンターテイメント・コンテンツ産業部会長
ギャガ会長

中村邦晴
経団連審議員会副議長
住友商事社長

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中村邦晴(経団連審議員会副議長/住友商事社長)
国内外に幅広いネットワークを持ち、多様な産業分野に進出している総合商社は、ジャパン・ブランドの強化にさまざまな面で貢献できる。例えば、当社ではタイでテレビ通販事業に参画しており、台湾でもドラッグストアなどで日本製品を積極的に取り扱っている。また、日本のコンテンツの海外展開も手がけており、日本を紹介するテレビ番組はシンガポール25年の歴史を持つ。民間主導でここまできたが、コンテンツの海外展開は、宣伝やローカライズにおける資金面での支援や規制緩和、人材育成など、政府のサポートも必要である。

ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
日本の魅力を海外に伝えるためには、何を伝えるかという中身の議論も大事だが、多様な情報にアクセスしやすい環境をどう整備するか、という視点が重要。ネット上の口コミ効果は大きく、人々は自分で情報を探し出す場合が多い。興味を持つきっかけをつくることが大切だ。英語をはじめ多言語での情報発信が不可欠だが、その内容が正確かつ適切に伝わるよう、編集等にもっと外国語ネイティブを関与させるべき。私が来日した1970年代と比べて、日本人は内向きになってしまった。自国に興味を持ってもらうには、自らが他国に興味を持つことも大事だ。

依田 巽(経団連産業競争力強化委員会エンターテイメント・コンテンツ産業部会長/ギャガ会長)
私が「コンテンツ」という言葉を使いはじめて15年がたつ。「韓流ブーム」を起こし、韓国製品のブランド力アップを成功させた韓国と比較すると周回遅れの感はあるものの、現在、日本でも政官民一体の取り組みが進みつつある。言語を超えて伝わりやすいコンテンツの特性を活かし、海外展開を進め、日本ブームを創出することで、日本の製品・サービスのブランド力を高め、インバウンドの拡大につなげたい。そのためには、コンテンツに精通したビジネス人材と著作権をめぐりグローバルなネットワークを持ち交渉力がある弁護士の育成が急務である。

高藤悦弘(経団連産業競争力強化委員会ジャパン・ブランド部会長/味の素取締役専務執行役員)
一口に「日本食」といっても、日本伝統の「わび・さび」を器の上に表現した懐石料理から、外国料理を日本風にアレンジしたラーメンまで、非常に幅が広い。その多様性こそが日本食の魅力であろう。「食」をコンテンツの1つとしてとらえ、海外で定期的にフェアを開催するなど、食品業界を挙げて発信に取り組んでいきたい。当社にとっての「ジャパン・ブランド」とは、品質の高さ、安心安全、おいしさへのこだわり、という考え方そのものである。この考え方は、国内外を問わず、当社の従業員全員に共有されている。

根本勝則(司会:経団連常務理事)

  • ■ 「ジャパン・ブランド」とは
  • 商社のネットワークを活かして、ジャパン・ブランド強化に貢献する
  • コンテンツの海外展開を進め、「日本ブーム」の創出を目指す
  • ネットで多様な情報発信を
  • 食に対する「こだわり」が、味の素のジャパン・ブランド
  • ネット時代の情報発信にあわせた制度改革が必要
  • ■ 成長戦略としてのクールジャパン政策への期待
  • 「コ・フェスタ」を世界的なイベントに育てたい
  • 「モノからコトへ」の時代、文化の力が果たす役割は大きい
  • 「食」をコンテンツの1つとしてアピールしていきたい
  • “口コミ”が最も効き目がある
  • 日本のコンテンツは「韓流」を超えられるか
  • ■ ジャパン・ブランドを担う人材、その育成・確保のあり方
  • 日本食の基礎が学べる養成機関を海外に
  • コンテンツに通じたビジネス人材、弁護士の育成が急務
  • 日本の英語教育は英語が苦手な子どもを増やしている
  • 人との触れ合いが目利き・耳利きを育てる

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