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月刊 経団連 座談会・対談 企業の持続的成長を実現する働き方改革と生産性向上の一体的取り組み

隅 修三
経団連審議員会副議長
東京海上ホールディングス会長

伊藤雅俊
経団連審議員会副議長
味の素会長

湯元健治
経団連経営労働政策特別委員会アドバイザー
日本総合研究所副理事長

工藤泰三
経団連副会長、経営労働政策特別委員長
日本郵船会長

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工藤泰三(経団連副会長、経営労働政策特別委員長/日本郵船会長)
働き方改革のポイントは、労働生産性の向上を目指すとともに、多様な人材が働きやすい環境をつくり、女性や高齢者などの労働参加を促すことだと考える。日本郵船では、女性社員が活躍できるよう、本社内に保育所を設置するなど、改革を進めている。今次労使交渉・協議に向けては、デフレからの完全な脱却と経済の好循環のさらなる拡大に向けて、賃金引き上げのモメンタムを一層強化していくことが求められる。

湯元健治(経団連経営労働政策特別委員会アドバイザー/日本総合研究所副理事長)
日本経済は、米国・欧州・アジア諸国向けの輸出が回復し、企業の収益拡大、製造業の生産活動拡大というかたちで、循環的な景気拡大期に入ってきた。一方で、高齢化が大きなプレッシャーとなり、内需の主役である個人投資と設備投資が伸び悩んでいる。非正規雇用が労働者全体の4割近くに達するなか、国民の社会保障制度の持続性に対する不安、将来不安を解消するために、政府には労働者のエンプロイアビリティを高める積極的労働市場政策の推進が求められる。

伊藤雅俊(経団連審議員会副議長/味の素会長)
味の素では、「確かなグローバル・スペシャリティ・カンパニー」という目標を掲げ、性別・国籍・価値観などにかかわらず多様な人財が活躍できる企業を目指している。働き方改革の最終的な目標は、従業員の「働きがい」を高めることだと考える。今次労使交渉・協議においても、従業員のモチベーションを高めるための仕組みづくりを含めた、総合的な処遇改善について議論していきたい。

隅 修三(経団連審議員会副議長/東京海上ホールディングス会長)
保険業界は人材が競争力の源泉である。東京海上日動では、労働時間管理の徹底や業務プロセスの改革など、現在の働き方改革と同様の取り組みを10年以上前から行ってきた。今は社員の「働きがい」に重きを置き、働き方の質や生産性の向上に向けた取り組みを進めている。今次労使交渉・協議に向けては、将来不安の解消のため、子育て層やパート・有期契約社員などの処遇改善について論議することが求められる。

椋田哲史(司会:経団連専務理事)

  • ■ 働き方改革と労働生産性向上の一体的取り組み
  • 海運業を女性が働きやすい業界に
  • 経営側と社員、双方の意識改革を進める
  • 社員の働きがいに重きを置いた働き方の変革
  • 業務プロセスのシンプル化と企業風土の改革
  • 「3M解消プロジェクト」で業務の効率化
  • 現状2000人規模の工場の無人化を目指す
  • 「付加価値生産性」の向上が課題
  • ■ 2018年春季労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢
  • デフレ脱却を視野に、さらに景気は拡大する
  • 賃金引き上げのモメンタムを一層強化していく
  • 「働きがい」を向上させる総合的な処遇改善を行いたい
  • 子育て層やパート・有期契約社員などの処遇改善が重要なテーマ
  • 生涯所得・世帯所得の観点から話し合いを
  • 政府の積極的労働市場政策に期待する

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