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月刊 経団連

月刊 経団連2015年12月号

特集 企業の競争力強化を担う人材の育成と活用に向けて

巻頭言

日本型ビジネスモデルの創造

鵜浦博夫 (経団連副会長/日本電信電話社長)

オリンピック・パラリンピックイヤーである来年に向けて、各所でさまざまなスポーツが盛り上がりを見せている。私もリオデジャネイロにおけるトップアスリートの活躍を今から楽しみにしている。リオが終わると次は東京である。まだ4年も先と言う人もいるが、私はあと4年しかないと少し焦りも感じている。

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特集

企業の競争力強化を担う人材の育成と活用に向けて

日本企業が今後、グローバルな市場環境の変化に対応して、さまざまなイノベーションを起こし、グローバル競争に勝ち抜いていくためには、難局に挑む人材をいかに育て、活用していくかが課題となる。このため、教育の現場である大学や中学・高校において、どのような取り組み・改革が求められるのか。他方、産業界は、そうした人材をいかに活用し、競争力の強化と経済成長にどのように貢献できるのか。先進的な取り組みを進める学校のリーダーたちと議論する。

座談会:企業の競争力強化を担う人材の育成と活用に向けて

  • 中西宏明 (経団連副会長・教育問題委員長/日立製作所会長)
  • 永田恭介 (筑波大学学長)
  • 佐藤正光 (東京学芸大学附属国際中等教育学校長)
  • 漆 紫穂子 (品川女子学院校長)
  • 三宅龍哉 ((司会)経団連教育問題委員会企画部会長/富士通常務理事)

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中西宏明 (経団連副会長・教育問題委員長/日立製作所会長)
グローバル化の時代にあっては、多様な人材が協働して事業を組み立てていくのが大前提となる。多様性を柔 軟に受け入れ、自分の考えを堅持し、なおかつ自ら発信できるような力が、最も必要となってくる。したがって、当社のような製造業のエンジニアであっても、理系分野の専門性だけでなく、リベラルアーツの素地が求められる。産学連携は新たなステージに入った。知財管理の問題等を克服し、もっとオープンにイノベーション創出に努めなければ、グローバル競争に勝ち残ることはできない。アカデミズムとの対話のレベルを上げる必要がある。

永田恭介 (筑波大学学長)
戦後の日本は、終戦直後、高度経済成長期と、大きく躍進した時期が2回あり、その原動力となったのは当時を担った人々が受けた教育である。そこで、教育改革を議論する前に、従来の教育について検証する必要がある。大学が初等中等教育に対してメッセージを発信できるのは入学試験である。伝統や特色を踏まえて、各大学がアドミッションポリシーを策定し、メッセージを発信していくべきである。本学では、キャンパスのグローバル化を進める方策の一つとして、IB入試や、入試の多言語対応を行っている。

佐藤正光 (東京学芸大学附属国際中等教育学校長)
本校は、国公立では初めてのIB認定校として中高6年間の一貫したカリキュラムでIB教育を実施している。また、海外帰国生や外国籍の生徒を積極的に受け入れ、国際理解・人間理解・理数探究を柱に、生徒がともに学び、互いを高め合える環境を整えながら、グローバルな視野を持つ生徒の育成に力を入れている。文部科学省のSSH、SGHの指定校となったため、海外との交流が一層盛んになった。これを機に、より社会とかかわる学習を充実させていきたい。

漆 紫穂子 (品川女子学院校長)
課題解決能力の前提として、「人の役に立ちたい」という精神・志を育てることが重要である。本学では、「デザインシンキング」を取り入れ、身近な課題を見つけて、周囲を巻き込みながら最適解を探っていくという体験学習を行い、自分と社会とのかかわりを考える良い機会としている。女性は、出産というライフイベントがあるため、より早くライフプランを考える必要がある。28歳の自分をイメージする「28Project」では、企業と連携した商品開発などを行っている。

三宅龍哉 (司会:経団連教育問題委員会企画部会長/富士通常務理事)

  • ●産業界が求める人材像
  • 専門性とともに求められる基礎的教養
  • ●求められる人材育成に向けた教育改革
  • 入学試験は大学からのメッセージ
  • IB教育は「自分で考える生徒」を育てる
  • 「人の役に立ちたい」という志を育てる
  • 自己肯定感の低い日本人
  • リベラルアーツの重要性
  • 突出した才能を持った子どもをいかに育てるか
  • ●これからの教員のあり方
  • 海外経験や社会人経験がプラスになる
  • 校長にもっと裁量権を
  • 教育学部に留学生を増やす
  • ●人材育成に向けた産業界との連携
  • 企業の研究現場で学生が学べる環境をつくる
  • 実際に社会とかかわる学習が大切
  • 企業とのコラボで商品開発
  • 産学連携は新たなステージに入った
  • 日本企業というフィールドを選択してもらうために

産業界の求める人材像と求められる教育改革
 渡邉光一郎 (経団連審議員会副議長・教育問題委員長/第一生命保険社長)

  • 日本企業をめぐる内外の環境変化と産業界が求める人材像
  • 産業界が人材に求める素質、能力
  • 求められる教育改革
  • 産業界自ら教育現場に参加することが重要

今、教育改革をしなければ、子どもは人工知能に仕事を奪われる
 鈴木 寛 (東京大学大学院教授/慶應義塾大学教授/文部科学大臣補佐官)

  • 「脱丸暗記」教育
  • 日本のポテンシャルは世界一
  • 思考力、判断力、表現力が劣る

グローバル・ビジネス人材育成のために必要なこと
~「グローバル・ビジネスのフロンティア」講座を担当して
 中湊 晃 (三井物産執行役員/三井物産戦略研究所社長)

  • 「グローバル・ビジネスのフロンティア」講座の概要
  • グローバル・ビジネス人材の要件と育て方

高専教育システムの確かな可能性と新たな挑戦
~わが国の将来を支える高度技術人材育成の使命に応える
 小畑秀文 (国立高等専門学校機構理事長)

  • 実践力で評価されてきた高専教育
  • 高度化した技術者像と転機にある高専
  • 創造力と実践力を持つグローバル人材の育成へ向けて

世界に羽ばたく人材を育成する中高一貫教育
~中高のグローバル教育が大学進学のあり方を変える
 チャールズ・フォックス (立命館宇治中学校・高等学校校長)

  • 変革が迫られる中等教育
  • 世界を見据えた教育の展開
  • 大学のグローバル化と入試改革

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一般記事

【提言】
日本再興に向けた規制改革のさらなる推進を求める

~規制改革の今後の進め方に関する意見
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/092.html
 間塚道義 (経団連行政改革推進委員長/富士通取締役相談役)
 野木森雅郁 (経団連行政改革推進委員長/アステラス製薬会長)

  • 改革は道半ば
  • 規制改革の基本的方向性と重点領域
  • 今後の推進体制のあり方
  • 経済界の取り組み

【提言】
企業の競争力強化と豊かな生活を支える物流のあり方

~官民が連携して、「未来を創る」物流を構築する
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/093.html
 瀬戸 薫 (経団連運輸委員長/ヤマトホールディングス取締役相談役)
 武藤光一 (経団連運輸委員長/商船三井会長)

  • 物流の重要性と直面する課題
  • 各社の物流効率化への取り組みの現状
  • 目指すべき物流

社会貢献活動の継続に期待
~2014年度社会貢献活動実績調査結果に見る企業の社会貢献活動
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/089.html
 三宅占二 (経団連企業行動・CSR委員長/キリンホールディングス会長)

  • 一社平均支出額は4.9億円と高水準
  • 制度は定着、社内への浸透が課題
  • 回答企業の7割が震災復興支援を継続

不法投棄等による支障除去等基金の2016年度以降のあり方
 山田政雄 (経団連環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会長/DOWAホールディングス社長)

  • 基金発足の経緯
  • 基金制度のあり方の見直し
  • 2016年度以降の制度のポイント
  • 新しい費用負担の仕組みのもとでの産業界の協力

連載

  • あの時、あの言葉
    広がる防災
    藤原崇起(阪神電気鉄道社長)

  • Essay「時の調べ」
    藤田嗣治と大原美術館
    林 洋子(美術史家/文化庁芸術文化調査官)

  • 新会員紹介
    上海電力日本
    菅原
    ラック

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