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月刊 経団連  巻頭言 地方創生に思う!

岡本圀衞 (おかもと くにえ) 経団連副会長/日本生命保険会長

大好きな熊本。その熊本が予想だにしない大震災に見舞われた。それも、揺れが2000回以上もあったとのこと。どれだけ大変だったことだろう。知人も多いだけに口惜しく、身につまされる思いがする。

好きな熊本には何度も行っている。

熊本城は、さすが“オラが城”として誇りを持たれる最高の城だ。けれど、熊本には、ほかにも素晴らしい所がたくさんある。

天草――「五足の靴」の舞台だ。本渡の寿司屋を思い出す。山鹿――しっとりとした旅館があった。阿蘇・高千穂――雄大な自然と古代の融合。まるで別世界に入ったようだ。人吉――ここはここで独立した王国だ。そして、馬刺し、からし蓮根、「草枕」…。熊本は魅力の宝庫だ。

最近、震災後5年たった三陸地方を回ってきた。いまだに至る所で盛り土が行われている。人もなかなか戻ってこない。

土地の人が今もって苦労をされていることを考えると、震災の災禍、風化させてはならないと思う。一方で、気仙沼市等、地方自治体は、さまざまなアイデアを活かし、懸命に取り組んでいる。また、釜石では、土地の復興に尽くしているホタテ業者と話をしたが、こうした若い経営者には、元気いっぱいな方が多い。こちらが逆に元気をもらうし、その信念や努力に、何か大きな力でバックアップできないかと思う。

経団連の大先輩と故郷の話をした。

「しまなみ海道。知っている? 尾道、向島、生口島、大山祇神社、能島、今治…。ずっといいところがつながっていてね…。村上水軍の本拠地だよ。魚はうまいし、景色は最高! 酒は西条だ。温泉は…。温泉は、やっぱり道後だよなぁ」。線と面でとらえた故郷の活性化に話は弾む。

国内観光は、ちょっと前は30兆円の収入があったという。それが今は20兆円。今は海外からのインバウンドの話題が多いが、一方では、国内観光をもっともっと見直し、各地でがんばっている地方自治体や地元経営者と手を組んで、地方創生に資したいものである。

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