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月刊 経団連  座談会・対談 Society 5.0時代を生き抜く人材と大学改革のあり方

永田恭介
筑波大学長/中央教育審議会大学分科会長・将来構想部会長

田中弥生
大学改革支援・学位授与機構研究開発部特任教授

佐藤康博
経団連審議員会副議長
みずほフィナンシャルグループ会長

渡邉光一郎
経団連審議員会副議長、教育問題委員長
第一生命ホールディングス会長

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渡邉光一郎(経団連審議員会副議長、教育問題委員長/第一生命ホールディングス会長)
Society 5.0実現に向け、日本の「知の基盤」である大学改革は極めて重要な課題となる。大学改革においては、新しい技術を社会実装していくための、文理融合を通じた人文社会科学系の強化が不可欠である。経済界も、企業や産業分野の壁を越えて、協創しながらイノベーションを起こしていく必要がある。産学が一緒に課題解決に向かった先にSociety 5.0 for SDGsがある。

佐藤康博(経団連審議員会副議長/みずほフィナンシャルグループ会長)
企業がSociety 5.0時代に求める人材像を明確に示し、発信することは、大学と企業双方のメリットになる。大学改革における重要なテーマの1つとして「リカレント教育」が挙げられる。「人生100年時代」といわれるなか、これから生じるであろう「労働の質のミスマッチ」を解消し、貧困の固定化を防ぐうえでも、リカレント教育の重要性は高まっている。大学の役割として、企業との協働によって新しい価値やビジネスモデルを生み出す一方、基礎研究を地道に継続していくことも求められる。

永田恭介(筑波大学長/中央教育審議会大学分科会長・将来構想部会長)
Society 1.0から5.0までの間に、人のDNAレベルでの変化は起こっていない。変化したのはテクノロジーとコミュニケーションである。したがって、「次の時代を動かすテクノロジーは何か」を考えなければならない。その1つの解がデジタルサイエンス・テクノロジーであることは間違いない。一方で、リベラルアーツも不可欠であり、これからは大学でも複数の専門を学ばなければ、社会に出てから活躍できない。ディシプリンを超えて学問を修めた人たちが協働することによって、広がりを持った「知」が生まれる。

田中弥生(大学改革支援・学位授与機構研究開発部特任教授)
大学教育では「質保証」が大きな課題である。そのために、アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーの「3ポリシー」に基づくプロセス評価が行われているが、教育効果や成果ベースの評価には至っていない。実際に行われている大学の評価は7種類もあり、評価する側もされる側も疲弊してしまっている。重複をなくし、合理化することが不可欠である。大学界の規模の最適化、再編に向けては、企業のM&Aにおけるバリュエーションのようなものが必要となる。そのためにも評価が重要であり、より客観化・可視化しなければならない。

井上 隆(司会:経団連常務理事)

  • ■ Society 5.0時代に求められる人材と現在の大学教育をめぐる課題
  • 個人にとっては「個性」、企業にとっては「多様性」
  • 企業側が求める人材を大学に対して明確に示すべき
  • 課題は「ディシプリンを超えた学び」
  • ■ 大学教育の質の向上に向けて
  • リカレント教育の重要性が高まっている
  • 大学評価が「身内の評価」になってしまっている
  • 文理融合等を通じた人文社会科学系の強化が不可欠
  • ■ 数および規模の適正化に向けたグランド・デザインの策定、
    大学の連携、再編・統合推進のあり方
  • 大学の数および規模の適正化は不可避
  • 地域が一定の文化を保つには、学校の存在が不可欠
  • 大学行政のあり方を見直す必要がある
  • ■ 経済界への期待
  • 大学の生産性向上に企業の知恵を借りたい
  • 企業とのコラボレーションを積極的に行っていく
  • 基礎研究の強化も大学の重要な役割
  • 産学協働の先にSociety 5.0 for SDGsがある

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