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月刊 経団連

月刊 経団連2018年9月号

特集 大学改革

巻頭言

学生スポーツの意義

進藤孝生 (経団連副会長/新日鐵住金社長)

アメリカンフットボールの大学対抗戦で選手が危険行為を行うという問題があった。母校のラグビー部OB会長の立場で現役大学生を支援する者として、私も多くのことを考えさせられた。そもそも学業が本分である大学においてスポーツをする目的は何であろうか。

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特集

大学改革

経団連が目指すSociety 5.0を実現し、国際社会の目標「持続可能な開発目標=SDGs」の達成に貢献するためには、国民一人ひとりの能力を高めるとともに、イノベーションを継続的に生み出すエコシステムを確立する必要がある。日本の「知」の基盤である大学の国際競争力を、教育・研究の面でさらに強化するための大学改革が喫緊の課題となっており、経団連は今年6月に「今後のわが国の大学改革のあり方に関する提言」を取りまとめ、一石を投じた。本座談会では、これまでの各種会議での検討や本提言の内容を踏まえ、今後の大学改革の方向性について議論する。

座談会:Society 5.0時代を生き抜く人材と大学改革のあり方

  • 渡邉光一郎 (経団連審議員会副議長、教育問題委員長/第一生命ホールディングス会長)
  • 佐藤康博 (経団連審議員会副議長/みずほフィナンシャルグループ会長)
  • 田中弥生 (大学改革支援・学位授与機構研究開発部特任教授)
  • 永田恭介 (筑波大学長/中央教育審議会大学分科会長・将来構想部会長)

PDF形式にて全文公開中

渡邉光一郎(経団連審議員会副議長、教育問題委員長/第一生命ホールディングス会長)
Society 5.0実現に向け、日本の「知の基盤」である大学改革は極めて重要な課題となる。大学改革においては、新しい技術を社会実装していくための、文理融合を通じた人文社会科学系の強化が不可欠である。経済界も、企業や産業分野の壁を越えて、協創しながらイノベーションを起こしていく必要がある。産学が一緒に課題解決に向かった先にSociety 5.0 for SDGsがある。

佐藤康博(経団連審議員会副議長/みずほフィナンシャルグループ会長)
企業がSociety 5.0時代に求める人材像を明確に示し、発信することは、大学と企業双方のメリットになる。大学改革における重要なテーマの1つとして「リカレント教育」が挙げられる。「人生100年時代」といわれるなか、これから生じるであろう「労働の質のミスマッチ」を解消し、貧困の固定化を防ぐうえでも、リカレント教育の重要性は高まっている。大学の役割として、企業との協働によって新しい価値やビジネスモデルを生み出す一方、基礎研究を地道に継続していくことも求められる。

永田恭介(筑波大学長/中央教育審議会大学分科会長・将来構想部会長)
Society 1.0から5.0までの間に、人のDNAレベルでの変化は起こっていない。変化したのはテクノロジーとコミュニケーションである。したがって、「次の時代を動かすテクノロジーは何か」を考えなければならない。その1つの解がデジタルサイエンス・テクノロジーであることは間違いない。一方で、リベラルアーツも不可欠であり、これからは大学でも複数の専門を学ばなければ、社会に出てから活躍できない。ディシプリンを超えて学問を修めた人たちが協働することによって、広がりを持った「知」が生まれる。

田中弥生(大学改革支援・学位授与機構研究開発部特任教授)
大学教育では「質保証」が大きな課題である。そのために、アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーの「3ポリシー」に基づくプロセス評価が行われているが、教育効果や成果ベースの評価には至っていない。実際に行われている大学の評価は7種類もあり、評価する側もされる側も疲弊してしまっている。重複をなくし、合理化することが不可欠である。大学界の規模の最適化、再編に向けては、企業のM&Aにおけるバリュエーションのようなものが必要となる。そのためにも評価が重要であり、より客観化・可視化しなければならない。

井上 隆(司会:経団連常務理事)

  • ■ Society 5.0時代に求められる人材と現在の大学教育をめぐる課題
  • 個人にとっては「個性」、企業にとっては「多様性」
  • 企業側が求める人材を大学に対して明確に示すべき
  • 課題は「ディシプリンを超えた学び」
  • ■ 大学教育の質の向上に向けて
  • リカレント教育の重要性が高まっている
  • 大学評価が「身内の評価」になってしまっている
  • 文理融合等を通じた人文社会科学系の強化が不可欠
  • ■ 数および規模の適正化に向けたグランド・デザインの策定、
    大学の連携、再編・統合推進のあり方
  • 大学の数および規模の適正化は不可避
  • 地域が一定の文化を保つには、学校の存在が不可欠
  • 大学行政のあり方を見直す必要がある
  • ■ 経済界への期待
  • 大学の生産性向上に企業の知恵を借りたい
  • 企業とのコラボレーションを積極的に行っていく
  • 基礎研究の強化も大学の重要な役割
  • 産学協働の先にSociety 5.0 for SDGsがある

Society 5.0に向けた人材育成
―「Society 5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会」における検討から
 林 芳正(文部科学大臣/参議院議員)

  • Society 5.0に向けて
  • Society 5.0の社会像・求められる人材像、学びのあり方
  • 新たな時代に向けた政策の方向性
    ~文理分断からの脱却
  • 大臣懇談会の模様

今後のわが国の大学改革のあり方に関する提言
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/051.html
 岡本 毅(経団連副会長、教育問題委員長/東京ガス相談役)
 渡邉光一郎(経団連審議員会副議長、教育問題委員長/第一生命ホールディングス会長)

  • 大学教育の質の向上に向けた改革
  • 大学の連携、再編・統合の推進
  • 大学の財務基盤・経営改革の推進

【対談】
人文社会科学系教育拡充の必要性

―大学教育の質向上・経済界への期待
PDF形式にて全文公開中
 鎌田 薫(早稲田大学総長/日本私立大学連盟会長)
 岡本 毅(経団連副会長、教育問題委員長/東京ガス相談役)

Society 5.0により生まれる新たな科学技術を社会実装するうえで、経済、経営、法律、倫理、哲学などの人文社会科学系の知識や専門性が必要であることは論をまたない。経団連の「今後のわが国の大学改革のあり方に関する提言」では、直面する諸課題の解決には、文系、理系の枠を超えた知識が必要であり、大学改革にあたっては、文理融合の柔軟な組織、教育カリキュラムの編成を検討するよう求めている。

本対談では、このように提唱するに至った経緯や課題認識について意見を交わすとともに、経済界に対する大学側の期待などを含め、今後の大学のあり方を展望する。

  • 日本の人文社会科学系教育をめぐる現状と課題
  • Society 5.0実現に向けた人文社会科学系教育の必要性
  • 人文社会科学系教育の強化に向けて必要な改革とは
  • 経済界への期待

高等教育改革の方向性
―自由民主党教育再生実行本部高等教育改革部会における検討から
 渡海紀三朗(自由民主党教育再生実行本部高等教育改革部会主査/元文部科学大臣/衆議院議員)

  • 今なぜ高等教育改革を行う必要があるのか
  • 新たな高等教育の役割と4つの対応策
  • 高等教育の規模と役割分担

東海国立大学機構(仮称)設立構想について
 松尾清一(名古屋大学総長)

  • 東海国立大学機構(仮称)を構想するに至った背景
  • 「機構」設置に向けた第1ステップとしての名古屋大学・岐阜大学の統合協議

自ら考え行動する人材が育つグローバルな大学APU
 出口治明(立命館アジア太平洋大学(APU)学長)

  • どの国や地域でも通用する人材を育成
  • 大学の競争力強化は喫緊の課題
  • 新たなビジネスやムーブメントを生み出す若者を輩出

地方大学における地域創生への取り組み
 蔡 晃植(長浜バイオ大学学長)

  • 大学誘致が地域創生
  • 教育と研究活動を通じての貢献
  • 新時代に対応した研究・教育を行う地域の中核大学へ

食を支え・くらしを守る人材の育成で地域および国際社会に貢献
―帯広畜産大学の取り組み
 奥田 潔(帯広畜産大学長)

  • 実学重視の学風
  • 地域志向の人材育成
  • 地域と世界の懸け橋

東京理科大学における教育改革にかかる取り組みについて
―学生自身による学修のPDCAサイクルの確立に向けて
 岡村総一郎(東京理科大学副学長・教育開発センター長)

  • 大学教育改革が求められる背景と東京理科大学が目指す姿
  • 東京理科大学における教育改革にかかる取り組み
  • 「学修ポートフォリオシステム」の導入による「学修成果の可視化」とは
  • 今後の教育改革にかかる取り組みの課題と展望

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一般記事

第9回アジア・ビジネス・サミットをインド・ニューデリーで開催
―アジアのさらなる発展に向け経済界首脳が意見交換
 中西宏明(経団連会長)

  • 包摂的成長およびイノベーションの創出に向けて

連載

  • 経営者のひととき
    心のデトックス
    瀬川 章(藤田観光社長)

  • Essay「時の調べ」
    偶然は必然
    松井みさき(写真映像作家)

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