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月刊 経団連 21世紀の20年と国際秩序の行方

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2001年の米国における同時多発テロ、2008年の米国発国際金融危機の際、米中両国は協力して対応に当たった。しかし、現在世界を襲っている新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおいては、米中は対立を深めることとなった。一方、そのはざまで、EUは戦略的自律性を追求している。本座談会では、21世紀の20年を振り返ることで、米、中、EUそれぞれが抱える内外の課題を浮き彫りにするとともに、パンデミックに襲われた世界の現状を踏まえ、国際秩序の行方を展望し、併せて、その中での日本の立ち位置、役割について議論した。

久保 文明 くぼ ふみあき
防衛大学校長
21世紀政策研究所米国研究会研究主幹

東京大学法学部卒業。博士(法学、東京大学)。
慶應義塾大学教授、東京大学教授などを経て、2021年4月から現職。専門は米国の政治外交史。主な著作に『アメリカ政治史』(有斐閣、2018年)、『トランプ政権の分析―分極化と政策的収斂との間で』(日本評論社、2020年、共編)、『アメリカ政治の地殻変動―分極化の行方』(東京大学出版会、2021年、共編)など。

須網 隆夫 すあみ たかお
早稲田大学大学院法務研究科教授
21世紀政策研究所欧州研究会研究主幹

東京大学法学部卒業。弁護士。
1988~1994年ベルギーにて弁護士活動。米コーネル大学ロースクール修士。ベルギー・ルーヴァン・カトリック大学大学院修士。早稲田大学法学部教授などを経て現職。専門はEU法。主な著書に『EUと新しい国際秩序』(日本評論社、2021年)、『英国のEU離脱とEUの未来』(日本評論社、2018年)。
 

田所 昌幸 たどころ まさゆき
慶應義塾大学法学部教授
21世紀政策研究所国際秩序研究会研究主幹

京都大学大学院法学研究科修了。博士(法学、京都大学)。
ジョーンズ・ホプキンス大学SAIS客員研究員、ピッツバーグ大学ジョーンズタウン校客員教授、防衛大学校教授などを経て2002年4月から現職。専門は国際政治学、国際政治経済学。主な著書に『国連財政―予算から見た国連の実像』(有斐閣、1996年)、『「アメリカ」を超えたドル―金融グローバリゼーションと通貨外交』(中央公論新社「中公叢書」、 2001年)、『国際政治経済学』(名古屋大学出版会、2008年)、『越境の国際政治―国境を越える人々と国家間関係』(有斐閣、2018年)など。

川島 真 かわしま しん
東京大学大学院総合文化研究科教授
21世紀政策研究所中国研究会研究主幹

東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学、東京大学)。
北海道大学法学部助教授、東京大学大学院総合文化研究科准教授などを経て、2015年4月から現職。専門は中国・台湾の政治外交史、国際関係史。主な著書に『近代国家への模索 1894-1925』(岩波新書、2010年)、『チャイナ・リスク』(岩波書店、2015年、編著)、『21世紀の「中華」―習近平中国と東アジア』(中央公論新社、2016年)、『中国のフロンティア―揺れ動く境界から考える』(岩波新書、2017年)など。

  • ■ 21世紀の20年から何が言えるか
  • 民主主義を媒介としない、経済関係を基礎とした新型国際関係で国際秩序を描く中国
  • 満身創痍に見えるEUも実際は法制度化で強靭となり、民主主義で困難を克服
  • 単一の制度では制御しきれない国際社会
  • ■ パンデミックに襲われた世界の現状をどう見るか
  • コロナ禍は米国に追い付く時間をさらに早めたと見る中国
  • EUは戦略的自律性を標榜。EUの根幹を揺るがす加盟国における法の支配の現状
  • 民主党と共和党の分断を映す米国社会。EUとの関係改善の行方は未だ楽観できず
  • 第三世界に魅力的なビジョンを示すことが重要。国家の役割が再評価される時代に
  • ■ 国際秩序の萌芽は見えるか、秩序形成の鍵は何か
  • 重要な領域主権の相互承認。サイバー空間や宇宙空間にも秩序が必要
  • 27カ国で擦り合わせたEUのルールは高い普遍性あり。日本も普遍化の努力が必要
  • 中間層のための外交を掲げる米国。米国の過小評価は禁物
  • ■ 日本の立ち位置は。果たすべき役割は何か
  • 同盟国との結束を強化するとともに、友好国を増やす努力、自助努力が必要
  • 経済と安全保障のコーディネーションに留意
  • 米国だけではなく、EUと歩調を合わせることも重要
  • 新たな挑戦のために合理的にリスクを取る姿勢がないと、衰退するだけ

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