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月刊 経団連 座談会・対談 わが国経済外交の再構築に向けて

久保田政一
司会:経団連専務理事

田中明彦
国際協力機構(JICA)理事長

矢野 薫
経団連審議員会副議長・国際協力委員長
日本電気会長

田中 均
日本総合研究所国際戦略研究所理事長

石原邦夫
経団連副会長・アメリカ委員長
東京海上日動火災保険会長

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石原邦夫 (経団連副会長・アメリカ委員長/東京海上日動火災保険会長)
アジア太平洋地域のパワーバランスが変化するなか、日米関係を再び強化することが、この地域の安定的発展にとって不可欠である。安倍政権になって日米関係が改善に向かっていることは歓迎すべきだ。また、米国が、TPP交渉を軸として、経済面でもアジア太平洋地域への関心を高めていくなかで、日本も早期に交渉に参加することで、米国と共に通商ルールづくりをリードすることが、喫緊の課題である。

田中 均 (日本総合研究所国際戦略研究所理事長)
今や政治と経済を切り離して論じることに意味はなく、トータルな戦略が求められている。日米欧という三つの先進地域が、高度な経済連携で結ばれていく可能性、あるいは東アジア地域の連携の可能性が高まるなかで、TPPをめぐる議論は、日本をどう改革していくかという観点でなされるべきだ。経済外交を支える体制としては、米国の国家安全保障会議、外交問題評議会に相当する二つの機関が日本でも必要である。

矢野 薫 (経団連審議員会副議長・国際協力委員長/日本電気会長)
戦後、日本は、対外援助等を通じて、相手国の経済成長、貧困の撲滅に貢献してきた。ウィン・ウィンの関係をつくることが日本の経済外交における基本である。今後も、例えばCO2削減に向けて二国間オフセットメカニズム等を活用すれば、相手国の課題解決に貢献できると考える。また、6月には、横浜で「第5回アフリカ開発会議(TICAD V)」が開催される。今後アフリカは、資源だけでなく、マーケットとしても重要な地域となっていくだろう。

田中明彦 (国際協力機構(JICA)理事長)
世界的に開発途上国の発展が目覚ましい。サハラ以南のアフリカは、この10年間、年平均5%以上の成長を続けており、アジア、南米を含めた「南」の台頭は著しい。新興国、開発途上国が、いわゆる先進国と共に望ましい国際秩序を構築していけるかが課題。日本は、これまでの経済協力(ODA)に自信を持ち、従来からのアジア諸国に加えて、これからの成長地域であるインド洋以西の国々へも同様の協力を行っていくべき。それが日本の平和・繁栄と国際社会における長期的利益にもつながる。

久保田政一 (司会:経団連専務理事)

  • ●日本を取り巻く国際環境の変化とわが国経済外交のあるべき姿
  • この20年のアジア太平洋地域の変化
  • 南の台頭 ―成長するアフリカ・南米
  • アジア太平洋地域の安定と日米同盟
  • ウィン・ウィンの関係をつくる経済外交を
  • ●経済外交の主要課題への対応
  • 今こそ包括的な外交戦略が必要
  • 国際ルールづくりに積極的に参加し存在感を示す
  • 日本型経済協力をアフリカで展開すべき
  • エネルギーの安定確保が経済外交の中心課題
  • ●わが国経済外交推進のための体制・取り組みについて
  • 外交や安全保障に関してオールジャパンで議論する場を
  • 政府の意思決定機関と広く国益を議論する場が必要
  • 民間がPPPを活用するためにナレッジセンターの設立を
  • 政官財オールジャパン体制で経済外交に当たる

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