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月刊 経団連 巻頭言 サステイナブルな資本主義を実現する、若者・ミレニアル世代

出雲 充 (いずも みつる) 経団連審議員会副議長/ユーグレナ社長

スイスのビジネススクール・IMD「世界競争力ランキング」で、日本は世界一となった。1989年、平成元年のことだ。平成の30年間が過ぎ、日本の国際競争力は過去最低の30位台まで落ち込んだ。日本の労働生産性は30年間ずっとG7最下位。今ではOECD平均にも届かない。

令和の時代を迎え、グローバル競争の土俵は厳しさを増している。

GAFAM 5社の時価総額が、東証一部上場企業全ての時価総額の合計を超えたのが2020年。それから1年たたずして、その差は拡大する一方。東証一部上場企業の時価総額合計は700兆円前後で停滞しているが、GAFAMはたった5社で1千兆円に届かんという勢いで成長を続けている。

日本は高度経済成長の時代に世界で最も早く成功したため、人口減少時代に不可欠な起業家人材育成とデジタル対応が世界で最も遅れることとなった。しかし、我が国にとって文字通りのラスト・チャンスがあと4年後に迫っている。デジタル・ネイティブ、サステナビリティ・ファーストなミレニアル世代とZ世代の合計が、生産年齢人口の過半に到達するのが2025年。今から準備をすれば、2025年に奇跡を起こすことができる。

2000年以降に社会人となったミレニアルは、幼い頃からインターネットに触れているデジタル・ネイティブ。同時に、若い時に東日本大震災、相次ぐ異常気象やCOVID-19等の重大な危機に直面し続けていることから、持続可能な社会づくりに真剣で、SDGsを達成することをミッションとしたスタートアップ起業も彼ら、彼女らには当たり前だ。

両立が困難とも思えるサステイナブルな資本主義だが、経団連加盟企業と大学、若者が三位一体となってイノベーションを起こすことで、必ず2025年に実現できる。令和の日本を切り開き、サステイナブルな資本主義を世界で最初に作り上げるチャンスをどうか若者に、学生に、ミレニアルに与えてほしい。

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