複雑化する米中関係やコロナ禍によるサプライチェーンの途絶、軍事転用可能な民生技術(デュアルユース技術)の進化などにより、経済安全保障の重要性が認識され、サプライチェーンの強靭化、機密情報の管理、経済的威圧の抑止などをめぐり、わが国においても法整備や政策検討が行われている。こうした動きは、グローバルなパワーバランスの変化やロシアのウクライナ侵略、中東における紛争により、自由で開かれた国際秩序が不安定化している中で進んでいる。
このような情勢を踏まえ、経団連21世紀政策研究所では、2023年から国際秩序を軸としたプロジェクトを新たに立ち上げ、国別・エリア別のプロジェクトとも連携しつつ、『経済安全保障の地政学』などのセミナーや研究報告を行っている。
本特集では、経済安全保障が求められている背景、国際秩序の不安定化の要因と再構築のあり方、わが国の果たすべき役割、さらには企業・経済界が留意すべき事項などを議論することによって、複雑かつ不安定な国際情勢に対応する視座を提供する。
このような情勢を踏まえ、経団連21世紀政策研究所では、2023年から国際秩序を軸としたプロジェクトを新たに立ち上げ、国別・エリア別のプロジェクトとも連携しつつ、『経済安全保障の地政学』などのセミナーや研究報告を行っている。
本特集では、経済安全保障が求められている背景、国際秩序の不安定化の要因と再構築のあり方、わが国の果たすべき役割、さらには企業・経済界が留意すべき事項などを議論することによって、複雑かつ不安定な国際情勢に対応する視座を提供する。
鈴木 一人
すずき かずと
東京大学公共政策大学院教授
経団連21世紀政策研究所上席客員研究委員
立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了、英国サセックス大学大学院ヨーロッパ研究所博士課程修了。筑波大学国際総合学類准教授、北海道大学公共政策大学院准教授・教授、プリンストン大学国際地域研究所客員研究員、国連安保理イラン制裁専門家パネル委員などを経て2020年から現職。国際文化会館地経学研究所長、日本安全保障貿易学会会長などを兼任
佐橋 亮
さはし りょう
東京大学東洋文化研究所准教授
経団連21世紀政策研究所客員研究委員
イリノイ大学政治学科留学を経て、国際基督教大学教養学部卒。東京大学大学院博士課程修了、博士(法学)。オーストラリア国立大学博士研究員、東京大学特任助教、神奈川大学法学部准教授、同教授を経て、2019年から現職。スタンフォード大学アジア太平洋研究センターやウィルソン・センターで在外研究を行う。ソウル大学校国際研究所客員研究員、日本国際交流センター客員研究員を兼任。専攻は国際政治学、特に米中関係、東アジアの国際関係、秩序論
原 一郎
はら いちろう
司会:経団連常務理事
- ■ 複雑かつ不安定な国際情勢を俯瞰する
- ブロック化が危惧される世界
- ルールに基づく国際秩序を維持する試みが途切れた現状
- 経済安全保障を踏まえた国際経済秩序の再構築
- ■ 国際経済秩序の再構築に向けて
- 経済的格差が価値観の対立へ
- 権威主義国側の不満が表出
- ルールに基づく国際秩序の再構築を
- 国際協調力の回復を
- 戦略的不可欠性を強化する科学技術政策を
- 日本主導で多数国間の協力を
- ■ 企業が備えるべきこと、経団連への期待
- 国際情勢を判断できる人材を育成し「体幹」を強化する
- 小さな安心のために大きな安全を犠牲にしない