量子力学誕生から1世紀。今、私たちは新たな「量子革命」の夜明けに立っている。2025年、日本政府は量子を成長戦略の重点投資分野の一つに位置付けた。量子コンピューターは、従来のコンピューターでは解き明かせなかった計算領域を拓き、コンピューティングの世界を一変させるポテンシャルを秘めている。
例えば、気候変動問題の解決には、極めて精緻なシミュレーションが不可欠である。その鍵を握るのが、量子の重ね合わせやもつれを用いた全く新しい計算方法とそれを活用した量子コンピューターであり、従来の計算能力の限界を超えるブレークスルーとして期待されている。他にも、新素材・新薬開発における複雑な化学反応の超精密シミュレーション、金融分野におけるポートフォリオ分析やリスク管理、製造業でのサプライチェーンや交通制御の最適化など、多岐にわたる分野での応用が視野に入っている。
日本はこれまで、世界に通用する最先端技術を有しながらも、社会実装段階で苦戦してきた経験を持つ。その経験を糧に、より戦略的なアプローチで量子コンピューターの実装を進めたい。世界に誇る日本の製造業や医療領域が持つ膨大なデータ、既存産業で培われた深い知見、現場の課題感。これらに、量子コンピューターの高度な解析能力を融合させることで、世界をリードする日本ならではの強みを確立する。そのためには、世界トップレベルの研究機関と切磋琢磨し、技術で世界一を目指す揺るぎない意思が必要だ。さらに、多様な産業分野の企業やスタートアップが研究段階から議論し、具体的な社会実装を見据えた戦略的・長期的な取り組みを進めることが重要である。
人類は常に技術を進化させ、立ちはだかる壁を乗り越えてきた。量子コンピューティングの取り組みは、新たな産業を創出し、社会課題を解決するブレークスルーとなる。オールジャパンでこの挑戦を重ね、輝かしい未来を切り拓いていきたい。