このように賃金引上げの力強いモメンタムは、2023年を「起点」として2024年に「加速」し、2025年から「定着」し始めたといえる。2026年の春季労使交渉・協議にあたっては、経団連・企業の社会的責務として、この力強いモメンタムの「さらなる定着」に取り組み、「分厚い中間層」の形成と「構造的な賃金引上げ」の実現に貢献することが求められている。
そこで本座談会では、「賃金引上げの力強いモメンタムの『さらなる定着』」をテーマに、企業の価値向上に不可欠な「人への投資」、賃金引上げ原資の安定的な確保に向けた労働生産性の改善・向上、多様な方法による賃金引上げの検討・実施などについて意見交換を行う。
長澤 仁志
ながさわ ひとし
経団連副会長、経営労働政策特別委員長、ロジスティクス委員長
日本郵船会長
1980年日本郵船入社。2007年経営委員、2009年常務経営委員、2011年に取締役に就任。2013年代表取締役専務経営委員、2018年代表取締役副社長経営委員、2019年代表取締役社長を経て、2023年から取締役会長(現職)。また2025年6月から日本船主協会会長および日本物流団体連合会会長を務める
小路 明善
こうじ あきよし
経団連副会長、教育・大学改革推進委員長、労働法規委員長
アサヒグループホールディングス会長
1975年アサヒビール入社。2001年執行役員、2007年常務取締役兼常務執行役員、2011年アサヒグループ・ホールディングス取締役兼アサヒビール代表取締役社長、2016年代表取締役社長兼COO、2018年代表取締役社長兼CEOに就任。2021年から会長(現職)
井上 和幸
いのうえ かずゆき
経団連審議員会副議長、人口問題委員長、日本イラン経済委員長
清水建設会長
1981年清水建設入社。建設事業部門および営業部門において、様々なプロジェクトに携わる。2013年執行役員建築事業本部第二営業本部長、2014年常務執行役員名古屋支店長、2015年取締役専務執行役員、2016年代表取締役社長に就任。2025年4月より会長(現職)。社外では、日本建設業連合会副会長を務める
玄田 有史
げんだ ゆうじ
東京大学社会科学研究所教授
1964年島根県生まれ。東京大学経済学部卒業。博士(経済学)。学習院大学教授等を経て、2007年度より現職。2021年度から2023年度にかけて同研究所所長を務める。2022年春、紫綬褒章受章。2025年度より東京大学執行役・副学長。著作に『仕事のなかの曖昧な不安』(中央公論新社、日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞)、『ジョブ・クリエイション』(日本経済新聞社、エコノミスト賞)、『希望のつくり方』(岩波新書)等。2025年には「未来づくり春闘」評価委員会委員長を務めた
藤原 清明
ふじわら きよあき
司会:経団連専務理事
- ■ 賃金引上げの力強いモメンタムの「さらなる定着」の実現
- 労使で力を合わせ、賃金引上げの機運醸成を
- 付加価値の拡大で賃金引上げの原資を創出
- ■ 生産性の改善・向上を通じた安定的な賃金引上げ原資の確保
- イノベーション創出と労働市場改革が付加価値最大化の鍵
- オートメーション化と働き手の意欲向上を推進
- 経営トップによる明確なメッセージが重要
- 労使間で健全なコミュニケーションを
- ■ 二つの考え方の社会的規範としての浸透
- 中小企業を含めた賃金引上げの波及
- 受発注者間のwin-winな関係を土台に
- 官民の役割分担による安定的・持続的な処遇改善
- デフレマインドに二度と戻さないという強い意志
- 年齢問わず健康に働き続けられる環境整備を
- ■ 2026年春季労使交渉・協議における基本的な考え方
- これからの労使関係は「未来協創」が軸
- 人への投資を最優先に
- 人的資本投資の余地が大きい日本
- 春季労使交渉・協議は将来像について労使が合意形成を図る場