経団連活動の指針となる総会決議「21世紀の経済新生に向けたわれわれの決意」を取りまとめた(2000年4月26日委員会開催、5月25日の定時総会で採択)。
同決議では、「少子・高齢化が進みつつある中で、国民の将来不安を払拭し、21世紀に向けて経済新生を図るため、企業は自立・自助の原則に基づいて、経営革新を促進し、国民の期待に応える必要がある」とし、「企業は、新たな事業・雇用機会の創造、社会からの信頼向上に努めるとともに、グローバリゼーション、IT革命、世界レベルでの環境問題などの課題に果敢に挑戦することが求められている」としている。また、取り組むべき具体的な重要課題として、以下を掲げた。
当委員会では、(1)中長期的な経済運営に関する検討、(2)経済情勢の把握を中心に、以下の活動を行った。
少子高齢化に対応した成長戦略
今後、労働力人口が減少する中で、いかに潜在成長力の維持・向上を図るかをテーマに、企画部会(部会長:小井戸雅彦日本総合研究所社長)において99年度以来検討を進め、意見書「少子高齢化に対応した新たな成長戦略の確立に向けて」(2000年5月)を公表した。
経済・財政のグランドデザイン
2000年5月の経団連総会決議において、経済・財政構造改革のグランドデザイン策定を政府に求めた。これを促す観点から、財政制度委員会との共管で、求められるグランドデザイン像に関する検討を行った。7月以降、5回にわたって企画部会を開催し(うち3回は財政制度委員会企画部会との合同会合)、学者の意見を聞くとともに意見交換を行った。この成果を踏まえて、「経済・財政等のグランドデザイン策定と当面の財政運営について」(2000年10月)を公表した。
日本経済の課題に関する意見交換
2000年5月に堺屋太一経済企画庁長官を招いて委員会を開催し、日本経済の展望と課題をめぐって意見交換を行った。
また、10月に廣瀬勝貞通商産業省事務次官を招いて、財政制度委員会との合同会合を開催し、21世紀に向けた新たな成長戦略について意見交換した。
経済情勢に関する懇談会の開催
2000年7月と9月に、今井会長、櫻井委員長、小井戸企画部会長他による懇談会を開催し、経済企画庁幹部から経済情勢および政策運営に関する説明を聞くとともに、意見交換を行った。
景気動向専門部会の開催、経済情勢専門部会の発足
2000年4月から7月にかけて、景気動向専門部会を4回開催し、経済官庁の統計担当者から経済指標の動向に関する説明を、また会員企業から業界動向に関する説明を聞いた。
9月には、景気動向専門部会を廃止し、新たに経済情勢専門部会を設置した。同部会では、経済企画庁および日本銀行からマクロ経済全般にわたって意見交換するとともに、その時々のトピックについて、会員企業および非会員企業から広く説明を聞くこととしており、年度内に9回開催した。
経済運営と景気動向に関するアンケートの実施
2000年6月と12月に常任理事および会長・副会長(約200名)を対象に、経済運営と景気動向に関するアンケートを実施した。調査内容は、経済成長率・株価・為替レートなどの見通し、IT関連の設備投資、財政金融政策の有効性、経済・財政構造改革のあり方などである。調査結果はそれぞれ翌月に公表した。
経済統計のあり方に関する検討
「統計が実態を反映しない」などの指摘が増えていることを踏まえ、経済情勢を正確に把握する見地から経済統計について検討した。具体的には、2000年6月と7月に企画部会(統計制度委員会企画部会との合同会合)を開催し、総務庁、経済企画庁、通商産業省と意見交換した。
税制は社会保障や財政構造の問題とも関係が深いことから、2000年度の税制委員会の活動は、これらの諸課題について総合的かつ整合的なグランド・デザインを描き、一体として改革を推進するべく、社会保障制度委員会、財政制度委員会、経済政策委員会と緊密な連携を図りつつ、
平成13年度税制改正の最大の課題は、企業経営の選択肢を拡大するための企業組織再編税制の整備であった。2000年5月の通常国会において会社分割制度の導入にかかる商法等の改正が行なわれたことを受け、それに伴う税制措置のみならず、従来の合併や現物出資などの税制についても、組織再編成の態様による税制面での中立性を担保する観点から、法人税法の全面改正が行なわれた。
経団連では、5月より企画部会(部会長:関哲夫新日本製鐵副社長)の下に分割税制・連結納税制度検討ワーキンググループを設置し、合計16回にわたる綿密な検討を進め、改正法案の立案から政省令の策定を含む詳細にわたり、大蔵省主税局と折衝を行ない、新たな企業組織再編税制が企業にとって活用しやすく、真にわが国経済の活性化に資するものとなるよう努めた。
法人事業税の外形標準課税問題は、平成13年度税制改正において大きな争点となった。東京都、大阪府によるいわゆる銀行課税を契機に、自治省や全国知事会などの法人事業税について全国一律の外形標準課税を導入しようとする動きが強まるとともに、7月に公表された政府税制調査会の中期答申においても、外形標準課税の早期導入が書き込まれた。
経団連では従来、地方法人課税については、簡素化を中心とした総合的な見直しこそが必要であり、むしろ法人事業税を廃止し法人住民税に一本化するべきことを一貫して主張してきたところであるが、この政府税制調査会の中期答申に対しては、2000年7月6日に経済5団体連名で「地方税財政改革についての経済5団体意見」を取りまとめ、経済界に共通する地方法人課税のあり方に関する意見と姿勢を明らかにした。また、11月17日には日比谷公会堂において2,000人規模の外形標準課税導入反対総決起大会を開催した。
しかし、11月21日に自治省が支払賃金を中心とする加算型付加価値を基本とした外形標準課税案を政府税制調査会に提出したことから、翌日、「自治省外形標準課税案についての反対意見」を再度経済5団体連名で発表し、政府与党への働きかけを強めた。こうした活動の結果、法人事業税への外形標準課税の導入はひとまず見送られることとなった。
一方、平成13年度税制改正に向けては、まず、総選挙を目前にした2000年6月20日に「21世紀を展望した税制改革に向けて」を取りまとめ、21世紀に向けた活力ある経済社会の構築を目指し、税制・社会保障・財政改革の中長期の展望を提示した。さらに、9月12日には、「平成13年度税制改正提言―活力ある経済社会を築くために」を公表し、先の6月提言の方向性に沿って中長期的な改革の方向を示すとともに、具体的な改正課題として、主に、
OECD租税委員会が電子商取引に対する課税問題について検討するために設置したテクニカル・アドバイザリー・グループ(TAG)に、経団連から委員を派遣して検討に参画するとともに、わが国経済界の意見を的確に反映させるべく、国際租税部会(部会長:島上清明東芝副社長)の下の電子商取引課税問題ワーキンググループを中心に、大蔵省ならびに経団連情報通信委員会とも協力しつつ、検討を進めた。
一方、日米財界人会議の日米租税条約改定論議を踏まえ、米国における税制上の課題に関しアンケートを行なうとともに、国際租税部会において、改定の要否、改定の得失などについて検討を行った。
当委員会では、地方財政を含めた財政構造改革のあり方、2001年度予算編成などについての検討を行った。
地方財政改革
近年著しく収支が悪化し、国の財政にも大きな影響を及ぼしている地方財政のあり方について、99年度以来、企画部会(部会長:中原眞東京三菱銀行副頭取)において関係省庁・自治体関係者・学者などから意見を聞くとともに、意見交換を行ってきた。この成果を踏まえて、意見書「自立自助を基本とした地方財政の実現に向けて」(2000年4月)を公表した。
財政構造改革のグランドデザインと2001年度予算編成のあり方
2000年5月の経団連総会決議において、経済・財政構造改革のグランドデザイン策定を政府に求めた。これを促す観点から、経済政策委員会との共管で、求められるグランドデザイン像に関する検討を行った。同時に、2001年度予算編成における、財政構造改革への第一歩としての予算の重点化・効率化策を検討した。具体的には、7月以降4回にわたって企画部会を開催し(うち3回は経済政策委員会企画部会との合同会合)、学者の意見を聞くとともに意見交換を行った。この成果を踏まえて、「経済・財政のグランドデザイン策定と当面の財政運営について」(2000年10月)を公表した。
2000年4月に武藤敏郎大蔵省主計局長を招いて委員会を開催し、財政の現状と課題について意見交換を行った。また7月にも今井会長、西室委員長他による懇談会を開催し、大蔵省幹部と財政運営をめぐって意見交換した。
10月には廣瀬勝貞通商産業省事務次官を招いて、経済政策委員会との合同会合を開催し、21世紀に向けた新たな成長戦略について意見交換を行った。
当委員会は、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、(1)確定拠出年金法案の早期成立、(2)確定給付企業年金法案への経済界の意見の反映、他方、医療分野においては、保険者機能の強化と高齢者医療制度改革に向けての提言作成に取り組んだ。
総理が主宰する標記会合では、社会保障制度改革に関する諸論点についての考え方が整理された。経済界からは、今井会長が委員として参加、
2000年9月、経団連幹部と津島雄二厚生大臣との懇談会を開催し、今後の社会保障制度改革の進め方について意見交換を行った。
2000年9月、経済4団体共催で確定拠出年金法案の早期成立を求める総決起大会を開催した。席上、「確定拠出年金法案の早期成立を求める総決起大会アピール」(2000年9月)を採択し、橋本龍太郎元総理、野中広務幹事長など自由民主党幹部並びに津島雄二厚生大臣、平沼赳夫通商産業大臣、吉川芳男労働大臣に手交した。
確定給付型企業年金に関する共通ルールのあり方について、関係省庁による検討を経て、2000年9月に企業年金法(仮称)の概要(素案)が公表された。そこで、年金改革部会(部会長:岡本康男住友化学工業専務取締役)では、同法案の立法作業への対応について検討を行った。11月開催の自民党年金制度調査会私的年金等に関する小委員会では、経団連、日経連、日商が意見陳述を行い、3団体名の「企業年金法(仮称)の概要(素案)についての経済界の要望」とともに、経団連として「企業年金法(仮称)の概要(素案)に関する要望」を提出し、
医療改革部会(部会長:森昭彦東京海上火災保険専務取締役)では、健保組合の機能強化と高齢者医療制度の改革案について検討した。2000年11月の委員会で同部会が取りまとめた提言案を了承し、政府・与党関係方面に建議した。具体的には、保険者機能の強化については、
当委員会では、わが国金融システムをめぐり次々と発生する諸課題について、経済界の意見の取りまとめに努めるとともに、適宜、政策当局への働きかけも行った。
物価・株価・地価の低迷が景気に与える影響が懸念される中、いかなる金融政策運営が求められるかが大きな焦点となった。そこで、2000年12月、企画部会(部会長:谷野剛三菱総合研究所社長)を開催し、明治大学政治経済学部の黒田晃生教授より説明をきくとともに、意見交換した。
続いて2001年初からの株価低迷に対応し、2001年1月に、会長以下、関係委員長・部会長並びに事業会社・金融機関を交え、株価対策などについて打合せを行った。
さらに、金融機関の不良債権処理問題の解決が喫緊の課題としてクローズアップされてきたことを受け、3月に柳澤伯夫金融担当大臣と、会長、副会長、関係委員長・部会長との懇談会を開催した。
証券決済の電子化による決済期間の短縮、証券決済リスク及びコストの削減などを図るため、CP(コマーシャル・ペーパー)及び社債に関する新たな電子決済システムの導入を柱とする証券決済改革の推進のための活動を行った。具体的には、資本市場部会(部会長:福間年勝三井物産副社長)の下に証券決済改革ワーキング・グループを新たに設け、新たな証券決済法制について、法務省や金融庁と意見交換を重ねたほか、法制審議会会社法部会においても、経済界の意見を説明した。
また、2001年初の株価低迷に対応して、「証券市場活性化対策について」(2001年1月)を取りまとめ、自民党など関係方面に働きかけた。
事業会社などのいわゆる異業種による銀行業への参入や、インターネット専門銀行のような新しい形態の銀行を設立する動きの高まりを受け、金融再生委員会・金融監督庁では、2000年5月に「異業種による銀行業参入等新たな形態の銀行業に対する免許審査・監督上の対応(運用上の指針)(案)」を公表した。
これに対し「新たな形態の銀行業に対する免許審査・監督上の対応について」(2000年6月)を取りまとめ、同指針への支持を表明するとともに、残された課題に関する指摘を行った。
2000年通常国会での会社分割法制の成立に向けて、経団連では強力な働きかけを行ない、これを実現した。また、その内容の周知を図るためセミナーの開催(2000年10月)などを行った。
新たな商法改正課題に対応すべく、法制審議会商法部会では、2000年9月、今後の商法改正検討事項を取りまとめ、2001年通常国会でCPのペーパーレス化、2002年通常国会で会社法の抜本改正、2004年通常国会で商法典の現代語化を行なうとの方針を決定した。
これに対し、経団連は10月に「商法改正への提言」を産業新生会議などに建議した結果、ストックオプション制度の改善、総会招集通知などへのITの活用が、当初予定を早めて2001年臨時国会で実現することとなった。
また、年末からの株価低迷を受け、経団連では、2001年1月に「証券市場活性化対策について」を取りまとめ、働きかけた。その結果、2001年通常国会において、金庫株の容認、純資産額基準の撤廃などが議員立法により前倒しで実現された。
さらに代表訴訟制度の合理化を検討している、与党商法改正に関するプロジェクトチームで西川元啓経済法規専門部会長(新日本製鐵取締役)が自民党案の考え方を支持する意見陳述を行なうなど、議員立法での具体化に向けて精力的に働きかけた。
99年、内閣に設置された司法制度改革審議会で個別論点に関する本格的な審議が開始された。2000年度においては約40回に上る審議、海外実情調査、地方公聴会に、審議会委員として山本勝企画部会長(東京電力副社長)が出席し、21世紀のわが国経済社会の基盤となるべき司法制度を構築するという観点から、経済界の意見の反映に努めた。併せて、法曹三者、隣接法律専門職種の諸団体とも緊密な意見交換を行った。
国際的な会計制度の大変革にわが国の主張を反映させるため、組織再編を進める国際会計基準委員会(IASC)に対し、評議員の派遣や運営資金の支援など積極的な参画を行った。国内においては、2001年2月28日、市場関係者との合意により、会計基準の設定機能を拡充強化する常設の民間会計基準設定主体の設立準備委員会(委員長:八木良樹日立製作所副社長)を発足した。
また、企業会計部会(部会長:八木良樹日立製作所副社長)と国際会計部会(部会長:伊藤進一郎住友電気工業副社長)を中心に、今後の会計制度改革に対する基本的な考え方として「企業会計制度に関する提言」(2001年3月)を取りまとめ、企業会計審議会や日本公認会計士協会など関係方面へ働きかけを行った。
消費者契約法立法にあたり、2000年通常国会で参議院に経団連幹部が参考人として招かれ意見陳述を行った。また成立後は、コンメンタール作成を経済企画庁に働きかけたほか、資料配布や説明会の開催等により、法律の意義概要につき経済界への周知に努めた。
また、99年秋の臨時国会で成立した借地借家法の改正(定期借家権の導入)の2000年3月の施行に際し、東京、大阪、福岡で大規模なセミナーを開催し、その活用を呼びかけた。
新たに導入された民事的救済制度について説明会を開催したほか、課徴金制度の見直しについて法務総合研究所の郷原信郎検事から説明を聞いた。また、最近の競争政策の取り組みについて公正取引委員会幹部と意見交換を行った。
企業の経営効率の向上や競争力強化の観点から、取締役会、株主総会などのあり方の見直し、ディスクロージャーの充実を中心に、昨年に引き続き検討を行った。
具体的な検討を行うため、委員会の下に設置された企画部会(部会長:村山敦松下電器産業副社長、部会長代行:田部井正己第一生命保険専務取締役)では、99年以降、ほぼ月例で開催してきた定例会合に加え、2000年9月にはゲストハウスで合宿を行い、企業とステークホルダーズとの関係やわが国にふさわしいコーポレート・ガバナンスのあり方について集中的な議論を行った。
これら企画部会での議論を踏まえ、委員会では、11月に保岡興治法務大臣を招き、時代の変化に応じた経済法制の整備とその体制作りについて、コーポレート・ガバナンスの問題を中心に意見交換を行うとともに、「わが国公開会社におけるコーポレート・ガバナンスに関する論点整理(中間報告)」を取りまとめた。
また、監査役制度の強化と株主代表訴訟制度の見直しを柱とする「コーポレート・ガバナンスのあり方に関する緊急提言」(97年9月)については、その実現に向け、引き続き議員立法による商法改正の実現を与野党に対し働きかけ、その結果、2001年の通常国会での成立の見通しを得た。
当委員会では、報告者負担の軽減を中心に、統計審議会、総務省諮問への答申などの活動を行った。また、統計利用者の視点も踏まえ、統計制度の問題点や今後のあり方などについて、積極的な提言活動を実施した。
2000年度は、『月刊Keidanren 11月号』や広報活動を通じ、経済統計の抱えている課題や今後の統計制度のあり方といった問題点について、適宜、経団連の主張を提言した。
具体的な提言内容は、
「統計が実態を反映しない」などの指摘が増えていることを踏まえ、経済情勢を正確に把握する見地から経済統計について検討した。具体的には2000年6月と7月に企画部会(経済政策委員会企画部会との合同会合)、12月には委員会をそれぞれ開催し、総務庁、経済企画庁、通商産業省、日本銀行と意見交換した。
当委員会の飯島英胤企画部会長(東レ副社長)は、統計審議会に委員として参画し、経済界の視点から、適宜意見を主張している。
2000年度の統計審議会では、従来経団連が主張していた、財務省、経済産業省、内閣府が実施する景気予測調査の重複調整について、精度向上、記入者負担軽減の観点からレポートがまとめられ、報告された。
経団連側からは、この報告書に対し、一定の評価をしたうえで、記入者負担軽減の観点から、当該レポートの実現を統計審議会会長へ強く要請する旨の発言を行った。
なお、経済産業省の景気予測調査は、従来の2調査が2001年度に統合されるなど、漸進的ながら改善が図られた。
当委員会は、統計報告調整法に基づき官庁が実施する承認統計のうち、企業を対象にした調査について、総務省から諮問を受け、報告者および利用者の観点から個別に審査し、答申を行っている(レポート・コントロール制度)。
2000年度は、総務庁(総務省)より約70件の諮問を受け、関係企業や業界団体などの意見を参考に、類似・重複調査の統合、調査内容の改善、項目の簡素化などについて関係省庁と協議し、統計調査の改善を行った。
2001年度を初年度とする新たな規制改革計画の策定(2001年3月末閣議決定)に向け、2000年6月、全会員企業・団体を対象に規制改革に関するアンケートを実施、162の会員企業・団体から1179件の回答が寄せられた。関係委員会においてこれらを精査し、10月17日に「21世紀に向けた新たな規制改革の断行と体制整備を要望する」(16分野358項目)として取りまとめ、政府、自民党などに建議した。また、同日開催された規制改革委員会において要望内容を説明した。
これらの要望に対しては、2001年1月26日に関係省庁より検討状況が中間公表されたが、回答状況を精査の上、緊急に実現を要する項目に絞って2月16日に「新たな規制改革推進3か年計画の策定に望む」(14分野36項目)を取りまとめ、再度その実現を関係者に働きかけた。
中央省庁等改革推進本部に設けられた顧問会議(座長:今井会長)の活動を支援し、中央省庁改革の着実な実施を関係方面に働きかけた。
2000年12月18日には、橋本龍太郎行政改革担当大臣を来賓に招いて「中央省庁改革に関するセミナー−どうなる中央省庁改革−」を開催し、中央省庁改革の着実な実施と、さらなる行政改革の推進を働きかけた。
「特殊法人改革に関する第一次提言」(2000年3月28日)を引き継ぎ、特殊法人改革ワーキンググループで改革のプロセスの具体化と主な事業別の課題を中心に更なる検討を進め、2001年2月20日に「特殊法人等の抜本改革を求める」と題する意見書を取りまとめ、政府・自民党他、関係機関に建議した。
2000年5月11日に地方行革等ワーキンググループ(座長:次田雅俊新日本製鐵顧問)を新たに設置して地方行財政改革の現状と課題などについて検討を進め、12月19日に「地方行財政改革への新たな取り組み−行政・住民・企業の全員参加による改革促進を−」と題する意見書を取りまとめ、政府など関係機関へ建議した。
いわゆる日本版ノーアクションレター制度(行政機関による法令適用事前確認手続)について行革専門委員会を中心に検討を行い、政府が意見募集したのに応えて2001年3月16日に総務省に対し意見を提出した。
中央省庁等改革基本法に基づき、郵便事業への民間事業者の参入が速やかかつ公正な条件下で実現するよう、郵政省、公正取引委員会などにおける検討状況を監視し、適宜意見交換・陳述を行った。
当委員会では、経済成長の源泉である産業の競争力向上につながるテーマを取りあげ、検討を進めており、以下の活動を行った。
長引く経済低迷の中で、今後、わが国が需要と供給の好循環により持続的な経済成長を目指すという観点から、99年度に引き続き、リーディング産業・分野の創出に関する検討を進め、2000年5月に「需要と供給の新しい好循環の実現に向けた提言」を取りまとめ、政府・与党など関係方面に建議した。
同提言では、経済成長における需要と供給の好循環の重要性、ならびにリーディング産業・分野が好循環の形成において果たす役割を明らかにした上で、今後の環境変化の中で、個人・企業・社会のニーズを需要として顕在化させる取り組みを進めることで、需要と供給の好循環を形成し、次代を担うリーディング産業・分野を創出させる経路を明示した。
具体的には、創造的な技術革新、社会システムの見直し、ネットワークの高度利用をリーディング産業・分野の主要な創出経路と位置づけ、具体的な施策のあり方を提示した。
[主な会合]
(委員会)
当委員会は、新たなテーマについて、幅広い企業の参加を得て検討を進めるため、2000年7月に下部組織であるワーキング・グループを改組し、企画部会(部会長:雨宮肇旭硝子専務取締役)を設置した。その上で、昨今の経済社会情勢の中で、国だけでなく、各地域がそれぞれ「地域経営」という立場に立ち、独自の産業集積戦略を模索し、定住人口の拡大、雇用の安定を図るべきであるとの観点から、今後の地域の産業集積のあり方について、検討を進めることにした。
その手始めとして、国内外の各地域における産業集積の実態を調査すべく、2000年11月から2001年2月にかけ、米国、東アジア、国内の各地域・都市の産業集積について、企画部会の委員を中心とした調査を実施した。その結果を踏まえ、2001年5月を目途に提言の取りまとめを行う予定である。
[主な会合]
(委員会)
小渕政権下において設置された産業競争力会議を継承する形で、産業競争力の強化に向け、総理以下関係閣僚と経済界の代表者が意見交換を行う場として、2000年7月に森総理大臣の主宰による産業新生会議が設置された。
同会議では、産業競争力強化のための政策をさらに発展させるとともに、情報化、高齢化、環境対応などの社会経済の変化に対応して、国際競争に打ち勝つための産業の新生に必要な環境整備について検討が行われた。経団連からも、今井会長をはじめ、経団連を代表する委員を通じて施策のあり方について具体的に提示した。
企業自らが持てる経営資源を有効活用して、新事業の開拓、企業革新への挑戦を推進する観点から、2000年11月、経済広報センターとの共催で500名近い参加を得て、「新産業フォーラム2000」を開催した。当日は、出井共同委員長・IT戦略会議議長の講演、スティーブ・ケース アメリカ・オンライン会長のビデオメッセージ、ならびに常盤文克花王特別顧問、鈴木敏文イトーヨーカ堂社長、張富士夫トヨタ自動車社長、島田精一三井物産副社長、鳴戸道郎企画部会長(富士通特命顧問)によるパネルディスカッションを行った。
新産業・新事業の創出・育成に向けた取り組みを強化する観点から、自らリスクを冒して創業に挑戦され、実績をあげている起業家と経団連トップが意見交換を行う起業家懇談会を開催した。2000年10月の第1回会合では、澤田秀雄HIS社長、大江匡プランテック総合計画事務所長、2001年2月の第2回会合では、矢内廣ぴあ社長、伊藤穣一ネオテニー社長を招き、新産業・新事業開拓に向けた取り組みをめぐり懇談した。
企画部会において、新産業・新事業の創出・育成をめぐる課題、環境整備のあり方などに関して、通商産業省、創業支援NPOなどと意見交換を行った。
ITを軸とした構造改革の推進による産業競争力強化、国民生活の質的向上などの実現に向け、情報通信の需要と供給の両面から、ITを最大限に活用できる環境整備に取り組んだ。情報通信の需要面では、情報化部会(部会長:島田精一三井物産副社長)を中心として、「「一つ」の電子政府実現に向けた提言」(2000年8月)を取りまとめ、2003年度までに実質的に全ての行政手続のインターネット化、行政の業務改革の推進によるワンストップ・サービスの実現などを求めた。また、情報化部会電子商取引の推進に関するワーキング・グループ(座長:村上輝康野村総合研究所専務取締役)を中心として、サイバースペース上での取引に関する消費者の信頼を高める観点から、「IT化に対応した取引ルールの整備に向けた提言」(2000年9月)を取りまとめ、書面交付を一律に義務づける規制の見直しなど、電子商取引の特質に合致したルール整備を働きかけた。一方、情報通信の供給面では、事業者間の自由で公正な競争を通じて低廉で多様な通信サービスが提供される環境を整備する観点から、通信・放送政策部会(部会長:〜2000年6月 大野龍一 東京三菱銀行専務取締役、2000年7月〜 潮田壽彌 味の素専務取締役)を中心として、「電気通信分野における競争促進法の早期実現に向けて」(2000年9月)を取りまとめるなど、現行の電気通信法制を抜本的に見直し、利用者利益の確保とそのための自由かつ公正な競争の確保を図る法体系へと転換することを働きかけた。さらに、通信・放送政策部会情報通信ワーキンググループの下にメディア政策研究会を設け、技術革新や通信・放送の融合などの環境変化に対応したメディア制度整備のあり方について掘り下げた検討をした。さらに、「地上放送デジタル化の円滑化に向けた提言」(2000年8月)を取りまとめ、周波数の有効利用などの観点から、デジタルテレビ受信機の共用化、アナログ周波数の変更対策に対する政府の支援などを訴えた。
こうした働きかけの結果、政府のIT戦略会議におけるIT国家戦略、ならびに電気通信審議会でのIT革命推進に向けた電気通信事業の競争政策の検討に経団連の考え方をほぼ反映させた。
また、IT戦略本部における e-Japan重点計画策定の取り組みに対しては、「『e-Japan戦略』実現に向けた提言」(2001年2月)を取りまとめ、通信分野における競争促進に向けた規制の大幅見直しと事前規制から事後チェック型行政への転換など、ITを活用する国民・企業から見て「やるべきこと」を迅速に実現するアクション・プランの策定を関係各方面に働きかけた。
政府における個人情報保護基本法制に関する検討に対応し、個人情報保護に関する打合会(座長:〜6月30日 礒山隆夫 東京海上火災顧問、7月1日〜 石原邦夫 東京海上火災専務取締役)を中心に、企業の自主的取り組みを促進することによって個人情報の保護と利用のバランスが確保されるよう働きかけた。
電子商取引の国際的枠組み作りに関して、OECD、GBDe (Global Business Dialogue on E-commerce) などの関係者との意見交換を通じ、経団連の考え方の反映を図った。
2000年7月に、ハイテク犯罪対策に関する国際的な動向や政府の取り組みについて、関係省庁から説明を受け、懇談した。また、電子商取引の推進に関するワーキング・グループにおいて、セキュリティ対策のあり方について、政府、有識者などとの意見交換を行った。
従前の大店法(大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律)に代わって大規模小売店舗の施設の配置及び運営方法を規制する大店立地法(大規模小売店舗立地法)が2000年6月に施行された。経団連では、その適正な運用を図るべく、以下の内容について、「21世紀に向けた新たな規制改革の断行と体制整備を要望する」(2000年10月)、「新たな規制改革推進3か年計画の策定に望む」(2001年2月)に盛り込むとともに、その実現に向け、関係各方面への働きかけを行った。
大店立地法関連に加え、酒・たばこ販売に係わる需給調整規制の早期廃止、医薬品の範囲の見直し、家庭向け在宅健康管理機器に関する規制緩和などを内容とする流通分野における規制改革要望を取りまとめ、上記要望(2000年10月(35項目)および2001年2月(2項目))に盛り込み政府・与党に建議するとともに、その実現を関係方面に働きかけた。
99年7月に制定された食料・農業・農村基本法の具体化を図るべく、2000年3月に食料・農業・農村基本計画が閣議決定され、その新たな農政の枠組みの下で、各種農産物の価格支持政策や農地法の見直し、農協改革などの取り組みが進められている。
そのような中、2000年8月に、委員会を開催し、農林水産省大臣官房の武本俊彦企画室長から、今後の農政の重要政策課題について説明を聞くとともに、意見交換を行った。
農業の現状を概観すると、農業の国際化の進展や農業者の減少・高齢化、農家の零細化、耕作放棄地の増大など、わが国農業は依然として、厳しい状況に置かれている。一方、需要者側である国内食品産業についても、製品関税率の引下げと国内農産物の価格制度、国境措置の狭間で厳しい経営環境に置かれている。
そうしたなかで、経団連は、これまで農産物の価格支持政策に関しては、経団連の規制改革要望などを通じ、例えば、コストプール方式がとられている小麦の価格支持制度の見直しを訴えてきたが、これに対し、政府も民間流通の導入や粗糖関税の撤廃などの見直しを行った。そこで、2000年度の規制改革要望では、中核的農家の育成と内外価格差の是正などの観点から、価格支持制度自体の見直しに加え、地域の中核的農家や社会的に必要とされる農家などに対象を限定した、直接所得補償制度を導入するよう、要望した。
なお、農業経営安定対策について、農林水産省では、2001年2月に「農業経営政策に関する研究会」を設置し、2001年夏を目途に、「経営政策大綱」を取りまとめるべく、検討を進めている。経団連からも、具体的な制度設計の検討に際し、対象農家、所得補償の前提となる農産物の価格支持政策の見直し、財源などの諸点について、産業界の考え方を伝えていくこととしている。
また、2000年11月に、農業分野における法人化などの推進を目的とした、改正農地法が成立し、農業生産法人の要件の一部緩和が図られた。経団連では、農業生産法人の活用推進を図るべく、農政・食品工業部会(部会長:浅田健太郎明治製菓常任相談役)がパブリックコメントなどを通じて、法人の適用条件の緩和などを訴えた。
わが国林業は、木材価格の低迷などによる林業経営の悪化、間伐などの管理・保育面での不十分な森林整備などの問題が顕在化しており、これまでの木材生産を主体とした政策から、国土保全、水資源の涵養、環境保全などの森林の多様な機能の持続的発揮を図るための政策に再構築されつつあり、2001年の通常国会に、林業基本法、森林法の改正案が上程されている。
これを受け、森林部会(部会長:山口博人住友林業会長)では、2000年6月には農畜産業振興事業団の山本徹理事長を、2000年9月、10月には、林野庁林政部の高橋賢二企画課長を招き、今後の林政改革の方向性について意見交換を行った。
2001年6月で期限が切れる住宅ローン控除制度などの住宅取得支援税制の拡充を図るため、土地・住宅に関する打合会(5月17日、8月28日)、土地・住宅部会(部会長:田中順一郎共同委員長、9月4日)、本委員会(9月13日、来賓:三沢真建設省住宅局長)における審議を経て、経団連提言「快適な居住環境の実現に向けて―平成13年度住宅関係税制改正要望―」(2000年9月)を取りまとめ、関係方面に建議した。さらに、パンフレット「快適な居住環境の実現に向けて」を作成するとともに、自民党建設部会、参議院自民党との懇談会などでの意見陳述や新住宅土地税制実現決起大会の共催など、年末の与党税制改正大綱の取りまとめに向け、要望実現を関係方面に働きかけた。その結果、新住宅ローン控除制度の創設や住宅取得資金に係る贈与税特例の拡充などが実現した。
内閣総理大臣の出席を得て建設大臣が主催する都市再生推進懇談会(東京圏)において、古川委員長から「東京圏都市新生プロジェクト」と題する3つのプロジェクト
各地方自治体で検討が進むPFI事業をフォローする観点から、2000年12月4日の委員会において、山下公輔清水建設PFIプロジェクト推進部長から東京都金町浄水場事業について、2001年3月12日の委員会では、青山東京都副知事から東京都の取り組みについて、植田和男日本PFI協会専務理事からPFI事業の現状と課題について、それぞれ説明を聞くとともに意見交換を行った。また、政府のPFI推進委員会が公表した「PFI事業実施プロセスならびにリスク分担等に関するガイドライン」案に対し、2001年1月10日、コメントを取りまとめ、提出した。1月22日のガイドライン公表を受け、2月21日、PFI推進部会(部会長:鈴木誠之清水建設常務執行役員)において、古谷毅内閣府PFI推進室企画官を招き、PFI事業の現状と課題について意見交換を行った。
経団連では、地域活性化に果たす役割などに着目し、地方振興部会(部会長:阿比留雄日本原子力発電会長)において、経団連として初めて観光振興の提言を取りまとめるべく、伊藤滋慶應義塾大学教授(2000年4月27日)、岡本伸之立教大学観光学部長(6月14日)、紀芳憲日本政策投資銀行調査役(7月7日)より説明を聞いた。また、東北観光の現状と課題を検討するため現地を視察した(5月11〜12日)。その後、委員会(10月5日、来賓:石森秀三国立民族学博物館教授)での審議を経て、提言を取りまとめた。さらに、提言の実現に向け、内山早苗内山工房代表取締役より説明を聞く(2001年2月7日)とともに、九経連と「21世紀のわが国観光を考える懇談会」を共催した(3月1日)。
基地経済から脱却し、自立を目指す沖縄振興に協力する観点から、沖縄情報通信産業振興に関する説明会(2000年6月9日)、同現地視察会(10月26日)を開催した。
また、国土交通大臣主催の国土交通北・西関東地方懇談会(2001年3月24日)で経済界代表として意見陳述を行った。
政府の国会等移転審議会は、99年12月20日、首都機能移転先候補地を3ヶ所(栃木・福島地域、岐阜・愛知地域、三重・畿央地域)選定する答申を出した。また、2000年5月18日、衆議院の国会等移転特別委員会では、今後2年以内に移転先候補地を1ヶ所に絞り込むべく検討を進める旨を決議した。当委員会では、これらを踏まえ、首都機能移転に関する検討を行った。
首都機能移転に対する慎重論を展開している建築家の岡田新一氏を企画部会(部会長:橋本章日本通運特別参与)および新東京圏創造のためのワーキング・グループ(座長:國信重幸東京電力理事)の合同会議に招き、「新首都東京2300計画」をテーマに、東京改造のグランドデザインなどについて説明を聞くとともに、首都機能移転の賛否について意見交換を行った(2000年7月31日)。
また、「首都機能移転への新たな提言」(社会経済生産性本部の首都機能移転研究会が公表、2000年12月)を座長として取りまとめた東京大学先端科学技術研究センターの大西隆教授を委員会に招き、同提言について説明を聞くとともに、意見交換を行った(2001年3月13日)。
東北地方経済懇談会(2000年9月28日)において、香西副会長が地元経済界に対し首都機能移転の意義を訴えるとともに、国会において議論が尽くされるよう期待を表明した。
また、首都機能移転に対する国民的な関心を喚起するため、首都機能移転に関する取り組みを行っている地方公共団体、関係経済団体などの活動内容を共同で広報するとともに、委員会などにおいて首都機能移転関連ポスターやパンフレットを配布した。
建設大臣主催の都市再生推進懇談会(東京圏)において、2000年5月17日、古川昌彦国土・住宅政策委員長から、「東京圏都市新生プロジェクト」の1つとして「環境にやさしい東京圏物流効率化プロジェクト」を推進すべきことを提案した。これは、貨物鉄道網の整備と交通結節点における物流基地(インランドポート)の設置などにより鉄道貨物を活用した首都圏の物流ネットワークを形成し、道路渋滞と物流の効率化を図る事業である。
また、総理主催の産業新生会議では、11月9日、常盤共同委員長から、「環境に配慮した効率的な物流の推進」と題して、海運と鉄道の活用施策の強化と各輸送モードの結節点整備の必要性を訴え、これらの考えを2001年度早々に予定されている総合物流施策大綱の改訂に反映すべきことを要望した。その成果の一つとして、2001年度に、港湾の物流効率化推進調査が予算化されることとなった。
さらに、港湾のフルオープン化とワンストップサービス化や貨物鉄道の活用施策の強化を求める観点から、2001年2月15日に企画部会(部会長:横山善太日本航空副社長)を開催し、鈴木昭久国土交通省政策統括官付企画官他から、港湾や貨物鉄道に係る施策を中心に国土交通省の物流政策について、説明を聞くとともに意見交換を行った。
この他、2000年9月6日の企画部会では、アンソニー=コンシル国際航空運送協会アジア太平洋地区マネージャーから、「今後のわが国空港整備はいかにあるべきか」について、10月24日の企画部会では、須野原豊運輸省港湾局港湾計画審査官から、今後の港湾整備の基本方針について、11月30日の委員会では、林克彦流通科学大学教授から、欧米における物流システムについて、それぞれ説明を聞くとともに意見交換を行った。
東京都のディーゼル車NO作戦を発端としたディーゼル車の排気ガス問題への関心の高まりを受けて、経済界としての対応を検討すべく、2000年4月18日、自動車交通・環境対策ワーキンググループ(座長:松本忠雄花王取締役)を開催し、提言案について議論した。これらの議論を踏まえ、4月21日、「ディーゼル車の排気ガス対策に関する要望」を取りまとめ、濱中共同委員長と辻義文環境安全委員長(当時)から、自民党排気ガス対策プロジェクトチームの委員などに対して要望を申し入れた。
また、5月15日のワーキンググループでは、鈴木保次環境庁大気保全局自動車環境対策第一課長から、自動車NOx法の見直しについて説明を聞くとともに意見交換を行った。
運輸省航空局は、首都圏における将来の航空需要に対応するためには首都圏第三空港の整備が必要であるとして、その候補地を複数箇所に絞り込むため、「首都圏第三空港調査検討会」を発足させた。本件につき、運輸省や日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)と意見交換を行った。
産業技術強化に関する政府支援のあり方
政策部会(部会長:千葉正人日本電気副社長)では、政府内における基盤技術研究促進センター制度の抜本的見直しなどの検討に併せ、同制度の今後のあり方につき、通商産業省および郵政省と意見交換を行うとともに、議論を重ねた。その後、これまでの反省を踏まえて、民間の基盤技術の研究開発をより効果的に支援するため、新たに研究開発を民間企業に委託する支援制度が創設されることになり、それに伴い、同センターは解散することが決定した。
また産業技術懇談会では、新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)の研究開発体制や業務改善、予算執行の問題点などにつき、アンケートを実施するとともに、通商産業省、NEDOの関係者と意見交換を重ねた。
加えて経済産業省から、産業技術政策の動向、産業技術総合研究所の体制や今後の活動予定などにつき説明を聞き、懇談した。
大学改革への取り組み
大学問題ワーキンググループ(主査:小野田武三菱化学顧問)では、わが国の大学が抱える流動性、競争性、国際性の欠如といった問題を打開すべく、国立大学などの独立行政法人化問題(阿部博之東北大学総長)、「21世紀教育新生プラン」を中心とした大学改革の取り組み(文部科学省)、大学の制度改革に対する私立大学の見解(奥島孝康(社)日本私立大学連盟会長)、産学官連携の加速化と大学改革(経済産業省)のそれぞれについて説明を聞き、意見交換を行った。
また文部省大学評価・学位授与機構では、2000年度より大学などにおける教育や研究活動につき、産業界の視点を含めた第三者評価を実施することとしており、産業界の意見を反映させるべく、木村孟同機構長らと懇談した。
さらに「大学における人材育成と産業界のニーズに関するアンケート」を実施し、その結果につき、2001年3月、町村信孝文部科学大臣らに伝えた。
次期科学技術基本計画策定への対応と総合科学技術会議の機能強化
2001年度から始まる5ヵ年計画である第2期科学技術基本計画の策定に際し、産業技術力強化の重視、5ヵ年で総額24兆円の科学技術関係予算の確保、競争的研究資金の倍増などを要望した結果、基本計画にほぼ盛り込まれることとなった。また若手研究者の流動化や技術士制度の活用を含む技術者教育問題について、科学技術庁、通商産業省と意見交換を行った。
加えて、国の研究成果の社会還元の観点から、国の特許権などの譲渡、実施権付与のあり方などを議論し、科学技術庁に検討結果を伝えた。
髪の毛の1万分の1のレベルの微細な世界を取扱う技術であるナノテクノロジーは、エレクトロニクス、材料、医療、環境・エネルギーなど様々な分野で革新をもたらすことが期待されている。他方、米国では、2001年1月にNNI(National Nanotechnology Initiative)を公表し、国をあげてナノテクノロジーの振興に取り組みはじめた。
こうした状況の下、経団連では、ナノテクノロジー研究の推進が、IT分野をはじめとしてわが国の産業競争力強化に不可欠であるとの認識に立ち、2000年6月にナノテクノロジー専門部会(部会長:中村道治日立製作所理事)を設置し、ナノテクノロジーの振興について、通商産業省、科学技術庁より、わが国の取り組みについて説明を聞くとともに産業界の立場から検討を進め、提言「21世紀を拓くナノテクノロジー」(2000年7月)を取りまとめた。
その後、同専門部会に、エレクトロニクス(次世代半導体、情報ストレージ、ネットワークデバイス)、材料、ナノバイオ、計測・加工・シミュレーションなどの分科会を設置し、延べ45回程度の会合を開催し、今後、わが国がとるべきナノテクノロジー戦略について、関連企業、関係団体の意見をまとめると同時に、関係省庁と意見交換を行った(以下は、主なヒアリング先)。
バイオテクノロジー部会(部会長:山野井昭雄 味の素副社長)では、わが国のバイオ関連産業の振興に向け、ヒアリング(数納幸子 医学生物学研究所社長、清水初志 清水国際特許事務所長、倉根隆一郎 通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所微生物機能部長、大石道夫 かずさDNA研究所長、廣橋説雄 国立がんセンター研究所長)を行うとともに検討を重ね、これらの結果をバイオ関連産業の競争力強化のための提言「わが国の強みを活かしたバイオ産業の健全な発展に向けて」(2000年7月)として取りまとめ、建議した。
その後、フォローアップとして、阿部啓子 東京大学大学院農学生命科学研究科教授、和田昭允 理化学研究所横浜研究所長ら理化学研究所幹部と意見交換を行った。
2000年11月、委員会において、特許庁の及川耕造長官を招き、会合直前に開催された三極特許庁長官会合の模様を含め、特許をめぐる現状と課題について説明を聞くとともに、種々意見交換を行った。
知的財産問題部会(部会長:丸島儀一キヤノン顧問)では、デジタル化・ネットワーク化の進展ならびに司法制度改革の議論などに対応し、以下の取り組みを行った。
まず、産業構造審議会情報経済化部会が2000年8月に公表した第一次提言案に対し、IT時代にふさわしい国家経済システムの構築に関わる知的財産制度のあり方や標準・技術と競争ルールの関係につき意見を取りまとめた。
これらのうち、「民事及び商事に関する国際裁判管轄権及び外国判決に関する条約準備草案」について、道垣内正人東京大学大学院教授から説明を聞くとともに、知的財産権に関する条項について部会で検討し、政府コメントへ意見を反映させるべく、2001年1月、経済法規委員会経済法規専門部会、情報通信委員会電子商取引の推進に関するワーキンググループと連名で全体に関するコメントを取りまとめ、政府へ提出した。
また、特許庁が2000年10月に公表したコンピュータ・ソフトウェア関連発明の審査基準案に対し、プログラムを物として扱う点やビジネス方法の特許などについてコメントを取りまとめ、政府へ働きかけた。
さらに、司法制度改革審議会が11月に公表した中間報告に対し、人材の育成および法的整備についてコメントを取りまとめ、政府へ要望した。
わが国の産業技術力強化の一環として、2000年4月に国家産業技術戦略の取りまとめが行われ、海洋関連についても、エネルギー、食料、造船などの分野で国家戦略が取りまとめられた。
これらの各国家戦略の内容を発展させるとともに、今後の海洋開発に関する国家的な総合計画を提案すべく、総合部会(部会長:橋口寛信川崎重工業常務取締役)において検討を進めた。
2000年4月には、東京大学の宮田秀明教授より、造船産業技術戦略について、また、東京大学の高橋正征教授より、水産産業技術戦略について、それぞれ説明を受け、意見交換を行った。
こうした検討結果を踏まえ、6月には、わが国海洋の21世紀戦略の確立と海洋空間の有効活用などを訴えた、提言「21世紀の海洋のグランドデザイン」を取りまとめ、政府・与党に建議した。
その後、10月には、自民党の水産部会や政府の海洋開発審議会において、意見陳述を行い、提言の実現に向けた働きかけを行った。
また、わが国の海洋科学技術開発の中心的機関である海洋科学技術センターは、深海調査研究、地球環境フロンティア研究などを進めており、経団連としても同センターの運営などに協力した。
経団連環境自主行動計画フォローアップ
2000年11月に第3回経団連環境自主行動計画フォローアップ結果を取りまとめ発表した。同フォローアップには、新たに3業種が加わり、合計34業種が参加した。99年度の産業・エネルギー転換部門からのCO2排出量は約4億7865万t-CO2で、90年度比0.1%減少したことが明らかとなった。初の試みとして要因分析を実施したところ、電力原単位の改善分が−2.2%、各業種における努力分が−2.1%となり、参加業種において省エネをはじめとする温暖化対策が着実に進んでいることが推測された。その結果、経済の拡大などにより+4.2%となるところを参加業種の取り組みにより−0.1%となったと分析される。
COP6における取り組み
国連気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6、2000年11月13日〜11月26日、於:ハーグ)期間中、経団連としてワークショップを開催し、海外の関係者に第3回フォローアップ結果を中心に日本の産業界の取り組みを説明した。
欧州諸国についての調査の実施
2000年6月19日から23日まで、欧州各地(パリ、ブラッセル、ベルリン、ロンドン)の環境省、経済団体、研究機関などを訪問し、気候変動問題に対する各国の取り組み状況を調査した。
環境庁長官との懇談会の開催
2000年10月と12月の2度にわたり、川口環境庁長官との懇談会を開催し、今井会長、辻副会長らから、わが国における今後の温暖化対策のあり方などについて産業界の意見を述べるとともに懇談した。
温暖化対策のあり方についての検討
わが国における温暖化対策の現状を踏まえ、今後の対策のあり方について検討し、産業界代表委員を通じ、政府関係審議会での審議に産業界の考え方が反映されるよう努めた。
有識者との意見交換
地球温暖化問題などについて最新の知見を得るべく、内外の有識者と意見交換を行った。
関係業界の協力を得て、第3回経団連環境汚染物質排出・移動登録(PRTR)調査を実施し、2000年6月に結果を取りまとめて公表した。経団連では、PRTR法に基づくデータ把握が開始されることも踏まえ、経団連独自のPRTR調査は第3回をもって終えることとしたが、引続き化学物質に対する産業界の自主管理の促進に努めた。
環境省が、12月に市街地の土壌汚染の処理に関する法制化に向けた検討を開始したことを受け、大気・水質等タスクフォースを改組し、同タスクフォースを中心に産業界の意見の取りまとめに向けた検討を行った。
経団連環境自主行動計画フォローアップ
環境自主行動計画第3回フォローアップを実施し、各業界の協力を得て、業種毎の廃棄物対策ならびに99年度に定めた産業界全体としての産業廃棄物最終処分量の削減目標の達成状況を調査し取りまとめた。
新資源産業センター構想の推進
総理大臣の主宰する産業新生会議(2000年10月)において、廃棄物・リサイクルビジネスが産業として持続的に発展していくために必要なハード面・ソフト面の環境整備を内容とする「新資源産業センター」構想を提案し、その実現を働きかけた。
産業廃棄物不法投棄原状回復基金への協力
97年の廃棄物処理法改正により、投棄者不明または資力不足の場合の不法投棄について基金を設け、原状回復を行なう制度が導入された。原状回復事業の増加が見込まれたことから、委員会での検討を経て、理事会において同基金に対し、98年に続き2回目の拠出を行うことを決定し、各業界の協力を得て拠出を実施した。
規制緩和要望の取りまとめ
廃棄物分野を中心とする環境保全分野について規制改革要望を取りまとめ、2000年10月に政府に要望し、その実現を働きかけた。
PCB廃棄物処理への対応
PCB廃棄物の処理促進は重要な課題であり、経団連としても予ねてよりそのための体制整備を要望してきた。中小企業の処理費用を補助すべく基金を新設するにあたって、産業界からも拠出できないかとの打診が厚生省よりあったが、廃棄物部会(部会長:庄子幹雄鹿島建設副社長)を中心に検討した結果、PCBといえども中小企業は排出者責任を全うすべきであり、中小企業への補助は国の費用負担において行うべきと回答した。
危険物・防災・保安分野について67項目の規制緩和要望を取りまとめ、2000年10月に政府に要望した。特に自己責任に基づく自主保安体制の確立に重点目標を定め、保安四法に係る性能規定化や自主検査の推進などについて、政府行政改革推進本部規制改革委員会、関係省庁などへ働きかけを行った。
2000年6月に河野博文資源エネルギー庁長官を招いて、わが国のエネルギーを取り巻く情勢の変化と今後のエネルギー政策の見直しにおける重要課題について説明を聞くとともに懇談した。
エネルギー政策に係る種々の課題に関し知見を深めるべく、2000年7月より8回にわたって有識者より説明を聞くとともに意見交換を行った。
上記ヒアリングの成果を踏まえ、総合的な観点からエネルギー政策の重点課題について見解を取りまとめるべく、関係業界専門家の参加を得て検討を行った。
2000年11月16日〜17日に、秋元委員長以下委員会委員で、北海道のエネルギー施設(北海道電力[泊村]原子力および風力発電、町村農場[江別市]バイオガスプラント、石油資源開発[勇払]油・ガス田)を視察し、関係者と懇談した。
エネルギー分野について35項目の規制緩和要望を取りまとめ、2000年10月に政府に要望した。原子力発電所における安全規制の高度化をはじめ要望項目についてその実現を関係方面に働きかけた。
広報委員会では、経済広報センターと連携し、経済界および経団連が取り組むべき重要課題を戦略的かつ効率的に広報する方策や広報体制について検討している。
2000年度は、2002年5月の日経連との統合を視野に入れて、経済広報センターを含めた経団連グループの広報活動のあり方について検討した。とくに企画部会(部会長:澁谷高允東レ専務取締役)は、経済広報センターの果たすべき機能についての検討を行い、報告書を取りまとめた。企画部会広報ワーキング・グループ(座長:桝本晃章東京電力常務取締役)では、清武英利読売新聞編集局社会部次長より、広報部門における企業不祥事発生後の危機対応のあり方についてヒアリングを行った。
会員広報強化の観点からは、月刊Keidanren、経団連くりっぷ(月2回刊)、経団連インフォメーション(毎週金曜日刊)などの出版物の改善・拡販に、引き続き取り組んだ。月刊Keidanren2001年1月号では、特集「新世紀の劈頭(へきとう)に立つ、企業経営者109人の未来予想図」として一挙掲載した。
経団連ホームページの改善にも取り組み、会長・副会長などの記者会見録(日英)の掲載を即日化した他、ホームページ閲覧者に最新情報をEメールで個別に通知するサービスを開始した。
当委員会では、企業倫理確立の重要性の高まり、企業不祥事の発生、企業を取り巻く内外の環境変化などを踏まえ、96年12月、「経団連企業行動憲章」を全面的に改訂するとともに、同憲章を各企業が実践していく上での参考となる「同憲章の実行の手引き」を作成し、以降、同憲章の普及のための活動を続けている。
2000年度においても、経団連の広報誌などを通じ、会員企業・団体に対し同憲章の周知徹底を図った。
その他に、2000年4月1日から施行された国家公務員倫理法について民間側としても理解を深めるために、4月に国家公務員倫理審査会事務局(人事院)の高橋秀樹主席参事官よる同法施行の経緯や規定に関する説明会を開催し、約350名が参加した。
また、企業行動のあり方に関する国際会議である「コー円卓会議」の活動に協力して、11月には、同円卓会議シンガポール会合の参加者による説明会を開き、グローバル化時代における企業行動のあり方や米国の社会貢献型ファンドの動きについて報告を受けた。
さらに、消費者問題のエキスパートの集まりである消費者関連専門会議および経済広報センターと共催で「IT時代の消費者対応のあり方と企業の危機管理」セミナーを開催し、P&G、花王、サントリーなどインターネットを用いた消費者対応を含めた企業の先進的取り組み事例を聞いた。
当委員会では、企業の社会貢献活動の推進と環境整備のために以下の活動を行った。
社会貢献担当者懇談会の「変化する企業と社会貢献」懇談会(座長:島田京子日産自動車社会文化室担当部長)では、教育分野における社会貢献活動でのNPOとの連携を検討するとともに、企業の社会貢献担当者の立場から教育改革に関する検討・提案を行った。また、「社会基盤整備」懇談会(共同座長:加藤種男アサヒビール環境文化推進部エグゼクティブ・プロデューサー、瀬尾隆史安田火災海上保険地球環境部長)では、NPO支援税制につき検討するとともに、シーズ等のNPOと協力し、その実現方を働きかけた。NPO支援税制は2001年10月より導入予定である。
99年度の社会貢献活動の実績について調査し、324社(回答率:30.9%)から回答を得た。社会貢献活動支出額は、総額で1,246億円、1社あたり平均額は対前年度比5.5%増の4億300万円であった。2000年11月30日に要約版 (PDF)を公表するとともに、月刊keidanren 2001年3月号に調査の概要を掲載した。
2001年2月16、17日の両日に、「社会貢献活動の実効性をより高めるために」をテーマに、米国の企業財団関係者の参加を得て、第10回経団連ゲストハウス社会貢献フォーラムを開催した。企業の社会貢献担当者を中心に50名余が参加し、企業グループ全体のブランド・イメージ構築に資する企業財団も含めた社会貢献活動の推進体制のあり方、チャリティーから戦略的フィランスロピーや社会的投資への動きなどについて討議した。
当委員会では、政策本位の政治を実現し、国民の政治参加を促進するための方策について検討を重ね、その具体策として、96年7月、政治家と企業人との対話を深め、企業人の政治参加を促すために企業人政治フォーラムを設立した。2000年度においては、政党幹部との会合や政治データベースの作成などに関する同フォーラムの活動に協力した。
日本経済のグローバル化、情報化などが急激に進む中で、新たな時代を担う人材の育成が一段と重要度を増している。一方、学級崩壊などが深刻な社会問題となりつつある。こうした中で、総理の私的諮問機関として教育改革国民会議が設置され、今後の教育のあり方が検討された。その検討結果は、2000年12月22日にまとめられ、2001年1月には、文部科学省の「21世紀教育新生プラン」として、関連法の改正や予算措置などを通じて最終報告の具体化が進められている。
これに対して、当委員会では、浜田委員長が教育改革国民会議の委員として参加するとともに、提言「グローバル化時代の人材育成について」(2000年3月)を踏まえて産業界の意見の反映に努めた。
東富士フォーラムでは、初めて社会的道徳的側面から教育問題を取りあげ議論した(2000年7月)。これに先立ち、坂本昇一千葉大学名誉教授より「青少年問題の実状」、黒沢幸子目白大学人間社会学部助教授(臨床心理士)より「青少年問題の実態および解決策」、市川昭午国立学校財務センター研究部教授より「教育基本法と戦後の教育改革」などについてヒアリングを行った。
提言「グローバル化時代の人材育成について」(2000年3月)における指摘事項の実現状況などについて、文部省各担当課長と懇談した(7月19日)。また、石川嘉延静岡県知事と「人づくり」について懇談した(8月7日)。
「教育の情報化」については、「教育の情報化前倒しに関する施策について」(2000年8月)を取りまとめた。
新たな環境変化に柔軟に対応した教育改革を一層推進するという観点から、教育分野における規制改革要望を取りまとめ、経団連の規制改革要望(2000年10月)の一環として、政府・与党、規制改革委員会などに建議し、その実現を働きかけた。
コスキー・オーストラリア・ビクトリア州義務教育後の教育・訓練・雇用大臣との懇談会(2001年2月6日)を開催し、教育問題などについて意見交換した。
サービス貿易自由化交渉に関する懇談会などの会合を開催し、2000年2月より開始されたWTOのサービス交渉をフォローするとともに、政府関係者に産業界の意見を伝えた。
さらに、アンケートにより、海外でサービス貿易関連事業を行なう上での具体的な障害を調査し、わが国政府に提出した。こうした努力が効を奏し、12月に日本政府がWTOに提出したサービス交渉提案は、当会の意見を強く反映したものとなった。
「サービス貿易自由化協議会(JSN)」(議長:槙原稔貿易投資委員長)が中心となり、サービス交渉に関する積極的な対外情報発信などに務めた。
ムーアWTO事務局長(2001年1月31日)、原口幸市在ジュネーブ日本政府代表部大使(2月16日)、ラビエWTO事務次長(2月28日)を含む、わが国政府関係者および来日した各国政府要人と、WTOの新ラウンド交渉をめぐる対話を重ねた。
一連の会合を通じて、アンチダンピング協定の見直しや投資ルールの策定を含む包括的なアジェンダによる、新ラウンド交渉の早期立上げの必要性を強く訴えた。
世界的に自由貿易協定が急増する一方で、これまでわが国は二国間および地域の自由貿易協定に全く取り組んでこなかった。このため、わが国企業が事業機会を逸したり、競争上不利な立場に置かれるといった事態が生じてきた。そこで、2000年7月に、提言「自由貿易協定の積極的な推進を望む〜通商政策の新たな展開に向けて」を取りまとめ、WTOとならぶ通商政策の新たな柱として自由貿易協定を積極的に活用するよう政府に建議した。また、日本政府と共催で、10月に「自由貿易協定と日本の選択」と題するシンポジウムを開催した。
併せて、総合政策部会において、今後の通商政策のグランド・デザインを検討すべく、伊藤元重東京大学教授、山沢逸平早稲田大学教授、松下満雄成蹊大学教授などの有識者や政府関係者との意見交換を重ねた。
さらに、総合政策部会の下に、日米関係緊密化ワーキング・グループを設置し、日米自由貿易協定の可能性を含め、日米経済関係を緊密化するための様々な方策を検討した。
わが国企業による円滑な通商活動を確保し、国際競争力の強化を図る目的で、政府に対する規制改革要望の一環として、
2001年4月の独立行政法人日本貿易保険の発足に先立って、新法人が利用者のニーズに基くサービスの提供、民間専門家の積極的登用、および欧米の貿易保険機関に遜色のない国際競争力のあるサービスの提供などの実現を柱とする標記提言を政策部会(部会長:佐藤和夫三井物産顧問)が中心となって取りまとめ、関係各方面に建議した。
ベトナムにおける水力発電BOTケーススタディの推進(2000年5月)
97年以来実施されている世界銀行との共同イニシアティブである標記ケーススタディを推進し、2000年5月にベトナムにて開催された本件に関する第2回ワークショップの開催に協力した。また、本プロジェクトから得られた教訓を含む世界銀行とのパートナーシップに関する共同報告書の取りまとめ作業を、世界銀行の協力によって進めた。
カンボジア・カントリーフレームワークレポートへの協力(2001年1月)
世界銀行が現在推進中のカンボジア・カントリーフレームワークレポート(CFR)のドラフトに対してわが国経済界の意見を反映させるべく検討を行った。
ジャブレ国際金融公社(IFC)副総裁との懇談(2000年9月)
懇談の席上、ジャブレ副総裁は、今後民間部門との競合を避け、中所得国に重点を置く方針を示し、重要なパートナーである日本に対して人材面での協力に期待を示した。
ヴォイケIFC総裁との懇談(2001年2月)
席上、ヴォイケ総裁は、日本企業のアフリカ進出に期待を表明するとともに、高い技術力を持った日本の中企業の海外進出にあたってIFCは触媒機能を果す用意がある旨発言した。
国際貢献・人材派遣部会(部会長:篠原巌日本電気取締役常務)において、途上国に対してわが国民間企業の経験、知識、ノウハウを移転することを通じた知的支援を推進した。具体的には、ODA技術協力予算を活用した民間セクターアドバイザー専門家派遣スキームによって経団連会員企業の人材(短期6名、長期1名)の派遣を行った。
また、予てより要望してきた民間提案型プロジェクト形成調査が2000年度より実現し、部会メンバー企業による調査案件が実施された。
さらに、海外シニア・ボランティアのグループ派遣制度の推進に関して、わが国企業からの参加を働きかけるなど外務省、国際協力事業団(JICA)に協力した。
各プロジェクトの実施状況
タイ東北部中高生奨学金事業(参加企業懇談会座長:瀬谷博道旭硝子会長)
盤谷日本人商工会議所およびタイ教育省の協力により、タイ東北部の中高生に対し奨学金を供与した。
本プロジェクトは2000年度をもって終了し、事業終了の際に生じる剰余金は、JCC21世紀教育基金に組み入れることを決定した。
シンガポール日本語選択高校生支援事業(参加企業懇談会座長:岩谷徹郎 岩谷産業会長)
シンガポール日本人商工会議所の協力を得て、ラッフルズ・ジュニア・カレッジで日本語を選択する高校生6名に奨学金を供与するとともに、2000年6月5日から18日にかけて、日本に招聘した。
マレーシアISIS日本研究センター支援事業(参加企業懇談会座長:日枝 久 フジテレビジョン社長)
2000年10月27日に参加企業懇談会を開催し、来日したノルディン・ソピー会長とステファン・レオンISIS日本研究センター所長を迎え、同センターの99年度の活動報告と2000年度の活動方針について説明を受けるとともに、意見交換を行った。
ノルディン・ソピーISIS日本研究センター会長の講演会を開催
関係委員会とともに2000年10月27日、ソピー会長の講演会を開催した。
経済協力開発機構(OECD)は、先進30カ国が参加する国際機関として、1960年の設立以来、マクロ経済政策、貿易・投資、環境、科学技術、規制改革、情報通信などの分野を中心として研究・分析し、加盟国政府に対して政策提言を行っている。
BIAC(The Business and Industry Advisory Committee to the OECD)は、OECD各加盟国を代表する経済団体で構成される公式の諮問機関である。OECDの活動に産業界の意見を反映させるべく、11の専門委員会(化学物質、経済政策、雇用・労働・社会問題、環境、情報・コンピュータ・通信政策、国際投資・多国籍企業、海運、原料、税制・財政、産業技術、貿易)及び5つのエキスパート・グループ(競争法・政策、教育、規制制度改革、移行経済・開発問題、バイオテクノロジー)において、専門的な検討を行い、様々な提言をしている。
わが国は、OECD諮問委員会を通じてBIACの活動に参加している。
BIAC総会・企画会議への参加
2000年4月のBIAC総会(於:メキシコ)及び11月のBIAC企画会議(於:パリ)に生田委員長他が参加し、BIACの今後の活動について日本の産業界の立場から意見を述べた。
なお、生田委員長は、総会においてBIAC副会長に選出された。
BIAC本部会合への委員の派遣
日本企業の代表を、BIACの各委員会やOECDの開催する会合に派遣した(2000年度は、情報通信、産業技術、経済政策、税制などの分野を中心に、44会合に延べ26名が出席した)。
こうした活動に関する記事を、機関紙「BIAC NEWS」に随時掲載するとともに、2000年12月20日にはBIAC産業技術委員会報告会、2001年2月9日には電子商取引をめぐるOECDの活動に関する報告会を開催し、関係企業に広く紹介した。
総会等の会合開催
2000年7月3日に、2000年度総会を開催し、外務省の田中均経済局長より、閣僚理事会の模様を中心に、最近のOECDの活動状況について説明を聞いた。
また、5月9日にジョンストンOECD事務総長、2001年2月16日には西村六善OECD日本政府代表部大使との懇談会を開催し、OECDの活動をめぐり意見交換した。
2000年10月24日には、OECD職員採用ミッションとOECDにおける日本人職員の採用拡大をめぐり懇談した。
多国籍企業ガイドライン改訂への対応
OECDは、99年6月より、多国籍企業の進出先国における行動のあり方を示した多国籍企業ガイドラインの大幅な改訂作業を行ってきたが、2000年6月の閣僚理事会において改訂ガイドラインを採択した。
ガイドラインの見直しはわが国企業の海外事業活動に直接的な影響を及ぼすことから、99年度に引き続き多国籍企業ガイドラインに関する懇談会において、OECDでの検討状況をフォローした。そして、日本の産業界としての意見を取りまとめ、OECD、BIACおよび日本政府に随時伝えた。
また、改訂ガイドラインが6月に採択されたのを受けて、企業に対する周知を図るため、外務省及び通商産業省の担当者を招き、多国籍企業ガイドラインに関する説明会(7月11日)を開催した。
広報
機関紙「BIAC NEWS」を定期的に(年7回)発行し、BIACやOECDの活動を紹介したほか、「BIACの組織と活動」を改訂し、発行した。