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月刊 経団連

月刊 経団連2013年10月号

特集 少子高齢化社会における住まいとまちづくり

巻頭言

住宅への消費税課税を考える

伊藤一郎 (経団連審議員会副議長/旭化成会長)

参議院選挙の結果、国会におけるねじれは解消し政策決定の自由度は高まった。だが、待ち受けている政策課題は多い。まず、2014年4月の消費税率引き上げの決断が迫られる。先進国中、最悪の財政状況を踏まえれば、引き上げは不可避と考える人が多い。

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特集

少子高齢化社会における住まいとまちづくり

わが国では世界で例を見ないスピードで少子化・高齢化が進展している。65歳以上の高齢者は3000万人を超え、総人口に占める割合は4人に1人に達している。こうした社会構造の大きな変化を受けて、経団連でも、都市・地域政策委員会と住宅政策委員会の下に高齢社会対応部会を設置し、高齢社会への対応のあり方について検討を進めている。今回の座談会では、少子高齢化が進展するなか、とりわけ住まいやまちづくりの面で取り組むべき課題や、その際に求められる企業・経済界の役割、あるべき政策対応など行政側の役割について、諸外国との比較も交えながら、意見交換を行った。

座談会:少子高齢化社会における住まいとまちづくり

    PDF形式にて全文公開中

    岩沙弘道 (経団連審議員会副議長、都市・地域政策委員長/三井不動産会長)
    高齢者人口の数・割合の拡大に伴い、住まい、医療、介護など高齢者向けサービスの需要に供給が追いつかないことが懸念される。今後は、高齢者が一定程度いることを前提にまちづくりを進めていくべきだ。健康長寿の実現には、高齢者が経験やスキルを活かして地域社会に参加できる仕組みをつくることも大切である。当社が進める「柏の葉スマートシティ」での取り組みは、国内はもちろん海外に展開できるモデルとなることを目指している。

    阿部孝夫 (川崎市長)
    川崎市は、高度成長期に建設された団地などで高齢化が進む一方、再開発により若い世代の人口も増えているため、子育て支援と高齢者支援、両方の課題に取り組まなければならない。将来の人口減少期への転換を見据え、コンパクト化、長寿命化、エコ化、ユニバーサル化の「4化」をキーワードに、中長期的なまちづくりを目指している。また、川崎の産業都市としての特徴を活かし、地元企業と協力して、医療・福祉の産業化や、環境技術の開発にも取り組んでいる。

    関口憲一 (経団連住宅政策委員長/明治安田生命保険特別顧問)
    住宅のバリアフリー化だけでなく、社会のバリアフリー化も喫緊の課題である。高齢者が家のなかだけでなく、外でも自由にいきいきと行動できる環境を整える必要がある。また、ハード、ソフトの両面からライフステージに合わせた住み替えを促進することが重要である。健康長寿社会実現に向け、当社グループでは、「疾病予防サポートサービス」(健康保険組合の被保険者等に対し、専門スタッフが疾病予防の電話サービスを行う)事業などを展開している。

    松岡洋子 (東京家政大学人文学部講師)
    「エイジング・イン・プレイス」とは、住み慣れた地域で老いていくという考え方で、デンマークなどの欧州諸国においてスタンダードとなっている。施設ではなく、地域のなかで、個人のニーズに合わせてケアを受けられる仕組みづくりが必要だ。日本でも、昨年、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が制度化され、その方向に進んでいます。今後も、高齢者向け住宅への家賃補助、高齢者の集い場の拡充など、高齢者が地域社会の主役として自らの人生を地域の人々とともに楽しむとともに、行政のイニシアティブが求められる。

    椋田哲史 (司会:経団連常務理事)

    • ●少子高齢化社会における住まい・まちづくりの課題
    • 急がれる社会のバリアフリー化
    • 不可欠な地域コミュニティーの再生
    • 川崎市における高齢化の現状と対策
    • 欧州諸国における高齢者福祉の現状
    • ●少子高齢化社会に求められる住まい・まちづくりの課題
    • 高齢者の孤立化を防ぐコンパクトシティー
    • 住み替えを促進させるための仕組みづくり
    • エイジング・イン・プレイスの流れのなかでケアを考える
    • ●少子高齢化社会のもとでの経済社会の発展に向けて
    • 高齢者向け住宅の普及には行政の協力が必要
    • 産業都市として高齢化問題の解決に取り組む
    • 高齢者の健康長寿を考えた「柏の葉スマートシティ」のまちづくり
    • ヘルスケア産業の発展に向けて~保険業界の取り組み

    少子高齢化・人口縮小時代における住まいとまちづくり
     園田眞理子 (明治大学理工学部教授)

    • すでに起こった未来
    • 大量の空き家発生の懸念
    • 住まいと街の再編を

    資本主義の進化とコミュニティー
    ~なぜいまコミュニティーか
     広井良典 (千葉大学法経学部教授)

    • コミュニティーへの新たな関心
    • 地域密着人口の増加

    欧州に学ぶわが国の高齢社会対応
     渡邊大樹 (経団連高齢社会対応部会長/日本電信電話副社長)

    • 超高齢社会の到来
    • 在宅期間をできるだけ長く
    • 高齢者の孤立化防止

    超高齢社会対応の事業に取り組む
     竹中宣雄 (ミサワホーム社長)

    • 介護事業20年の実績に基づくトータルサポート
    • 医療・介護ネットワークによる地域社会貢献
    • 高齢期の住まい選びの相談受け付けと施設紹介サービス
    • 人材を重視した質の高いサービス提供
    • それぞれの暮らしを支えるサポートシステム

    少子高齢化時代の住宅市場と住宅ビジネス
     米山秀隆 (富士通総研経済研究所上席主任研究員)

    • 趨勢的に減少する新設着工
    • 歯止めがかからない空き家の増加
    • 中古物件主体の制度、ビジネスに転換を

    成熟化時代のまちづくり
     辻田昌弘 (三井不動産S&E総合研究所所長)

    • ハードからソフト(サービス)へ
    • 私有・占用から共有・共用へ
    • 共同体から共異体へ
    • 二層構造化する都市

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    一般記事

    【提言】  法人実効税率の引き下げに向けた道筋の明確化を
    ~平成26年度税制改正に関する提言
    http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/077.html
     佐々木則夫 (経団連副会長・税制委員長/東芝副会長)

    • アジア近隣諸国並みの25%へ
    • 法人実効税率の引き下げをめぐる批判的な見解について
    • 改革の方向性

    【提言】  今後の労働者派遣制度のあり方
    http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/070.html
     篠田和久 (経団連副会長・雇用委員長/王子ホールディングス会長)

    • 制度の見直しにあたって求められる視点
    • わかりやすい制度への再構築
    • 制度の信頼性向上とマッチング機能の強化
    • 改正法のさらなる見直しが必要

    対談
    グローバル化のなかで日本文化・精神をいかに継承していくか
    ~伊勢神宮式年遷宮に込めた思いと「歴史街道」の今日的意義
    PDF形式にて全文公開中
     鷹司尚武 (神宮大宮司)
     山口昌紀 (歴史街道推進協議会会長/近畿日本鉄道会長)

    • 積み重ねる努力の先に遷宮がある
    • 受け継がれてきた日本の文化・精神
    • 技を支える日本人の心を学ぶ
    • 長いスパンで考えて次の世代に引き継ぐ

    世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」保全活動の取り組み
     (和歌山県観光局)

    【 Photo Message 】
    日本を彩る秋景色

     萩原俊哉 (風景写真家)

    連載

    • 震災復興の現場から (3)
      本当の復興に向けて今こそ企業の力が必要
      山本啓一朗(復興庁宮城復興局)
    • 経営者のひととき
      お元気ですか?仁美さん
      閻 力大(華為技術日本社長)
    • 翔べ!世界へ―奨学生体験記
      世界市民として生きること
      大坂俊裕(三菱地所都市開発事業部)

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