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2008年度事業報告

III.委員会等の活動
【政策委員会】

○ 政策全般

1.総合政策委員会

(御手洗冨士夫 委員長)

(1) 総会決議の取りまとめ

日本経団連の活動の指針となる総会決議「逆境を飛躍の好機に変える」を取りまとめた(5月28日の定時総会において採択)。同決議では、企業の経営環境が一層厳しさを増す中にあっても、未来の世代に対して責任を果たすために、持続的な経済成長の達成に向けた改革を断固として継続していく決意を示した。

(2) 経済危機脱却に向けた積極的対応

2008年秋以降、米国発の金融危機が実体経済に波及し、日本経済もかつてない危機的な状況に陥った。かかる難局を打開するため、関係する各委員会が連携しつつ、景気浮揚策や金融安定化策の実行を求める提言を相次いで取りまとめた。その多くは政府の施策に取り入れられた。

  1. 「現下の経済情勢を打開するための緊急提言」の取りまとめ
    わが国経済が、資源価格の高騰や世界経済の減速等によって、停滞の度合いを強めるなか、このような状況を打開し、安定的な経済成長につなげていくとの観点から、「現下の経済情勢を打開するための緊急提言」(2008年7月30日)を取りまとめ、政府・与党等に建議した。その後も、引き続き、景気浮揚に資する要望を働きかけた結果、政府の経済対策である「生活対策」ならびに「生活防衛のための緊急対策」において、中低所得者を対象とした経済的支援、住宅ローン減税の拡充・延長、雇用のセーフティネットの拡充、成長力強化・低炭素社会の実現に資する税制措置、高速道路料金の大幅引下げ等が盛り込まれ、実施された。

  2. 補正予算早期成立への働きかけ
    2008年秋以降、金融システム不安が世界的に拡大し、先進国・新興国を通じて減速傾向を強めるなか、提言「補正予算の早期成立を望む」(2008年10月6日)を取りまとめ、金融システム不安の早期沈静化と、わが国経済の早期立て直しを政府・与党に求めた。その結果、2008年度第一次補正予算が10月16日に成立した。

  3. 金融安定化策の取りまとめ
    2008年末以降、企業金融が急激に逼迫した状況を受けて、提言「金融安定化策の早急な実行を求める」(2009年1月20日)を公表した。その結果、政府系金融機関による緊急融資の拡大・CP買入れ、日本銀行によるCP・社債・株式の買入れ、信用保証制度の拡充、銀行等保有株式取得機構の活用等の金融安定化策が講じられることになった。

  4. 「日本版ニューディールの推進」を提言
    わが国経済が直面する危機的な状況を打開するために、提言「日本版ニューディールの推進を求める」(2009年2月9日)を取りまとめ、官民による雇用の維持・安定に向けた取組みとともに、新たな雇用の創出と中長期的な成長力強化に向けて、産業競争力の強化、国民生活の向上、地域の活性化、低炭素・循環型社会の実現という4つの重点分野を柱に、合計35個の官民共同による国家的プロジェクトの推進を政府・与党に対して強く求めた。

  5. 「経済危機からの脱却に向けた大規模な経済対策の実施」を提言
    わが国経済の危機的な状況が深まるなか、国民の不安心理を断ち切り、景気の底割れを防ぐために、「経済危機からの脱却に向けた緊急提言」(2009年3月9日)を取りまとめ、政府・与党に対して、平成21年度予算ならびに関連法案の早期成立とともに、平成21年度補正予算を編成し、即効性のある需要創出策や雇用セーフティネットの拡充、企業の資金調達・資金繰りの円滑化策を速やかに実施することを求めた。

2.国の基本問題検討委員会

(〜5月28日 草刈隆郎 委員長)
(5月28日〜 清水正孝 委員長)

5月に「新憲法制定議員同盟」が開催した「新しい憲法を制定する推進大会」において、草刈委員長が憲法改正に関する取組み等について説明した。
また、2009年2月にはスティーブン・パイパー米国PPI社社長より、米国のオバマ新政権の外交・安全保障政策に関する講演を聴取した。

○ 経済・法制関係

1.経済政策委員会

(奥田務 共同委員長)
(畔柳信雄 共同委員長)

(1) 人口減少に対応した経済社会のあり方の検討

今後50年度程度を視野に、本格的な人口減少社会が到来するなかにあっても、活力ある、豊かな国民生活を維持していくために、今から着手すべき施策について、企画部会(部会長:村岡富美雄東芝取締役代表執行役専務)において検討を進め、提言「人口減少に対応した経済社会のあり方」(2008年10月14日)を取りまとめた。取りまとめにあたっては、ドイツ、英国等、欧州4カ国とEUについて現地調査を行った。
同提言では、今後本格化する人口減少が経済社会に及ぼす影響について言及するとともに、中長期的な経済社会の活力維持に向けた方策として、持続的な経済成長と経済社会システムの維持という観点から、(1)イノベーション等を通じた成長力の強化、(2)抜本的な少子化対策等の未来世代の育成、(3)国内の労働力の最大限の活用と海外から必要な人材の受入れ・定着の促進等、経済社会システムの維持に必要な人材の活用と確保を強く訴えた。

(2) 経済・金融情勢の把握

経済情勢専門部会(月1回)では、内閣府及び日本銀行からマクロ経済全般について、また、金融情勢懇談会(年6回)では、日本銀行から金融市場情勢について、それぞれ説明を聞き、意見交換を行った。

(3) 経済統計の改善に向けた検討

統計部会(部会長:佐々木常夫東レ経営研究所社長)において、総務省から、政府が策定した「公的統計の整備に関する基本的な計画」(2009年3月閣議決定)、及び2009年7月から実施される「経済センサス」や「平成22年国勢調査」について説明を聞くとともに意見交換した。

2.税制委員会

(張富士夫 委員長)
(大橋光夫 共同委員長)

2008年度においては、景気悪化に歯止めをかけるべく、経済活性化に資する税制を実現するとともに、税・財政・社会保障制度の一体改革に向けた取組みを行った。

(1) 平成21年度税制改正に関する取組み

政府与党における税制改正の検討作業への意見反映を図るべく、企画部会(部会長:田中稔三キヤノン副社長)を中心に精力的な検討を行い、「平成21年度税制改正に関する提言」(2008年9月16日)を取りまとめた。
同提言では、第一に、わが国企業のグローバル展開が一層拡大するなか、海外市場で獲得される利益をわが国国内の経済成長につなげるよう、海外子会社からの受取配当金を非課税とする制度の創設、第二に、低迷する内需活性化のための住宅取得促進税制の延長・拡充、第三に、地球温暖化防止と経済活性化との両立の観点から、環境対応車に係る自動車重量税・取得税の減免や省エネ・環境関連税制の拡充等を要望した。このほか、特定の事業用資産の買換え特例の延長、確定拠出年金に係る税制の見直し等を求めた。
その結果、12月に取りまとめられた与党税制改正大綱では、内国法人が海外子会社から受け取る配当金を非課税とする制度が創設されることとなった。また、住宅取得促進税制については、住宅ローン減税が、過去最大規模の税額控除へと拡充されるとともに、一定の要件を満たす場合には自己資金による住宅取得等にも減税を認める画期的な制度が導入された。さらに、地球環境問題への対応、内需拡大の観点から、自動車関係諸税の減免制度が新たに創設されるとともに、一定の省エネ・新エネ設備等の投資促進のための税制措置が講じられた。このほか、特定の事業用資産の買換え特例の3年間の延長、確定拠出年金制度において、加入者個人によるマッチング拠出の容認及び拠出限度額の引上げが盛り込まれた。

(2) 税・財政・社会保障制度の一体改革に向けた取組み

足元の景気刺激策の実施と同時に、国民が安心できる社会保障制度の確立等に向けて、中長期的な視点で、税・財政・社会保障制度の一体改革の道筋を明らかにすることが急務となっている。税制委員会では、他の関連委員会との連携を図りつつ、「税・財政・社会保障制度の一体改革に関する提言」(2008年10月2日)を取りまとめ、持続可能な社会保障制度の構築に向けて消費税率の引上げがやむを得ないこと等を提示した。また、一体改革の必要性について、世論を喚起すべく、経済広報センターの協力により、パンフレット「安心で活力ある日本へ」の配布を行った。
その結果、政府が12月に閣議決定した「持続可能な社会保障制度構築とその安定財源確保に向けた『中期プログラム』」等では、景気回復を図ったうえで、「中福祉・中負担」の社会保障制度の構築に向けて、消費税を含む税制抜本改革を2010年代半ばまでに実施する旨が明記された。

(3) 租税条約ネットワーク拡充への取組み

二国間の経済取引の一層の円滑化を図るため、カザフスタン、ブルネイ、クウェート、サウジアラビア、スイス等、わが国にとって重要な貿易相手国との租税条約の交渉・締結に際し、経済界の意見を取りまとめ、その反映に取組んだ。

3.財政制度委員会

(氏家純一 委員長)
(5月28日〜 秦喜秋 共同委員長)

(1) 今後の財政運営のあり方に関する検討

企画部会(部会長:筒井義信日本生命保険取締役常務執行役員)を中心に、経済が危機的な状況に直面するなかで、財政が果たすべき役割、中長期的な財政規律の維持をするための課題について、有識者との意見交換を進め、提言「今後の財政運営のあり方」(2009年3月17日)を取りまとめた。
同提言において、(1)当面は景気刺激・雇用創出策、成長力強化策、社会保障の機能強化等を図る一方、中長期的な財政規律を維持するため、国・地方を通じた歳出・歳入構造の改革を推進すること、(2)財政健全化に対する政府の着実な努力を継続するため、経済状況が改善した後、10年程度で、債務残高対GDP比の上昇を止め、財政収支の改善を目指すという目標を持つこと、を訴えた。
委員会では、10月に丹呉泰健財務省主計局長を招いて、わが国財政の現状と課題について説明を聞き、意見交換した。また、2009年3月には、岩本康志東京大学教授を招いて、わが国財政運営の課題について懇談するとともに、企画部会で取りまとめた提言案を審議した。

(2) 財政制度等審議会への参画

財政制度等審議会(財務大臣の諮問機関)に経済界からの委員が参画し、建議書の取りまとめにあたり意見表明を行った。

4.社会保障委員会

(森田富治郎 委員長)
(井手明彦 共同委員長)

(1) 中長期的に持続可能な社会保障制度の将来像に関する検討

国民が安心できる持続可能な社会保障制度の確立を目指し、企画部会(部会長:渡邉光一郎第一生命保険取締役専務執行役員)を中心に、年金改革部会(部会長:〜6月30日 岡本康男大日本住友製薬会長、7月1日〜 山崎雅男東京電力常務取締役)、医療改革部会(部会長:齊藤正憲三菱電機取締役専務執行役)と連携を図りつつ、提言「国民全員で支えあう社会保障制度を目指して」(2008年5月20日)を取りまとめ、社会保障制度改革の基本的な方向性について、経済界の考え方を社会保障国民会議等に伝えた。その後引き続き、国民が安心し信頼できる社会保障制度の将来像と安定財源の確保方策を含めた必要な施策について、制度横断的な観点から検討を進め、提言「国民全体で支えあう持続可能な社会保障制度を目指して」(2009年2月17日)を取りまとめ、政府・与党に建議した。また、「中期プログラム策定に関する緊急提言」(2008年12月9日)を取りまとめ、持続可能な社会保障構築とその安定財源の確保に向けた政府・与党の「中期プログラム」策定に向けた取組みを評価するとともに、中福祉・中負担の社会保障制度の確立、基礎年金の税方式化等が同プログラムに盛り込まれるよう求めた。

(2) 各種審議会等への対応と規制改革の推進

社会保障国民会議や社会保障審議会等の審議会、各種研究会等において、日本経団連代表委員を通じ、国民の安心と安全を支え、中長期的に持続可能な制度へと社会保障制度の再構築を促す観点から、基礎年金における国庫負担割合2分の1への引き上げの着実な実施、基礎年金の税方式化の検討、医療・介護の効率化と機能強化の推進等を訴えた。また、介護報酬の2009年度改定に対応した検討を行い、介護従事者の処遇改善に資するメリハリのある報酬設定等が実現するよう努めた。年金記録問題にも協力し、「ねんきん特別便」の事業主経由による配付・回収を会員企業に要請した。
また、6月、11月には、医療、企業年金、社会保険分野における規制改革要望を取りまとめ、関係省庁に実現を働きかけた。

5.金融制度委員会

(〜5月28日 勝俣恒久 委員長)
(5月28日〜 古川一夫 委員長)
(奥正之 共同委員長)

(1) 金融・資本市場の活性化に向けた取組み

委員会では、2008年6月に証券取引等監視委員会の内藤純一事務局長から金融商品取引法施行後の同委員会の活動について説明を聞いた。さらに、資本市場部会(部会長:〜6月30日 島崎憲明住友商事副社長、7月1日〜 武井優東京電力常務取締役)において、河野一郎課徴金・開示検査課長から「金融商品取引法における課徴金事例集」についての説明聴取を行う等、インサイダー取引や有価証券報告書等の虚偽記載等に係る同法の運用に関する理解を深めた。また、資本市場部会では、7月に武井一浩弁護士を招き、インサイダー規制をはじめとする金融商品取引法と上場企業法制上の諸問題について説明を聴取するとともに意見交換を行った。さらに、2009年2月には、静正樹東京証券取引所執行役員から、上場制度総合整備プログラムの具体化に向けた検討を行っている上場制度整備懇談会での検討状況や「東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書2009」の概要等について説明を聞くとともに、忌憚のない意見交換を行った。併せて、経済法規委員会企画部会と合同で、コーポレート・ガバナンスに関する検討・ヒアリングを進めた。
企画部会(部会長:山崎敏邦JFEホールディングス副社長)では、2008年秋以降の世界的な金融危機に対応し、2009年2月、浜辺哲也経済産業省産業資金課長から、政府が取組んでいる企業の資金繰り対策について説明を聞いた。
2009年3月には、委員会を開催し、内藤純一金融庁総務企画局長から、2009年4月に開催されるG20金融サミット対応を含めた政府としての金融危機対策について説明を聞くとともに、忌憚のない意見交換を行った。

(2) 株券無券面化の推進

2009年1月5日からの株券無券面化(電子化)については、会員企業・関係者等への周知・広報活動に積極的に取組み、円滑な制度移行に協力した。

6.経済法規委員会

(〜5月28日 勝俣恒久 委員長)
(5月28日〜 張富士夫 委員長)
(萩原敏孝 共同委員長)

(1) コーポレート・ガバナンスを巡る会社法上の論点についての検討

企画部会(部会長:八丁地隆日立製作所顧問)では、金融審議会我が国の金融・資本市場の国際化に関するスタディグループや経済産業省企業統治研究会、東京証券取引所上場制度整備懇談会等において、わが国企業のコーポレート・ガバナンスに関する議論が高まったことを踏まえ、2008年9月から2009年3月にかけて、岩原紳作東京大学法学部教授、江原健志法務省民事局参事官、池田唯一金融庁市場課長、新原浩朗経済産業省産業組織課長、葉玉匡美弁護士、郡谷大輔弁護士、鹿毛雄二企業年金連合会常務理事、アジア・コーポレート・ガバナンス・アソシエーションの主要メンバー等の有識者からの意見聴取を重ねた。これらの意見聴取を踏まえ、コーポレート・ガバナンスに関する経済界としての考え方について検討を行い、その成果を2009年4月に提言「より良いコーポレート・ガバナンスをめざして(中間報告)」として取りまとめることにした。
また、企画部会では、会社法関係政省令等の改正案についての説明会を開催し、実務を踏まえた経済界の意見を取りまとめ、その意見反映に努めるとともに、事業報告や計算書類等の作成実務担当者の参考に供することを目的として、2007年以降に施行あるいは改正された法務省令や企業会計基準の改正等を踏まえて、「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(改訂版)」(2008年11月25日)を作成・公表した。
M&Aに関する懇談会(座長:〜6月30日 島崎憲明住友商事副社長、7月1日〜 武井優東京電力常務取締役)は、8月4日、経済産業省企業価値研究会座長である神田秀樹東京大学法学部教授を来賓に招き、同研究会が6月30日に公表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策のあり方」について説明を聴取するとともに意見交換を行った。

(2) 独占禁止法改正への取組み

競争法部会(部会長代行:齋藤憲道パナソニック法務本部顧問)では、「独占禁止法の抜本改正に向けた提言」(2007年11月20日)に基づき、公正取引委員会における審査の適正化ならびに審判制度の廃止に向けて精力的に働きかけを行った。一方、2008年第169回通常国会に提出された独占禁止法改正法案は、第170回臨時国会において審議未了・廃案となった。この間、競争法部会では、経済産業省等とも連携して、公正取引委員会や自民党独禁法調査会等に対して積極的な働きかけを継続した結果、2009年第171回通常国会において、2009年度中に審判制度を全面にわたって見直し、必要な措置を講ずる旨の附則が規定された独占禁止法案が改めて上程されることとなった。

(3) 消費者問題への対応

消費者法部会(部会長:渡邉光一郎第一生命保険取締役専務執行役員)では、関係委員会と連携して、政府部内での消費者行政一元化に向けた動きをフォローするとともに、経済実態から乖離した議論とならないよう、経済界の意見反映に努めた。

(4) 司法制度改革の推進への協力

2009年5月からの裁判員制度導入に向けた経済法規委員会委員企業各社における特別休暇制度等の整備状況に関するアンケート調査を行うとともに、裁判員制度の成功に向け、制度の広報等に協力した。
また、9月17日、保岡興治法務大臣(当時)をはじめとする法務省首脳との懇談会を開催した。この会合において、法務省と日本経団連とで、司法制度改革の進展に向け、引き続き連携していくことが確認され、具体的な取組みとして、法曹有資格者の活用推進に向けた検討を連携して進めることが合意された。これを踏まえ、日本経団連と法務省のほか、日本弁護士連合会、法科大学院協会、文部科学省が参加した、「法曹有資格者の活動領域拡大に関する意見交換会」が発足し、12月に、関係機関の連携と協力のあり方に関する検討結果が取りまとめられ、法務省より公表された。

(5) 法制審議会への対応

2008年度、法制審議会においては、主権免除法制の整備、民法成年年齢の見直し、国際裁判管轄法制の整備、非訟事件手続法・家事審判法の見直し等に関する部会が設置され、必要な法整備の検討が進められた。企画部会では、これらの検討の進捗に合わせ、経済界としての意見を取りまとめるとともに、関係方面に働きかけを行う等、意見反映に努めた。その結果、主権免除法制に関して「外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案」が2009年通常国会に提出された。

(6) 会計基準のコンバージェンス

企業会計部会(部会長:〜6月30日 八木良樹日立製作所名誉顧問、7月1日〜 島崎憲明住友商事副社長)では、わが国企業の円滑な資金調達の促進や日本市場の活性化という観点から、提言「会計基準の国際的な統一化へのわが国の対応」(2008年10月14日)を取りまとめ、わが国として早急に国際会計基準の採用に向けたロードマップ(工程表)を作成するよう、内外の関係者に対して積極的な働きかけを行った。
日本基準と国際会計基準との収斂(コンバージェンス)が進められた基準については、企業会計基準委員会の産業界委員を中心に、議論への積極的な参画を行うとともに、税制委員会とも連携を図りつつ、経済界の意見反映に努めた。
また、2008年度から適用が開始された財務報告に係る内部統制報告制度については、金融庁、公認会計士協会とともに相談窓口を設置し、導入初年度における相談・照会への対応を行った。

○ 行革・産業・国土関係

1.行政改革推進委員会

(前田晃伸 委員長)
(〜5月28日 大久保尚武 共同委員長)

(1) 規制改革の推進

  1. 2008年度日本経団連規制改革要望の取りまとめ
    全会員企業・団体を対象に実施したアンケート調査をもとに、関係委員会の協力を得て、14分野153項目からなる「2008年度日本経団連規制改革要望」(2008年6月17日)を取りまとめ、規制改革会議をはじめ、政府・与党関係先に建議した。要望では併せて、政府の集中受付月間制度の改善等を求めた。
    個別要望は6月の政府の集中受付月間に提出した。また、各省庁の回答や対応を踏まえ、11月の政府の集中受付月間に再度要望を提出し、実現を働きかけた。

  2. 規制改革を巡る課題の整理
    規制改革推進部会(部会長:〜6月30日 山岸隆帝人副社長、7月1日〜 小倉利之芙蓉総合リース会長)においては、政府の規制改革推進室から各分野における検討状況や課題について説明を聞くとともに、意見交換を行った。また、5月に落合誠一東京大学名誉教授、6月に山本哲三早稲田大学教授、11月に八代尚弘国際基督大学教授から、規制改革を巡る状況や規制政策を改善する方策等について、説明を聞くとともに意見交換を行った。

(2) 行政改革の推進

  1. 行政改革の推進に向けた意見交換の実施
    委員会においては、6月に中馬弘毅自民党行政改革推進本部長から規制改革や公務員制度改革等の行政改革を巡る課題について説明を聞くとともに意見交換を行った。また、参議院自民党との懇談会等の場を通じて、行政改革の推進を求めた。

  2. 官民の枠を超えた人材交流の促進
    公務員制度改革の一環である官民間の人事交流を推進するため、総務省と人事院による「官民人事交流制度のさらなる活用に関する説明会」の開催(10月15日、於:大阪)(10月21日、於:東京)に協力した。
    また、国家公務員の再就職の適正化に向け、省益優先の姿勢に繋がる府省別の再就職管理を解消すべく、再就職支援を一元的に担う官民人材交流センターの発足や活動内容について、会員に対して周知活動を行った。

2.道州制推進委員会

(中村邦夫 委員長)
(池田弘一 共同委員長)

(1) 道州制の導入に向けた諸課題の検討

  1. 「第2次提言」の取りまとめ
    2015年に道州制を導入することを目指し、道州制の導入の効果や道州制を支える諸制度のあり方について、委員会と企画部会(部会長:神尾隆トヨタ自動車相談役)を中心に検討を行った。
    委員会では、7月に櫻田義孝自民党道州制推進本部本部長代理から自民党における検討状況や今後の課題について説明を聞き、政治のリーダーシップの発揮を求めた。また9月に行革700人委員会(塩川正十郎代表世話人等)、片山善博慶応大学教授と、10月に北川正恭早稲田大学大学院公共経営研究科教授と、目指すべき道州制の姿や道州制の導入に向けた課題について意見交換を行った。
    企画部会は10回開催し、行政、経済、財政等の面から道州制の効果について有識者から説明を聞き、意見交換を行った。また、北海道、関西、九州、沖縄等の各地域の取組みや、政府の地方分権改革推進委員会の検討状況について説明を聞き、道州制の導入に向けた具体的な方策について検討した。
    これらの検討の成果を踏まえ、「道州制の導入に向けた第2次提言」(2008年11月18日)を取りまとめた。

  2. 道州制の導入に向けた働きかけ
    11月に政府の道州制ビジョン懇談会において日本経団連の考え方を説明し、同懇談会での議論に反映されるよう働きかけた。また、12月には自民党道州制推進本部において中村委員長が意見陳述を行い、国と経済界がともに道州制の導入に向けて取組むことの重要性を強調した。

(2) 道州制の導入に向けた気運の醸成

道州制導入に向けた国民的な論議を高めるため、7月に仙台で、2009年2月に広島で、経済広報センター及び地元経済連合会等との共催によりシンポジウムを開催した(仙台では内閣官房とも共催)。シンポジウムでは地元の知事や経済界の代表、有識者らと、道州制導入の意義や効果等について意見交換を行った。
また、道州制が身近に感じられるように、千葉、神奈川、沖縄等で道州制に関する講演を行い、日本経団連が考える道州制を紹介するとともに、道州制の導入により地域がどのように変わるかについて意見交換を行った。

3.産業問題委員会

(〜5月28日 齋藤宏 共同委員長)
(5月28日〜 原良也 共同委員長)
(西田厚聰 共同委員長)

(1) 地域の活性化と産業競争力の強化

国民の生活の場、企業の活動拠点である地域の活性化に向け、「自立した広域経済圏の形成に向けた提言」(2008年5月20日)を取りまとめ、企業立地促進、農業・観光振興やこれらを効果的、効率的に進めるための広域連携の推進策に関する提言を行い、その実現を政府・与党に働きかけた。その一環として農政問題委員会とも連携しながら、企業の社員食堂における地元農産物の積極的活用(地産地消)の推進・紹介等を幅広く行うとともに、企業を退職したOB・OG活用の政府施策である「新現役チャレンジプラン」にも協力・支援を行った。
また、中長期的な観点からわが国の産業競争力の強化を図っていく観点から、産業人材の育成と確保に向けた検討を進め、提言「競争力人材の育成と確保に向けて」の取りまとめ作業を進めた。具体的には、11月に白井克彦早稲田大学総長、2009年3月にモンテ・カセム立命館アジア太平洋大学学長を委員会に招き、大学における人材育成について説明を聞くとともに、意見交換を行った。また、企画部会(部会長:廣瀬博住友化学副社長)において、12月から2009年2月にかけて、経済産業省、文部科学省より人材育成の施策について、企業・大学関係者より人材の育成、活用の現状と課題について説明を聞いた。加えて、経済政策委員会と連携して、「欧州先進諸国の移民政策に関する現地調査」を実施し、欧州各国の移民受け入れの現状や今後の課題について現地の政府・経済界関係者と意見交換を行うことで、提言作成の参考とした。

(2) エンターテインメント・コンテンツ産業の振興

エンターテインメント・コンテンツ産業部会(部会長:依田巽ギャガ・コミュニケーションズ会長)では、提言「知的財産推進計画2008の策定に向けて」(2008年3月18日)で掲げた諸課題の実現を政府に働きかけ、知的財産戦略本部の「知的財産推進計画2008」に反映させた。また、盛り込まれた施策の実現に向け、映像産業振興機構及びコンテンツ・ポータルサイト運営協議会の運営、JAPAN国際コンテンツフェスティバルの開催(9〜10月)等に協力した。また、知的財産委員会とともに提言「知的財産推進計画2009の策定に向けて」(2009年3月17日)の取りまとめを行い、関係方面にその実現を働きかけた。

(3) 外国人材受け入れに関する取組み

外国人材受入問題に関するワーキング・グループに法務省関係者を招き、政府の第五次出入国管理政策懇談会「新たな在留管理制度に関する提言」について意見交換を行った。また、内閣官房長官の主宰する「高度人材受入推進会議」を通じ、政府の高度外国人材受け入れ促進に向けた議論に参画した。この一環として、法改正の動向等を把握しつつ、「外国人研修・技能実習制度の見直しに関する提言」(2007年9月17日)等の実現を働きかけた。

4.起業創造委員会

(高原慶一朗 共同委員長)
(〜5月28日 原良也 共同委員長)
(5月28日〜 齋藤宏 共同委員長)

(1) 企業発ベンチャーの促進に向けた検討

次代のわが国経済・産業を担う新産業や新事業の創出に向けた検討を深めるべく、委員会において、5月に松田修一早稲田大学ビジネススクール教授より、また7月に米倉誠一郎一橋大学イノベーション研究センター教授より説明を受けるとともに、意見交換を行った。
また、企画部会(部会長:〜7月29日 鳴戸道郎富士通顧問、7月30日〜 日出間公敬全日本空輸専務取締役執行役員)においては、企業の有する技術・アイデア等の資源を活用した起業創出(企業発ベンチャー)の機運の維持・向上及び各社における企業発ベンチャーに向けた具体的取組みの高度化を推進すべく、2008年4月から5月にかけて、先進的な取組みを行っている企業4社より、新会社・新事業創出にむけた各社の取組みについてヒアリングを行い、前年度に実施した6社と併せて、起業創造委員会報告書「企業発ベンチャーの更なる創出に向けて」(2008年9月16日)を取りまとめた。
2009年1月には、独立行政法人産業技術総合研究所から、同研究所が実施しているイノベーションを促進するベンチャー企業の創出・育成のための支援制度等について説明を受けるとともに、意見交換を行った。
また、企業内ベンチャー推進協議会とともに企業内ベンチャーに取組む企業に対する情報提供及び関係者の交流の場としてセミナーを開催することとし、8月には金川裕一キューアンドエー代表取締役社長、12月には山本絹子パソナグループ取締役専務執行役員、2009年3月には倉橋泰ぱど代表取締役社長から説明を受けるとともに意見交換を行った。

(2) ヘルスケア産業の振興・発展に向けた検討

新産業として今後、成長が期待されるヘルスケア産業の育成・振興を図るべく、ヘルスケア産業部会(部会長:〜5月23日 赤星慶一郎オムロンヘルスケア社長)において、西山圭太経済産業省産業構造課長及び渡辺弘美医療・福祉機器産業室長から説明を受けるとともに、意見交換を行った。
また、ヘルスケア産業に求められている役割を探るべく、2007年10月から2008年3月にかけて、健康投資と企業経営に関する分科会(座長:田中敦ジェイティービー事業開発担当部長)において進めてきた従業員の健康増進に向けて先進的な取組みに関するヒアリング結果をもとに、各企業がこれを進める上での課題を整理した。

5.運輸・流通委員会

(5月28日〜 宮原耕治 委員長)
(〜5月28日 岡部正彦 共同委員長)
(亀井淳 共同委員長)

(1) 貿易諸制度の抜本的な改革

  1. 「貿易手続改革プログラム」の改訂及び実施に向けた働きかけ
    政府の「貿易手続改革プログラム」(2007年5月)の最初の改訂にあたり、経済界の意見が反映されるよう、内閣官房、財務省、国土交通省、経済産業省に働きかけた。また、自民党に対しては、6月に「日本の活力創造特命委員会」(座長:根本匠衆議院議員)において意見陳述を行った。
    その結果、渡副会長が参加する「貿易手続改革プログラムフォローアップ会合」が策定したプログラムの改訂版(8月1日)には、港湾の深夜早朝利用の推進に関する3年程度の社会実験の実施や保税・通関制度のあり方の継続的な見直し等が盛り込まれた。
    また、プログラムを受けて、改正関税法施行によるAEO制度の拡充(4月)や原産地証明制度の手続の簡素化等が実現した。

  2. 港湾の競争力向上
    「運輸・流通委員会幹部と国土交通省港湾局との懇談会」(9月)を開催し、コンテナターミナルの24時間オープン等を含む「スーパー中枢港湾を核とした総合的集中改革プログラム」について意見交換を行った。また、港湾に対する企業のニーズについて、12月に国土交通省が実施したアンケートに協力した。
    加えて、交通政策審議会港湾分科会に丸山和博物流部会長(東レ専務取締役)が委員として参加し、港湾政策に経済界の考えが反映されるよう働きかけた。

  3. 御厨邦雄WCO事務総局長との懇談
    委員会において、2009年3月、御厨邦雄WCO(世界税関機構)事務総局長から、関税・税関制度の国際的な課題について説明を聞くとともに意見交換を行った。

(2) 物流インフラの整備に向けた取組み

  1. 物流インフラの整備に向けた提言等
    「雇用安定・創出に向けた労使共同宣言」(2009年1月15日)、提言「日本版ニューディールの推進を求める」(2009年2月9日)、「経済危機からの脱却に向けた緊急提言」(2009年3月9日)では、わが国の主要な道路、空港、港湾の早急な整備の必要性を指摘した。

  2. 規制改革要望
    道路、港湾、空港等を巡る諸規制について、運輸・流通分野の規制改革要望を取りまとめた。

(3) 燃料サーチャージ制導入及び下請荷主取引の推進に向けた対応

日本経団連は、12月24日、国土交通省からトラック運送業における燃料サーチャージ制導入及び下請・荷主の適正取引の推進のための協力要請を受けた。当日は、運輸・流通委員会幹部と国土交通省の間で懇談会を開催し、軽油価格動向や燃料サーチャージ制導入促進対策について意見交換を行った。

6.農政問題委員会

(荒蒔康一郎 共同委員長)
(小林栄三 共同委員長)

(1) 総合的な食料供給力の強化

国際的な食料需給の不安定化や高齢化の進展、地域経済の疲弊等、わが国農業を巡る内外の状況の変化を踏まえ、わが国の総合的な食料供給力の強化のための方策について検討を行った。
8月の委員会では、わが国の食料供給体制の確立に向けた取組みについて農林水産省より説明を聞くとともに、企画部会(部会長:松崎昭雄森永製菓相談役)、食の産業部会(部会長:西野伊史アサヒビール常勤監査役)に加え、新たに国際関係部会(部会長:渡邉康平伊藤忠商事副社長)を設置することを決定、これら3つの部会で計10回の合同部会を開催するとともに、福島県と千葉県で農業現場の視察を行う等の活動を行った。
これらの取組みを踏まえ、委員会では、2009年2月、生源寺眞一東京大学大学院農学生命科学研究科教授より農業活性化に向けた農政のあり方について説明を聞くとともに、「わが国の総合的な食料供給力強化に向けた提言」(2009年3月17日)を取りまとめ、政府・与党ほか関係者に建議した。

(2) 農業界との連携・協力の推進

わが国農業と地域の活性化に向け、日本経団連では、5月に会員企業・団体に対し社員食堂等における地元農産物の積極的活用を呼びかけるとともに、7月にJAグループと「地産地消セミナー」を開催し、双方のメンバーに農業界と経済界の連携による地産地消の推進を呼びかけた。
また、経済広報センターの協力を得て、会員企業・団体を対象に、農業の活性化に向けた取組みについてのアンケートを実施し、その結果を上記提言の参考資料として活用した。

7.都市・地域政策委員会

(岩沙弘道 委員長)
(山口昌紀 共同委員長)

(1) 都市・地域の再生に向けた検討

委員会では、10月、陣内秀信法政大学教授より、世界の諸都市との比較におけるわが国の都市のあり方について講演を聞くとともに、意見交換を行った。
企画部会(部会長:平井茂雄新日本石油取締役常務執行役員)では、12月、中井検裕東京工業大学教授より、わが国都市の現状と都市計画の新たな役割について講演を聞くとともに、意見交換を行った。さらに企画部会の下に「都市のあり方に関するWG」を設置し、4回にわたり会合を開催して、21世紀型の都市のあり方について議論を深めた。

(2) 提言「PFIの拡大に向け抜本的な改革を求める」(2007年12月18日)の実現に向けた取組み

9月にPFI推進部会(部会長:小倉勝彦大成建設専務)を開催し、内閣府のPFI推進委員会が取りまとめた「PFI事業契約に際しての基本的考え方とその解説(案)」及び「PFI事業契約との関連における業務要求水準書の基本的考え方(案)」を検討の上、パブリックコメントを作成、提出した。

(3) 規制改革要望の取りまとめ

6月に土地・住宅・都市再生分野における規制改革要望を取りまとめた。

(4) 国土形成計画首都圏広域地方計画の策定に向けた対応

4月、国土交通省関東地方整備局が進めている国土形成計画の首都圏広域地方計画の策定に関して、産業界としての課題・要望を反映させるべく、関東地方整備局幹部との意見交換を行った。

8.観光委員会

(大塚陸毅 委員長)

(1) 観光立国推進体制の強化

  1. 「観光に関する懇談会」等への参加
    国土交通省主催の「観光に関する懇談会」と交通政策審議会観光分科会に、観光委員会から大塚委員長が参加し、観光行政や観光政策のあり方に経済界の意見を反映させるよう努めた。

  2. 官民の推進体制に関する産業界の意見の取りまとめ
    10月の観光庁発足に先立って、提言「観光立国の早期実現に向けて」(2008年9月16日)を取りまとめ、官民の推進体制に関する考え方を示した。同提言では、観光庁が中心となって、官邸機能も活用しつつ政府内の総合調整を進めることや、官民協議会を通じ政策対話を強化すること等を提案した。委員会においては9月、国土交通省の本保芳明・総合観光政策審議官(現観光庁長官)から今後の観光政策について説明を聞くとともに、意見交換を行ったが、2009年1月に観光庁が公表した「アクションプラン」には、提言で求めた官民協議会の設立が明記され、2009年4月に官民協議会の第1回会合が開催されることとなった。

(2) 北東アジア観光ゾーンの形成に向けた韓国との協力

  1. 第2回日韓観光協力会議の成果を踏まえた活動
    企画部会の下にワーキンググループを設置し、韓国全経連との間で開催した「第2回日韓観光協力会議」(2007年10月、於:経団連会館)の成果を踏まえ、北東アジア観光ゾーン形成に向けた取組みについて関係企業からヒアリングを行った。

  2. 第3回日韓観光協力会議の開催
    10月、済州島及びソウルにおいて全経連観光産業特別委員会との間で「第3回日韓観光協力会議」を開催し、観光を日韓産業協力の主要な柱とするとともに、人材育成や資源開発等のインフラ整備で協力していくことで合意した。
    この成果については、「第2回日韓ビジネスサミット・ラウンドテーブル」(10月10日、於:ソウル)や李明博(イ・ミョンバク)大統領との懇談の際に大塚委員長より説明し、日韓産業協力における観光の重要性を訴えた。また、2009年1月の麻生総理大臣の訪韓に日本経団連首脳が同行した際も、大塚委員長から李大統領に観光協力の重要性を改めて伝え、日韓首脳外交という枠組みの中で観光問題を論じた。

(3) 観光人材育成に向けた検討

委員会において7月、小田章和歌山大学学長を招き、観光人材の育成を巡って意見交換を行った。9月からは、企画部会(部会長:生江隆之三井不動産専務取締役)において有識者からのヒアリングを開始し、観光人材育成の現状と課題について理解を深めるとともに、観光産業のインターンシップについて、観光委員会独自のモデル作成を目指した検討に着手した。

9.住宅政策委員会

(渡文明 委員長)

(1) 今後の住宅政策に関する検討

  1. 政府・有識者との意見交換
    委員会において7月、伊藤元重東京大学大学院経済学研究科長より、内需主導型経済成長における住宅投資の役割について講演を聞くとともに、意見交換を行った。
    企画部会(部会長:立花貞司トヨタ自動車専務取締役)においては、国土交通省住宅局より、長期優良住宅の普及及び平成21年度住宅税制改正への対応について、3度にわたり(4月、7月、11月)説明を聞くとともに、意見交換を行った。

  2. 住宅政策に関する提言の取りまとめ
    上記意見交換を踏まえ、住宅税制に関するワーキンググループ(座長:竹内和正旭硝子経営企画室プロフェッショナル)を中心に今後の住宅政策全般のあるべき姿及び新たな住宅税制のあり方を検討し、「豊かさを実感できる住生活の実現に向けた提言」(2008年9月16日)を取りまとめた。

(2) 住宅・土地税制改正に向けた取組み

上記提言をもとに、2009年度住宅・土地税制改正に向けた産業界の要望を、日本経団連の「平成21年度税制改正に関する提言」(2008年9月16日)に盛り込んだ。また、国土交通省や住宅・不動産業界をはじめとする関係業界等とも連携し、自民党国土交通部会住宅・土地ワーキングチームにおける意見発表(10月)や与党幹部への説明等、産業界の要望実現に向けた働きかけを行った。
こうした活動の結果、2009年度税制改正において、長期優良住宅を対象とする住宅投資減税の創設や、住宅ローン減税の大幅拡充、省エネ・バリアフリー改修に対する投資型減税の創設、事業用資産の買換え特例の3年間延長等、日本経団連の要望が実現した。同税制改正の概要については2009年1月、国土交通省住宅局より説明を受けた。

(3) 住宅分野における緊急対策に関する提言案のとりまとめ

2008年秋以降の住宅投資の急激な落ち込みに対し、住宅投資を内需拡大の牽引役とするための緊急対策を検討し、提言案をとりまとめた。この過程で、2009年3月、委員会において、国土交通省住宅局より、住宅市場活性化のための政府の対応について説明を受けた。

○ 技術・環境・エネルギー関係

1.産業技術委員会

(榊原定征 委員長)
(中鉢良治 共同委員長)

(1) 第3期科学技術基本計画の推進に向けた提言の取りまとめ

政府の第3期科学技術基本計画の推進に向けた当面の課題と改善方策を提言「国際競争力強化に資する課題解決型イノベーションの推進に向けて」(2008年5月20日)として取りまとめ、関係方面に建議した。

(2) 産学官連携の推進

6月に京都で第7回産学官連携推進会議を、11月に東京で第8回産学官連携サミットを、内閣府、日本学術会議等と共催した。また、「技術系留学生の質・量両面の向上に関する報告書」(2009年2月17日)を取りまとめた。

(3) 研究開発システムの強化に向けた提言の取りまとめ

「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律」の成立に向け関係方面に働きかけるとともに、提言「わが国研究開発システムの抜本改革に向けた検討を求める」(2008年10月29日)を取りまとめ、同法の着実な実行を関係方面に働きかけた。

(4) 革新的技術の開発に向けた活動

政府の「革新的技術戦略」の策定に向け、産業界意見の反映に努めるとともに、革新的技術推進アドバイザーの推薦を行った。また、わが国の雇用創出と成長力強化に資する国家的プロジェクトについて検討を行うとともに、自民党政務調査会科学技術創造立国推進調査会等においてその実現を働きかけた。

(5) 第4期科学技術基本計画に向けた検討

政府の第4期科学技術基本計画策定を睨み、ドイツ、ベルギー、イギリスに調査団(2009年2月8日〜15日、団長:吉川誠一重点化戦略部会長代行(富士通研究所常務取締役))を派遣し、欧州諸国の科学技術政策の動向や研究開発システムを中心に調査を行った。

2.知的財産委員会

(野間口有 委員長)
(5月28日〜 足立直樹 共同委員長)

(1) イノベーションの促進に向けた知的財産政策の推進

知的財産委員会では、世界特許の実現、模倣品・海賊版対策の強化等に取組み、イノベーションの促進に向けた知的財産政策の推進に努めた。

  1. 提言「知的財産推進計画2009の策定に向けて」の取りまとめと知財関係者との対話の促進
    「知的財産推進計画2008」に向けた提言の実現の働きかけを行うとともに、産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会と連携し、プロイノベーション時代の知財政策の展開に向け、提言「知財推進計画2009の策定に向けて」(2009年3月17日)を取りまとめた。
    また、7月に素川富司知的財産戦略推進事務局長、2009年1月に荒井寿光東京中小企業投資育成株式会社代表取締役(元・知的財産戦略推進事務局長)、2009年2月に鈴木隆史特許庁長官、2009年3月に内山俊一知的財産戦略推進事務局次長との意見交換を行った。

  2. 諸外国との連携と海外の要人等との意見交換
    4月のG8ビジネス・サミットにおいて、榊原副会長より、模倣品・海賊版の撲滅に向けた国際連携の必要性や、世界特許制度の実現に向けた取組みの推進について呼びかけを行い、賛同を得た。
    また、6月にデヴィッド・カポスIBM副社長、10月に米国IPO、12月にクリフォード・チャンス・オフィス、2009年2月にフランシス・ガリ世界知的所有権機関事務局長との意見交換を行った。

(2) 国際標準化に関する取組みの促進

国際標準化戦略部会では、経済産業省とともに「第4回事業戦略と国際標準化シンポジウム」(6月)と「標準化戦略と知財 国際シンポジウム」(12月)を共催し、また、総務省の「ICT国際競争力強化を目指した標準化・知財戦略シンポジウム」(8月)を後援し、企業活動における国際標準の重要性や、国際標準と知財の関係について理解促進に努めた。
また、5月にチャック・アダムス米国電気・電子学会標準化委員会次期会長、2009年2月に田中宏総務省通信規格課長、藤代尚武経済産業省基準認証政策課政策企画官と意見交換を行った。

(3) デジタル化・ネットワーク化時代における著作権法制の中長期的なあり方に関する検討

提言「デジタル化・ネットワーク化時代における著作権法制の中長期的なあり方について(中間とりまとめ)」(2007年2月20日)を踏まえ、複線型著作権法制の具体的な制度設計について検討を行い、提言「デジタル化・ネットワーク化時代に対応する複線型著作権法制のあり方」(2009年1月20日)を取りまとめた。

(4) その他

6月に特許庁「イノベーションと知財政策に関する研究会・政策提言(案)」に対する意見、7月に経済産業省「特定通常実施権登録制度における通常実施権の特定方法に関するガイドライン(案)」に対する意見、11月に文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「平成20年度・中間まとめ」に対する意見、12月に知的財産戦略本部知財による競争力強化専門調査会「知的財産戦略に関する政策レビュー及び第3期基本方針の策定」に対する意見、2009年1月に産業構造審議会技術情報の保護等のあり方に関する小委員会「営業秘密に係る刑事的措置の見直しの方向性について(案)」に対する意見、2009年3月に特許庁「審査請求料の納付繰延について(案)」に対する意見を提出するとともに、企画部会において経済産業省、特許庁との意見交換を行った。

3.情報通信委員会

(石原邦夫 共同委員長)
(渡辺捷昭 共同委員長)

(1) 新たな通信・放送の制度的枠組みの検討

IP化等の技術革新により、通信と放送の融合が進む中、提言「通信・放送融合時代における新たな情報通信法制のあり方」(2008年2月19日)の実現に向けて、政府、関係団体・学会等に対して働きかけた。また、同提言を踏まえ、新たな通信・放送の制度的枠組み構築に伴う諸課題について、通信・放送政策部会(部会長:前田忠昭東京ガス副社長)、及び次世代情報産業ワーキング・グループにおいて検討を行うとともに、総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」の中間論点整理に対して、7月に意見を提出した。

(2) インターネットガバナンスのあり方の検討

インターネット社会に関する諸課題を議論する国連主催の「第3回インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)」(12月、於:インド・ハイデラバード)に向けて、国際問題部会(部会長:加藤幹之富士通経営執行役)を中心に、提言「第3回IGFへの提言」(2008年7月15日)を取りまとめ、IGF事務局に提出した。その結果、IGF事務局が取りまとめた統合ペーパーに、日本経団連からの意見が最も多く採用された。また、IGFではミッションの派遣、ワークショップの主催を通じ、日本の産業界の意見表明等を行った。

(3) 高度情報通信人材の育成

日本経団連の重点協力校である筑波大学、九州大学の高度情報通信人材育成コース(修士課程)の企画・運営に参画し、常勤・非常勤講師の派遣、インターンシップの実施等の支援を行い、産業界のニーズに応える学生の育成を進めた。また、2校は文部省の支援プログラムの対象6拠点にも選定されており、文部科学省の有識者による全拠点の中間評価においても、産・学が前例のない密接な連携を構築し、優秀な人材を育成していること等から、日本経団連の重点協力校の2校が最上位の評価を受けた。
また、提言「高度情報通信人材育成の加速化に向けて」(2007年12月18日)において示したナショナルセンター構想を踏まえ、産業界による高度ICT人材育成支援の組織として、「特定非営利活動法人 高度情報通信人材育成支援センター」の設立に向けて、高度情報通信人材育成部会(部会長:重木昭信NTTデータ副社長)を中心に検討を行い、協力企業が中心となって、2009年2月に設置申請を行った。また、2009年3月に「第4回高度情報通信人材育成に関する産学官連携会議」を内閣官房、情報処理学会と共同で開催し、高度ICT教育を全国の大学に普及・拡大するに当たり、ナショナルセンターの必要性を産・学・官の関係者に訴えた。

(4) 企業の情報セキュリティ対策

政府の「セキュア・ジャパン2008」に関する意見(5月)、「重点計画−2008」に関する意見(7月)、「次期情報セキュリティ基本計画に向けた第1次提言」に関する意見(7月)、「重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第2次行動計画」に関する意見(2009年1月)、「第2次情報セキュリティ基本計画」に関する意見(2009年1月)を提出した。また、2009年2月の内閣官房、総務省、経済産業省主催の日・ASEAN情報セキュリティ政策会議において、高瀬ITガバナンスワーキング・グループ座長(NTTコミュニケーションズブロードバンドIP事業部理事兼マーケティング部長)より、日本企業の海外投資における情報セキュリティ対策の重要性等について説明を行った。

4.電子行政推進委員会

(5月28日〜 秋草直之 共同委員長)
(5月28日〜 渡辺捷昭 共同委員長)

(1) 電子行政推進委員会の新設

日本経団連では「世界最先端の電子行政の実現に向けた提言」(2007年4月17日)、提言「国民視点に立った先進的な電子社会の実現に向けて」(2008年4月15日)を通じ、電子行政の実現に向けた提言を行ってきたが、「IT新改革戦略」で示された効率的で透明性の高い電子行政の実現に向けた政府の取組みは遅々として進んでいない。そこで、電子行政推進のための体制・法制や環境の整備を促し、実現のプロセスを加速化するため、定時総会において本委員会を新設することを決定した。
6月26日に第1回本委員会を開催し、坂内閣官房副長官補等から政府における電子行政実現に向けた取組みについて説明を聞くとともに、電子行政推進部会(部会長:遠藤紘一リコー副社長)及び電子行政推進ワーキング・グループ(座長:星野哲郎キヤノン情報通信システム本部情報通信システム企画部部長)の設置を決定し、具体的な検討を進めることになった。

(2) 電子行政の推進に関する提言

部会及びワーキング・グループにおいてわが国電子行政の早期実現に向け法制度・体制、国民ID、電子行政サービスのあり方について具体的な検討を重ねた。
部会で高韓国中央選挙管理委員会選挙研修院教授、ジム・スティール米セールスフォースドットコムプレジデント兼チーフ・カスタマー・オフィサーから、またワーキング・グループで横江パシフィック21代表、小尾早稲田大学教授からヒアリングを行うとともに検討を進めた。
IT新改革戦略評価専門調査会と合同で欧州電子行政調査ミッション(団長:星野座長)を10月に派遣し、デンマーク、ベルギー、フランス、オーストリアの電子行政の状況を視察した。
11月6日に第2回本委員会を開催し、上述の検討に基づき提言「実効的な電子行政の実現に向けた推進体制と法制度のあり方について」(2008年11月18日)を取りまとめ、電子行政推進・業務改革推進法のモデル法案を提示するとともに、関係大臣等へその実現に向けた働きかけを行った。

(3) 政府の内部管理業務の効率化

政府では旅費業務をはじめとする内部管理業務の抜本的効率化に取組むべく、6月から「官民合同実務家タスクフォース」を立ち上げ具体的な検討を開始した。同タスクフォースの構成員として当委員会の委員企業から5名が参加し、業務効率化の方策について検討をした。旅費業務について標準マニュアルを決定し、現在各省庁においてマニュアルに沿った規定の見直しを進める等の成果をあげている。

(4) 電子行政実現に向けた広報

他団体とのシンポジウム共催等を通じ、会員企業以外にも電子行政の重要性や日本経団連の取組みをアピールした。

  1. 21世紀政策研究所主催の第61回シンポジウム「電子行政の未来−ITによる行政サービスの刷新−」(2009年2月16日)開催に協力するとともに、秋草共同委員長、遠藤部会長が参加し、提言の紹介等を行った。
  2. (財)社会経済生産性本部と共同で「情報化シンポジウム・イン・東京」を開催した。秋草共同委員長、星野座長が参加し、提言の紹介や国民ID導入をテーマとする鼎談を行った。

5.海洋開発推進委員会

(〜5月28日 伊藤源嗣 委員長)
(5月28日〜 元山登雄 委員長)

2008年3月に、海洋基本法に基づく海洋基本計画が策定されたことを受け、5月に当委員会総合部会(部会長:杉浦哲日本郵船副社長経営委員)を開催し、総合海洋政策本部の本田参事官より同計画に関する説明を聴取した。
また、自民・公明・民主の関係議員と有識者で構成する海洋基本法フォローアップ研究会の委員に元山委員長が就任し、産業界の意見反映に努めた。

6.環境安全委員会

(5月28日〜 坂根正弘 委員長)
(〜5月28日 新美春之 共同委員長)
(鮫島章男 共同委員長)

(1) 環境問題全般

  1. 閣僚との意見交換
    9月10日、二階俊博経済産業大臣との会合において、三村副会長よりポスト京都議定書の国際枠組等に関する産業界の立場について説明した。
    また、斎藤鉄夫環境大臣と3回にわたり意見交換を行った。

  2. 参議院自民党との会合
    11月18日、26日の両日、地球温暖化問題を中心に意見交換を行った。

(2) 地球温暖化問題への対応

  1. ポスト京都議定書の国際枠組構築に向けた取組
    地球環境部会(部会長:猪野博行東京電力副社長)が中心となり、ポスト京都議定書の国際枠組に係る提言を取りまとめ、関係各方面に対する働きかけを行った。

    このほか、ポスト京都議定書の国際枠組の構築に向け、主要国産業界との連携の強化を図った。

  2. ポスト京都議定書のわが国の中期目標の設定に関する働きかけ
    政府がポスト京都議定書におけるわが国の中期削減目標の検討に着手したことを踏まえ、提言「ポスト京都議定書におけるわが国の中期目標に関する考え方」(2009年2月17日)を発表し、関係各方面に対する働きかけを行った。

  3. 排出量取引の国内統合市場の試行的実施への対応
    排出量取引の国内統合市場の試行的実施(10月)に際し、政府に対して目標設定のあり方、検証方法、環境自主行動計画との整合性の確保等に関する要望を行い、産業界の意見反映に努めた。
    11月12日、会員企業を対象とした説明会を開催し、内閣官房、経済産業省、環境省より、排出量取引の国内統合市場の試行的実施の制度概要を紹介した。

  4. 産業界の温暖化対策の着実な推進

  5. サマータイム導入に向けた働きかけ
    5月29日、超党派のサマータイム制度推進議員連盟に鮫島共同委員長が出席する等、サマータイム導入に向けた働きかけを行った。

(3) 循環型社会形成に向けた取組み

  1. 環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕フォローアップ調査の実施等
    2008年度も2007年度同様、40業種が参加し、業種毎の3Rの取組み状況等を調査し、2009年3月に公表した。2007年度の産業界全体の産業廃棄物最終処分量は、90年度比85.3%減と前年度とほぼ横ばいであった。

  2. 廃棄物処理法の見直しへの対応
    中央環境審議会廃棄物処理制度専門委員会における廃棄物処理法の見直し作業において、10月に吉川廣和廃棄物・リサイクル部会長(DOWAホールディングス会長)が意見陳述を行う等同委員会の検討に参画した。このほか、適宜、廃棄物・リサイクルワーキング・グループ(座長:志村明彦JFEスチール資源循環推進部長)を開催し、環境省と懇談するとともに、産業界としての対応について検討を行った。
    2009年3月4日、廃棄物・リサイクル部会を開催し、谷津龍太郎環境省廃棄物・リサイクル対策部長等を招き、本問題をはじめ循環型社会形成に向けた重要課題について懇談した。
    これに先立ち、6月、廃棄物処理法の欠格要件や特例制度の見直し等の規制改革要望をまとめた。また、環境省の「欠格要件の在り方検討会」に参画し、産業界の意見反映を図った。

  3. 不法投棄原状回復基金への協力
    2007年3月の環境省との共通理解に基づき、2008年度も、12月に環境省を招いて説明会を開催した上で、本基金に協力した。また、環境省の「原状回復に関する基金のあり方懇談会」に参画し、7月には意見陳述を行う等、産業界の意見反映に努めた。

  4. 低濃度PCB汚染重電機器の安全かつ合理的な処理方法の検討
    低濃度PCB対策ワーキング・グループ(座長:影山嘉宏東京電力環境部長)において、適宜、環境省と意見交換を行う等、低濃度PCB機器の合理的な処理方法等について検討を行うとともに、中央環境審議会微量PCB混入廃重電機器処理専門委員会における検討に産業界の意見反映を図った。

  5. 容器包装リサイクル法に関する提言(2005年10月12日)のフォローアップ
    12月に懇談会を開催し、経済産業省から容リ法を巡る諸課題について説明を聞くとともに、3R推進団体連絡会より「容器包装の3R推進に係る自主行動計画フォローアップ調査結果」の報告を受けた。

(4) 環境規制制度の改善に向けた動き

  1. 土壌汚染対策法への対応
    法施行後5年経過後に見直すとの規定に基づき、2008年6月より中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会において、法に基づかない調査・対策の増加への対応、汚染状況に応じた合理的な対策の推進、搬出汚染土壌の適正処理等を中心に検討が行われた(同小委員会には、日本経団連から河内哲環境リスク対策部会長(住友化学最高顧問)が参画)。環境リスク対策部会の下に設置された環境管理ワーキング・グループ(座長:奥村彰住友化学レスポンスブルケア室主幹)では、産業界の意見を適宜取りまとめ、環境省との会合等において、人の健康被害の防止を確保しつつ企業活動に対する過度な規制とならない法改正(自主的な調査の報告範囲の適正化や例外措置の導入等)を要請した。こうした活動を踏まえ、最終的な改正法案は、概ね合理的な内容となった。

  2. 化学物質審査規制法(化審法)への対応
    10月23日の政府の合同審議会(産業構造審議会、中央環境審議会、厚生科学審議会)において、報告書(案)がとりまとめられたことを受け、環境管理ワーキング・グループにおいて、化審法改正の方向性について、本合同委員会事務局である経済産業省との意見交換を行った。

  3. 環境影響評価法への対応
    法施行後10年経過後に見直すとの規定に基づき、6月に環境影響評価制度総合研究会(環境省総合環境政策局長の私的諮問機関)が設置され、2009年6月の報告書とりまとめに向け、検討が開始された。同研究会の第4回会合において、本改正における産業界の要望等について、日本経団連が意見陳述を行った。

(5) 規制改革要望の取りまとめ

2008年度規制改革要望を取りまとめ、6月に政府に要望、実現を働きかけた。
危険物・防災・保安分野は、技術開発の進展等に規制の緩和が可能となった分野、規制があるために、かえって安全性確保の妨げとなっている分野を中心に要望を取りまとめた。また、保安諸規制の合理化・整合化の観点から、重複規制の抜本的な解消について、2007年度に引き続き要望した。
廃棄物・環境保全分野では、廃棄物処理法を中心に、欠格要件や許可手続の簡素化・電子化や特例制度の拡充等の規制改革要望をまとめた。

7.資源・エネルギー対策委員会

(柴田昌治 共同委員長)
(岡素之 共同委員長)

(1) 提言「全員参加型の低炭素社会の実現に向けて」公表

7月の洞爺湖サミットの主要テーマに地球温暖化問題が掲げられることを踏まえ、家庭部門におけるCO2対策と原子力発電の活用をはじめとするエネルギー供給対策に関して、提言「全員参加型の低炭素社会の実現に向けて」(2008年6月17日)を公表した。
本提言取りまとめにあたり、6月5日には企画部会(部会長:渡辺康之IHI副社長)、6月12日には資源・エネルギー対策委員会と環境安全委員会の合同会合を開催し、審議を行った。なお、6月5日の企画部会では、安藤資源エネルギー庁総合政策課長から「温暖化対策を巡る内外の状況」について、6月12日の資源・エネルギー対策委員会では、石田経済産業省産業技術環境局長から、地球環境問題に係る最近の動向について説明を聞くとともに懇談した。
本提言のフォローアップの一環として、8月、御手洗会長が新潟県中越沖地震の影響により停止中の柏崎刈羽原子力発電所を視察した。

(2) 「日本版ニューディールの推進を求める」重要プロジェクト事例取りまとめへの協力

2008年秋以降の経済情勢の悪化を受け、公表した提言「日本版ニューディールの推進を求める」(2009年2月9日)において、「低炭素・循環型社会の実現」に資する重点プロジェクト事例として、エネルギー需要サイドの革新、エネルギー供給サイドの革新、循環型社会の形成に係る17のプロジェクトを盛り込んだ。

(3) 提言「わが国を支えるエネルギー戦略の確立に向けて」(2006年5月9日)のフォローアップ

政府が2008年3月に「長期エネルギー需給見通し」を取りまとめたことを受け、4月14日、資源・エネルギー対策委員会を開催し、望月晴文資源エネルギー庁長官から、エネルギー政策を巡る当面の課題について説明を聞くとともに懇談した。

(4) 国際エネルギー機関(IEA)事務局長との懇談

2009年1月14日、資源・エネルギー対策委員会と環境安全委員会との合同会合を開催し、田中伸男IEA(国際エネルギー機関)事務局長から、エネルギーを巡る諸課題やIEAの今後の活動等について説明を聞くとともに懇談した。

(5) 「世界省エネルギー等ビジネス推進協議会」への協力等

資源エネルギー庁より、わが国の優れた省エネ・新エネ技術を官民連携して世界に普及するための組織を設立してはどうかとの提案を受け、9月19日、企画部会を開催し、増山資源エネルギー庁新エネ・省エネ部政策課長より、低炭素社会を実現する省エネ・新エネ政策の展開等ならびに世界省エネルギー等ビジネス推進協議会の設立構想について説明を聞くとともに懇談した。
10月30日、省エネ・新エネに関心の高い約70社の企業・団体の参加を得て、世界省エネルギー等ビジネス推進協議会の設立総会が開催され、日本経団連の御手洗会長が本協議会の会長に就任した。

(6) 「水の安全保障戦略機構」への協力等

国内外の水問題の解決を目指す「チーム水・日本」の中核組織として、「水の安全保障戦略機構」が2009年1月30日に設立された。日本経団連の御手洗会長は森元総理大臣や丹保北海道大学名誉教授とともに設立発起人として挨拶を行い、政産官学公に対し同機構への参加を呼びかけた。
これに先立ち、日本経団連では、7月の東富士夏季フォーラムにおいて水問題の重要性が強調されたことを受け、水問題に係るアンケートを実施するとともに、12月、水問題に係る打合会を開催し、自民党から同機構設立構想について説明を聞くとともに懇談した。

(7) レアメタル問題に関する検討

2008年前半の国際的なレアメタル需給逼迫を受け、アンケートを実施するとともに、「レアメタル問題打合会」を4回開催し、資源エネルギー庁からヒアリングを行うとともに、業界間の情報交換等を行った。

(8) エネルギー分野に係る規制改革への取組み

6月、各種エネルギー供給事業の効率化・活性化に向けて、エネルギー分野に係る規制改革要望を取りまとめた。

○ 社会関係

1.広報委員会

(〜5月28日 古川一夫 委員長)
(5月28日〜 清水正孝 委員長)

日本経団連活動に関する国内外への広報が積極的かつタイムリーに行われるよう、支援を行った。

2.企業行動委員会

(〜5月28日 草刈隆郎 委員長)
(5月28日〜 渡文明 委員長)
(大歳卓麻 共同委員長)

(1) 企業倫理の徹底に向けた取組み

10月の「企業倫理月間」に先立ち、御手洗会長から全会員に「企業倫理徹底のお願い」を発信するとともに、10月に企業倫理トップセミナー、関西企業倫理セミナーを開催した。また、9月、11月、2009年2月の3回にわたり、企業倫理担当者研修会を実施した。

(2) 消費者行政への対応

政府・与党にて進められた消費者行政の一元化(消費者庁創設、リコール促進の共通指針策定等)に係る検討に対し、関連委員会と連携して対応した。

(3) 社会的責任に関する円卓会議への対応

国民生活審議会で提案された「安全・安心で持続可能な未来に向けた社会的責任に関する円卓会議」(事務局:内閣府)の設立に向けて、行政、消費者団体、労働組合、NPO・NGO、専門家等と意見調整を行った。

(4) ISOにおける社会的責任の規格化への対応

社会的責任経営部会(部会長:〜9月18日 廣瀬博住友化学副社長、9月18日〜 鍛治舍巧パナソニック常務役員)では、ISOの社会的責任規格(ISO26000)の完成度と利便性の向上に向けて、国際的な連携強化を図りながら取組んだ。9月にサンチャゴで開催されたISOのワーキンググループ第6回会合では、重要課題等に対して建設的な提案を行った。また、産業界委員を通じて国内委員会における議論をリードし、簡潔明快な規格策定に貢献した。

(5) 企業不祥事への対応

日本経団連の会員に係る不祥事を調査するとともに、会員からの問い合わせに応じてコンプライアンス体制の構築・改善に向けた助言を行った。

3.社会貢献推進委員会

(〜5月28日 池田弘一 委員長)
(古賀信行 共同委員長)
(5月28日〜 佐藤正敏 共同委員長)

(1) 「CSR時代の社会貢献活動」の出版とシンポジウムの開催

日本企業の社会貢献活動をCSRの一環と位置付け、今後重要となる活動領域や推進方法を整理した書籍『CSR時代の社会貢献活動〜企業の現場から』を7月に出版した。これを受けて、日本NPOセンター、国際協力NGOセンターと共催で、企業とNPOの協働のあり方等をテーマにシンポジウムを開催した。

(2) 社会的課題の解決に寄与する社会貢献活動のあり方の検討

目加田説子中央大学総合政策学部教授から「国境を超える市民ネットワークと企業の接点」について(7月)、アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官から「難民をとりまく現状と課題〜企業への期待」について(12月)、ムハマド・ユヌス バングラデシュ グラミン銀行総裁から「世界経済危機下での貧困問題の解決に向けて〜ソーシャルビジネスの挑戦」について(2009年3月)、それぞれ説明を聞き、グローバルな社会的課題に向けた企業とNGOや国連機関との連携のあり方について意見交換した。
2009年2月には「社会貢献フォーラム」を開催し、「企業の社会貢献活動は会社を変えたか、社会を変えたか」をテーマにこれまでの活動を総括し、今後の活動の方向について討議を行った。
社会貢献担当者懇談会(座長:嶋田実名子花王社会貢献部長)では、ウェブアクセシビリティと在宅障害者就労支援、「教科書にのっていないアフリカ」を通じて学ぶ開発教育、緊急人道支援における企業との連携等をテーマに、実務担当者の会合を4回開催した。

(3) 2007年度社会貢献活動実績調査

2007年度の社会貢献活動の実績(支出額、制度、事例等)について調査し、12月に公表した。

4.政治対策委員会

(大橋光夫 委員長)

(1) 政党の政策評価にもとづく政治寄付の推進

政策本位の政治の実現に向け、政党の政策評価(2008年9月17日)を発表するとともに、会員企業に対して、企業の重要な社会貢献として自発的な政治寄付を実施するよう呼びかけた。
また、2009年の政策評価の尺度となる「優先政策事項」(2009年1月14日)を公表した。

(2) 政党との政策対話

政党幹部との間で各種会合を開催し、重要政策課題をめぐり意見交換を行った。

  1. 自由民主党首脳との懇談会(8月、2009年2月)
  2. 参議院自由民主党幹部との懇談会(全体会は11月、2009年2月。分科会は計5回開催)
  3. 自由民主党と政策を語る会(5月、全会員案内)
  4. 民主党と政策を語る会(6月、全会員案内)

(3) 政治関連調査等

政治情勢、政治資金等に関する情報収集等を実施した。

5.教育問題委員会

(三村明夫 委員長)
(蛭田史郎 共同委員長)

(1) 横浜市教育委員会との連携関係構築

社会総がかりでの教育支援が求められるなか、教育と企業の連携推進ワーキンググループ(座長:小西ゆかり松下電器産業全社コストバスターズプロジェクトリーダー)の中間まとめ「教育と企業の連携推進に向けて」(2007年5月7日)のフォローアップとして、首都圏の教育委員会との間で連携を模索した。2008年度は、横浜市教育委員会と意見交換を重ね、また以下の取組みを通じて、関係強化に努めた。

  1. 横浜市教育委員会主催のキャリア教育教員研修会で、会員企業による出前授業実演、企業のキャリア教育支援プログラムの紹介、会員企業と教員の交流を行った(8月)。
  2. 「みなとみらいサロン」(横浜市主催の企業による教育への貢献に関する情報交換会)に参加した(12月)。
  3. 8月の研修会を契機に依頼があった藤の木中学校でキャリア教育授業を実施した(2009年2月)。

その結果、2009年度に横浜市内の小中学校5校において、会員企業が出前授業を実施することで大枠合意が得られた。これを踏まえ、横浜市に本社を置く会員企業や関係が深い企業、関係経済団体を中心に連携への協力を呼びかけた。

(2) 教育再生に向けた働きかけ

わが国初の教育に関する基本計画である教育振興基本計画が7月に閣議決定されたことを受け、清水潔文部科学省生涯学習政策局長を招いて委員会会合を開催し、文部科学省に教育振興基本計画におけるPDCAサイクルの重視等を求めた(8月)。
また、三村委員長、藤江一正企画部会長(日本電気特別顧問)が当会推薦の中央教育審議会委員として、産業界の意見反映に努めた。なお、三村委員長は、2009年2月10日に中央教育審議会の会長に選任された。

(3) 教育界からの要請への対応

東京都教育庁からの民間企業出身者の校長への推薦依頼に対応し、企画部会において民間企業出身の都立高校校長経験者から体験談を聞くとともに、会員企業に推薦を依頼した(7月)。その結果、都立高校2校の校長に会員企業社員の採用が決定した(9月、12月)。
また、文部科学省の理科支援員等配置事業特別講師への登録依頼に応じて、会員企業に協力を呼びかけた結果、会員企業の技術者・研究者67名(うちOB4名)から登録が得られた。
さらに、国立大学協会主催の大学改革に関するシンポジウムにおいて、大学への期待、産業界の求める人材像等について藤江企画部会長が講演した(10月)。

(4) 産学官が連携した人材育成の先行事例見学

産学官が連携した人材育成の取組みの例として、岩手県の北上川流域ものづくりネットワークを訪問し、企業経営者による中学校での出前授業、工業高校におけるものづくり人材育成現場を見学するとともに、企業と学校の連携等について意見交換を行った(9月)。

6.防災に関する委員会

(數土文夫 共同委員長)
(木村惠司 共同委員長)

(1) 提言「首都直下地震にいかに備えるか」の取りまとめ

2008年度は、防災に関する数多くのテーマの中でも、会員企業の関心が極めて高い首都直下地震の課題と対策に絞って重点的に検討を重ねた。
その検討作業の「中間とりまとめ」(2008年10月14日)では、ヒト・モノ・カネ・情報という4つの切り口から首都直下地震の課題を分類したうえで、その解決に当たって自助・共助・公助が果たすべき役割を整理し、公表した。
その後、さらに、帰宅困難者と滞留者の対策や社員の防災意識の向上策に関する検討を深め、企業・行政・地域の相互連携に向けて、提言「首都直下地震にいかに備えるか」(2009年3月17日)を策定し、公表した。

(2) 災害に強い社会の構築に向けた検討

提言策定の一環として、有識者等を招き、委員会を3回開催した。
6月には、首都直下地震発生時の「帰宅行動シミュレーション結果と対策の方向性」について内閣府参事官から説明を聞いた。9月には、作家の高嶋哲夫氏を招いて、阪神・淡路大震災の体験を基に、想像力を働かせて地震対策に取組む必要性について聞いた。2009年2月には、中林一樹首都大学東京大学院教授から「首都直下地震の課題と経済界の役割」というテーマで、創造的な復興対策と危機管理の重要性等について聞いた。

(3) 首都直下地震に関する具体的な検討

提言の取りまとめのため、企業・団体の実務担当者からなる首都直下型地震対策ワーキング・グループ(座長:笹本前雄JFEホールディングス専務執行役員)を設置し、各社の実状を踏まえた検討を行うとともに、伊藤滋早稲田大学特命教授や新宿区区長室危機管理課長等の専門家から意見を聞いた。

○ 経営労働関係

1.経営労働政策委員会

(御手洗冨士夫 議長)
(〜5月28日 草刈隆郎 委員長)
(5月28日〜 大橋洋治 委員長)

毎春の労使交渉・協議における経営側の基本姿勢と雇用・労働に関する諸問題に対する考え方を総合的に検討し、全国の企業経営者の指針となる「2009年版経営労働政策委員会報告」(2008年12月16日)を取りまとめ、発表した。
「労使一丸で難局を乗り越え、さらなる飛躍に挑戦を」と題する本報告は、現下の厳しい経済状況を、オイルショックやバブル崩壊後の長期不況を上回る、第三の危機と位置づけ、労使が危機感を共有して一丸となって難局を打開していくことが重要であると指摘した。
今次労使交渉における経営側の基本スタンスについては、現下の厳しい雇用情勢を踏まえ、まずは日本的経営の強みでもある「雇用の安定を重視した交渉・協議」を基本とすべき点について指摘した。これに関連し、若年者雇用問題への対応強化の必要性や、雇用のセーフティネットの早急な強化等、雇用の安定に向けた官民の協力の必要性や、内定取消し回避について強調した。
そのうえで、総額人件費の決定に際しては、自社の支払能力に即して判断されるべきであり、需給の短期的変動等による一時的な業績変動は、賞与・一時金に反映させることが基本であると主張した。一方、恒常的な生産性向上の裏づけのある付加価値の増加分については、特定層への重点的配分や人材確保等自社の実情を踏まえて総額人件費改定の原資とすることが考えられるとの考え方を示したうえで、企業の減益傾向が一層強まるなか、今次労使交渉・協議においてベースアップは困難と判断する企業も多いものと見込まれることを指摘した。

2.雇用委員会

(鈴木正一郎 委員長)

雇用政策検討部会(部会長:橋本浩樹王子製紙取締役常務執行役員)を中心に、以下の活動を行った。

(1) 報告書「高齢者雇用の促進に向けた取組みと今後の課題」の取りまとめ

改正高年齢者雇用安定法(以下、改正高齢法)により、事業主に対して高齢者雇用確保措置の義務化後2年経過しているので、アンケートやヒアリング調査により企業の対応状況を把握した。また、その結果を、報告書「高齢者雇用の促進に向けた取組みと今後の課題」(2008年11月18日)として取りまとめた。同報告書では、改正高齢法への企業の対応状況は概ね良好であることに加え、柔軟な働き方への対応等今後の課題が明らかになった。

(2) 法改正への対応

  1. 雇用保険制度見直しへの対応
    厚生労働省労働政策審議会雇用保険部会での、雇用保険の適用範囲拡大、給付の拡充等を柱とする雇用保険制度の見直しの審議にあたり、雇用保険のセーフティネット機能の強化や雇用保険制度の安定的な運営等を主張した。

  2. 労働者派遣制度見直しへの対応
    労働政策審議会労働力需給制度部会での、労働者派遣制度の見直しの審議にあたり、雇用の安定した常用型派遣に焦点を当て、常用型派遣については、直接雇用申込義務、派遣期間制限、事前面接等特定目的行為の禁止を見直すべきであること等を主張した。

  3. 障害者雇用促進法見直しへの対応
    労働政策審議会障害者雇用分科会での、短時間労働者の雇用義務化、障害者雇用納付金制度の中小企業への適用拡大、特例子会社を持たないグループ適用制度の新設等の障害者雇用促進法の見直しの審議にあたり、十分な経過措置を設けることや、障害者雇用の促進に向け調整金の支給先を分割する等の制度拡充を主張した。

(3) 新卒採用問題の検討

新卒採用検討ワーキング・グループ(座長:橋本浩樹王子製紙取締役常務執行役員)での検討を踏まえ、「大学卒業予定者・大学院修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」(2008年10月14日)を公表した。その中で、標題を見直すことにより、採用選考活動の早期化自粛に通年的に取組むべきであることを明確にする等、「倫理憲章」の実効性向上に取組んだ。
また、「倫理憲章の趣旨実現をめざす共同宣言」(2008年12月9日)を発表し、会員企業に倫理憲章への賛同を求めた。

(4) ジョブカード制度の周知と制度改善の取組み

会員企業を対象にジョブカード説明会を開催し、制度の周知に努めた。また、事業主がジョブカード制度を利用しやすくなるよう、OJTとOff-JTの比率の見直し等の制度改善を求めて、実現した。

なお、日本経団連は、雇用失業情勢が深刻の度を増していることを踏まえ、日本労働組合総連合会と共同で「雇用安定・創出に向けた労使共同宣言」(2009年1月15日)、「雇用安定・創出に向けた共同提言」(2009年3月3日)を公表した。その後、政府も加わり、「雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意」(2009年3月23日)をとりまとめ、政労使の三者が一体となって、現下の雇用不安を払拭するために取組むことに合意した。

3.労使関係委員会

(〜5月28日 加藤丈夫 委員長)
(5月28日〜 指田禎一 共同委員長)
(5月28日〜 市野紀生 共同委員長)

(1) 報告書「仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度の構築・運用に向けて」の取りまとめ

提言「今後の賃金制度における基本的な考え方」(2007年5月15日)の内容を踏まえ、さらに深掘りした検討を行い、報告書「仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度の構築・運用に向けて」(2008年5月20日)を取りまとめた。同報告書は、(1)長期雇用を基盤として、企業の成長に向けた全体最適を図る「企業戦略」の視点と、(2)従業員のモチベーションの維持や再チャレンジを促進するための「公正性」の視点から、賃金を取り巻く環境の変化と課題を俯瞰した上で、今後の賃金制度の方向性と設計・運営の留意点等、具体的な考え方を提案した。

(2) 経営環境の変化に伴う企業と従業員のあり方の検討

企業を取り巻く経営環境が変化するなかでの、今後の企業と従業員のあり方や人材活性策等について、特に各社の事例を聴取しつつ、政策部会(部会長:松本智日本たばこ産業執行役員)において検討を行った。

(3) 中央最低賃金審議会に関する対応

厚生労働省中央最低賃金審議会における2008年度地域別最低賃金額改定の目安審議の状況に関して、同審議会使用者側委員から説明を受けるとともに、2008年度の目安答申に向けた使用者側の対応について了承した。

4.労働法規委員会

(〜5月28日 藤田弘道 共同委員長)
(〜5月28日 市野紀生 共同委員長)
(5月28日〜 三浦惺 委員長)

(1) 改正労働基準法への対応

改正労働基準法案の国会での審議中及び同法の成立後、労働法企画部会(部会長:上坂清日本電信電話取締役)を中心に、企業実務への影響の観点から検討を行い、経済界の意見が反映されるよう努めた。

(2) 仕事と生活の推進に向けた取組み

内閣府での仕事と生活の調和推進に関する点検・評価の検討に際し、規制強化や企業の負担とならない方法等とするよう求め、また厚生労働省の仕事と生活の調和推進プロジェクトに参画する企業には情報交換の場の提供や厚生労働省への意見の集約等、必要な支援を行った。

(3) 安全衛生・労災保険法令改正への対応

労働安全衛生部会(部会長:清川浩男三菱マテリアル副社長)とその下部のワーキンググループで、2009年4月施行の労災保険料率の改定、安衛法の特殊健康診断の対象業務の拡大や石綿の全面禁止に係る改正、ならびに2009年6月施行の足場からの墜落防止措置の充実等について検討を行い、労働政策審議会で使用者側委員を通じて意見を表明した。また、中央労働災害防止協会における「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」の改定の検討について使用者としての意見を述べた。

(4) 育児・介護休業法改正への対応

労働政策審議会が2008年末に建議「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」を取りまとめるに際し、当委員会と労務管理問題検討部会(部会長:坂田甲一凸版印刷人事労政本部人事部長)では、実務的な対応や労務管理上の負担を踏まえて検討し、意見集約を行い、使用者側委員を通じ意見の反映に努めた。

(5) 福利厚生施策の展開への対応

5月に、当委員会の下に福利厚生検討ワーキンググループを設置し、法定外福利施策のうち住宅関連施策や従業員の健康確保措置等について各社の取組み状況の情報交換を行い、課題と今後の方向性を検討した。

(6) 労働審判制度の運用に関わる取組み

2008年度の労働審判員向け研修について、各経営者協会へパンフレットを送付し、会員企業へ周知した。

5.中小企業委員会

(〜5月28日 指田禎一 委員長)
(5月28日〜 澤部肇 委員長)

国際競争力・雇用創出力のある強い中小企業を支援するために、政府の中小企業施策や、企業の好事例等を聴取した。

(1) 中小企業の抱える課題に関する検討

中小企業の生産性向上・競争力強化を実現するためには、海外展開も1つの方策であると考え、特に東アジアへの進出について焦点を当てて諸課題の洗い出しを行った。企業事例として、根本郁芳根本特殊化学会長より、中小企業における海外展開の実態について説明を受けた。

(2) 中小企業関連施策に関する意見交換

川上一郎中小企業庁室長より、2008年版中小企業白書のポイントについて説明を聞くとともに意見交換を行った(9月)。また、長谷川榮一中小企業庁長官より、わが国における中小企業の課題と今後の方向性について説明を聞くとともに、意見交換を行った(12月)。

6.国民生活委員会

(〜5月28日 大塚陸毅 委員長)
(5月28日〜 岡部正彦 委員長)

新型インフルエンザ対策の推進、充実に向け、企画部会(部会長:6月1日〜 高尾剛正住友化学取締役常務執行役員)を中心に、「新型インフルエンザ対策に関する提言」(2008年6月17日)を取りまとめ、ワクチン接種体制の整備、抗インフルエンザウィルス薬の備蓄拡大、流行時の社会機能維持に向けた政府としての対処方針の明確化、ガイドラインの整備等を求めた。また、各社の新型インフルエンザ対策の推進に資するべく、政府における新型インフルエンザ対策の進捗状況について説明を聞く機会を設け情報提供に努めるとともに、広く政府関係部局と意見交換を行い、政府の取組みが実効あるものとなるよう経済界の要望を伝えた。さらに、業種横断的に経済界としての対策のあり方を探るべく、委員会内にライフライン関連を中心とする業種間の連絡会を設置した。

7.少子化対策委員会

(池田守男 共同委員長)
(鈴木茂晴 共同委員長)

(1) 子育て環境整備に関する検討

企画部会(部会長:福島伸一パナソニック代表取締役専務)を中心に、今後の少子化対策のあり方について検討し、「少子化対策についての提言」(2009年2月17日)を取りまとめ、国の最重要課題として保育サービスの拡充、子育て世代の経済的支援の拡充等に思い切った財政投入を行うよう求めた。
さらに、社会保障国民会議や社会保障審議会等の審議会において、日本経団連代表委員を通じ、保育サービスの拡充に向けた多様な事業主体の参入の必要性や、企業の実情を踏まえた自主的なワーク・ライフ・バランス推進の重要性等を指摘し、審議会での取りまとめに意見が反映されるよう努めた。

(2) 「家族の日」「家族の週間」における国民運動に対する協力

子育てを温かく見守り支える社会づくりに向け、11月の「家族の日」「家族の週間」における国民運動の機会を活かし、各社にノー残業デーの設定等、具体的取組みを呼びかけるとともに、政府に対し、国民運動を積極的に推進するよう求めた。

(3) 次世代育成支援対策推進法改正への対応、事業所内保育施設の拡充に向けた働きかけ等

改正次世代育成支援対策推進法の施行に伴う事業主行動計画の公表・周知方法や行動計画の策定指針を巡る検討に際し、経済界の意見反映に努めた。また、事業所内保育施設の拡充に向けて政府に対し助成制度の見直し等を働きかけるとともに、事業所内保育施設を設置する企業間で情報交換を行った。

8.国際労働委員会

(立石信雄 委員長)

(1) 国際労働機関(ILO)への対応

  1. ILO総会への対応
    5月28日から6月13日まで、スイスのジュネーブにおいて第97回ILO総会が開催され、立石委員長を代表とする日本使用者代表団6名を派遣した。同総会では、今日のグローバル化経済において、ILO加盟各国がディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する上で、ILOの機能をどのように強化していくかの討議が行われた。その結果は「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」としてまとめられた。このほか、地方における貧困減少のための雇用促進に関する討議や、雇用と生産性を促進するための技能開発についての討議が行われた。
    当委員会では、事前に各種議題に臨む使用者側の見解について審議を行うとともに(5月)、参加した使用者側代表団から報告を聴取した(6月)。

  2. その他
    テーマ別に開催されるILOの各種の専門家会議やアジア地域の会議・セミナー3件に日本使用者側代表を派遣した。

(2) アジアの人材マネジメントに関する報告書発行

報告書「アジアにおいて求められる人材マネジメント」(2008年7月15日)を発表した。本報告書は、アジアでの厳しい競争を勝ち抜くためには、ホワイトカラーを中心とした現地社員について、どのようなマネジメントが求められるかを検討した。企業競争力強化と、社員の働きがいを満たすという両方の視点から、付属の企業事例集と併せて、企業と社員がWin‐Winの関係となる人材マネジメントの方向性について提言を行った。

○ 国際関係

1.貿易投資委員会

(佐々木幹夫 委員長)
(〜5月28日 秋草直之 共同委員長)

(1) 提言「対外経済戦略の構築と推進を求める」(2007年10月16日)の実現に向けて以下の活動を行った。

  1. WTOドーハ・ラウンド交渉の推進
    7月にミッションをジュネーブに派遣し、WTO閣僚会合における大枠合意の実現を関係者に働きかけた。また、来日したピーター・マンデルソン欧州委員(4月)、パスカル・ラミーWTO事務局長(2009年2月)に対し、わが国経済界の見解を説明するとともに、交渉の早期妥結の重要性を訴えた。さらに、9月に委員会、2009年1月に企画部会(部会長:笹川隆三菱電機常務執行役)を開催し、関係省より交渉の進展状況等について説明を聞くとともに、意見交換した。11月には企画部会においてWTO事務局幹部とルール交渉の現状等について、2009年2月にはWTOサービス貿易自由化交渉に関する懇談会(座長:長谷川公敏第一生命経済研究所副社長)において、フェルナンド・デ・マテオWTOサービス交渉議長とサービス交渉の現状等について、懇談した。

  2. 投資環境の整備に向けた取組み
    提言「グローバルな投資環境の整備のあり方に関する意見」(2008年4月15日)を取りまとめ、投資に関する質の高い法的基盤の早急な整備等を求めた。10月には「投資協定の戦略的活用に関するセミナー」を開催した。さらに、外務・経済産業両省共催の対外投資戦略会議に参加し、投資協定交渉及び対外投資に関連する各種施策に経済界の意見が反映されるよう努めた。

  3. 社会保障協定の締結促進
    9月にスペイン及びイタリアとの交渉に関し、関係省より状況を聴取した。

(2) 以上に加えて、提言「実効ある安全保障貿易管理に向けて制度の再構築を求める」(2007年3月20日)の実現に向け、7月には、パブリックコメントに付された通常兵器キャッチオール規制の導入に伴う政令改正案等に対し意見を提出するとともに、11月及び2009年1月には、技術取引規制の見直しに関して意見を取りまとめた。

2.国際協力委員会

(槍田松瑩 委員長)
(矢野薫 共同委員長)

(1) わが国の国際協力のあり方に関する提言取りまとめ

委員会を開催し、渡辺利夫拓殖大学学長より、わが国の国際協力の課題と今後の改革の方向性について説明を聞き、懇談するとともに、提言「今後の国際協力のあり方について」(2008年4月15日)をとりまとめた。同提言では、「貧困削減偏重」から「経済成長・インフラ整備の再評価」への国際潮流の変化や、「国際益」とともに「国益」に沿った戦略的対応の重要性を踏まえ、国際協力における諸課題(ODA予算の確保、官民連携の推進、国際機関におけるイニシアティブ発揮、国民理解の促進)への具体的提案を行った。とりわけ、官民連携を促進するため、(1)定期的な官民対話、(2)ODA案件選定に強い影響力を持つ「現地ODAタスクフォース」への民間企業の参加、(3)民間提案による官民連携案件形成の制度化等を提言した。
その後、現下の世界的金融危機の影響で資金需要が逼迫し、ODAに対する期待が高まるなか、委員会を開催し(2009年1月)、官民連携の推進等のための具体的方策につき、政策部会(部会長:江川豪雄三菱重工業副社長)を中心に検討を進め、2009年4月に新たな提言を取りまとめることとした。

(2) 「経済協力等に関する官民対話」(官民対話)の政府との合同開催

当委員会の4月の提言を受けた4月18日の政府との合意「成長加速化のための官民パートナーシップ」に基づき、政府と日本経団連、日商、関経連が合同で国際協力における官民連携を議論する場として、官民対話を2回(6月、11月)開催した。官民対話においては、上記政策部会との密接な連携の下、政府側に働きかけを行い、「現地ODAタスクフォース」への民間企業の参加や民間提案による官民連携案件形成の制度化が実現した。

(3) わが国の今後の国際協力のあり方につき検討

木寺昌人外務省国際協力局長より、国際協力における官民連携の進捗状況について説明を聞くとともに懇談した(2009年1月)。また、藤田昌宏経済産業省貿易経済協力局長より、アジアの途上国の内需拡大策等について説明を聞くとともに懇談した(2009年3月)。

3.OECD諮問委員会

(本田敬吉 委員長)

経済協力開発機構(OECD)は、先進30カ国が参加する国際機関として、経済政策、税制、貿易・投資、雇用・労働、科学技術、情報通信等に関する調査や加盟国間の討議を基に勧告、指針の策定等を行っている。そのOECD加盟国経済団体で構成される民間諮問機関 Business and Industry Advisory Committee to the OECD(BIAC、本部パリ)を通じて、わが国経済界の意見をOECDの取組みに反映させるべく、働きかけを行った。

(1) BIAC活動の企画・運営への参画

6月のBIAC総会、10月のBIAC理事会に本田委員長が参加し、BIACの活動について、わが国経済界の立場から意見を述べた。

(2) BIAC・OECD会合への参加、提言の作成

わが国企業関係者が、50回を超えるBIAC及びOECDの会合に参加するとともに、企業活動に係るルール等に関する提言案にわが国経済界の意見が反映されるよう努めた。

(3) 会合の開催

以下の会合を通じて、BIAC、OECDにおける検討状況の国内議論への還元を図るとともに、最新情報の把握に努めた。

  1. 田中伸男国際エネルギー機関(IEA)事務局長と懇談(6月)
  2. スイスから見たEU、OECDに関する懇談会(6月)
  3. OECD活動に関する報告会(12月)
  4. BIAC本部の活動に関する報告会(2009年3月)

(4) 広報活動

BIAC及びOECDの活動をわが国経済界に広く紹介すべく、機関誌(「BIAC NEWS」)、小冊子(「BIACの組織と活動」)を発行した。

4.経済連携推進委員会

(〜5月28日 米倉弘昌 委員長)
(〜5月28日 大橋洋治 共同委員長)
(5月28日〜 大橋洋治 委員長)
(5月28日〜 勝俣宣夫 共同委員長)

(1) 提言「東アジア経済統合のあり方に関する考え方」取りまとめ

企画部会(部会長:佐藤芳明東芝常任顧問)を中心に、有識者や政府関係者等から集中的に意見・説明を聴取するとともに、委員を対象とした東アジア経済統合のあり方に関するアンケートを実施した。それらを基に精力的に検討を進め、提言「東アジア経済統合のあり方に関する考え方」(2009年1月20日)を取りまとめ、政府・与党、在京大使館等関係方面に対し、その実現を働きかけた。

(2) 有識者・関係省庁との懇談

  1. 外務省・経済産業省幹部との懇談(9月)
    小田部陽一外務省経済局長と岡田秀一経済産業省通商政策局長より、東アジア経済連携協定(EPA)の今後の進め方と「経済財政改革の基本方針2008」(骨太の方針2008)におけるグローバル戦略について、説明を聞くとともに懇談した。

  2. 菊池努青山学院大学国際政治経済学部教授との懇談(12月)
    菊池努青山学院大学国際政治経済学部教授より、東アジア経済統合を巡る課題と日本の対応について、説明を聞くとともに懇談した。

5.G8ビジネス・サミット

4月、第2回G8ビジネス・サミットを東京で主催した(後援:日本経済新聞社)。御手洗会長はじめ各国から11の経済団体代表が参加し、世界経済の持続的成長に向けた諸課題について議論を行い、その結果取りまとめた共同声明をG8北海道洞爺湖サミットの議長である福田康夫総理大臣に手交した。
12月には、金融危機の深刻化を受けて、フランス経団連主催によりパリにおいて第3回G8ビジネス・サミットが開催された。日本経団連からは、御手洗会長、氏家副会長が参加し、各国経済界首脳との間で金融危機への対応等について意見交換するとともに、共同声明を取りまとめた。


III.委員会等の活動【地域別・国別委員会等】


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