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月刊 経団連

月刊 経団連2025年12月号

特集 国民の健康づくりと企業の役割 ─健康経営の深化と裾野拡大

巻頭言

拙考

内田 高史 (経団連審議員会副議長/東京ガス会長)

10月1日は東京ガスの創立140周年記念日であった。この日に、創始者である渋沢栄一の今日的意義について、仏文学者、鹿島茂氏の論考をもとに拙考を述べる。
渋沢を「日本資本主義の父」へと導いた契機は、パリ万国博覧会視察とその後のパリ駐在にあった。渋沢はパリで近代的な産業・社会を息を飲む思いで見つめ、それらを日本にもたらそうと決意した。また、そのために、個別の事業だけでなく、近代社会、経済の仕組みそのものを学んだ。その師匠となったのが、在仏中、渋沢の案内役を務めたフリュリ・エラールである。

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特集

国民の健康づくりと企業の役割 ─健康経営の深化と裾野拡大

生産年齢人口が減少し、超高齢社会が進展する中、わが国では健康を維持し、年齢を問わずにより多くの方が活躍できる環境の整備が喫緊の課題となっている。企業は健康経営を通じて、従業員の健康づくりを支援し、組織の活性化や生産性向上、ひいては企業価値向上につなげることが重要である。健康経営が注目されて10年を経て、大企業を中心にその取り組みは定着しつつある。今後は、中小企業や地方におけるより一層の取り組みの深化と裾野の拡大が期待される。

座談会:国民の健康づくりと企業の役割

  • 小堀 秀毅 (経団連副会長、社会保障委員長/旭化成会長)
  • 川島 博政 (大和証券グループ本社執行役員、最高健康責任者(CHO))
  • 森 晃爾 (産業医科大学産業生態科学研究所 産業保健経営学研究室教授)
  • 鍋嶋 洋行 (大橋運輸社長)
  • ■ 健康経営の意義
  • 健康経営は、企業の持続的な成長をもたらす
  • 健康経営の成果をいかに実感するかが課題
  • ■ 各企業の具体的な取り組み
  • 女性特有の健康問題への対応に注力
  • 非喫煙者採用を宣言し、食育や運動習慣などの知見を高める
  • 官民連携で地域の健康活動に取り組む
  • 産業保健スタッフの配置、ワーク・エンゲージメントの向上
  • 海外勤務者の健康管理を強化
  • ■ 健康経営のさらなる推進の方策を考える
  • 食材を通じて食の意識が変わった
  • 健康経営を含む人的資本経営の継続が重要
  • 人事部と医務室と健保組合が三位一体となって進める
  • 経営者は従業員の健康増進にしっかりコミットする
  • 本業と健康経営プログラムの文脈が合っているか
  • 健康経営の最大の効果は風土の醸成
  • ■ 今後の取り組みに対する期待や意気込み
  • 健康寿命の延伸と終身成長でウェルビーイング先進国に

『健康経営ガイドブック』改訂を踏まえたこれからの健康経営の実践
 健康経営優良法人認定事務局

  • 企業の健康風土の醸成状況を確認しながら健康経営を継続的に実践
  • 企業の経営方針と健康経営の推進方針の連動が重要
  • 健康経営のストーリー可視化には戦略マップが有効

「健康日本21(第三次)」を踏まえた国民の健康づくりと企業へ期待すること
 丹藤 昌治(厚生労働省健康・生活衛生局健康課長)

  • 一次予防に重点を置いた対策の強化
  • 多様な主体による支援の必要性
  • 多様な主体による支援の推進
    ─ スマート・ライフ・プロジェクト

ウェルビーイングISOシリーズの国際標準化戦略
 浅野 健一郎(社会的健康戦略研究所代表理事)

  • 日本主導でウェルビーイングISOシリーズを開発
  • ISO 25554の発行と日本のリーダーシップ
  • ウェルビーイングISOシリーズを活用した健康経営の国際展開

働く女性の健康を支えるライフステージ支援
―健康経営の深化に向けて
 飯田 美穂(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室専任講師)

  • 健康経営の視点としての女性の健康
  • ライフステージに応じた健康課題の理解
  • 企業に求められる包括的支援の枠組み
  • 健康経営の深化に向けて

花王における健康経営の深化と社会への展開
 長谷部 佳宏(花王社長)

  • 「よきモノづくり」を支える健康経営
  • 組織的・科学的アプローチによる健康開発活動
  • 「GENKIプロジェクト」による健康ソリューションの展開
  • 社会全体の健康を目指して

人とAIで切り拓く健康経営の未来
―富士通の挑戦とイノベーション
 青木 陽介(富士通Healthy Living事業部Health Managementチームリーダー)

  • 激変する時代を生き抜く経営戦略
  • 健康経営の共通課題と当社の取り組み
  • 課題解決に貢献する当社の取り組み
    1. ⑴ 因果AIによる経営層の意思決定支援
    2. ⑵ 健康無関心層の行動変容を促すアプローチ
  • 共に創り出す未来

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一般記事

【提言】
2025年度規制改革要望を公表

https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/059.html
 時田 隆仁(経団連副会長、行政改革推進委員長/富士通社長)
 朝日 智司(経団連行政改革推進委員長/日本生命保険社長)

  • ■ 規制を不断に見直し、日本の国力を最大限に引き出す
  • ■ 2025年度規制改革要望の四つの柱
  • 政府への働きかけを一層強化し、全体最適の視点から改革実現へ

【報告】
日伯経済関係のさらなる強化に向けて議論

―第26回日本ブラジル経済合同委員会をサンパウロで開催
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/055.html
 安永 竜夫(経団連審議員会副議長、日本ブラジル経済委員長/三井物産会長)

  • 日伯外交関係樹立130周年
  • 第26回日本ブラジル経済合同委員会開催
  • 日本メルコスールEPAの早期交渉開始は急務
  • 脱炭素に向けた連携の可能性

金融経済教育のさらなる展開に向けて
―企業・行政・地域社会と共に
 安藤 聡(金融経済教育推進機構(J‒FLEC)理事長)

  • 金融経済教育を全国に広げる取り組み
  • 経済界との連携による推進、政策的な後押し
  • 学びの機会を全ての人に

連載

  • スタートアップ連携のベストプラクティスを探る⑤
    グループの知見を共有して新事業創出に必要な人財を育てる
    太川 龍(日立製作所デジタルシステム&サービス統括本部
    経営戦略統括本部事業開発本部部長代理)

    市川 博一(日立ソリューションズ経営戦略統括本部グローバルビジネス推進本部
    戦略アライアンス部シニアイノベーションストラテジスト)

    春名 伴美(日立システムズ研究開発本部イノベーション推進センタ主管研究員)

  • 読書のみちしるべ
    『チンギス紀』
    藤本 昌義(経団連カナダ委員長、日本ベトナム経済委員長、
    中南米地域委員長/双日会長)

  • Essay「時の調べ」
    アンチ・アクション ―戦後日本美術を見つめ直す試み
    中嶋 泉(大阪大学大学院人文学研究科准教授)

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